実効性ある安全協定を

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 10月4日(火)13時40分に玄海原発4号機が事故で停止しました。福岡市に連絡のFAXが届いたのは15時58分です。しかもFAXの表題は「PressRelease」でした。緊急通報ではなく単なる「お知ら」せだったのです。九電は福岡市を当事者として認知していない証拠です。もし今回の事故が福嶌と同じであれば、九電からの連絡を福岡市が受けたときには、福岡市市内は放射能で汚染されていたと思われます。今回の九電の対応を見れば、福岡市は出来るだけ早く実効性がある安全協定を結ぶ必要があります。

 今回の事故と市民の動きを見てと思われますが、福岡県、福岡市、糸島市が九電に安全協定の申し入れをしました。その内容は報道によると「事故が起きたときには速やかに通報することを義務づける」というものです。安全協定を結ぶこと自体は福岡市民が当事者であることを九電に認知させると言うことでは一歩前進ですが、原発事故を未然に防ぐためにはほとんど役に立ちません。最低私たちが示している市民案を超える中身でなければ、事故を未然に防ぐことは出来ません。

 柏崎刈羽原発は6年前の地震で大惨事になる著然の状況でした。新潟県と東京電力が結んでいる安全協定はこのような状況を踏まえて作られています。双方で監視機関を作り、問題があれば査察が出来、場合によっては市民の代表も同行して査察が出来ます。査察で問題があれば発電の停止を求めることが出来、再稼働するときには県及び自治体の同意が必要となっています。この安全協定を基に市民案を作っています。

 いまこそ住民投票条例制定の直接請求を達成し、住民投票を実現させることが必要です。署名の後協力をお願いします。

福岡市と九電と安全協定を結ぶことの意味
  ①福岡市民が当事者であることを九電に認知させる
  ②原発に問題が生じれば福岡市民の同意がなければ再稼働できないしくにする
  ③他の近隣自治体も協定を結ぶことになり、原発に問題があれば九電は簡単には原発の再稼働ができなくなる

安全協定案の特徴
  ①情報は福岡市及び福岡市民が共有する(第2条)

  ②必要なときには立ち入り調査が出来る(第10条)
   市民の健康及び生活環境に著しい影響を生じた時は市民の代表が立ち入り調査に同行できる
   (第13条3項)

  ③立ち入り調査の結果、問題があると認めた時は原発の運転停止を求めることが出来る
  (第14条1項)

  ④原子炉の運転再開するときは福岡市の同意が必要。(第14条3項)

  ⑤内部告発者の保護(第15条) 

安全協定の市民案
九州電力株式会社玄海原子力発電所の運転保守
における福岡市民の安全確保に関する協定書(案)
福岡市(以下「甲」という。)並びに九州電力株式会社(以下「乙」という。)は、九州電力株式会社玄海原子力発電所(以下「発電所」という。)の運転保守に起因する事故から福岡市市民の安全の確保を目的として次のとおり協定する。

(関係諸法令の遵守等)
第1条乙は、発電所の建設及び運転保守にあたっては、発電所から放出される放射性物質及び温排水による周辺環境の汚染の防止と安全確保のため、関係法令及び原子炉施設保安規定を遵守し、周辺地域住民に被害を及ぼさないよう万全の措置を講ずるものとする。

2 乙は、原子力発電施設の安全性及び信頼性のより一層の向上を図るため、原子力発電施設の設計、製作、施工、運転及び保守の各段階における請負企業等を含めた品質保証活動を積極的に行うとともに、乙の活動の第三者機関による評価制度の確立に努めるものとする。

(情報公開)
第2条乙は、発電所の運転、保守及び管理等の状況について、積極的に情報の公開を行い、福岡市および福岡市市民との間で情報の共有に努めるものとする。

(計画等に対する事前了解)
第3条乙は、原子力発電施設及びこれと関連する施設等の新増設しようとするとき又は変更をしようとするとき、事前に甲の了解を得るものとする。

(通報連絡)
第4条乙は、甲に対し、安全確保対策等のため必要な事項を通報連絡するものとする。

2 前項の規定により通報連絡すべき事項及びその方法は、甲、乙が協議して別に定めるものとする。

(取組状況等の報告)
第5条甲は乙に対し、原子力発電施設の安全性及び信頼性のより一層の向上を図るため、安全確保対策の取組状況等について、報告を求めることができるものとする。

(環境放射線の測定等)
第6条甲及び乙は、それぞれ別に定める環境放射線又は温排水等の監視調査基本計画(以下「基本計画」という。)に基づいて、発電所周辺の環境放射線及び温排水等の監視調査を実施するものとする。

2 前項の基本計画には、基本方針を定めるものとし、監視調査の項目、地点、頻度、方法等具体的事項は、毎年度策定する年度計画(以下「年度計画」という。)で定めるものとする。

3 甲又は乙が特に必要と認めたときは、基本計画による調査測定のほかに環境放射線及び温排水等の測定を実施することができるものとする。

(原子力発電所周辺環境監視評価会議の設置)
第7条甲は、年度計画の協議、監視調査結果の総合評価及び基本計画等監視調査に関する重要事項の協議を行うため、原子力発電所周辺環境監視評価会議(以下「評価会議」という。)を設置するものとする。

2 評価会議の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定めるものとする。

(測定結果の公表)
第8条甲及び乙は、第6条第1項の規定に基づき実施した監視調査結果について、毎年度評価会議において周辺環境に与える影響の評価を経たのち公表するものとする。

2 前項の規定にかかわらず、第6条第1項又は第3項の規定に基づき甲又は乙が実施した監視調査結果について特異な状況が認められた場合には、甲及び乙は相互に連絡を行ったうえ、これを速やかに公表するものとする。

(技術連絡会議の設置)
第9条甲及び乙は、年度計画の技術的調整、監視調査の技術情報の交換及び監視調査結果の技術的検討を行うため、それぞれの実務担当機関で構成する原子力発電所周辺環境放射線測定技術連絡会議(以下「環境放射線測定技術連絡会議」という。)を設置するものとする。

2 環境放射線測定技術連絡会議の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定めるものとする。

(立入調査等)
第10条甲は、次に掲げる場合は、乙に対し報告を求め、又は発電所への立入調査を行うことができるものとする。

(1)発電所周辺の環境放射線及び温排水等に関し、異常な事態が生じた場合又は必要と認めた場合
(2)発電所の運転、保守及び管理の状況等について、特に必要と認めた場合

2 前項の規定に基づき立入調査をするときは、甲は、あらかじめ乙に対し、立入調査をする者の氏名、立入りの日時及び場所を通知するものとし、乙はこれに立ち会うものとする。

(状況確認等)
第11条甲は、必要と認めた場合は、いつでも発電所の運転、保守、管理及びその他安全確保に関する事項について、状況確認を行うことができるものとする。この場合において、甲はあらかじめ乙にその旨を通知し、乙はこれに立ち会うものとする。

2 甲は、必要と認めた場合は、いつでも乙が行う環境放射線測定及び温排水測定に立ち会うことができるものとする。

(原子力発電所の安全管理に関する技術委員会の設置)
第12条甲は、発電所の運転、保守、管理及びその他安全確保に関する事項を確認する際に技術的な助言・指導を得るため、原子力発電所の安全管理に関する技術委員会(以下「技術委員会」という。)を設置するものとする。

2 乙は、技術委員会が前項に規定する助言・指導を行うために、甲を通じて必要な協力を求めた場合は、誠意をもって応じるものとする。

3 技術委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に定めるものとする。

(立入調査を行う者等の選任)
第13条甲は、第10条第1項の規定に基づく立入調査を行う者並びに第11条第1項の規定に基づく状況確認及び同条第2項の規定に基づく測定の立会いを行う者を甲の職員からそれぞれ選任するものとする。ただし、甲は、必要と認めた場合は、技術委員会の委員を同行することができるものとする。

2 甲は、前項の規定により選任した職員に対し、身分証明書を交付し、立入調査等の際はこれを携帯させるものとする。

3 甲は、第10条第1項の規定に基づく立入調査を行う場合において、市民の健康及び生活環境に著しい影響を生じたとき、又は著しい影響を及ぼすおそれがあるときは、市民の代表者を同行することができるものとする。

(適切な措置の要求)
第14条甲は、第10条の規定に基づく立入調査等の結果、特別の措置を講ずる必要があると認めたときは、国を通じ、乙に対し原子炉の運転停止を含む適切な措置を講ずることを求めるものとする。ただし、特に必要と認めたときは、直接乙にこれを求めることができるものとする。

2 甲は、前項の規定に基づき甲から適切な措置を講ずることを求められたときは、誠意をもってこれに応ずるとともに、その結果を甲に報告するものとする。

3 乙は、第1項の規定に基づき原子炉の運転を停止した場合において、原子炉の運転を再開するときは、事前に甲に協議するものとする。当該協議を受けた場合において、甲はその結果を乙に通知するものとする。乙は甲の同意を得なければ運転の再開はできない。

(発電所トラブル等内部情報受付窓口の設置)
第15条甲は、発電所の安全の確保に資するため、発電所トラブル等に関する内部情報を受け付ける窓口(以下「窓口」という。)を設置するものとする。

2 甲は、受け付けた内部情報について、乙に調査の実施を求めることができるものとする。この場合において、窓口への通報者(以下「通報者」という。)に係る個人情報は、乙に提供しないものとする。

3 乙は、甲から調査の求めがあったときは、誠意をもってこれに応じ、その結果(必要な改善策を含む。)を甲に報告するものとする。なお、甲が求めた調査が乙の請負企業等に係るものであるときは、乙は可能な限りこれに応じるものとする。

4 甲は、前項の規定により乙から報告を受けたときは、その内容を公表するとともに、データベース化を図り情報の共有化に努めるものとする。

5 乙は、通報者が特定された場合であっても、当該通報者及び当該通報者が属する請負企業等(以下「通報者等」という。)に対し、通報したという行為を理由に、不利益を課してはならない。

6 乙は、甲の受け付けた内部情報に秘密保持情報(乙と乙の請負企業等との契約上秘密保持が求められている情報をいう。以下同じ。)が含まれる場合であっても、その秘密保持情報が当該通報を行うために必要なものであると認められる場合にあっては、通報者等に対し、秘密保持義務違反を理由に、不利益を課してはならない。

7 甲は、窓口の設置及び運営について、乙の従業員、乙の請負企業等の従業員その他の関係者に対し、周知することに努めるものとする。

8 窓口の設置及び運営に関し必要な事項は、この協定に定めるもののほか、別に定めるものとする。

(損害の補償)
第16条発電所の運転保守に起因して福岡市市民に損害を与えた場合は、乙は誠意をもって賠償するものとする。

(協力の要請)
第17条甲が安全確保対策についての諸調査を実施する場合には、乙はこれに積極的に協力するものとする。

(協定の改定)
第18条この協定に定める各事項につき改定すべき事由が生じたときは、甲及び乙いずれからもその改定を申し出ることができる。この場合において、甲及び乙はそれぞれ誠意をもって協議に応ずるものとする。

(その他)
第19条この協定の実施に関し必要な事項及びこの協定に定めのない事項については、甲及び乙が協議して別に定めるものとする。

2 福岡市地域防災計画(原子力災害対策編)、福岡市国民保護計画及び玄海原子力発電所原子力事業者防災業務計画に基づく措置は、この協定に基づく措置に優先するものとする。
この協定成立の証として、協定書2通を作成し、甲乙署名押印のうえ、それぞれ1通を保有するものとする。