人工島の破綻

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 福岡市は2月議会で人工島事業の収支計画を見直しました。人工島の土地は売れておらず、2月議会では、港湾特別会計、臨界土地整備事業では土地処分が出来ず92億円の減額補正、港湾徳辺会計基金積立を87億円減額の補正予算案が亭主されました。それに伴い、収支計画の見直しを公表しました。

 2011年度の分譲計画では、港エリアでは10.1ヘクタール、紙5工区では4.2ヘクタールでした。売れた土地は青果市場移転予定地5ヘクタール、市5工区では福岡市住宅供給公社が購入した2ヘクタールと都市計画道路1.2ヘクタールで、全て市が購入したものだけです。つまり民間企業は全く購入していないのです。

 博多港開発工区も福岡市が購入した道路用地と市住宅供給公社が購入した土地以外は売れていません。市住宅供給公社が購入した土地も土地は福岡市が持ち上物を積水初が造り販売するもので、通常の分譲住宅の販売ではありません。積水ハウスがリスクを持たず市にリスクを負わせる構造になっているのです。つまり住宅販売も見通しが厳しいと言うことです。このエリアはスマートタウンとして国の特区の指定を受け、様々な補助金が付くことになっています。土地処分の止めに多くの税金が使われるのです。

 港エリアについても企業誘致のために立地交付金〔進出企業への補助金〕の上限が10億円から30億円に引き上げられました。10億円でも企業はこなかったのに30億円にすれば企業が来るのでしょうか。市の理屈は多額の補助金を交付しても、企業が来れば固定資産税や法人市民税、雇用増による市税の税収が見込めるので元は取れるというのです。しかし本当でしょうか。企業誘致のために多くの是金を使った上に、インフラ整備の費用は市の負担、さらに維持管理費用も市の負担、人口が増えれば公共サービスの負担も増えます。だから開発者負担の制度があるのです。しかし、人工島には開発者負担はありません。

 今回の補正予算の結果、港湾特別会計基金は58億円となり底をつく状況です。2017年には最大320億円の基金の取り崩しが予定されており、人工島事業は破綻します。人工島事業の収支計画見直しについては、市長が肝いりで造った諮問機関「人工島未来フォーラム」で出てきた意見は、人工島の土地は売れない、土地が高すぎる、敵借地権を設定すべきなどの意見でした。みんなが人工島事業が破綻していることを認識しているのです。今回の見直しはこの意見を取り入れ、地価を下げ、敵借地権を導入したのです。そして議会に説明したものは、人工島港エリアの土地について不動産鑑定士が評価した9.7万円/㎡という価格を帰順したもので、最終的には160億円の赤字というものです。今回の見直し前までは125億円の黒字としていたことから見ると、285億円もの差が生じます。ところが、市は最悪の状況を421億円の赤字と試算していたにもかかわらず公表していません。当初から私たちが主張してきたように、人工島事業は破綻していることがはっきりとしました。