セアカゴケグモが繁殖する人工島にこども病院を移転させることを中止させるこ請願を否決に反対する討論

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 9月議会でセアカゴケグモが繁殖する人工島にこども病院を移転させること中止することを求める請願の審査がされ否決されました。議会の請願否決に対する反対の討論をしました。

 セアカゴケグモは神経性の毒を持ち、咬まれると激しい痛みととももに、局所の腫れ、めまい、嘔吐などの局所症状のほか、時には血圧の上昇、呼吸困難などの全身症状が現れることもあり、高齢者や乳幼児は重篤な状態に至る危険があります。大阪府の毒性実験の報告では免疫機能が未成熟な幼児等では、2度目に咬まれた場合においては1度目以上に重篤になることはないが、同様に重症となる可能性が示唆されとしています。日本では死亡事故の報告はありませんが、オーストラリアでは死亡報告があります。大阪府では1995年に発見され1997年から2012年度までで63件、2013年度は6件の被害が報告されています。福岡市においても今後被害が出ることが予想されます。

 このようにセアカゴケグモは人工島コンテナ埠頭で発見される前から堺市で港湾区域を中心に広がっていることが知られていました。港湾部ではセアカゴケグモだけではなく、致死率30%といわれるハンターウイルスを持つネズミが全国8港湾で発見されていることも報道されていました。私たちは港湾部は外来生物が侵入しやすい場所であり、危険性が高い場所であること、こども病院移転予定地は道路を挟んで向かいが外国貿易コンテナ埠頭であることから、子ども病院移転予定地の危険性を指摘してきました。しかし、福岡市はこれを無視し、移転を強行しているのです。しかも、請願審査の場で改めてセアカゴケグモは増え続けており、根絶やしにすることはでないことが明らかとなっています。こども病院内への侵入を防ぐことが出来ても、駐車場からの移動などで被害に遭う可能性があります。隣接する中央公園があることが療育環境によいと宣伝した来ましたが、その中央公園が繁殖地となっており、しかも根絶やしに出来ない場所なのです。しかも、こども病院に運ばれる子どもや通院の子ども、入院の子どもは特に重篤な病気を持っている子ども多く、リスクが非常に高いと言えます。
 
 この請願はこれまで述べてきたように、こども病院をセアカゴケグモが繁殖する人工島に移転させることはリスクが高く、移転をやめるよう求めるものです。セアカゴケグモは2007年10月に初めて人工島国際コンテナ埠頭で発見されました。その後2012年9月に人工島の高齢者施設で被害が出るもでその実態は公にされてきませんでした。事故後ようやく発見後4年間で8201匹駆除した事実が公表され、組織的な対策が取られるようになりました。セアカゴケグモが人工島に繁殖している事実が隠され、そのため対策が遅れ、繁殖地が拡大する結果を招いています。なぜそのような事態が生じたのか、それは破綻した人工島に無理矢理こども病院を移転させるため、そして事実を隠すことで人工島の土地処分を進めるためにほかなりません。

 そもそもこども病院人工島移転は多くの患者家族、多くの市民、多くの市内小児科医や産科医の反対の声を無視して強行されてきました。人工島ありきで計画が進められ、現地建て替え費用を1.5倍に水増しし、しかもゼネコン3社へのヒアリングついては市の説明と全く内容が異なることが裁判所の嘱託調書で明らかになっているに拘わらず、未だに福岡市はウソをつき通しています。中央保育園でも同じようなことが繰り返えされています。また、福岡市立こども病院移転計画調査委員会委員の宮城県立こども病院林病院長は、東日本大震災の経験から人工島はこども病院として不適と指摘しましたが、この貴重な指摘も無視されました。福岡市に染みついた市民の声を無視する利権体質が問題です。

 以上述べてきましたように、人工島ありきで破綻した人工島事業を救済するために子どもいのちを危険曝すことは許されません。また、福岡東国立医療センターや九大病院がある東部地区の小児医療は充実しており、他方移転後の西部地区小児医療に空白が生じるような移転計画そのものに問題があります。