他都市調査(BRTについて、小規模修繕事業者登録制度について)


他都市調査
日時   平成27年7月28日(月) 午後1時~2時 その後連結バスに乗車
調査都市 岐阜市(人口41万人)
説明員  青木保親交通総合政策課長
調査目的
福岡市においてBRT導入の検討が始まっており、岐阜市におけるBRT導入の経緯とその評価、将来の展望について調査。

1、BRT導入の経緯
高齢化が進み(現在高齢化率25%)周辺部の団地住民の移動の問題が生じていること、また自家用車利用が68%と高くバス利用が減少していること、中心市街地の空洞化が進み中心市街地活性化の課題があることから、公共交通によるまちづくりを進めることになった。岐阜市では路面電車が平成16年に廃止され、市営バスも平成16年に廃止された。これを機に平成16年に市民交通会議を設置し、市民と共に交通問題を議論してきた。鉄軌道は市南部を通っているが、市全体の基幹交通としては利用できないため、バス利用を軸として推進。基幹路線を整備し、支線路線及びコミュティバスを接続させるシステムを推進してきた。更に市街地周辺を通る環状線が完成したことから、中心部への自動車交通量が減少したことを機に、BRT導入によりバス路線の整理と輸送力の向上を図った。岐阜駅周辺の再開発と連動してバスターミナルを整備し、岐阜駅から10km圏を30分到達圏と設定して計画を進めている。

2、BRT導入
BRT導入の事例が少なく、当初交通渋滞や安全などの懸念があり、交通管理者と警察等の協議を重ね、先行導入していた厚木市の視察などを行い理解を深めてきた。構造改革特区の指定を受け、平成23年にBRT2台を導入し、岐阜駅と岐阜大学との直行便を始める。その後中間点3箇所に停留場を設置。平成24年から市内ループ線を運行。平成26年から2台を追加し岐阜駅から北部の下岩崎線を運行と、実績を確認しながら段階的に導入を図ってきた。道路はバス優先レーンとしてカラー化。路線はBRTと路線バスはレーンを共用しており優先レーンしているが特に区別していない。バス停はハイグレードバス停にし、BRT路線を明示している。同時に交通渋滞を緩和するために信号システムPTPSを導入。

3、BRT導入の評価
BRT導入によりバス待ち時間の短縮化、輸送時間の短縮化が図れている。特に交通渋滞などの問題は出ていない。BRTの運転は特別な資格は必要なく、通常の大型バスと同じ感覚で運転できる。事故も起っていない。

4、連結バスについて
連結バスは国内で製造されておらず輸入車しかない。岐阜市はベンツ、1台約7千万円。導入時の負担は国1/2,市1/4、事業者1/4、追加の時の負担は国1/3,市1/4、事業者5/12、見直しで国の補助率は1/2にもどっている。上下分離の考えで、道路整備やバス停の整備は市で、連結バスの整備や運行は事業者がしている。整備工場は特別なものが必要であるが事業者が準備。

5、将来の展望
現在市周辺部の団地を中心とした交通空白地域では18地域においてコミュティバスを地域主体で運行し、BRTの基幹路線中心に路線バスとの接続による交通ネットワークを形成している。BRTは現在3路線であるが、将来南部地域の2基幹路線にも運行を計画。更に、BRTによる中心市街地のトランジットモールによる活性化と、今後コミュニティバス運行地域を南部地区への拡張し、自主運行地域を22地域に拡大することで周辺団地との交通ネットワークを完成させる交通ネットワークによるまちづくりを進めている。

6、コミュニティバスについて
コミュニティバスの運行については地域住民が主体となって交通事業者都市で構成するコミュニティバス運営協議会を設置、計画段階から住民が主体的に企画する。運行エリア、料金等は住民が企画立案、事業者を公募し選定。試行運行、効率性・補助額をチェックし、本格運行、運航後に効率性・補助額のチェック、必要な対策・修正を住民主体で行う。運営協議会において随時運行を見直し、課題解決に向けて住民が取り組むことで持続可能な運行にしている。

7,調査後連結バスに乗車
昼間の時間帯であったため乗客は3名であった。連結バスは低床で乗りやすく、車内は幅が普通の路線バスよりも少し広いこともありゆったりとした感じである。揺れも少なく、カーブにおいても特段の違和感はなかった。外観もおしゃれで街の景観形成の大きな要素となり得ると感じた。

 

←清流ライナー(岐阜市役所近く)
所見
高齢化がすすむ中で高齢者の移動を確保するための交通体系が形成を目指す取り組みが進んでいる。幹線路線の整備と周辺部のコミュニティバスの接続のシステムを作っている。同時にBRTが通勤時の大量輸送を担うことでバス便数を削減することができ、通勤時間帯のバスの団子運転解消や交通渋滞軽減に繋がっている。更に一歩進めてBRTによるトランジットモールによる駅前地区の活性化を計画しており、BRTによるまちづくりが期待できると感じた。福岡市における交通ネットワークの形成及び、都市景観としてのBRTによる都市の活性化の参考となる。
連結バス導入のための道路整備の必要性や連結バスによる渋滞発生の危惧があったが、特段の道路整備の必要性はなく、渋滞や安全性についての問題はない。キーポイントは連結バスの大量輸送能力を生かすことで通勤時間帯の路線バスの運航便数を削減することにある。福岡の中心部における通勤時間帯の路線バスの団子運転解消に検討の価値は十分にある。

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日時 平成27年7月29日(火) 午前10時~11時
調査都市 相模原市
説明員  米山守企画財政局契約課契約管理班総括副主幹
調査目的
相模原市においては250万円以下の小規模工事については担当課における随意契約となっている。相模原市では地場中小零細事業者の支援として小規模修繕業者名簿登録制度を行っており、制度と運用状況について調査した。

1、制度について
この制度は平成18年度から始まっている。「名簿登載は、契約課以外の担当課において、250万円以下の簡易な修繕等の発注に際し、見積もり等を依頼する業者選定に参考にする」としている。登載されることで優先的に契約するように通知しているが、受注が約束されるものではない。
①申請書の提出方法
必要な書類を全てそろえて申請。書類審査による。
・申請書 ・代表者の印鑑証明 ・納税証明書 ・代表者の身分証明書(個人事業者)  ・代表者の登記されていないことの証明(個人事業者) ・雇用保険の加入関係書類  ・健康保険の加入関係書類 ・厚生年金保険の加入関係書類
・雇用保険、健康保険及び厚生年金保険の加入義務がないことの届出書該当者のみ)
②登録と有効期限
登載は2年ごとに行われ、有効期限は2年間。ただし、受付は随時行われ、毎月1日付で公表される。今期の有効期限は平成27年4月1日から29年3月31日まで。

③対象事業者
修繕(工事)請負業者(簡易な修繕等の小規模工事を行う業者)

④申請者の資格
入札参加資格申請している業者は小規模工事業者の登載申請はできない。また、登記が別であれば同族でも別企業扱いとなる。下請けに出すことは認めていない。
・相模原市に本店(本社)があること。法人でも個人でもよい。
・地方自治法施行令第167条の4の規定(契約締結能力、権利能力がない、暴力団との 関係、談合や不正をして3年以上経っていないなど)に該当しない
・引き続き1年以上その事業をしている者
・国税及び市税を完納している者
・雇用保険、健康保険、厚生年金保険の加入義務がある場合は加入している者(平成27 年度から)
・条例で規定する暴力団員などに該当しない者

2、運用実績
①登載実績
平成27年度は(4月1日)66社。平成26年4月1日では110社。平成18年度制度開始以来100社程度の登載で増えていない。
②契約実績
登載者の契約実績は事業量の約1割程度。少しずつは増える傾向にはある。全事業については入札件数及び金額ベースで共に市内事業者が約7割。
③登載事業者の評価
特に調査していない

3、今後について
今後については事業は続ける。登載事業者が増え、また登載事業者の契約が増えるように対策を進めている。

①事業者の事業区分を⑨区分から⑲区分に細分化することで、事業者の事業範囲がより具 体的に把握できるようにした。
②庁内の各課に登載者を優先的に採用するよう働きかけを強める。
これまでの付き合いの事業者の扱いや新たな事業者の事業能力に対する信頼性をどの  ように把握できるかが課題

所感
相模原市では頑張る中小企業を応援する条例」を制定され平成26年4月1日から施行している。地域経済の活性化のために地場中小企業の育成が重要であり、小規模修繕業者名簿搭載制度は一つの方法である。しかし、相模原市の事例を見ると十分生かされているとは言い難い。その要因は、登載事業者が優先的に契約できるシステムになっていないことにある。随意契約とは言え価格競争の観点から登載しなくても契約できること、これまでの付き合いにより登載する必要性がないこと、各課において積極的に利用する仕組みになっていないことがあると思われる。現状では、登載事業者にとっては市の名簿に登載されているという社会的信頼以外にメリットはない。このままでは、「この制度を活用するように」との掛け声だけになる恐れがある。
地場中小企業を支援するためには、事業所規模における事業の棲み分けと、公契約条例による末端零細事業者においても社会保険に入り安心して暮らせる賃金が保障される仕組みを作る必要がある。少額の随意契約においても、契約実態を把握し、課題を整理する必要がある。その上で、小規模修繕事業受注を希望する事業者は名簿登載を義務づけ、積算根拠を明確にして発注するシステムを作るべきである。引き続き他都市の調査が必要と感じた。
日時 2015年7月29日(水) 午後 1時20分~3時30分まで

調査都市 町田市(人口42万人)
説明員 岩岡哲男交通事業推進課長、半田一喜交通推進課推進係長
調査目的
福岡市においてBRT導入の検討が始まっており、町田市におけるBRT導入の経緯とその評価、将来の展望について調査。

1、導入までの経緯
町田市では高齢化による移動の問題、また中心市街地での交通渋滞、特に通勤時間帯のバスの団子運転による渋滞やダイヤ通りの運転ができない状況が問題となっていた。都市交通マスタープランを2006年2月に策定し、同年11月都市交通マスタープラン推進委員会を設置、その下部組織として2007年1月に「バス路線分科会」を設置して連結バス導入の検討を始めた。マスタープランの基本目標として「誰もが公共交通使って不便なく移動できるまちにする」「誰もが中心市街地へ訪れやすく回遊して楽しめるようにする」「人やモノが早く、正確に、信頼性高く移動できるまちにする」「交通による環境負荷や交通事故の少ないまちにする」を挙げている。往路の拡幅は難しいことから、最も大きな団地である山崎団地バスターミナルと駅バスターミナルの幹線路線に連結バス導入し、利便性の向上と大量輸送力を活用することでバスの便数削減による交通渋滞緩和を目指した。

2、連結バス導入
2012年5月から連結バスを都内で初めて導入。山崎団地は町田市の中核をななす大きな団地で、山崎団地バスターミナルと町田駅バスターミナルは市内で最も運行本数、利用人数が多く、乗車密度が高い。そのため山崎団地と駅ターミナル間には急行バスが運行されていたため、連結バスを導入し、運行本数を削減することによる利便性の低下は生じなかった。具体的には通勤時間帯の運行間隔が3分~5分が5分~7分程度になったが、利用者からの苦情はない。また、連結バス導入の課題として、2車線しかない幹線路線で連結バスを導入することで渋滞が起こらないか、安全性の問題はないかが議論されたが、先行都市である厚木市の視察などから導入に問題がないことを確認した。道路の拡幅はできていないが運行に支障は生じていない。また、当初混雑緩和策としてPTPS信号システムの導入を検討していたが、警視庁からは導入しなくてもよいのではないかと言われている。

3、連結バス導入の効果
町田市ではメインの山崎団地バスセンターと町田駅バスターミナルの幹線路線に連結バスを導入し、通勤時間帯に多く運行させることで導入前の535便を導入後410便に、23%の削減ができバスによる渋滞が緩和された。更に、2015年1月から幹線路線の支線が開通しバス路線を迂回させることで駅バスターミナルへの便数を250便削減できている。この結果、路線変更による削減と連結バス導入による効果を併せると350便に削減できている。連結バスが40km/hで走行したときの空間占有率は一般路線バス2台分の61.5%になり、連結バスが渋滞緩和に寄与している。また、連結バス導入で1日当たりの便数を100便から50便に削減するとCO2排出量は年間23トンの削減に相当し、185便の削減では年間約42トン削減している。市民からは中が広く外観についても好評。シートが堅い、後部が騒音がするなどの声はあるが総じて好評である。

4、連結バス
連結バスは神奈川中央交通が所有、国から1/3,町田市が1/4補助し、バス会社は5/12の負担である。当時の価格で1台6400万円、4台購入で25,600万円。町田市としての走行環境整備に山崎団地バスセンターの改修、途中バス停の移設に伴う植栽等の移設、左折レーンの改修など11,800万円支出。うち、国の社会資本整備総合支援交付金対象事業の1/3(1600万円)の補助を受ける。

5、今後について
今後は交通マスタープランに基づき交通空白地域でのコミュニティバスの運行と幹線路線のバスとの乗り継ぎのシステムの構築を目指している。また2020年の東京オリンピック開催時に鶴川駅と競技場がある公園との路線に連結バスの導入を計画。また、さらなる渋滞緩和に向けての幹線路線の3車線化とPTPS導入の検討をする。車種はベンツ、運転は特別な免許は必要なく、運転は難しくないとのことである。
6、連結バスに乗った感想
連結バスは岐阜市と同じベンツ社のものであった。町田駅バスターミナルから山崎団地バスターミナルまで乗車した。後部に乗ったがそれほどの騒音はなかった。低床で、広く乗りやすいと感じた。

山崎団地降車場                                                 連結バス内部・連結部からの様子→
所感
BRT導入における車線の拡幅や改修等特別な対策を取らなくても連結バスの輸送力を生かしバス運行便数を削減することでバスの団子運転での渋滞緩和を実現している。連結バス用のバス停改修以外には左折レーンの改修だけで、運行環境整備の費用もそれほどかかっていない。運行レーンは時間帯のバス専用道路、と優先道路で特段の規制はない。連結バス導入は目的及び将来像を明確にすることが重要である。PTPSの導入をしなくてもよい状況は、連結バス導入が大変うまくいっていることの現れでもある。目的と将来像に併せたバスの運行便数を削減しなければ、連結バスを生かすことはできない。また、町田市の例からも連結バスの柔軟な運用ができることから、BRTの可能性を改めて実感できた。