藤沢市地域経営会議調査報告

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他都市調査(藤沢市)
日時 2015年11月13日(金)
説明員 市民自治部三次見市民自治推進課林宏和課長

調査目的 藤沢市においてはアセットマネジメントにおいで地域住民で構成される地域経営会議が地域における公共施設の維持管理及び建て替え等の提案をしていた。その後市長が替わり地域経営会議が郷土づくり推進会議に改組された。地域経営会議の機能及び郷土造推進会議への移行を通じて、藤沢市の住民自治組織について調査をした。

1、藤沢市の住民自治の推進 市民センター
藤沢市では昭和50年頃より13ある中学校区毎に市民センターを設置し、公民館を市民センターに併設している。市民センターは住民票発行等業務、市民センターに併設されている公民館の管理業務、及び地域支援事業を行っている。市民センターには10名~17名の職員が配置され、そのうち平均5名が地域新事業専任で配置され、自治協議会、社協など地域団体の事務鏡を担い地域住民の活動を支援している。市民センター職員が地域経営会議そしてその後の郷土づくり推進会議の事務鏡を担っている。公民館は住民による公民館評議会がつくられ公民館の運営を行っている。市民センターは市民自治部市民自治推進課の所課にあり、市民センター長会議が毎月定例で行われ、本庁との連絡調整をしている。

2,地域経営会議
2009年に当時の市長の発案により、地域の課題は地域で解決するという方針で13中学校区毎に地域経営会議がつくられ、当初要綱で運営していたものを2011年3月「藤沢市地域分権及び地域経営の推進に関する条例に関する条例を制定し、条例に基づく機関とした。しかし、地域経営会議は市長の諮問機関ではなく任意団体として位置づけられていた。
地域経営会議には運営費として1団体当たり平均300間円が交付されていた。
地域経営会議は「地域のことは地域で決める」として地域課題についての意思決定機関とし、地域に関する事項についての予算作成を行うことができた。市としては地域関連事業約50事業を地域を所管する各市市民センターに移管し、予算編成の権限を地域経営会議に委譲した。因みに地域経営会議が予算化した額は年度で1億円を超える額であった。地域によっては公共施設の管理も担い、アセットマネジメントについてもまちづくりの視点から提案をしている。
議会では議会の権限を浸食するという反対の声があった。地域経営会議について、①任意団体が意思決定することは問題がある、②責任の所在が不明である、との指摘があり,地域によっては委員に負担感を感じている声もあった。

3、郷土づくり推進会議
1)地域経営会議の廃止
2013年の市長選挙によって市長が交代して地域経営会議の見直しが行われた。新たに郷土づくり推進会議を設置し、その役割も大きく変更した。これまでのとの違いは①意思決定機関ではなく予算要望機関に変更、②市長が住民を委員に任命し諮問機関にしたことである。それに伴い「藤沢市地域分権及び地域経営の推進に関する条例」は廃止し、事業所管も市民センターから本庁の元の所管部署に戻した。された。これについては、市民の負担が軽減されたという声と、これまでの住民自治の後退という声が出されている。

2)郷土づくり推進会議の仕組み
委員は30名を上限として地域諸団体からの推薦と公募市民で構成される。任期は2年。公募市民派300字程度の意見を書いてもらい審査して選定。事務鏡は市民センター職員が担う。各会議には運営費等として100円程度交付されている。
郷土づくり推進会議は、毎月手入れ会議を持ち、課題毎の部会を形成。主な役割は4年を1期として地域課題を整理し地域計画をつくり、地域計画に基づき各部会で検討の上定例会で年度毎の事業予算を予算要望として整理する。予算要望は市民センタ-を経由して市の予算に反映される。予算要望でだされ予算化された額は5000万円ほど。郷土づくり推進会議の例例会に市民センターの職員が入っていることで、予算要望について定例会議で調整されて本庁の予算に挙げられるので修正はほとんどない。予算要望された中身と結果は定例会に報告される。
予算湯亡作成の流れ
①7月に本庁より概算が示され、定例会で検討を始める
②9月に各部署からの予算概要が集められ予算方針が示される
③10月末までに各地区ので予算要望を集約
④11月の全町予算集約に提出
⑤翌年度1月に予算案確定

所見
地域経営会議は地域に関わる事業についての意思決定機関と位置づけられ、地域への分権の実験としては大胆なものと言える。担う地域住民の力量が問われており日本の現状では住民の力量も議会も十分成熟しているとは言い難く、地域住民の負担感もそれなりに出
てきたことが市長後退とともに制度の後退となったと言える。しかし、後退したとは言え地域での予算要望という形で生き残ったことは評価できる。同時に、地域経営会議の挑戦は今後とも検証し制度的な堅牢性が持てるようにしていく必要がある。