国会における憲法論議の推進と慎重かつ冷静な国民的議論を求める意見書(案)に反対する討論

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自民党が起案し、公明党、みらい福岡、維新の会が共同提案者となって12月議会に国会における憲法論議の推進と慎重かつ冷静な国民的議論を求める意見書(案)が出され、この意見書(案)に反対する討論をしました。採決では賛成多数で議決されました。賛成議員に強く抗議するものです。

 

私は緑と市民ネットワークの会を代表して国会における憲法論議の推進と慎重かつ冷静な国民的議論を求める意見書(案)に反対して討論します。

意見書案では日本国憲法は国民主義、平和主義、基本的人権の三原則の下、我が国の発展に重要な役割を果たしてきたとするものの、今日に至るまで間内外の諸情勢に大きな変化が生じていることを理由に直面する諸課題に対して国家と国民の安全・安心を確保することが求められているそしています。日本国憲法の意義を認めつつ、戦後70年間に国内外の情勢が変わったことを理由に憲法改正が必要と主張していますが、国内外の情勢の変化とは何か、今改正の議論が何故必要なのか、それは中国脅威論、北朝鮮脅威論、更に国際的なテロをさしていると思われますが、そのことが憲法改正とどう繋がるのでしょうか。現行憲法において法的な運用で解決でき、何ら新たな課題があるとは考えられません。また押しつけ憲法と主張する人もいますが、これは事実誤認であることは現憲法策定過程の検証で憲法9条は幣原首相の主張による、また生存権についても日本からの主張によるなど明らかになっています。

憲法改正の必要があるとすれば、国民主権を否定、基本的人権の否定、平和主義を否定する自民党憲法改正案実現にあると考えます。この間の安倍政権の動きを見ればその全容が見えてきます。安倍政権は2013年12月6日の特定秘密保護法の強行採決、憲法遵守の責務があるにも拘わらず2014年7月1日に憲法違反の集団的自衛権行使が出来る閣議決定し、解釈改憲を行いました。さらに、2015年には国会審議がなされる前に米国会で戦争法制定を約束し、さらに国会審議前に戦争法を前提とした米ガイドライン改定行い、9月19日には多くの国民が反対する中、戦争法を強硬採決しました。今年7月の参議院選挙には憲法改正を争点にすることなく、憲法改正発議が出来る状況を作りました。そして、安倍政権は緊急事態条項を改正の目玉として主張しています。さらに、戦争法の下で駆け付け警護の任務を負って内戦状態の南スーダンへ自衛隊を派兵しました。これは憲法で禁じる交戦権を与えたものであり、戦争する国としての実態を作るものです。南スーダンの状況はPKO5原則は既に壊れており、自衛隊は撤収すべき状況にあります。何故内線状態の南スーダンに自衛隊を派兵するのか、自衛隊員の死を待ち憲法改正の世論を形成しようとしているのではないかと疑わざるを得ません。

今憲法改正の議論を進める意味は何か、これまでの経過をたどれば安倍首相がうそぶく「積極的平和主義」なる戦争できる国を容認することです。

提案者の皆さんは憲法改正の論議促進を提案する前に日本の現状をキチンと見るべきではないでしょうか。今回の沖縄のオスプレイ墜落に見られるように、日本は未だ占領状態にあり、ドイツやイタリアのように国内法で処理できよう地位協定を改定し主権を取り戻すことではないでしょうか。日米ガイドラインの中身はアメリカの軍事戦略が大きく転換し、これまでの世界の警察を辞めアメリカ軍の替わりに同盟国の軍隊を前線に派遣するとなっています。既に自衛隊が日米共同訓練やジブチの海賊監視行動で積み上げられている事実を検証すべきです。沖縄の知事選挙、衆議選挙、参議院選挙で沖縄県民の意思は辺野古新基地建設を認めないと明確に示されていることにもかかわらず辺野古基地建設を強行する安倍政権は、民主主義を否定し、地方自治を否定している現実を是正することではないでしょうか。更にこれまでの国内の諸状況を見ると、緊急事態条項を憲法に盛り込むことは、かつてナチスがワイマール体制を崩壊させた道を麻生自民党副総裁が「ナチスに学べ」と言ったように、日本が戦争する国に再び歩むことになることを意味します。

いま私たちがしなければならないことは、自民党・公明党政権が進める共謀罪の制定を止め、特定秘密保護法を廃止し、人権を守り民主主義を取り戻しことではないでしょうか。いま憲法改正に議論を進めると言うことは,提案者が日本国憲法の「国民主権」「基本的人権」「平和主義」が今後も堅持されないといけないと言っていることとは真逆の、まさに国民主権を否定し、人権を奪い、平和主義を否定するものです。このような意見書は提出すべきでないと考え反対するものです