第一委員会調査

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第1委員会他都市調査

日時 2017年7月24日(月)~26日(水)

 

■24日(月)豊島区

調査目的 豊島区新潮社移転に伴い実施したICT活用について

説明 豊島区情報管理課長外

 

ワークスタイルの改革を紹介

1、新庁舎移転に向けてファイリングシステムの統一を行い、会議資料はグループごとにデータで共有しペーパーレス化を進めていた。移転後すべての業務を行う職員(正規非正規)にパソコンを貸与。管理職にはタブレットと携帯電話を貸与。庁内どこでも業務ができ、web会議ができるようにした。Web会議はまだ少ない。

 

2,新潮社には無線LANがどこでも使えるようにした。同時に職員の通信帯は5GHz、来訪者は2.4GHzの通信帯にして、1アクセスポイントで職員と来訪者が使えるようにした。職員の通信帯に外部から侵入できないように区が貸与した機材の認識と個人の認証システムでセキュリティを確保している。

 

3、すべての業務従事者にパソコンが貸与されたことで、業務従事者の在籍管理ができる。またログ管理も行われており、万が一にも情報漏洩があれば流出機材の特定ができる。Skype(ユニファイドコミュニケーションシステム)を導入し、チャットができ、これまでのメールに比べて簡単な会話のやりとりが早くなった。同時にすべての電話をIP電話に替え、パソコンに接続して電話ができるようになして、テレビ電話会議やweb会議ができるようにした。IP電話にすることで災害時の対応および経費節減を図った。

 

4、システムはこれまでの文書管理システムを委託してきたKDDIに包括的に委託。IP電話の不具合や災害対策として、課長席にPHSを配備。IP電話の通話途中回線切断や雑音の不具合解消には1年かけて改善。

 

5、すべての管理職にタブレットと携帯電話を貸与することで、常に管理職との連絡が取れ、決済が早くできる。決済はすでに電子決済になっている。すべての職員はOutlookによってスケジュールを確認でき、資料の共有や連絡等ができる。

 

6、各課で契約していた複合機を一括契約・集約は位置することで83台を46台に削減。複合機を各エリアに通常使用とパソコンと接続の複合機をセットで配置。パソコン接続の複合機はICカードをかざさないとプリントアウトしない。出先でもパソコンがあれば使用でき、セキュリティの確保と柔軟な対応ができるようにした。

 

7、会議汁の管理も会議汁のタブレットを設置し、使用状況をOutlookの予定表で管理。効率的な会議室の利用ができるようにした。

 

8、パソコンやシステムの一次的なトラブル等のサポートは別途に24時間の支援業務を委託している。

 

9、議会においては全議員にタブレットを貸与。常任委員会等委員会では使用されているが、本会議では使用されていない。議場にはすでにモニターは設置されているが、議場での持ち込みについて議会での結論が出されていない。

 

10、費用と効果は、機材の初期投資の外にシステムの維持・管理費用があり、費用が若干増えているが業務の効率化は図られている。ペーパーレス化については、一部ペーパー使用状況はあるが白黒コピーで約600満面削減できている。カラーについては視察が増えていることもあり若干増えている。

Web会議はまだ件数が少なく、今後活用されるものと思われる。

 

11、その他、議場と屋上庭園を視察。豊島区役所は超控訴ビルの4階から9階にあり、1~3階は商業施設や医療施設、10階~40数階は分譲住宅が入っている

 

所見

全業務従事者にパソコンを貸与しIT化による情報の共有化およびペーパーレス化と書類管理の効率化を進めていること、また庁内LANによるプリンターの集約による経費削減、動先での業務の継続が可能にする、IP電話かなど経費削減を進めていることが分かった。また管理職にタブレットと携帯電話を貸与することで、幹部職員が町外にいても電子決済による迅速な決済を可能にする、また外出先での会議も可能にしている。他方、セキュリティの維持や機材およびシステムの維持・更新等にかかる費用も増大している。経費全体で見るとバランスがとれているのか、検証が必要ではないかと思われる。庁内LANのシステムはセキュリティのリスクが増大するのではないかという懸念を感じた。IT化は災害時の電源喪失時のリスク分散をどうすべきか

検討が必要ではないかと感じた。

 

■25日(火)川崎市

公契約条例について調査

 

  • 条例制定の経緯

野田市で平成21年に初めて公契約条例が制定され、川崎市においては平成21年12月議会での質問に市長が条例制定の意向を表明。平成22年4月に関係職員で川崎市公契約条例検討会議を設置し、条例案を作成。同年9月に市民へのパブリックコメントを実施、同年12月議会おいて全会一致で制定、よく平成23年4月施行した。パブリックコメントでは208通の意見書、838件の意見が出され、条例制定を指示する声が強く、業界関係者の同意を得た。現時点では、議会や業界での反対の声はなく、条例違反の事業者はない。すでに契約に関する契約条例があり、契約条例を公契約条例に改正する形で制定された。

 

  • 公契約条例とは

公契約条例とは、地方公共団体と民間企業が締結する契約に基づき、契約で働く労働者の賃金の下限を決め、その額以上の労賃を支払うことを入札・契約の条件として条例で定めたもの。公共事業の品質の確保と、社会保険の加入などの労働者の労働環境の整備を図ることを目的としている。

 

  • 法的な問題

➀憲法第27条第2項の「契約の自由」との関係については、契約の相手方に労働条件の遵守を求めるもので、公権力的な規制ではないので問題はない。

②最低賃金との関係では、平成23年3月5日の衆議院での民主党尾立衆議院議員の質問に対する政府答弁で、「条例において、最低賃金法で定める最低賃金額を上回る賃金を労働者に支払わなくてはならないとすることは、同法上問題はない」としている。

③WTO政府調達協定との関係

条例に基づく調達手続きにおいて、入札参加の機会および入札書の評価手続きにおいて「内国民待遇」および「無差別待遇」が与えられるのであれば違反が生じることは考えられない。

 

以上法的には問題がないことが明らかとなっている。

 

  • 契約の範囲

➀特定工事請負契約

予定価格(税込み)6億円以上の工事請負契約

工事件数の約1%、金額で3~4割程度

 

②特定業務委託契約

予定価格(税込み)1千万円以上の業務委託契約のうち、契約機即答で定める警備(機会警備を除く)、建物清掃、屋外清掃、施設維持管理、データ入力、給食調理業務(H28.4~)の6業種、または指定管理者と締結する公の施設の管理に関する協定

契約件数の10%程度、契約金額の約75%

 

➂指定支出法人(市25%以上出資、22法人)およびPFI事業(7事業)については努力義務

 

  • 条例で定める労働者の範囲

➀特定工事請負契約

契約に係る作業に従事する者、および自ら提供する労務の対象を得るために請負契約により作業に従事する者(いわゆる一人親方)。

 

➁特定業務委託契約

契約に係る作業に従事する者。下請けや再委託先の労働者も含まれる。

 

  • 作業報酬下限額の定め方。

作業報酬下限額の決定は市長が作業報酬審議会の意見を聞いて決める。作業報酬審議会は労働者代表(労働組合など)から2名、事業者代表(商工会など)から2名、学識経験者(弁護士など)1名の5名の構成で、それぞれの立場で調整する。

特定工事請負契約については国の公共工事設計労務単価を基準とし、特定業務委託契約は神奈川県の最低賃金を基に上乗せしている。特定業務委託契約については平成27年までは生活保護費の時間単価換算額が最低賃金を上回っていたため、生活保護費の時間単価換算額を基準にしていた。

 

  • 条例遵守の確保

➀受注者の義務

市は作業報酬の基準額以上の支払いの義務を履行させる。そのために、市は受注事業者にすべての作業者を記載した作業報酬台帳を作成させ、市に毎月報告させる。また、市は受注者に対して労働者に労賃を周知する義務を課している。市は作業報酬台帳で確認。労働者からの申し入れがあれば、資料請求し、立ち入り調査、是正勧告することができる。是正勧告に従わないときは契約加除、指名停止措置を講じることができる。現在まで違反事業者はない。

 

➁労働者野権利

労働者は受注者または市に未払いの賃金に関して申し出ができる。申し出による不利益な取り扱いは禁止されている

 

  • 波及効果について

経済波及効果については調査していない。特定時業務委託契約の場合、たとえば給食調理業務を受託している事業者が他の自治体の調理業務を受託していることがあり、その場合は川崎市の賃金を適用している事例もあることなどから、同業種の賃金への効果は出ている面もある。

 

  • 課題として

➀労働者への周知が必ずしも照っていていないのではないかと思われる。周知のためのポスター、チラシ、チラシにQRコードをつけるなどをしている。労働者が自分の職種はどれに該当するのかが分からない人もいると思われる。

 

②対象事業を増やしてほしいという議会から要望があるが、業務量の問題で応じ切れていない。現在26人体制で作業報酬台帳をチェックしており、財政上これ以上の体制をとることは厳しい。

 

10、校契約条例制定による財政上の負担増について

労務単価を条例の下限額で積算しては予算を組んでいる。落札額を90%と見込んでいるので砂金は多少減るが予算を超えることはあり得ないので問題はない。現在、議会からも事業者からも問題は出されていない。

 

■26日 札幌市白石区役所

博多区役所建て替えに伴い効率的な区役所整備について調査

 

  • 立て替えの経緯

白石区役所は政令市となった昭和47年(1972年)に区民センターと併設して建てられた。築40年を迎えた頃の平成11年に議会で区役所を現在地の交通利便性が高いとこに移転することが出された。平成13年には白石区長内科医連合会連絡協議から区役所庁舎新築用地取得の予防が出され、平成15年に将来の区役所を含めた故郷施設用地として現在地を先行取得した。当時は駐車場として使われており、まとまった土地として所得できた。平成22年代1回議会で早期移転を求める質問が出され、同年9月に移転整備の方針が票召された。

整備に当たり平成23年1月に来庁者へのアンケートを実施。平成23年1月~3月に公募市民、区内在住学生、地域活の参加する若者、住民組織、地域団体棟の24名で区民ワークショップを4回開催。平成23年10月区民ワークショップ参加者を中心に白石区複合調査整備に関する検討委員会を5回開催。平成24年4月に、整備の条件についてパブリックコメントを行い、白石区複合調査整備移転計画を確定、平成28年11月7日供用を開始した。

 

2、庁舎の概要

敷地面積 4,251.31㎡

敷地面積の内区役所専有面積 2,624.34㎡

残りは商業施設と民間駐車場(250台、区役所利用者と民間施設利用者の共用)

区役所利用者の駐車料金は無料

構  造 SPC構造 一部RC構造

地上7階(7階は倉庫)、地下2階

地震発生時に人命の安全確保ができること、機材の損傷がすく機能を維持できること、構造体補修が不要であることから免震構造を採用

主要施設 白石区役所、保健センター、区民センター、区保育・子育て支援センター、区図書館、絵本図書館(小どの絵本専用)、駐輪場(700台、地下鉄利用者と共用)、地下2階の商業施設との間の空間に街づくりイベント広場

 

配置図
絵本図書館入り口
絵本図書館
区民センターでの原爆展
一階のカフェ
地下2階のイベント広場
地下1階の駐輪場

 

3、事業手法

事業手法については、市民の声を反映し肉こと、民間が提供すべきサービスがあまりないこと、事業期間が長くなること、などから市の直営方式にした。

財源は、社会資本整備交付金1.5億円、市債47.7億円、一般財源15億円、サポートほっと基金(使用目的を指定する市民による寄付金)5千万円、計64.7億円(用地取得費、設計費、移転費は含まない)

余地の半分は民間に32年の定期借地で貸し付け、賑わいづくりに商業施設と駐輪場を建設している。市は来庁者用に駐車場を借り受けている。借地料は年間1,100万円。

 

5、白石区役所複合施設整備計画

➀区民に開かれた、利用しやすい施設

②環境に配慮した施設整備

③長期間の活用を見据えた施設整備

④防災の拠点となる施設整備

6,調査の所見

市民の声が反映され駅に直結しており利便性が高いし、絵本図書館なども設置されている。他方、区役所の施設を株にし、丈夫に区民センターや保健センターを設置しているため、区民センターでの催しがあるときや乳児検診などがあるときはエレベーターが4台あるが混雑するようである。駐車場についても、以前は平地で使いやすかったが新施設では駐車スペースが狭くなっており、利用しにくいという声があるようである。博多区役所建て替えにおいては、市民の声を生かすプロセスを検討すべきである。複合施設となると思われるが、隣が公園であることを生かした市民に使いやすい施設を検討していただきたい。