9月議会報告

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■議案について

9月定例議会の主な議案は、住民票に希望する市民の旧姓を表記するマイナンバーシステムの改修費、西鉄大牟田線連続立体交差事業、都市高速道路から人工島への接続道路建設、河川改修などの公共工事の国の補助額増にともなう一般会計の増額補正、立地交付金交付事業所の増による一般会計の増額補正および関連して港湾整備事業特別会計の増額補正、百道公民館および老人憩いの家と百道小学校体育館兼講堂との合築改修工事費の一般会計増額補正および工事契約、セーフティネット法改正による住宅要配慮者用賃貸住宅登録料を定める建築関係手数料条例の一部改正などでした。

1、住民基本台帳費のシステム改修について

この議案は住民票に希望する市民の旧姓を表記するためのシステム改修費です。女性の活躍を支援すると言うことで、住民票に旧姓を併記することで、諸証明等の手続きを簡素化するということです。どのように希望を募るのか、周知ができるのか、またその後継続的に処理を続け津ことになり、二重・三重の手間と経費がかかると考えられます。これまでも夫婦別姓選択制度に法改正を求める声がありました。今回の措置を考えた場合、法制度を整備することが本質的な解決であり、このような小手先の対策は税金の無駄遣いとしか言いようがありません。市長は国に夫婦別姓が選択できる法改正を求めるべきです。

 

2、人工島接続道路に関する補正予算案について

この人工島接続道路は都市高速道路から直接こども病院そばに乗り入れ道路を建設するものです。この道路建設による効果はわずか数分程度の時間短縮しかないとされるもので、そのわずか数分程度の時間端種のために292億円もの費用を投じる必要はないと、これまでも建設反対を主張してきました。国の借金は2016年度末で1073兆円になっており、借金は今も増え続けています。福岡市の示唆北興残高も2016年度2兆3,436億円であり、国も地方も厳しい財政にあります。他方、超高齢社会、人口減少社会を迎え経済成長が望めない状況の中で、年金の削減、胃腸費・介護費の負担増など、国民負担は一段となっています。

このような状況で、わずか数分程度の時間端種のために292億円もの税金を使うことが許されとは考えられません。超高齢社会に突入し高齢者やその家族の支援が必要であり、また待機児童対策など子育て世代への支援、非正規雇用が広がり低所得で家族も持てない若者が増えており若者世代の支援、増えている障害者支援など、市民生活の支援を優先すべきです。今回の補正予算案は安倍政権の支持率維持のためのばらまきの一環であり、このような無節操な事業のあり方に反対するものです。

 

3、立地交付金に関する補正案について

立地交付金交付274億円の内84%の229億円が人工島の土地処分に使われていること、人工島事業では物流施設など大規模事業所が多く件数は少ないが所有の形態が多い、他方、知的産業やグロールビジネスなどは規模が小さく賃借型が多いことに加え、件数も多いことが見えます。立地交付金事業による雇用を見ると、平成28年までの効用は9,208人ですが、非正規雇用は5,759人で全体の62,5%を占めており、へいせい28年度制度変更後では市内居住者の雇用は487人、市外居住者108人と、市内居住者の雇用が優先されていますが、市内居住者の非正規雇用は254人と半数を占めています。

以上のことから、非正規雇用が多いこと、雇用先も小規模事業者が多いこと、交付事業所214社の内45社2割強が既に撤退していること、平成28年度までの累計で20億円しかなく、市税収増がそれほどでもないことから経済効果が果たしてどの程度あるのか疑問です。また、人工島の土地処分に立地交付金の84%も使われており、人工島の土地造成単価を大きく割り込む価格で土地処分が行われている実態と併せて考えると、経費対効果はきわめて低いといえます。立地交付金は一般会計から全額支出されており市民生活への影響はきわめて大きいといえます。超高齢社会に突入し高齢者やその家族の支援が求められ、安心して生み育てられるよう子育て支援も喫緊の課題となっているような中で、一般会計から多額の立地交付金を支出することは問題と考えます。

 

4、福岡市建築関係手数料条例の一部を改正する条例案について

この条例案の一部改正する理由は「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」いわゆる「住宅セーフティネット法」の一部改正に伴うものとなっています。今回の条例改正は10月25日施行に伴い、住宅確保要配慮者に対して賃貸住宅の提供に同意し登録申請する個人および事業者の登録等の事務を行うための手数料を定めるものです。登録すると住宅の改修費の補助や家賃補助等を国および市から受けることができます。

今回上程されている条例改正案は登録受け付けについてのみであり、答弁においても市としてのセーフティネット制度の新たな取り組みに関して、市としての取り組みの全体像が明確にできているようには思えません。住宅は福祉の原点です。地域包括ケアシステム構築が求められている今日、高齢者、障がい者、低所得者、子育て世代、外国人など住宅確保要配慮者への居住支援協議会による入居支援にとどまらず、地域の様々な団体との連携が必要です。また、世帯収入が300万円以下の世帯が平成25年度46.5%、400万円以下では62.3%と低所得世帯が増えている現状をみると、低所得世帯への住宅費の負担軽減策も重要です。住宅セーフティネット法施行もまもなくですが、地域包括ケアシステムと連携させること、早急に支援メニューを充実させること、また市民および賃貸住宅所有者に住宅セーフティネット法および市の施策を周知することを求めました。。

また、先ほど述べたとおり、野村総研の予測では、今後世帯数の減少も相まって2023年には全国で空きは1400万戸になると推計しています。福岡市も例外なく空き家が増えると考えられます。福岡市は集合住宅が約4分の3となっており、住宅の建て替えや除却がうまく進まなければスポンジ状のスラム街を生じる恐れがあります。住宅セーフティネット法の活用による空き家活用とともに、成長管理政策を執るなど将来の対策を求めました。

 

■一般質問

1、市営住宅の管理のあり方について

中田村団地自治会のエリアの住民は、不法バイク持ち込むグループにより、夜間に騒がれ、注意すると脅しや嫌がらせを受け、無法地帯ともいえるような環境で、10年間もの長年にわたり苦痛を味わってきました。不法に持ち込みはさせない、不法に持ち込まれたものは速やかに保管場所に撤去する、他の住居者への威嚇や迷惑行為は厳しく対応するなど徹底した取り組をも求めてきました。住民は自治会として、住宅供給公社に情報を提供し対策を求めてきたにもかかわらず解決できず、逆に住民の管理責任を問うかのような発言もあったやにも聞いています。このような経過の中で、住民は住宅供給公社に強い不信感を持ってしまいました今回中田村自治会の方の相談を受け、市に解決を図ることを求めるとともに、一般質問をすることで、事態の重大性を市に認識してもらうことにしました。

田村団地の問題が10年間解決できなかった大きな要因は、住宅供給公社および住宅管理課と他部局、警察等の連携の不十分さにあったと考えます。地方自治地の本旨は「住民の福祉の増進を図る」ことです。市民が安心・安全に暮らせる環境をつくることは市の責務です。とりわけ市営住宅は市が管理する施設です。一義的に指定管理者の住宅供給後者に管理責任があるにしても、市は住民の声を真摯に受けとめ、関係機関と連携を執ってこのような事態が今後起こらないように対策を講じることを強く求めました。

2、夜間中学校の設置について

夜間中学校は敗戦後の混乱期に、生活難などから昼間に就労などせざるを得ない児童が増え、昼間に就学できない児童を対象に夜間中学が教師の自主的な取り組みから始まりました。夜間中学が設置されましたが、その後も不就学児童は多数存在し、平成22年の国勢政調査では15歳以上の未就学者は12万8千人いるとされています。このような事情から、夜間中学校は就学適齢期を過ぎた方も受け入れられてきた。日本経済が復興する中で1955年87校まで増えましたが、その後減少し1968年には21校までなりしたが、1969年から各地で夜間中学の設置運動が現在全国で31校となっています。

2014年に文科省では夜間中学の実態調査を行っており、公立の夜間中学以外にも自主夜間学や識字教室は321カ所約7400人いるとされています。調査結果では夜間中学校は一定のニーズがあり、自主的な夜間中学校や識字学級には不登校等により義務教育を十分受け入れられなかった義務教育者もいるとしています。他方、2015年の調査で不登校児童は12万6千人いるとされ、90日以上不登校の児童は約6割を占め、年々増え続けているとしています。

憲法26条の教育を受ける権利や子どもの権利条約等を踏まえ、昨年12月に「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」(教育機会確保法)が制定され、法を実施するために指針を策定することが定められています。文部科学省は今年3月に指針を作っています。文部科学省は「教育機会確保法」基づく指針では、夜間中学を各都道府県に少なくとも1校は作ることを求めています。そのために夜間中学等にかかる教職員給与の3分の1を国庫負担すると言っています。このように文部科学省は夜間中学の設置を強く求めています。また、指針では本国で義務教育を終了していない外国人も対象としています。アジアのゲートウェイと標榜する福岡市における夜間中学取り組みは必要です。

先日、私は京都市に夜間中学校の調査に行きました。京都市の洛友中学校では夜間中学と不登校生と専用中学校が併設され、一部の授業が一緒に行われています。不登校生と夜間中学校の異年齢の交流がお互いに刺激し合っているとのことです。洛友中学のような不登校生徒専用の中学校と夜間中学を併設することがこどもの成長に役立つと考えます

2010年の国勢調査では未就学者が全国で12万8千人、福岡市で1847名、福岡都市圏では2570人います。2014年の文部科学省の調査では、夜間中学校31校、在校生1849名中外国籍81%、日本国籍19%、また、自主夜間中学校や識字講座などに通っている約7400人の内、義務教育未終了者が5%、不登校等により十分な義務強を受けす卒業した義務教育修了者が4%います。夜間中学卒業後の進路も高校39.8%、専門学校0.6%、就職34.6%となっています。この数字を見ても、潜在的なニーズはあると考えられます。特に、福岡都市圏で連携することが必要ではないでしょうか。洛友中学校のような不登校生と専用の中学校と併設した夜間中学校設置を求めました。