2018年度予算案について


都市の成長は市民生活の向上につながっているのか

人への投資が市民生活の質の向上と持続可能な社会をつくる

安倍政権が2012年に発足し、5年を経過しましたが、果たして国民の生活は良くなったか、それは否の答えしかありません。新自由主義政策を進め、企業の国際競争力をつけるとして労働の流動化を図るために派遣労働法の改悪などにより不安定雇用を増やしてきました。その結果貧困と格差は拡大し、また大学や研究機関などの独立行政法人化を進めてきたことで度重なる研究のねつ造事件や企業での改ざん事件など、社会の病巣が広がっています。世界最大の投資グループは企業が社会的責任を果たさなければ持続可能な社会は維持できないとし、投資先の選定に企業の環境問題や貧困問題の取り組みなど社会貢献を挙げています。世界的に先進国での潜在的成長力が低下しているといわれ、その背景に貧困と格差の拡大が指摘されています。人口減少社会・超高齢社会に突入した日本では経済成長は望めず、いかに持続可能な社会を実現するかが求められています。経済の時代から共生と連帯の社会への転換期といえます。

地方自治体は「住民の福祉の増進を図る」ことがますます求められています。教育、子育てや障害者支援などの福祉、介護の現場は働き手が少なくなっており、危機的な状況になっています。正規労働者に転換を図り、給与や労働時間などの処遇を改善するために投資をすることが、市民の生活の質の向上につながり、若者に希望と継続的雇用を生み出します。優先的に人に投資することで、市民生活の質の向上と持続可能な地域で循環する経済をつくることが出来ます。また、様々な地域再生に取り組む活動、里親や子どもの虐待・貧困問題などの子どもを支援する団体、引きこもりなどの若者を支援する団体、障害者を支援する団体、生活困窮者を支援する団体など社会活動に取り組む非営利団体に公的支援を強化することで、地域社会を活性化することが重要です。高島市政が進める「都市の成長」が「市民の生活の質の向上」をもたらすという政策は間違っており、「市民生活の質の向上」が「持続可能な社会」をつくるとすべきです。行財政改革で生み出した資金は「都市の成長」に優先的に投資され、市民に様々な負担を求めてきたことは時代の要請に逆行するもので、政策転換すべきです。

無秩序な開発が教育現場に混乱をもたらしている

昨年は森友学園問題と加計学園問題が大きな問題となり、今日も真相解明が求められています。国家戦略特区を主導している人たちは新自由主義を信奉する学者および経済界人です。そして、その決定は官邸のトップダウンで行われ、安倍首相の「お友達」に巨額の税金が振る舞われていたことが問題となっています。この福岡市においても髙島市長はいち早く国家戦略特」に手を挙げ、「雇用創出特区=解雇特区」をはじめ、「天神ビッグバン」や「ウォーターフロント開発」と称して規制緩和による天神地区再開発や中央埠頭地区再開発を進めています。厳しい財政状況が見込まれる中で、破綻した人工島の土地処分、開発や企業誘致に優先的に投資すべきでなく、市民生活の質の向上に資する投資、都市インフラの維持管理を優先すべきです。今福岡市では開発による急激な児童増による教室不足や運動場の狭隘化、留守家庭子供会の教室不足など、こどもの教育環境に大きな問題が生じています。行政需要に応じた人口増を図る都市の成長管理政策が必要です。アセットマネジメントおいて将来の人口予測や需要予測を行い、既存施設活用し総量規制することが重要です。人口動態に基づく既存施設活用の将来計画と総量規制すべきです。

地域で循環する経済をつくり持続可能な福岡市に

国は労働力の流動化を図るとして、派遣労働法を改悪し、金銭解雇ができる仕組みを目指し、さらに働き方改革と称して裁量労働制、高度プロフェッショナル制度など残業代ゼロ法案導入を図り、さらに低賃金構造を補うために副業を勧めています。福岡市の解雇特区はその先鞭で起業支援と称して解雇指南を行い、非正規雇用に補助制度を適用してきましたが、この結果福岡市の不安定雇用が進んだと考えます。また、先日の報道でも安倍政権の5年間の実質賃金はマイナスであったことが明らかとなっています。他方、企業の内部留保は400兆円を超えたことも報道されています。市長は特区の指定を受け「都市の成長」に優先的に投資し、企業誘致を進めてきましたが、福岡市の雇用情勢は改善しているのか、市民の所得は向上したのか、市民の生活の質は向上したのか疑問です。

経済は供給ではなく需要に大きく制約を受けます。世界経済の影響を抑えるために地域内で循環する経済を構築する必要があります。地域で循環する持続可能な経済にするためには、地場産業の育成と市民所得の向上が必要です。そのためには特に中小企業が多い福岡市においては中小企業対策が重要と考えます。人工島の土地処分、大企業優先の天神再開発や中央埠頭再開発への投資よりも、中小零細企業対策を優先すべきと考えます。同時に、個人商店や商店街活性化の支援強化を行うことで地域のコミュニティ再生・強化を図る、地場中小零細企業に仕事を確保するために住宅リフォーム制度や小規模修繕事業者登録制度を実施すべきと考えます。

福岡市は行財政改革において人件費の削減として非正規職員を増やし、PFI 指定管理者、窓口業務委託など業務のアウトソーシングを進めていますが、これは福岡市自ら低賃金構造を生み出しており問題です。国はトップランナー方式として交付税交付基準にすることで業務のアウトソーシングを強要していますが、自治体として国にトップランナー方式をやめるよう求めるべきと考えます。また、公契約による事業の就労者の最低賃金を定める公契約条例の制定による市民所得の底上げを図るべきと考えます。

軍事費は国民の福祉に宛てるよう政府に申し入れるべき

2017年12月末の国の借金は1085兆円と国の借金は年々増え続けています。このような状況で国は2018年度予算では防衛費を5兆2千億円と過去最大に増やしています。他方、国は年金の削減、介護保険・医療費の負担増を推し進め、消費税増税をしようとしています。第2次安倍内閣成立以降、特定秘密保護法強行採決、戦争法強行採決などと、軍国主義、復古主義への妄想のもとに憲法改悪への道をひたすら走ってきました。そして、北朝鮮危機をあおり、軍備強化を図っています。国民負担の上に防衛費を増加させ、国際的な緊張を高めることは問題です。市長は国に国際的な軍縮をすすめ国際的緊張緩和を進めることで防衛費の縮減を求め、地方自治体の財源確保を求めるべきと考えます。

2018年度予算の概要

福岡市の財政の問題

➀市債発行残高は減っているが、債務負担行為(後年度支払わなければならないもの。事実上の借金)が増え続けている。

➁扶助費の抑制のために、市民負担を求める。国民健康保険や介護保険に一般会計からの繰り入れを抑制し、市民負担の軽減をしない。

➂開発優先に投資を行い、人への投資は抑制している。具体的には事業の外注化や専門職の嘱託職員を増やしている。

④子育て支援や子どもの貧困対策などは国の補助制度がないものは原則実施しない。

 

(I)一般財源(一般会計の内、政策的に自由に使える財源)の状況 (ポイント)

〈総額〉4,540 億円(+46 億円)

〈市 税〉3,191億円(+357億円)

・個人市民税は県費負担教職員に係る権限移譲に伴う税率変更〉影響(+260億円)及び

納税義務者数の増等により,+292億円(+32.3%)

法人市民税は企業収益の改善等により,+29億円(+7.9%)

・固定資産税は土地評価額の上昇及び新増築家屋の影響等により,+26億円(+2.3%)

〈県民税所得割臨時交付金等〉39億円(▲250億円)

・個人市民税〉税率変更に伴う県民税所得割臨時交付金の大幅減等により,▲250億円(▲86.4%)

〈地方消費税交付金〉296億円(+13億円)

・地方消費税交付金は地方消費税収入額の増等により,+13億円(+4.8%)

→平成26年度の消費税率引き上げによる増収分〈114億円〉は社会保障関係費〈2,664億円〉に充当

〈地方交付税等〉730億円(▲80億円)

・市税収入の増加等に伴い,地方交付税等は減少

・(地方交付税ム45億円,臨時財政対策債▲35億円)

〈その他〉

・財政調整基金〉取り崩し額は5年連続で縮減(▲1億円)

 

(2)性質別歳出〉状況 (主な増減)

〈義務的経費〉 47553億円 (+77億円)

・人件費は,退職手当の増 (+2億円)などにより,+2億円

扶助費は,教育・保育給付費 (+36億円),障がい児・者施設給付費等 (+24億円),

権限移譲に伴う難病対策の増 (+19億円)などにより,+80億円

公債費は,元金の増 (+I5億円)、利子の減 (▲19億円)により,▲4億円

〈その他〉

・物件費は,システム刷新 (+16億円) 、選挙費〉増 (+6億円)などにより,+36億円

・補助費等は,高速鉄道補助金 (▲12億円),企業立地交付金 (▲7億円)などにより,▲l8億円

普通建設事業費は,学校大規模改造や校舎増築等(+49億円),臨海(清掃)工場整備 (+15億円),

市営住宅整備等 (+12億円) ,街路整備事業 (+13億円)などにより,+92億円

・維持補修費は,学校等維持補修(+6億円),市営住宅維持補修 (+3億円)などにより, +9億円

貸付金は,商工金融資金預託金 (▲61億円),高速鉄道貸付金 (▲45億円),

農林水産業金融資金貸付金 (▲11億円)などにより,▲116億円・

 

(3) 目的別歳出の状況 (主な増減)

〈総務費〉

システム刷新 (+16億円),総合体育館整備運営事業 (+9億円),公民館改築 (+8億円)

選挙費 (+7億円),世界水泳選手権福岡大会開催準備 (+5億円)

〈こども育成費〉

就学前児童の教育・保育給付費 (+36億円),障がい児施設給付費等 (+l1億円)

公立保育所整備(+5億円),保育所等整備費助成(+4億円),科学館整備運営事業 (+4億円)

〈保健福祉費〉

難病対策 (+19億円),障がい者施設介護給付費等 (+13億円),生活保護費 (▲8億円)

〈経済観光文化費〉

・商工金融資金預託金 (▲61億円)、企業立地交付金 (▲7億円)

〈都市計画費〉

高速鉄道貸付金 (▲45億円),高速鉄道補助金 (▲12億円),街路新設改良費 (+15億円)

〈港湾空港費〉

港湾改修費 (+10億円),空港対策費 (+9億円)

〈消 防 費〉

消防指令管制情報システム共同運用整備 (▲33億円),消防ヘリコプター更新整備 (▲20億円)

〈教 育 費〉

学校大規模改造 (+29億円),校舎増築 (+12億円),校舎及び附帯設備等整備 (+7億円)