第4委員会視察報告

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第4委員会視察報告
日時 8月25日(月)~27日(水)
25日(月) 横浜市:街づくり協議制度について
26日(火) 旭川市:旭山動物園
27日(水) 札幌市:モエレ沼公園

1、 横浜市:街づくり協議会制度
この制度は都心部の街並み誘導や市街地再開発事業の推進を図るために、横浜市が都市政策上重要と考える地域を指定し、建築確認前に事業者と協議する制度である。平成7年に行政手続法施行に伴い、権利者に制限を加えるときにはその根拠を明確にしないといけなくなり、これまでの行政指導を「横浜市街づくり要綱」として制定した。街づくりの考え方として、建造物の用途指定として低層は商業施設や業務施設を指導、建築物の共同化都市景観整備として歴史的建造物の保全、歩行者空間の確保(セットバック)、広告の規制や色調の統一などを指導している。現時点では指導に伴う助成措置は特別にはない。
街づくりの指針は地区ごとに異なり、地元に街づくりの団体があるときには団体と協議の上指針を策定する。商店街などでは協定を結んでいるところもあるが、都市計画法に基づく地区協定ではない。
手続きは、建築確認申請前のできるだけ早い時期に担当課と協議をしていただき、協議書を提出してもらう。担当課で内容を確認の上協議書の写しを事業者に返却、事業者は協議所の写しを建築確認申請書に添付して提出する。指定地区は現在都心部(館内、みなと未来21、新横浜)、副都心部など40箇所。
問題は、あくまでも行政指導であるため、強制力がないこと、また平成11年から建築確認が民間でもできるようになったため協議ができなったこともあり、民間機関への徹底が課題となっている。これまで指導に従わなかった例や報告がなされなかった例がある。今後法的拘束力をもう少し持つ地区計画指定を検討しているという。
具体的事例として、馬車道通り地区の視察を行った。ここでは商店街が協定を作っている。旧証券銀行や富士銀行本店などの歴史的建造物の保全、歩行者空間確保のためのセットバック、外壁を歩道の赤レンガ色にあわせた色調、広告のデザイン、ガス灯(ガスを使用)の設置など開港当時の街の雰囲気をかもし出す街づくりを目指している。
福岡市の都市計画が点であることに対し、横浜市は面で考えている。今後街づくりの進め方として、景観を重視したことが重要となる。その手法として参考になったが、あくまでも行政指導であること、民間業者による建築確認ができるようになっていることを考えると、法的な強制力を持ったものにしなければ景観の維持や良好な街づくりは難しいのではないかと考える。また、法的な措置と同時に誘導策としての工夫も必要ではないか。100年先を見据えた歴史的価値を生み出す街づくりが必要である。

馬車通りのビル。建て替え時に旧建造物の外壁を保存してビルを建てている。
馬車通りのビル。建て替え時に旧建造物の外壁を保存してビルを建てている。

2、旭川市:旭山動物園
旭山動物園は大雪山系の端の旭山の傾斜地にある。約15ヘクタール(福岡市動物園約10ヘクタール)動物152種763個体を飼育している。日本最北の動物園という特徴を生かし、北方系動物3分の1、南方系3分の1、地元の動物3分の1を飼育している。開園期間は夏季は4月末から10月第3日曜まで、4年前からは冬季も開園、11月から3月末まで。冬季の開園時間は午前11時から午後2時の3時間となっている。
以前ゴリラがエキノコックスで死亡したことから入場者が35万人から26万にまで減った。キタキツネが動物園に入らないよう対策をしたがしばらく入場者は増えなかった。展示のしかたをこれまでの標本展示から行動展示(動物の生態にあわせた展示)にしたことから入場者が増えた。動物がストレスを感じないような飼育環境を作っている。昨年は67万人(福岡市は昨年は71万人)の入場者、今年度はさらに15万人ほど上回る予想をしている。特に最近は有料入場者や高齢者の入場者が増えている。
展示場は斜面を生かしたつくりとなっており、動物の目線で見ることができるように工夫されている。特に圧巻なのはオランウータンが16mの高さの梁を渡るようにしている。白熊館は白熊が水中で遊ぶ様子が見られるようにガラス張りの展示室があり、また展示場の中に透明のドームから白熊が見られるようにしている。猛獣館や鳥の展示場は動物の安全距離(危険を感じたときにはすぐに逃げられる距離)が保たれるように、展示場の構造を考えているので、動物は人のすぐ近くで休んでいる。ペンギン館ではプールのしたからペンギンが水中を泳ぐ様子が見れるようにアクリル製の透明なトンネルが作られている。そのほか動物園内はさまざまな工夫がなされており、子供たちがサマースクールで作ったガイドパネルを展示したりしている。
子どもたちに命の大切さを感じてもらうために子ども牧場があり、家畜動物に触れ合えるようにしている。また、小中学校に移動動物園を開催している。また、動物の生息環境を想像でき、生物の多様性、環境の多様性、そして地球環境に思いがはせれるように案内や展示を工夫している。
高齢者などに場内には8人乗り電気自動車「シルバーシャトル」が無料で運行されている。電動車椅子なども無料貸し出しされている。高齢者の入場者も多く見受けた。さまざまな工夫がなされており、大人でも1日いても飽きない動物園であった。旭川市は人口36万人の都市であるにもかかわらず、67万人もの入場者があり、地域への経済波及効果は2.6倍といわれている。市民に支持されていることが多くの入場者を招いている。
福岡市の動植物園でも、生態を生かした行動展示は参考になる。また、福岡市の急斜面の地形にあったエレベーターの設置や斜面を生かした展示場など利用者に支持されるつくりが必要と感じた。今回の視察が福岡市の動物園のあり方として今後どのように生かされるのか、第4委員会で質したい。

旭山動物園。オランウータンが高さ16mの梁をわたっている場面。
旭山動物園。オランウータンが高さ16mの梁をわたっている場面。
旭山動物園、シロクマ館。ガラス張りの観察室。 ガラスは薄いガラスが幾重にも貼られたもので、500kgの物体が 時速40kmで衝突しても割れないという。
旭山動物園、シロクマ館。ガラス張りの観察室。
ガラスは薄いガラスが幾重にも貼られたもので、500kgの物体が
時速40kmで衝突しても割れないという。
ラクダの案内板。案内板の扉を開けるように工夫されており、 ラクダの体の様子がわかるようになっている。
ラクダの案内板。案内板の扉を開けるように工夫されており、
ラクダの体の様子がわかるようになっている。
ペンギン館。ガラスの観察窓からペンギンの様子が見られる。 右下に水中のトンネルが見える。
ペンギン館。ガラスの観察窓からペンギンの様子が見られる。
右下に水中のトンネルが見える。

3、札幌市:モエレ沼公園
モエレ沼公園は豊平川の三日月湖のそばに造られた公園である。彫刻家であるイサム・ノグチノ設計によるもので、公園全体が彫刻となっている。面積189ヘクタール、駐車場2000台、総事業費247億円。国からの補助は建物が2分の1(ただしイサム・ノグチノ作品展示場は除く)、土地代が3分の1となっている。設計費は3000万円、実施設計費3000万円、イサム・ノグチがこのような公園を造りたいという希望があったことと、イサム・ノグチ財団の監督を受けることを条件にしているために設計費は安くなっている。現在、最後の施設であるモエレ山の建設が行われており、2年後に完成予定である。
この公園は廃棄物処理場の跡地利用しており、埋め立てや山の造成はすべて公共残土を利用している。そのため、ガス抜きの管が30本設置されている。またガラスのピラミッド館は冬季に雪をため(約3000万立方メートル、約1500トン)、融けた水を用いて夏の冷房に使用している。ピラミッド館では市民の「モエレ沼公園の活用を考える会」(モエレ・ファンクラブ)がイサム・ノグチ展をしていた。イサムノグチ展は有料であるが、公園の入園料は無料。公園には貸し自転車もあった。管理費は年間約2億円、館長などは市の職員であるが、プロパーやパートの人件費は公園の管理費から支出されている。 公園内にはガラスのピラミッド館を始め、イサム・ノグチ作のブラックスライドマントラー(アフリカ花崗岩を使った滑り台)やミュージックシェル(プレイマウンドとセットとなった野外ステージ)、テトラマウンドなど彫刻があり公園全体が遊びながら彫刻や芸術に触れることができる仕掛けになっており、新しい感覚の公園である。冬季には斜面を使ってスキーもできることになっている。福岡市の海の中道海浜公園ににたような施設であるが、自然と芸術とが渾然一体となった不思議な空間で、違った楽しさを与える施設であった。

モエレ沼の向こうに見えるピラミッド館。
モエレ沼の向こうに見えるピラミッド館。
ピラミッド館の屋上から見た風景。 右手はプレイマウンテン、 正面にテトラマウンドとミュージックシェルが見える。
ピラミッド館の屋上から見た風景。
右手はプレイマウンテン、
正面にテトラマウンドとミュージックシェルが見える。

4、おわりに
今回の視察は都市整備局所管の街づくりや動物園、公園に関する調査であった。議員個人としては調査そのものには学ぶべきものはあったが、今後の市の政策の中で委員会としてこれがどう生かされるのか課題である。議員としてこのようなことを言わなければならない状況は想像に難くないと思われる。特に、調査日程は、計画時の6月にあった便が実施期に変更になっていたため、日程の変更を余儀なくされたという事情は理解しても、駆け足の調査には疑問が残るところである。委員長に一言意見を述べることにした。”