12月議会報告

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12月定例議会
12月9日
議案質疑
 今回の主な議案は人事委員会の勧告による職員給与の引き下げとこれにともなう一般会計および特別会計の補正予算、自転車駐車場条例の一部改正である。私は、給与改定にともない、職員給与の不用額8億円の内4億円を財政調整基金に積み立てる補正予算と駐輪場条例に関しての質疑をした。

1,財政調整金積み立てについて
 福岡市の財政調整に使える3基金の合計は平成4年度の942億円をピークに減り続け、平成14年度は229億円と4分の1以下になっている。バブル経済がはじけ税収が減り続け、基金の取り崩しをした結果である。厳しい財経済状況は今後も続くと見られ、税収が伸びる見込みはない上に、国の三位一体の改革により交付金・補助金の削減が進められようとしている。福岡市の財政はいっそう厳しくなることは明らかであり、財政健全化をどのように進めるか、また財政の柔軟性を確保するために財政調整基金の確保について質問をした。
 今回の積み立てで財政調整基金は60億円となったが、十分とは考えられない。財政調整基金は余裕があるときに蓄え、必要なときに活用するもので、適正な規模の指針はないが市民サービスに影響がない範囲で積み立てると答えた。今後も税収が伸びない厳しい状況が続くと考えられる中で、計画的な財政調整基金の確保は必要である。
 財政健全化プランでは収入に見合った投資水準にする、特別会計・企業会計の一般会計への依存度を低下させる、外郭団体を見直し過度な市への依存をなくすとしている。そのためには事業評価の仕組みが必要であるが、この点については今後検討していくという回答で終わった。今後の財政健全化に向けては、過度に市債に頼らない、歳入に見合った市政にする、市民に必要な事業に重点的に振り向けると答えているが、人工島などの見直しの考えはない。

2,条例改正:指定管理者制度による駐輪場管理委託について
 自転車駐車場条例の一部改正は、今年9月に改正された地方自治法が施行されることにともない、指定管理者制度による駐輪場管理委託をする条例改正が行われた。今回指定管理者制度により、公共施設の管理を公共団体が関係する団体ないし公益団体だけでなく民間事業者にも委託が出来ることになった。民間事業者を利するためではないかという一部反対する意見があったが、私は指定管理者制度を活用し、地域の実情に合わせたまちづくり、地域の活力を生かしたまちづくりをすべきと考え、市の考えを質問した。
 具体的にはNPO、自治会、商店街に委託することで地域の人的な交流と地域の活性化を図る。また天神地区などではセットバックで出来た公共空間や歩道に駐輪場を造り、隣接する事業者に委託をすることで、付置義務があるにもかかわらず既存ビルのため付置義務が課せられない事業者にも応分の負担と責任を果たしてもらうことが出来る。地域の実情にあった駐輪場の確保と運営が出来る。そのためには市が明確な政策を持つ必要がある。
 私の質問に、「自転車利用総合計画」を作成中であり、総合計画と整合性を持たせて地域にあった駐輪場づくりでまちづくりを検討すると答えた。今後、具体的な運用を監視する必要があると感じた。

12月12日(金)
一般質問
1,「照葉プロジェクト」の破綻ー誰が6000万円の無駄遣いの責任をとるのか!
  宮崎駿監督がイメージ図などの使用中止を求めたことで、新聞広告掲載費用やパンフレット作成費用などの6千万円が無駄になった。なぜこのようなことが起こったのか、その責任はどこにあるのか質問した。これまでの関連した質問に、市長は「一抹の不安はあった、詰めが甘かった」などと答えているが、その責任には明らかにしていない。私は責任の所在を明らかにするよう求めたが、「広告代理店ととの契約について精査している」「損害賠償については事由の有無を慎重に検討」と責任の所在を曖昧にしている。
 宮崎駿監督の手紙には「これまでも今後も『アイランドシティ』の開発にいっさい関係ないことをご理解頂き」(11月20日付け)「自分の不注意が招いたと認識」(11月22日付)と書いてある。福岡市は宮崎駿監督をアドバイザーにしていたといっているが、当初から宮崎監督は積極的に関わる意思がなかったことがうかがえる。宮崎監督の関わりについての契約はなく、弟さんが経営するコンサルタント会社と市長との間に、弟さんと監督との口約束があるという伝聞形式の確認書があるだけだ。曖昧な内容で多額の税金を使おうとした責任は一義的に市長にある。助役の答弁は、「代理店との契約内容を精査し適正に対処する」に終わり、責任の所在を明確にしなかった。

2,幹線道路、特に国道3号千代・堅粕地区の沿道対策について
 福岡市の環境に関する年次報告書において、騒音は観測地点21カ所の内19カ所が環境基準を超えている。さらに要請限度を超えた観測地点は5地点となっており、幹線道路の環境は極めて悪い状況にある。法令では、騒音が要請限度を超え、道路周辺の生活環境が著しく損なわれると認められるときは、市長は都道府県公安委員会に対し、道路交通法の規定による措置を執るべきことを要請するものとなっており、措置を要請しているのか質問した。また、騒音だけでなく大気汚染についても長年劣悪な環境におかれており、幹線道路沿道住民の健康調査をしているのかを質問した。
 この質問については、国・県で対策を進めているので福岡県公安委員会には措置の要請はしていない、騒音については面的に実態調査を行い、国・検討との協議を行い低騒音舗装や遮音壁の設置など改善を求めていきたい。大気汚染は環境基準を達成しているので健康調査をする考えがないと答えた。環境基準は健康的に生活する国が決めた最低限のものであり、健康を守る根拠ではない。既に健康被害が出ており、調査して対処すべきである。
 東京、名古屋、大阪ではディーゼルトラックの規制が始まった。その結果不良ディーゼルトラックが地方に回されるのではないかと危惧されている。福岡市としてディーゼルトラックの対策はどのように考えているのでか質問した。
 市はディーゼル車対策についても危惧いており、関係機関と連携協力の上調査する、また中小企業車に対する買い換えを支援制度があり、買い換えを進めるとした。高速道路無料化などの迂回誘導策については、今後国等と研究していくと答えた。

3,福岡市動物の愛護と管理推進協議会答申について
 近年、ペットと人間の関わりは大きく変わり、ペットの存在は生活の大きな部分を占めるようになった。同時にペットの管理の悪さやしつけの悪さによる諸問題、生態系の攪乱や捨て犬・捨て猫の問題、犬や猫の糞の放置など新たな問題も生じている。この答申では、ペットと人間との共生、飼い主とペットを飼わない人と共存できる社会の実現のための提言をしている。そこで、答申では犬や飼い主の交流の場としてドッグランの設置が今後の重要な課題としており、福岡市としてドッグランの設置についての考えをお尋ねた。
 東区では住民・NPOが主体でドッグランが始まった。早良区・西区でも住民が主体的だドッグランの取り組みを始めた。先日の西部運動公園で試験的にドックランを企画された方たちのアンケートでは、アンケートに答えた約300人ほどの方はほぼ全員が設置を望んでいる。
 市は、答申に基づき、ドッグラン設置を支援していくと答えた。

12月15日(月)
第4委員会:建築局審査
1,今議会での建築局における審査を要する条例案としては、「福岡市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例(案)」だけである。この条例案は、新たに三苫地区において地区計画決定をした住宅区域の建築制限を課すものである。具体的にはワンルームマンションを認めなために、33平米未満の共同住宅の禁止および建築物の最低敷地面積を180平米とするとしている。
 しかし、地区計画で指定されている、建築物等の形態又は意匠の制限として屋根の勾配や建築物の外壁などの色や形態が周辺の環境と調和したもの、道路に面する垣又はさくを生垣もしくはフェンス等透視可能なものにするなどの規制は条例からはずされている。
景観をまちづくりの基本と考えるならば、これらの形態や意匠、垣などの規制をすべきと考える。市は景観は主観的要素が強いため、具体的な形状や材質、色調などを指定しなければ条例の趣旨にそぐわないとしている。豊かな住環境を形成するためには、地域における景観の価値を出来るだけ具体化し、条例として規制するべきと考える。

2,今議会において、市営住宅建て替え工事契約3件、市営住宅家賃滞納者に対する立ち退き請求訴訟の提起と和解についての専決処分の報告、市街化調整区域における土地利用制度の運用について(土地利用制度の基本計画(案)、福岡市開発行為の許可等に関する条例の一部改正(案)、市街化調整区域における建坪率・容積率等の指定の考え方(案))について10月1日から31日までの1ヶ月間の縦覧とパブリックコメント実施の結果報告(結果は来年1月公表、条例案は3月議会上程)、都市計画審議会に附議する市街化調整区域の容積率・建坪率等の指定について、市営千代田住宅外壁および鉄部塗装工事の談合事件についてが報告された。
 報告案件については、市営千代田住宅外壁および鉄部塗装工事談合事件に集中した。私がまず質問をした。談合問題の前に、設計変更による追加の額が大きいことに驚き、その理由を質した。市営千代田住宅はA棟、B棟、C棟に分割して工事が発注されている。A棟は予定価格62、592,000円、落札価格60,354,000円、落札率96.42% 、設計変更による追加は12,199,950円である。追加費用は落札価格のなんと19.5%である。B棟、予定価格72,788,000円、落札価格69,930,000円、落札率96.07%、設計変更による追加は9,796,500円、落札価格の14.0%。C棟、予定価格52,378,000円、落札価格49,665,000円、落札率94.82%、設計変更による追加4,296,600円、落札価格の8.7%である。どうしてこんなに追加が生じるのかという問いに、足場を組み立てて調査をすることはでいない、目視で調査をし、これまでのデーターから予定価格を算出しているので、実際の工事の時点で追加が生じると答えた。それはあんまりな答えである。目視で調査し、打診して調査し、さらにこれまでの改装のデーターがあればこんなに極端な差が出る筈はない。市の答弁は納得がいかない。
 次に、談合事件について質問した。福岡市は談合疑惑が続き、入札方法を変更したが、その成果は上がっていない。今回の市営千代田住宅だけでなく、市営住宅建設の工事契約の落札率は95%前後で、談合体質が変わっていないのではないかと思われる。また、今回の談合は「福岡塗装仕上協同組合」加盟の10社で談合が行われた。この協同組合の規約に、入札価格の2%を運営費として納入するようになっており、談合が繰り返されていたことを物語っている。住宅供給公社関連の企業は69社、64の業者が38組合を作っている。他の組合にこのような規定はないのか質したが、他の組合はないと答えた。また、他議員から市職員OBがこの協同組合に就職しており、営業活動していることも指摘されたが、把握していないと答えた。今回の談合は、その背後に暴力団が関係しているとの報道もされており、市に把握しているのか問うたが、今後調査し、厳正に対処するという答えに終わった。
 談合防止のために、入札方法の改善、また、情報収集のあり方が問われている。また、市職員の天下りと公共工事受注業者との関係についても、今後検討が必要である。

3,南区住民から出されているウィークリーならびにマンスリーマンション建設反対の請  願について審査
南区の平和および寺塚にウィークリー・マンスリーマンション建設が計画されており、それぞれの地区の住民から建設反対、建設ならびに運営を規制する条例制定と国に対する法改正の意見書提出を求める請願が出された。当該地区は第1種低層住居専用地区で、高さ10メートル以下の住宅しか建てられない地区である。ホテルや、旅館等の営業施設は許可されない。今回建設を計画している「レオパレス21」は数日から数ヶ月滞在できる施設で、2階建ての施設を建設予定。住宅とホテルの中間的なもので、明確に規制する法律はない。しかし、いくつかの自治体ではホテルと認定して規制している。定住者でない利用者が増えることは、地域コミュニティー形成の障害になるというのが地域住民の主張である。私も含め53人の議員が紹介議員となっている。土地利用については、良好な住環境を維持するためには、法の趣旨に基づいて運用されるべきと考え、紹介議員になった。委員会では、国に法改正を求めて意見書を出すことに決した。

12月16日(火)
第4委員会:都市整備局および住宅供給公社の「照葉プロジェクト」の説明
1,都市整備局関係
 今回審議すべき議案はなく、都市計画審議会に附議すべき事項についての説明がなされた。
 今回附議される事項は
[都市計画の決定および変更案件]
1)福岡都市計画 都市計画区域の整備、開発および保全の方針の決定(福岡県決定)   平成12年の都市計画法の改正により、平成16年5月までに策定することが定め  られたことによる。
2)都市計画区域区分の変更(福岡県決定)
 3)福岡都市計画地区計画の変更(福岡市決定)
   田尻土地区画整理地区地区計画
4)福岡市都市計画緑地保全地区の決定(福岡市決定)
香椎おいの山緑地保全地区(香椎宮そば、不老水の水源)
 5)福岡市都市計画緑地保全地区の変更(福岡市決定)
  ○愛宕山緑地保全地区
  ○桜ヶ峰緑地保全地区
  ○多賀北緑地保線地区
   緑地保線地区の拡張が行われた。
 6)福岡都市計画道路の変更(福岡市決定)
   堅粕箱崎線(JRの高架化にともない駅の改装が行われるため、吉塚駅前の整備)

緑地保全地区は地形等から見て本来一体的に保全すべきにもかかわらず、地権者の同意がなければ指定できない。指定されれば、固定資産税、都市計画税は減免、相続税は40%減免などの優遇措置があるが、指定されると土地利用に制限を受ける。福岡市の緑地は増やす計画になっているにもかかわらず、減少している。都市における貴重な緑地保全、特に傾斜地での開発を抑制するために、条例制定等の法的処置の検討を求めた。

[都市計画法以外の法律により審議会に附議される案件]
 7)市街化調整区域における建築物の建坪率、容積率等の指定

報告案件として
 1)福岡都市計画用と地区の変更について
  ○下原・香椎駅東地区(下原小学校前の県道沿い)
   第一種低層住居専用地域→第一種中高層住居専用地域
  ○吉塚駅西地区(妙見交差点北東側)
第二種住居地区・準工業地区→商業地区
  ○野間二丁目地区(野間屋形原線沿道)
   第二種住宅地域→近隣商業地域
  ○野間三・四丁目地区(清水干隈線沿道)
   第二種住居地区→近隣商業地区
  ○松山二丁目地区(七隈交差点北側)
   第二種住居地区→近隣商業地域
  ○有田重留線沿道地区(計画中の歯科大横から四箇田団地東側に通過する道路沿道)
   第一種中高層住居専用地域→第一種住居地域
  ○拾町橋本線沿道地区(壱岐団地沿道)
   北側 第一種中高層住居専用地域 建坪率を50%から60%に緩和
   南側 第一種低層住宅専用地域→第一種超高層住宅専用地域
  
  ○用途指定地区における地形の変更等があり、境界の明確化 17カ所
 
  都市計画審議会は1月29日 

2,建築局の「照葉プロジェクト」についての説明
 建築局から「照葉プロジェクト」開発事業者公募についておよびこれまでの経過について説明した。人工島の住宅用地18へタール、内訳は福岡市住宅供給公社所有12ヘクタール、(株)博多港開発所有6ヘクタールの開発となっている。18ヘクタール一括開発を前提しているが、5区画の部分開発も可能となっている。一括開発の場合は、住宅供給公社所有部分は売却、博多港開発所有部分は共同販売となっている。部分開発になった場合は博多港開発部分も売却となる。計画個数は当初の2600戸から1500戸となっている。
 まず、宮崎駿監督がイメージ図などの使用中を求めたことについて、住宅供給公社としてどのように関わってきたのか質問した。住宅供給公社は昨年の12月に住宅開発に関わることを理事会で決めた。今年10月27日の市長直属の経営会議による「照葉プロジェクト」決定を受けて、11月7日に照葉プロジェクトによる開発を決めている。港湾局・市長は2年前から宮崎駿監督との協議をしてきたといっているが、住宅供給公社は深く関与していないこと答えている。そのため、責任問題については言及しなかった。
 そこで、住宅供給公社は土地を買わされただけではないかと質した。そもそも、一体の開発であればどうして住宅供給公社が人工島の土地を購入しなければならなかったのか、
博多港開発がそのまま事業をすればいいことであり、住宅供給公社が土地を買う理由はない。また、既に住宅供給公社は、2600戸、集合住宅は1戸86平米2500万円、戸建て住宅は64坪4300万円、売れる価格帯として計画を立てていた。ところが、照葉のまちづくりで1100戸も減らしているが、市民に安くて良質の住宅を供給できるのか疑問が生じる。市の答弁では価格は事業者が提示すると答えており、住宅数を減らし公共空間や緑地、植樹を増やせば当初計画したような販売は難しくなり、ますます参加事業者少なくなる。事業者が売れるような計画にするならば照葉のまちづくりは難しくなり、計画の破綻は明らかである。分割開発を許せばなおさら整合性がとれなくなる。この質問に対しても、ただ契約書で縛りをつけるので大丈夫といっている。しかし、説明になっていない。今回の宮崎駿監督の事件は、人工島計画が既に破綻しており、宮崎駿監督のイメージで住宅を売ろうといていただけであることが明らかである。住宅供給公社がいいように使い回されていることがはっきりとした。

12月17日(水)
常任委員会委員長報告の後、討論、採決。

 今回の議案の主たるものは人事院勧告による職員給与の改定(引き下げ)である。税収は減っており、今後も増える見通しはない。一方、不況による倒産や解雇による失業者が増えており、市民税の滞納者が増えている。人事勧告は争議権を付与されていない代償であり、賃金引き下げは本来の法の目的を達していないという主張もある。私は経済成長を求める時代ではなく、ワークシェアリングも含めた働き方や生活のあり方を変える時代となっていると認識している。労働のあり方、権利の擁護について、人間らしく生きることを保障する仕組みの実現を目指したい。従来の既得権益擁護ではなく、新しい関係を目指すべきと考える。
 まずは市の無駄遣いをやめさせることが先である。しかし、市財政および社会状況を勘案したとき、職員の皆さんの痛みは理解するが、今回の給与改定には賛成した。

賛成討論
 議案第226号一般会計補正予算案中、財政調整基金積み立てに関しておよび議案243号自転車駐車場条例の一部を改正する条例案に賛成して討論をします。
 財政調整に活用できる基金は平成4年度の942億円をピークに減少し続け、平成14年度は229億円と4分の1以下に減少しています。その原因は、バブル経済が崩壊し、市税収が減少しているにもかかわらず、バブル期の発想で人工島をはじめとする大型開発を進め、税収に見合わない投資を続けたために基金を取り崩してきたことにあります。議案質疑では基金を活用してきたためと答えていますが、これを基金の活用といえるのでしょうか。バブル経済復活を夢見た結果、基金の取り崩しを続けざるを得なかったのです。
 山崎市長は1期目就任後、大型開発10大プロジェクトの見直しをしましたが、抜本的な見直しをせず、庁内でのお手盛りの見直しに終わりました。そして今なおバブルの発想を抜けきれずに、人工島、新福岡空港建設、九大移転と巨大開発を進めようとしています。 今回の財政調整基金の積み立ては、職員給与減額にともなう不用額の半分4億円を積み立てるというものです。職員の方の痛みが生かされるためには、財政健全化を進め、市民のための行財政改革を実現しなければいけません。市では三位一体の改革を進めるとしています。どのように改革を進めようとしているのでしょうか。3000にも及ぶすべての事業を聖域がない見直しをすると言っていますが、本当でしょうか。財政健全化プロジェクトでは税収に見合う投資をするとしていますが、事業評価をしないままに実現できるのでしょうか。未だに多くの疑問を持たざるをえません。
 今議会の市長の答弁でも、人工島計画を中止することは現実的ではないといっています。では、今のままさらに数千億円もの税金をつぎ込むことが現実的とでも言うのでしょうか。事業評価をしないままに税金をつぎ込むことが財政健全化になると考えているのでしょうか。今回の「照葉プロジェクト」における宮崎駿監督をめぐる事件は、人工島がいかに自然を破壊し、さらに無駄な税金をつぎ込んでいるのか如実に示しています。しかも、この責任はいったい誰がとるのでしょうか。先日の私の責任の所在を求めた一般質問について、市長はいっさい口をつぐんでいました。このままではすべて市民が責任を執らされるのです。誰も責任をとらずに6000万円もの無駄な税金が使われる、こんな不合理のことが許されるのでしょうか。
 繰り返し述べますが、経済成長を求める時代はもはや終わったのです。今後も世界成長が続くという人がいます。しかし、地球は有限であり、地球環境、資源・エネルギーの限界は既に超えており、経済の質的転換が求められています。もし、第三世界の人たちが私たちと同じ生活をするようになれば地球は8個も必要だというひともいます。
 福岡市においても、成熟したゼロ成長経済を前提に、政策転換をしなければなりません。このままでは市財政は破綻し、福岡市の住環境は悪化することは明らかです。このことは私たちが不幸になることを意味するものではありません。地域に根ざした福祉や環境、教育などの新たな雇用と地域経済を作り出すことが求められています。
 今回の財政調整基金の積み立てが生かされるよう、人工島計画中止等大型プロジェクトを抜本的に見直し、市民に顔を向けた財政健全化を実現することを求めます。 

 次に自転車駐車場条例の一部改正について賛成討論をします。この条例は地方自治法が改正されたことを受けて条例が改正されるものです。指定管理者を認定することで、新たに民間に駐輪場の管理を委託するというものです。この指定管理者制度を導入することは民間事業者を利するものであり、また現在駐輪場の管理を委託されているシルバー人材センターの仕事を奪うことにつながると危惧し、反対する声もあります。確かに危惧される点は否定できませんが、むしろ指定管理者制度を活用して、駐輪場をまちづくりに生かすべきと考えます。福岡市は指定管理者制度をまちづくりに生かす政策を持たなければなりません。
 NPO、自治会や商店街に駐輪場の管理を委託することで、地域の人的な交流を生み出し、地域や商店街の活性化に生かすことが出来るのではないでしょうか。また天神地区のような場所では、歩道やセットバックによって生み出された公共空間を駐輪場に整備し、隣接事業者に管理を委託し、事業者の応分の負担と責任を求める必要があります。特に付置義務が課せられる対象であるにもかかわらず、条例施行前に建てた建造物であるために付置義務を免れている事業者に対して、負担の公平性の視点からも活用されるべきと考えます。
 地域の力を生かす、また負担の公平性を実現させ、駐輪場を拡充するために指定管理者制度を生かすべきです。福岡市は指定管理者制度をまちづくりに生かす政策を明確に示すことが求められています。同時に、議会としても、どのように運用されているのか、関心を持たなけれなりません。
 天神地区の放置自転車が日本でワースト1であるということは、同時に自転車が市民の移動手段として定着していることを示しています。自転車を移動手段として明確に位置づけ、駐輪場の整備だけではなく、自転車専用車線などの整備を求めて賛成討論を終わります。