桧原葬祭場全面建て替えを見直す請願の審査

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第2委員会の傍聴
 請願「葬祭場のリファイン(改修・増築)手法による整備について」の委員会審査を傍聴した。今回の葬祭場全面建て替えは全く話しにならない。保健福祉鏡の答弁は、詭弁の固まりであり、市民を愚弄するものであった。桧原葬祭場建て替え問題の本質は、税金の無駄遣いを繰り返す市の体質、住民の意思をくみ取らない市の体質と仕組み、市民の監視が行き届かない契約のあり方である。山崎市長が、市民自治を政策に掲げているが、その市民を無視する実態は葬祭場建て替え問題にはっきりと出ている。

 第1の問題点は過剰な見込みによる過大な計画であることが争点となった。改修の基本計画は、1990年から1995年の国勢調査をもとに推計をして、
年度 火葬件数 必要炉数
 05    9,400 24
10 10,700 27
15   12,000 29
20   13,200 32
25   14,300 34

 その後2000年の国政調査をふまえた企画総務局のマスタープランでは
年度 火葬件数 必要炉数
 05    7,754 20
10  8,924 23
15   10,163 26
20   11,391 28
25   12,557 31
  
 では実績はどうなっているのか、
年度 火葬件数  炉数
 98    6,878      21
99    6,630
00    6,570
01    6,836
02    6,984
03    7,100(見込み)

 基本計画のもとになる数字を見ると03年から05年で一気に年間800の火葬件数が
増えることになり、過大な計画をしていたことがわかる。企画総務局の数字を見ても、2年間で650件も増えることになり、これでも過剰である。せいぜい数炉は足りなくなった分の拡張でよく、34基も必要ない。市は企画総務局の数字に修正して第1期工事として炉26基をつくり、10年間(耐用年数)の状況を見て計画を見直すとしているが、基本的には過大な計画を修正する意思はない。

第2点は住民合意を取ったのか。
 桧原葬祭場は平成8年4月1日から第1種住居地区になり、3000平方メートル以上の建物は原則建築できないことになっている。葬祭場は現在5000平方メートルあり、今回の全面建て替えでは12000平方メートルとなっており、特殊建築物として、住民同意が求められている。これまで開かれた近隣100mの住民説明会でも、また住民の求めによる説明会でも、反対の声が多く賛成の声は一つもなかった。(私が参加した1月10日説明会、またそのときの参加者の話。)市担当者は、近隣町内会長や自治会長は理解していると思うといっているが、町内会や自治会での説明はない。
 住民は誰も知らない対策委員会との密議(平成8年の協定書を交わして以降、年2回、これまで計13回協議していると市は説明。)をもって住民合意とする市の姿勢が問題である。市はプライバシーを理由に対策委員会の氏名をあかさないが、地域住民を代表するならば公の存在であるはずである。また対策委員と称するものは地域住民に対して説明もしていないし、14日の公聴会にも出席していない。対策委員会とは一体何なのか。

第3点は応募要綱にはリファインを当初からは除していたこと
 福岡市はこれまでの議会答弁では、リファイン(改築、改造)も検討するとしてきた。ところが、建て替えの応募要綱にはリファインについては一切ふれず、12000平方メートル、炉の数34基と全面建て替えを求めている。当然全面建て替え案しか応募はない。ところが、市は再三リファインも排除していない、応募がなかったと詭弁を弄している。当初からリファインは考えていなかったのは明らかであり、市民・議会を愚弄する答弁をしている。炉のダイオキシン対策も部分改修が出来ない理由に挙げていたが、改修可能であることは専門家が指摘している。
 福岡市は循環型社会を目指すといっている。その舌の根も乾かないうちに、20年しか経たない建物を壊すというのである。しかも建築証をもうような文化的価値があるものをいとも簡単いに壊すという。待合室が少ないのでサービス向上に部屋を増やす必要があるというのが理由である。厳しい罪是状況で、借金を増やし無用な廃棄物をつくり出す計画に市民は喜ぶだろうか。借金も環境悪化のツケもすべて市民に返ってくるのだ。 

第4点は53億円という金額にもかかわらず、随意契約にしたこと
 市の説明は、当初5企業体が入札に参加したが、2企業体は市の要綱に合わなかったので却下した。3企業体で競争入札の予定であったが、2企業体は参加企業に不正等で資格がなくなった企業がでたため辞退し、残りの1社となったため随意契約をしたとしている。契約金額も予定価格63億円の90%53億円であったので妥当としている。しかし、53億円もの価格でず初契約することは、自治法上でも問題があると考えられる。当初から、競争入札の特約をつけるべきだった。また、設計施工一体とした提案型競争入札であったことを理由としているが、そもそもリファインで炉だけの改修であれば、競争入札できていた。
 驚いたことに、共産党と弊政会の2人以外はこんなでたらめな税金の無駄遣いについて批判できなかったことだ。市民の負託に応えられない議会の問題を感じた。