公共工事不正再発防止調査特別委員会

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公共工事不正再発防止調査特別委員会
日時 2004年2月17日(火)
議題 1、港湾局前計画課長による収賄事件について
   2、福岡市住宅供給公社発注工事の談合事件に関して
   3、不正再発防止のための対策について

1、港湾局前課長による収賄事件について
 今回の特別委員会は、港湾局前計画課長による福岡・北九州高速道路公社および港湾局における収賄事件について、関連して、港湾局理事(局長のすぐ下の責任者)が前計画課長にタクシークーポン券の調達を依頼したことが大きな問題となった。企画総務局人事部監察室が調査を行い、報告書が出された。この事件の問題点は以下の点である。
1)前計画課長が不正を行ったことについて関係職員がどうしてわからなかったのか。
2)理事はどうして前計画課長にタクシークーポン券の調達を依頼したのか。
3)理事の行為は公務員倫理条例違反であるにもかかわらず、違法と認めていないこと。
 まず前計画長の不正がどうして関係職員にわからなかったのか、この疑問について監察室は以下のように説明している。第1点として、本来発注期間や特殊性から随意契約できたものを競争入札に見せかけるために書類を偽造したことについて、前計画課長の指示に基づいて作業を行ったので、信頼していたため不審に思わなかったと説明。第2点は契約額について見積もりが440万円のものを前課長の経験から300万円で一旦交渉し値下げしたが、再び400万円で契約するよう指示されたとき、見積価格に近いことと前課長が(株)日本港湾コンサルタント(JCP)から今後も野鳥公園等の情報を継続的に得られると説明を受けて納得したという。
 第1点についてみると、8月に4月に遡って書類を作り、しかも競争入札の業者2社の書類をJCPに用意させている。これは公文書偽造以外の何ものでもない。これをおかしいとどうして思わなかったのか納得できない。しかも同様な手口が外にも2件確認されている。感覚が麻痺しているとしか考えられない。この行為について監察室は「不適切」な行為であるとしているが、これは違法行為である。特別委員会で港湾局長に違法か否かを質問したが、当然違法と答えた。
 第2点については、理由もなく値段が30%もあげられて納得する感覚がおかしい。監察室は上司の指示によることなので懲戒処分でなく注意処分にしたいっているが、このような監察室の対応が倫理条例を骨抜きにする。
  次に理事がどうして前計画課長にタクシークーポン券を調達するように依頼したのかである。港湾局ではこれまでタクシークーポン券は買ったことなく、タクシーの必要があれば労務係に申請すれば合理的理由があれば支給される。通常支給される旅費と日当でタクシー代は処理してきたという。原則公共交通機関を使うことになっているからである。そこでなぜ、理事はタクシークーポン券を前計画課長に調達を依頼したのかである。理事は依頼した理由を「スーパー中枢港湾指定等にあたり、東京で動かなければならないため」と監察室に答えているが、検察の冒頭陳述によると「東京事務所職員に渡したいから」といっている。理事は東京で用務先を回るために5万円使い、残り五万円分は警察に提出(押収)したといっている。クーポン券は金権であり、換金できるため用途の確認は出来ない。理事はクーポン券の入手先を確認しないで受け取ったとされ、監察室は正規にタクシー代を請求せずに前計画課長にタクシークーポン券を調達することを依頼したことおよび入手先と金額を指示しかったことが「不適切な行為」としている。この監察室の措置が問題である。
 そこでなぜ理事は前計画課長に依頼したのか、どこから調達させようとしたのか、また出来ると思ったのか、である。なぜ労務課でなく計画課長だったのか、それは2つ理由が考えられる。一つは理事は長く計画課長をしており、計画課においてこれまでも金品を授受してきた、又は出来ることを知っていたから。もう一つは、タクシークーポン券は金権であり、用途が自由であることから、接待や贈答に使えるということである。贈賄側のJPCの部長とは前計画課長は面識がないと裁判でいっている。面識がないものがどうして賄賂を要求できるのかが問題で、理事は面識があったとされている。本当に指示をしなかったのか、紹介しなかったのか疑惑が残るところである。
 つづいて、理事はどこから調達すると思っていたのかという委員会での議員の質問に、監察室は理事は漠然と「(社)博多港振興協会」からと思っていたといっていると説明。これまでも(社)博多港振興協会とは中枢港湾の指定の陳情やポートセールスなどで一緒に行動しており、国土交通省などへの陳情にはタクシーに同乗してもらっているが、タクシークーポン券をもらったことはないとしている。であればどうして理事は(社)博多港振興協会からクーポン券をもらうことが出来ると思ったのかである。いずれも本人を召還して調査しなければわからないことである。
 問題なのは、理事の部下にタクシークーポン券の調達を依頼するという行為および業者に金品を要求するという発想は明確に公務員倫理条例違反であるにもかかわらず、監察室は「不適切な行為」として、公務員倫理条例違反の責任を問うていない。監察室は局長に次ぐ位置の責任者が、公務員倫理規定を無視してきたことの重大さについて一切ふれていない。それどころか、私の質問に、市長および総務企画局長(監察室の責任者)は(社)博多港湾振興協会には補助金を出しており、共同で業務を行っているので、タクシークーポン券をもらっても問題ないとさえいっている。この身内をかばう行為、公務員倫理条例を骨抜きにしてきたのは、まさに市長をはじめとする市幹部であると断罪されなければならない。不正が後を絶たないのは当然である。

2、福岡市住宅供給公社発注工事の談合事件に関して
 福岡市千代市営住宅の外壁補修工事の談合問題である。この談合事件は、
1)福岡市塗装組合だけの入札であった
2)入札後の設計変更が著しい、高値落札の問題
3)丸投げ、現場責任者の虚偽申請等
4)暴力団に資金が流れていた
 福岡市は地場業者育成のために分離分割発注を行っている。そこにつけ込み、組合ぐるみで談合を繰り返していた。入札方法の改善および組合参加業者のみでの入札はやめることが必要である。
 この事件で深刻なのは、暴力団が介入していることである。高値落札で、その上前を暴力団がはねている。北九州市では、入札業者に誓約書を出させるだけでなく、県警と協力し、入札業者を入札の度に照会し、落札後も下請け業者を含めて県警に照会して暴力団との関係がないことを確かめている。発注後も業者を呼んで確認するなどしているが、福岡市は誓約書と文書通達だけである。暴力団排除の実行ある対策が求められた。

3、今後の不正防止対策について
 福岡市は不正防止対策として、公益通報制度を検討していると説明。しかし、その内容は、対象は職員のみ、相談窓口は人部監察室とし、要綱にするとしている。これでは機能しないことは一目瞭然である。今回の観察結果を見ても、公務員倫理条例違反であるにもかかわらずその責任を問わない、身内をかばう、こんなところに安心して通報出来るとは考えられない。ケヤキ庭石事件、今回の北九州・福岡高速道路公社の贈収賄事件、市住宅供給公社の談合事件を見ても、千代田区のように対象者は第三セクターの職員やOBも含めて広くする、通報窓口は弁護士など外部に置く、そして実行あるもにするために条例化する必要がある。