市長に人工島事業の説明責任を果たすことを求める

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 今年3月に2度目の博多港開発に対して42億円の緊急貸付がなされました。緊急貸付額は87億円になり、このままでは200億円の貸付枠を超えかねない状況となっています。銀行は人工島事業を信頼していないため、博多港開発に対する銀行の融資契約が随意返済から約定返済に変更しました。その結果、博多港開発の資金調達が苦しくなっています。土地需要がなくなっており、地価が下落し続ける中で事業採算性はいっそう厳しくなっています。このままでは来年の融資返済時期である3月15日には、再び福岡市は博多港開発へ緊急貸付を行わざるを得なくなります。博多港開発の返済能力はなく、その後も長期に亘り緊急貸付を繰り返さなければなりません。そこで、福岡市はいま事業計画を見直し、市直轄事業で人工島埋立を行おうとしています。福岡市はさらに多額の税金を人工島につき込むことになります。このように、人工島事業が大きく転換しようとしており、山崎市長は市民にどうして人工島事業を続けるのか、どれだけ税金を使うのか、市民に説明し、同意を取るべきです。私たちは、市長に説明責任を果たすように、申し入れをしました。

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                              平成16年 4月9日
           市民との直接対話を求める要望書

福岡市長
山崎広太郎 殿            人工島点検を点検する会 代表 荒木龍昇
                       博多湾市民の会 代表 安東 毅
                       博多湾会議 事務局長 脇 義重

 市長は、私たちの、人工島事業の根本的な見直しと、事業についての市民への説明の機会を持つことを要求する私たちの申し入れに対し、次のような趣旨の回答をしました。

 1.人工島は、21世紀の新産業や市民のライフスタイルを実現する可能性をもつこと。
 2.博多港開発㈱の事業は最終的に黒字になる見通しであること。
 3.資金調達の方法、長期間にわたる事業を安定的に推進する方法を検討していくこと。
 4.市民への情報提供を行ない、市民の理解を得ながら事業を進めていくこと。

 この回答は、埋立地の分譲の見通しが立たず、博多港開発㈱が計画どおりに土地処分を行なうことが可能な状況下で、このまま事業を継続することに対する市民の理解を得られるものではありません(回答1,2,3)。また情報提供を行なうばかりで市民の意見に耳を傾けるという姿勢を感じ取ることが
出来ません(回答4)。
 市長は、市民との対話を基本的な政治姿勢にしてきたにもかかわらず、人工島事業に関しては市民の意見に耳を傾ける機会を持つことはありませんでした。事業が大きな転換期を迎え、舵取りの如何で市の将来が大きく左右される時期にある今、市長は市長選で公約したときの初心に立ち返って市民の意見に耳を傾けていただきたい。
私たちは、市長に以下の点について直接市民に説明、対話する機会を持つことを求めます。

  1.博多港開発㈱の採算が黒字になることを示す収支計画(あるいはそれに準ずるもの)、およびそ    れを推進する事業の方法を説明していただきたい。
  2.福岡市の工区(人工島西側)の事業の遅れの原因と、今後の収支計画(あるいはそれに準ずるも     の)を示し説明していただきたい。

 人工島事業は着工以来9年以上経過し、事業が大幅に遅れるなかで、土地処分の難航、3度にわたる事業計画の変更、自然環境の大幅な悪化など当初の見通しは大きく狂っています。市長は事業の継続について改めて市民への説明会を開いて説明責任を果すと共に、市民との直接対話を行い、人工島についての市民の声に耳を傾けるべきだと考えます。
 開催の時期、方法について4月15日(木)までにご回答ください。