6月議会報告

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選挙の準備で報告が遅れました。このままの日本でいいはずはありません。「みどりの政治」を広げましょう!

6月議会報告
 6月議会は地方税法及び政令改正にともなう条例の改正、消防団団員の待遇改善と公務災害補償の切り下げ、消防自動車の購入等でした。手続き上の議案であったため、議案質疑及び討論はしませんでした。

6月10日(木) 
 議会に先立ち25年の永続勤務の表彰が行われました。7期勤めなければならず、長期在籍には疑問があります。その後議案の提案説明を受け、質疑の申し出がなかったので議会は早く終了しました。
6月11日(金)、14日(月)、15日(火)
 一般質問
 私は、①人工島の直轄化のの問題、②福岡市住宅供給公社と積水グループとの協定書について、③人工島市工区の土地売却にあたり不動産業者に1件5000万円を上限に報奨金をつけたことについて、④地下街開発株式会社が民間に営業を委託したことについて質問しました。
①人工島直轄化について
 福岡市は1月23日に博多港開発に埋めて手面所の伸長を認めています。そのわずか数ヶ月後に、博多港開発から埋立免許を買い取り、直轄で埋立事業をするというのです。埋立免許を許可する条件としては、事業を続ける能力及び信用力が必要とされています。市が直轄化すると言うことは、博多港開発の事業能力を否定することであり、この埋立事業が破綻していることを示しています。
 港湾局長は人工島は福岡市にとって必要と繰り返し、状況は厳しいが最終的に黒字になる、金融情勢が厳しく、安定して事業をするためには直轄が必要と応えています。これは裏を返せば銀行が博多港開発には融資したくないということで、福岡市に直轄化を迫っていると考えられます。つまり、第三セクターの博多港開発であれば、会社精算などがあり得、銀行に債権放棄が迫られる危険があるからです。言い方を変えると銀行は取りこぼしがない、税金による負担を要求しているということです。
 破綻が明らかな人工島事業の失敗を認め、責任を明らかにするよう市長に求めましたが、市長はこの問いに答えませんでした。

②人工島の住宅地の販売についいては、売買契約ではなく協定書となっています。つまり、人工島の住宅地は未だ売れていないということです。私は協約書通り6月30日までに売買されるのかと質問しました。この問いに建築局長は「お互いに鋭意努力する」とのみ答え、確実に売買されとは答えませんでした。

③人工島市工区の土地処分のために、不動産業者に1件5000万円を限度に成功報酬を出すことを明らかにしました。現在2社が倉庫を建てていますが、この2社は福岡市の道路にかかり移転補償で移ってきた倉庫です。福岡市は民間のノウハウを活用すると答えていますが、土地処分が厳しい現状を示しています。港湾計画そのもの見直しが必要ではないかと質問しましたが、計画通り事業は出来るとして見直しの必要性については認めませんでした。

④地下街開発株式会社が営業部門を民間会社に委託したことに関し質問しました。地下街開発株式会社に福岡市が出資することをやめて民営化すべきではないかと質問しました。市は地下街の通路や広場は公共のもので、市が関与する必要があると答えましたが、通路や広場の維持管理の責任が必要であれば、別に第三セクターでなくても市は補助金など応分の負担をすればいいはずです。事業の中心部門を民間に委託するのであれば、第三セクターである必要はないはずです。福岡市は必要の一点張りでした。しかし、厳しい財政状況の中で、どうして地下街開発株式会社に税金をつぎ込む必要があるんでしょうか。

16日(水) 第4常任委員会
 所管事務の審査の前に、マンション反対の請願2件の審査がありました。いずれも建築基準法に適合しているものですが、日照、交通、景観など隣接住民は住環境に少なからず影響を受け我慢を強いられます。住民と建設事業者との協議が必要です。また、都市計画法に用途指定(建物が建てられる基準を示している)が住民に十分理解されていない、間住民の意見が反映されていないことが問題です。今回の請願も、新道が出来たことで用途指定が緩和され、低層住宅街に大きなビルが建てられるようになったことが問題を起こしています。都市計画決定のあり方に問題があることを強く指摘しました。建設者に住民と充分話し合いするよう指導することを当局に要請して、審査は継続としました。
 消防局所管事務の審査でした。消防団員の待遇改善と公務災害の負担の引き下げとが出されました。消防自動車購入の予算案、博多消防署の移転の案件でした。消防団の待遇についいては政令の改正にともなう条文の書き換えでした。しょうぼうだんのたいぐうかいぜんにちしてこうむさいがいほしょうのきりs下げは問題ではないかと質問しました。これは全国の消防団組織の共済が年金等に併せて引き下げの改正を行い、全国一律で実施されということでした。

17日(木) 第4常任委員会
 建築局所管事務審査前に東区千早「アプローズマンション」問題の請願審査がありました。このマンション問題は福岡県住宅供給公社が建設会社に土地を売却するときに、歩道部分をはずして売却すべきものを、そのまま歩道部分も売ったことにあります。そのため、建設会社は歩道部分も敷地に組み入れることで大きな建物にし、販売価格を下げることをしています。歩道については確保されますが、所有はマンション住人の共有になるため、管理の問題が残ります。福岡県住宅供給公社に対する批判が各会派の議員から出されました。建設会社と住民の話し合いを尽くすよう当局に要請して継続審査としました。
 建築局所管事務は、市営住宅の家賃未払い者に対する訴えと和解の報告でした。家賃未払い者は減少の傾向にありますが、民間に比べて安い家賃でも払えない人が多くいる現状があります。市営住宅を減らす方向を打ち出している住宅政策の見直しの必要性を感じています。    

18日(金)
 議案採決の後、意見書案の採決が行われました。今回提出された意見書案の中に、「教育基本法の早期改正を求める意見書(案)」が自民党、みらい福岡及び平成会の3会派から提出されました。有事関連法案が国会で成立し、戦争が出来る国になろうしている危険な状況にあります。憲法を空洞化してきたことが問題であるにもかかわらず、現状に憲法を合わせるということで、戦争が出来る国になろうとしています。教育基本法改正はその1歩です。公明、共産、民主、社民、ネットワーク及び私が反対しましたが、30対31で可決しました。これはまさしく福岡市民に対して、議会は恥じるべきものといえます。以下はんたい討論を載せます。

 私は「教育基本法の早期改正を求める意見書(案)」に反対の討論をします。
 教育基本法の前文は、「われらはさきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようと決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力に待つべきものがある。われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造を目指す教育を普及徹底しなければならない。ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。」とあり、第1条の教育の目的には「教育は人格の完成を目指す」としています。前世紀おける日本の戦争行為を反省し、世界の平和と福祉に貢献することを誓い、平和憲法が作られ、憲法の精神を実現するために教育基本法が定められています。その根底には、国家神道と結びついた国家主義による思想信条の統制、侵略戦争に国民を駆り立てた歴史を反省し、世界の平和を願う自律した個人の完成が求められています。このことを実現するために政治教育の中立と、特定の宗教教育の禁止、行政による不当な支配を禁止しています。
 本意見書では、青少年の凶悪犯罪、学級崩壊やいじめ、家庭や地域の教育力の低下などあたかも教育基本法に問題があるがごとく主張していますが、本当にそうでしょうか。昨今の少年の心の荒廃や規範意識の低下の原因は教育基本法に道徳教育の充実や宗教的情操教育の涵養、家庭の意義と家庭教育の重要性が教育基本法に規定がないからだと言っています。しかし、この前文を読めば、教育基本法に規定がないからではなく、教育基本法を実現することを怠ってきた、むしろ憲法の精神、そして憲法の精神を実現するための教育の方向を示した教育基本法を空洞化させてきたからだといえます。さらに、愛国心の育成、道徳教育の充実を教育基本法を変える目的にしていますが、これは思想信条の自由を奪い個人の尊厳を奪うもので、基本的人権を侵し教育基本法が禁じていることを実行させようというものに他なりません。いま最も急がれる課題は、子どもの権利をどのように守るのか、「子どもの権利条約」を実体化することにあります。子どもの自己決定権を認め、自律した人格の完成のための法整備が必要です。
 いまの日本の荒廃の根底には、経済成長を第一の価値とする、経済効率を第一の価値とし、むき出しの競争社会を是とする、いわゆる新自由主義の思想が、私たちを拝金主義に駆り立ていることにあります。ゆがんだこの価値観が子どもたちの心もゆがめています。教育の場でも、一部のエリートを育て、子どもたちを過酷な競争社会に駆り立てていることが、子どもの心を荒廃させています。いまの子どもの問題は教育基本法にあるのではなく、高度成長の中で、拝金主義がはびこり、私たち大人の心がゆがんできたことにあります。変えるべきものは、教育基本法ではなく、経済効率を唯一の価値観とする社会であり、それを推し進める国の教育政策です。もし、この意見書案が可決されれば、福岡市議会は後世の市民に長く不名誉を負うことになります。
 よって、この意見書案に反対します。