採決

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最終日17日(金)

 委員会報告後、討論を行い議案の採択した。人工島直轄化について多くの質疑がなされたが、可決された。事業が破綻していることは多くの議員が理解し、博多港開発が倒産状態にあることも理解しているにもかかわらず同意をしたことは、どのような責任を取ろうとしているのか疑問を持たざるを得ない。
 名誉市民4名、教育委員1名、監査委員1名を承認しての地、意見書採択して終わった。イラクからの自衛隊撤退を求める意見書は否決された。

反対討論

 本義会に提出された諸議案の内、議案第190号、193号、195号、211号、213号に反対し、討論を行います。
 議案190号、193号及び195号は人工島博多港開発第2工区の埋立権を買い取るための議案です。議案質疑で改めて人工島直轄化は人工島事業が破綻していることを示しており、博多港開発は既に倒産状態であることが明らかになりました。本当に人工島事業は必要なのか、この問いにも市長は漠然と福岡市の将来に必要と繰り返すばかりで、具体的展望は示すことは出来ませんでした。経済状況、社会状況は人工島を必要としていないからに他ならないからです。一段と厳しくなる財政状況で、破綻した人工島事業に税金をつぎ込むことが許されるはずはありません。

 国の借金は700兆円を超え、地方の借金も200兆円を超えています。国も地方も財政破綻に向かっています。このような中、国は政策の失敗を地方へ転嫁しようとしており、国の三位一体の改革では05年06年度に亘り2兆8320億円の補助金削減に対して、04年度分も含めて2兆4160億円の税源移譲しかなく、補助金削減額の6割しか財源委譲はなされていません。地方交付税についても、昨年に引き続き大幅削減の動きがあり、地方財政はいっそう厳しい状況になります。
 福岡市の財政も極めて厳しい状況にあり、市債発行残高2兆6480億円、起債制限比率17.6%、財政調整基金はわずか67億円という状況です。厳しい経済状況が続く中、市税収は頭打ち、扶助費等経費は増え続けており、補助金削減や地方交付税削減により市財政はますます厳しくなっています。地方分権社会に向かう中で、福岡市が市民どのような責任を果たすのかが問われています。あいかわらず経済状況は不透明であり、失業率5%、年間の自殺者は3万5千人、国民の厳しい生活環境は改善していない中で、政府は来年度1兆円もの増税策を打ち出し、介護保険の負担増、医療・年金制度の改悪と相まって国民の生活をさらに圧迫しようとしています。いまこそ福岡市には市民が安心して暮らせる市政が求められています。本来なすべき子育て支援や障害者・高齢者施策の充実、教育環境の充実など市民が安心して暮らせるための施策を削減し、人工島に税金を湯水のように使うことが許されるはずはありません。

 ところが、財政健全化プランでは一般会計において今後3年間で200億円の財源不足を見込み、歳入確保として受益者負担の適正化、公平化としてごみ処理有料化や学童保育の負担増など増税策を進め、歳出削減として小規模作業所などの障害者支援、高齢者支援を削減するなど市民に負担を求めています。その一方では、人工島に際限なく税金を使い、市民生活にそのしわ寄せがきています。税金の使い道が誤っています。
 本議会における人工島博多港開発第2工区の埋立権買い取りに関する議案は、議案質疑においても明らかになったように、博多港開発の負債を市民に肩代わりさせるもであり、銀行救済策です。福岡市は港湾整備事業特別会計で事業を行うので、市民には迷惑をかけないとしていますが、市の計画を見ても港湾整備事業特別会計自体が破綻し、一般会計からの繰り入れがなさることは必至です。市工区の土地が計画通り売れるのか、どうして人工島内だけの地価が上がるのか、平均単価1平米7万円でしか売れなかった土地がその1.5倍や2倍の価格で売れるのか、誰が見ても信用できないものです。銀行団は相変わらず福岡市に博多港開発へ100億円の緊急貸付枠と販売目標額を設定させ、販売状況によって協議するとなっており、融資条件の厳しさは変わっていないのです。さらに、一般会計から公共事業として、公園や道路の整備、また第1工区では新病院の移転など税金が今後もつぎ込まれることが見込まれています。

 山崎市長が1998年市長に当選し、翌年大型プロジェクトの見直しをしました。その結果は人工島事業は埋立期間を延ばせば従来通りの計画で黒字になるとしました。既にそのとき日本興業銀行はこのまま事業を続けると100億円の赤字になり、福岡市の損失補償がない限り融資できないといっていたことがケヤキ庭石裁判で明らかになっています。その後新生銀行、鹿児島銀行、あおぞら銀行が融資をやめ、点検後2年も経たないうちに銀行の圧力で新計画を作り厳しい融資条件をのまざるを得なくなりました。さらに2年も経たないうちに直轄化と、全面的に税金を投入することになりました。「税金は使わない、市民には迷惑をかけない」と言ってきたことに対する責任、見直しの結果これまで通りで事業は続けられるとしながら、2年も経たないうちに計画を次々と変更する、このことに対する市長の責任は甚大です。市長は計画変更は状況に適時対応したのであり、事業を続けることが市長の責任と居直っていますが、2年先さえも見通すことが出来ない行政能力が問われています。
 
 そもそも、博多湾の自然を破壊し、市民に多大な借金を押しつける人工島は必要がないものでした。埋立が始まった1994年はバブル経済破綻が見えていた時期であるにもかかわらず、埋立を続け都市膨張政策を続けた結果、当初から私たちが指摘してきたような今日の状況にいたり、市民に多大な借金を残すことになりました。また、人工島はケヤキ庭石事件のように、巨大公共事業に群がる政・官・業の癒着・腐敗の温床となっています。山崎市長は1998年の市長選挙では、「引き返す勇気を持って見直しをする」と公約して当選しましたが、いまからでも遅くはありません。政策の過ちを認め、直轄化を止めるべきです。破綻した博多港開発は会社精算し、人工島事業が破綻していることを分かりながら融資し続けた銀行の貸し手責任、株主責任、市長及び市の執行部の責任を明らかにすること、同時に人工島事業は直ちに中止することを求めて反対討論を終わります。。