空港問題調査報告

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全国空港問題連絡会会に参加
日時 2004年11月13日(土)、14日(日)

13日(土)
1,名古屋空港(小牧)視察後、現地報告と全国からの報告がなされた。
 名古屋空港は2740㍍の滑走路を持つ第二種空港である。常滑沖中部国際空港が開港すると、現名古屋空港は愛知県が空港用地、空港施設を買い取り第三種県営名古屋空港となる。運営は指定管理者の「名古屋空港ビルディング株式会社」(愛知県、名古屋市、企業の出資による第三セクター)になる。総面積330㌶のうち210㌶が国土交通省、120㌶が防衛庁所管となっている。県営空港は全国8ヶ所あるが、他の県営空港に比べ規模が大きく、自衛隊との共用空港は全国で唯一となる。
 空港移転計画が出された5年前には210億円をかけて国際線ターミナルビルが改装・増築された。中部国際空港開港後は建物は不要となり、大変な無駄遣いとなる。現在売却先を探しているが見つかっていないという。このままでは空港運営の大きな足かせになる可能性がたかい。
 県営名古屋空港の運行会社は日本航空系のコミューター会社1社、その他歩道関係や遊覧飛行などである。航空管制も自衛隊に任せることになっており、事実上自衛隊基地と化すおそれが強い。愛知県は自衛隊からの離着陸使用料を年間6億円といわれ、「タッチ・アンド・ゴー」の訓練も支払いの対象となる。小型機が中心の民間機の離着陸使用料は3億円程度と見込まれ、自衛隊依存の空港になる。
 名古屋空港の軍事基地化を裏付けるかのように、防衛庁は06年度から小牧基地(名古屋空港)に空中給油・輸送機の格納庫の建設費を予算化した。空中給油・輸送機は4機で1組となっており、小牧へ4機来ることは確実と見られる。また、名古屋空港に隣接して三菱航空機小牧南工場があり、地元自治体を挙げて軍需産業の拠点となる危険がある。

14日(日)中部国際空港を視察
 中部国際空港は知多半島中部常滑市沖合1.2kmに埋め立てした海上空港である。2005年の愛知万博に合わせて開港する計画で建設が進められており、水深6メートルと浅いため着工後短期間で造成がなされた。3500㍍の滑走路1本を含む空港用地473㌶、愛知県企業庁の開発用地107へ㌶、計580㌶の人工島である。総事業費7680億円、そのうち国2048億円、民間512億円、地方自治体512億円(愛知県300億円、名古屋市145億円、岐阜県・三重県で67億円)、借入金は4608億円となっている。
 空港島の開発用地には県企業庁が国際会議場、研修・研究施設、イベント広場などを計画している。対岸には事業費2450億円をかけて、商業、流通、製造業など産業用地として123㌶が埋め立てられている。この前島は現在1社しか応募企業がなく9割は売れ残っている。名鉄空港線の前島駅は乗降客が見込まれず、無地根期として運行されるという。常滑市の地価も下がり続けており、地域経済にはほとんど何の効果もない。
 空港へのアクセスは名鉄と道路となっている。名鉄の中部国際連絡鉄道は事業費708億円、ほぼ完成し、当日も試運転をしていた。名古屋市内の地下鉄とJRに金山駅で接続しており、空港・金山間は28分と利便性が高い。空港への専用道路となる知多横断道路と空港連絡道路を愛知県道路公社と愛知県が事業費140億円で整備をしている。東海地域では自動車利用が多いことから、道路及び駐車場の問題が将来起こる可能性がある。
 名古屋大学名誉教授らの調査により、空港島が出来たことで対岸との間では潮流が悪くなり、底質に嫌気性のイオウ化合物が増えていると調査結果がでている。カニやタコが捕れる場所が変わっているという漁民が感じていることを裏付ける結果となっている。海水が貧酸素状態になっており、生物が移動している。
 空港運営会社の社長はトヨタ自動車からきており、アメリカの監査会社を使って事業の見直しを行い、事業費を大幅削減している。福岡新空港を玄界灘に建設するとすると、水深が深いこと、アクセス道路や鉄道の整備等を考えると、中部国際空港の倍はかかると考えられる。愛知県は中部国際空港建設と愛知万博に関連した事業により、財政が悪化し、地方交付税不交付団体から交付団体に転落した。新福岡空港を新たに造るとすれば、福岡県及び福岡市は破綻することは火を見るより明らかである。