12月議会議案質疑

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 人工島直轄化のための補正予算案399億円に疑問と批判集中!

12月議会に直轄化のための補正予算案399億円が議案として出された。この補正予算案について7会派と無所属の私が議案質疑に立ち、1会派が意見を述べた。質疑は以下の通りであった。

1)なぜ権利を買わなければならなかったのか。
 権利を買わなければならなかった理由について、夜会経済状況の変化、金融情勢が一段と厳しくなったことを挙げた。銀行の融資姿勢がこれまでのコーポレイトファイナンスであったものがプロジェクトファイナンスに変わり、第三セクターへの長期的融資が厳しくなったこと、金融庁の指導などを理由としてあげている。これまで、福岡市が出資する第三セクターとして、福岡市を背景に信用力で融資を受けることが出来ていたが、銀行は短期的な採算性を重視しするようになり、博多港開発では融資を受けられなくなった。人工島は福岡市の都市計画上必要な事業であり、長期的・安定的に事業をするためには福岡市が権利を買い取り、事業を続ける必要があると答えている。
 要は銀行は人工島事業に破綻を認めており、これ以上博多港開発には融資しないということである。そもそも、2002年に銀行の圧力で新計画を作ったときに土地張り付き約定返済、博多港開発に対する200億円の緊急貸付枠を設定という厳しい融資条件をのまざるを得なかったその時点で、既に人工島事業は破綻していた。何を今さらということである。

2)直轄化後の新事業の信頼性、年2~4%の地価上昇の根拠は何か
 今回の見直しは、第1工区についても、第2工区についても地価が上昇することを前提に収支計画が立てられている。第一工区の1㎡平均単価は住居系78,000円、産業系141,500円、その他81,900円、平均103,100円、となっているが、第2工区の1㎡平均単価は住居系133,500円、産業系159,300円、その他93,500円、平均で141、300円となっている。住宅地の価格が平米7万円でしか売れていないのにどうして、第1工区の平均価格が103,100円で売れるのか、まして第2工区の平米当たりの価格が141,300円で売れるのか、質問が相次いだ。福岡市は荒れ地から街が出来ていくので周辺地区の地価とは連動しない、第2工区は第1工区の街が出来た後街づくりが行われるので条件はよりよくなると言っている。実勢価格を元にしており、専門家の意見を得ていると言うことに終始した。
 しかし、第1工区で平均価格が7万でしか売れなかった土地がどうして高く売れるのか、住宅地、商業地に限らず地価下落が続く中で人工島だけが地価上昇するのか、まして土地処分は25年かかり、全く信頼できない。2年先のことも見えない人たちがどうして20年先のことが見通し出来るのか、信用できない。

3)港湾整備事業特別会計は破綻しないのか
 第2工区を直轄化するに当たり、一般財政とは切り離した港湾整備事業特別会計で事業を行うことで市民負担は出さないとしている。しかし、港湾整備特別会計が赤字になれば一般会計から補填されることになるので、市民負担が生じないという保障はない。港湾会計の前提は市工区の土地が計画通り1平米13万円で売れること、港湾局所有の土地(百道浜中学校用地など、中央埠頭コンベンション施設用地、香椎パークポート)が計画通り売れることである。市工区は未だ購入済みは2社、1社が予定という状況で売れる見通しはない。市の調査でも企業は土地保有の志向がないことは明らかになっており、与党議員から売却ではなく賃貸も検討してはどうかという質問も出されている。また、中央埠頭や百道浜の一部は市の施設用地であり、所管替えで事実上税金が投入される。香椎パークポートは平成8年から販売しているが未だ売れ残っている。博多港開発第2工区も計画通りに売れる見込みがなく、港湾整備特別会計は破綻の可能性が高い。
 福岡市は、港湾整備事業特別会計の健全化のために、事業を平準化してするとして、市工区第4工区を5年、第4工区を10年遅らせるとした。このことについても、与党議員から、本来港湾整備が人工島事業の軸でなかったのか、直轄化で権利を買い取ることで港湾整備が遅れるのは問題という批判が出ている。このことに市は、特別会計の健全性の確保と収支を勘案して港湾整備に支障がにように事業を進めるために関係省庁と協議を進めると苦しい答弁に終わっている。

4)国との調整はついていないのではないか
 福岡市は399億円の起債について、国には基本的に理解を得ていると考えていると答えている。共産党が総務省、国土交通省を訪問した話しによれば、夏以降福岡市は国との協議がなく、国も権利買い取りに疑問を持っているという。通常、総務省からの起債許可後に補正予算を出すことになっているが、起債許可申請が補正予算承認後という異常さが指摘された。市長が麻生総務大臣と会っており、密約が交わされているのではないかという指摘に、会ったことは認めている。国は起債の許可条件として、①一般会計と切り離された特別会計であること、②特別会計の健全性の確保、③博多港開発のあり方を挙げている。いずれにしても、既成事実を積み上げて、無理矢理許可させようとしている。

5)銀行の融資条件は緩和したのか、100億円の緊急貸付枠が残っている
 与党議員から399億円で権利を買い取ることで、博多港開発の債務の半分以上が返済されることになり、事業のリスクも大幅に軽減されるのにどうして100億円円の緊急貸付枠が残っているのかという質問が相次いで出された。福岡市は融資条件を随意返済に変更しており、博多港開発に融資をしてもらうために必要と答えている。しかし、銀行は融資に当たり、売り上げ目標を設定しており、目標に達しないときは再度協議するとして依然厳しい条件であることは同じである。随意返済になったとわ言え、事実上土地張り付き約定返済と同じようなもので、再び緊急貸付を生じるのでないかという懸念も出されている。

6)博多港発を会社精算すべき
 与野党問わず多くの議員が博多港開発のあり方について、博多港開発が事故の信用で融資を受けられない問いことは破綻していることではないかということで清算を求めた。清算を求める理由は、与党議員からは①こういう事態になったのは会社の経営責任である、②直轄化で銀行のリスクはなくなるので存在理由がない、③福岡市が一方的にリスクを負うことはおかしい、もともと反対してきた議員からは、会社精算して銀行、市長、株主の責任を明らかにすべきと清算を求めた。福岡市は会社精算すれば地域の金融危機感、地域の経済界に迷惑をかける、地域経済に打撃を与える、経済効果がなくなるとし、まだ埋立事業が続くので、港づくり・街づくりに向けて博多港開発と福岡市で役割分担をする、事業縮小にともない大幅に人員削減すると答えている。平成17年度には博多港開発の経営診断をしてあり方を決めると答えた。
 与党議員から、このままでは市民が納得を受けられない、早急に会社精算も選択手に入れてあり方を決めるべきという質問に、年内には方向を決めると市長は答えた。

7)399億円は銀行救済ではないか
 399億円について、福岡市はこれまで埋立に要した費用であると答えているが、この額に多くの疑問が出されている。通常倒産した会社の資産は低下では処分されない。今後埋めて地が売れるのかリスクを抱えているのに市の販売価格で購入することはおかしい、また金利の負担についても福岡市の金利と博多港開発の金利差は博多港開発が負うべきであるなど指摘された。

8)1月23日の博多港開発の免許伸長許可と直轄化との整合性がない
 そもそも2002年の新家育児点で人工島事業は破綻していたことは明らかであり、1月23日時点で、福岡市から87億円の緊急貸付を受けざるを得ない事態になっていたにもかかわらず、免許伸長を許可したことは違法行為である。このことについて福岡市は免許伸長許可後、一段と金融情勢が厳しくなった目直轄化せざるを得なくなったとしている。しかし、事業能力があるとした直後に直轄化することはどう考えても説得力はない。しかしこの問いには金融情勢が一段と厳しくなったとしか答えず、見通しが甘かっただけのことで、事業が破綻していることに他ならない。

9)これまで税金は使わないと言ってきたことに対する責任
 山崎市長が1998年市長に当選し、翌年大型プロジェクトの見直しをした。その結果人工島事業は埋立期間を延ばせば従来通りの計画で黒字になるとした。既にそのとき日本興業銀行はこのまま事業を続けると100億円の赤字になり、福岡市の損失補償がない限り融資できないといっていた。その後新生銀行、鹿児島銀行、あおぞら銀行が融資をやめ、点検後2年も経たないうちに銀行の圧力で新計画を作り厳しい融資条件をのまざるを得なかった。さらに2年も経たないうちに直轄化と、全面的に税金を投入することになった。「税金は使わない、市民には迷惑をかけない」と言ってきたことに対する責任、2年も経たないうちに計画が次々を変更させる、このことに対する市長の責任を問われて、市長は計画変更は状況に適時対応したのであり、事業を続けることが市長の責任と居直っている。

 この議案質疑でも博多港開発が破綻していることは明らかとなった。銀行団の姿勢は以前変わらず、福岡市の保障がない限り融資しない姿勢である。埋立権利の買い取り価格399億円も、銀行救済のためであり、市民へ借金を肩代わりさせるものである。市長は社会状況・経済状況の変化を無視し、事業を続け、市民に負担を強いていることについて一切反省がない。誰も責任を取ろうとしていない。