9月議会報告

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9月議案質疑
2005年9月21日(水)
 9月議会の主な議案は、議員に関する政治倫理条例改正に伴う市長の政治倫理条例の改正案、福岡市老人医療費助成条例の廃止、就学前児童の通院費の無料化、葬祭場の買い取り、一般会計補正予算として警固断層再評価や水食糧備蓄などの震災対策関連の費用、焼却炉の解体撤去費用、学校施設のアスベスト使用調査の費用および人工島内の都市計画道路用地購入費および整備費についてでした。
 市長の政治倫理条例改正は、自民党市議の企業からの迂回献金問題から6月議会において議員の政治倫理条例改正がなされてことを受けて改正しました。市長個人だけでなく後援会等においても疑念をもたれる寄付を受けないという条項を加えるものです。
 福岡市老人医療費助成条例廃止は、一定の所得以下の67才から69才までの高齢者に対して70才以上の高齢者医療費負担と同じになるように医療費を補助していたものを廃止するものです。対象者は135,000人、助成額は11億5千万円です。3年間の経過措置を設けて順次廃止するというものです。これは、就学前児童の通院費無料化と抱き合わせで、新規事業費捻出のために廃止するものです。国の三位一体の改革など地方財政が厳しくなる中、人工島やオリンピック招致など大型開発に費用を投じる一方、市民に必要な事業を切り捨てています。この措置により、必要な受診が出来なくなる方も考えられます。私は、年金の削減、介護保険の負担増など高齢者への負担が増しており、無駄遣いをやめずに市民にしわ寄せする今回の議案に反対して質問をしました。
 今回の補正予算は東部処理場における新焼却施設建設に伴う旧東部工場と第二工場の撤去にかかるものです。本議案はそのうち初年度事業費として煙突の撤去費1億2,600万円余、平成18年度、19年度で本体を解体するとし、約25億円を予定しています。廃棄物処理撤去は廃棄物処理施設、いわゆる焼却炉建設と一体のものであり、焼却炉建設はごみ政策の結果です。福岡市のごみ政策の誤りが、いかに市民に経済的損失と環境汚染のリスクを負わせていることから、ごみ処理有料化ではなく容器包装の分別収集など有効なごみ減量策と、焼却場削減を求めて質問しました。福岡市はごみ処理有料化で平成27年には平成14年比10%のごみ削減する、定期的に点検し確実に減らすと答えていますが、本当に減るのか疑問です。またゴミが減れば焼却場をこれ以上作る必要がないはずですが、南部清掃工場建て替えなど従来通り建設すると答えています。ごみ政策変更をこれからも求めていきます。
アスベスト対策について、学校施設だけでなく他の公共施設や民間施設についての調査と対策について質問しました。今回の補正予算は今年8月文科省の指示による平成8年度以前に施工された学校施設等における吹きつけアスベスト使用実態調査です。アスベストは吹きつけだけでなく、アスベストを含む建材の問題があります。市は建材については通常の状態では飛散しないとしており、今回の調査対象外と答えています。改築や解体時に含有について調査し対策するとしています。民間事業者や市民からの相談窓口を設けて対応しているということです。その他の公共施設における吹きつけアスベストの調査については調査中であり11月をめどにまとめるとしています。民間施設については一定規模の事業者、約6千棟については報告義務があり現在調査中、同じく11月をめどにとりまとめを行うとしています。これらの調査結果をふまえ、国棟の動向をふまえて各局で構成する福岡市アスベスト対策連絡協議会で集約し対策を取るということです。問題は公共施設のにおける吹きつけアスベスト以外のアスベストについては解体時などに含有調査を行い対策を取るとして現時点での調査をしていないこと、また民間の対象外の施設や個人住宅などの対策については相談窓口を紹介し相談に応じるとしていますが、充分な対策がとれているのか疑念が残ります。
 他の議員から一般会計補正案における人工島の都市計画道路用地取得費と道路整備費の補正案に関連して、①市長が99年に人工島の見直しを行ったときに博多港開発社員が200億円の赤字になるとしたことを2度書き直させ40億円の黒字に改ざんさせた問題、②01年3月に融資を渋る日本興業銀行と融資団幹事行の福岡銀行に損失保証する念書を書いていたこと、③同年8月20日に銀行団と博多港開発が交わした協定書に念書と同じく市が損失保証を約束する内容と市長の立ち会いによって協定書の内容を担保することが記載されていることについて質問がなされました。この件については私も含め一般質問で3名が諮問しましたので、別途この問題についてはまとめて報告します。

9月議会一般質問
2005年9月27日(火)
 9月議会での一般質問では、市長が銀行に債務保証をする念書を書いた問題に関する質問、オリンピック招致に関する質問、アスベスト対策に関する質問が複数の議員から質問がなされました。私は、①DV被害者支援策について、②市長が銀行に債務保証する念書を書いた問題について、③人工島の土壌汚染について、④オリンピック招致について質問しました。

1、DV被害者支援について
第1問
 DV被害者への支援として、相談体制や自立支援策を整備していると質問に答えています。しかし、現場では必ずしも被害者の立場での相談を受ける実態となっていません。DV被害者の就職支度のために母子福祉政策での貸付制度を適用出来るにもかかわらず、現場ではそのような制度はないと被害者に対して親身な相談に応じていません。DV被害者に立ちする現場での対応の悪さについて指導を徹底することと、DV被害者の支援策として生活自立支援の貸付制度を制度化するように要望しました。

2、市長が銀行への損失保証をした念書および情報公開について
 2002年3月に市長が福岡銀行および日本興業銀行煮出した念書には「万一、経営困難な事態を招いたときは、本市の責任において本事業を遂行し、貴行に損害を与えないことを約束します。」ついて
①「本市の責任において本事業を遂行する」とは具体的に誰がどのようにするということなのか、②「貴行に損害を与えないとを約束します」は具体的に誰が誰に何を約束したのか、質問しました。しかし、この問いには答えず、念書は債務保証ではなく市の姿勢を示したもので、法的な拘束力はないという回答を繰り返しました。
 次に協定書に「銀行に返済が滞らないように責任もって管理、監督する。博多港開発が経営困難になった祭には市が事業の継承に努力する。」という文言の主語は福岡市ではないか、また協定書になぜ入れられているのか質問しました。市は協定書は銀行と博多港開発との貸し付け条件をめぐるもので、福岡市は当事者ではなく関係ない、またなぜ福岡市が責任を持つような文章が入ったのか博多港開発に聞いたが分からないと無責任な答弁をしました。
 続いて、商法第260条の4第6項に議事録の閲覧又は謄写の請求は「株主がその権利を行使する必要があるとき」と合理的な必要性があり、「裁判所の許可を得ること」が出来ればよいことになっており、博多港開発の取締役会会議録および取締役会に出された資料、博多港開発と銀行団との協定書等について、市民や議会が求めているのになぜ筆頭株主の福岡市として開示の手続きをしないか質問をしました。市は協定書は金利等の企業秘密があるので公開出来ないと博多港開発が言っている、また会議録等は経営にかかわる機密があるので会社の運営に不利益を与えかねないことから開示出来ないと博多港開発が言っていると、あたかも福岡市は関係がないような答弁を繰り返しました。
 他の議員の質問でも、同じように念書は具体的な金額を明示しておらず債務保証ではないの「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」に違反していないし、地方自治法にも違反してないと答えています。しかし、経過を追ってみれば福岡市が債務保証をしていることは明らかです。新生銀行、あおぞら銀行、鹿児島銀行が融資を取りやめ、日本興業銀行が融資を拒んでいる状況で2003年3月に念書が書かれ、同年8月20日に市長の立ち会いで協定書が交わされ、その協定書には市長が立ち会うことで福岡市の署名捺印がなくて模試が債務保証していることを確認すという文章が書かれています。この協定書に基づき「新事業計画」が作られ同年12月28日に銀行と福岡市は合意に達しました。そして、土地張り付き約定返済による土地処分と売れない土地は福岡市が買い取る、道路の整備を公共事業として福岡市が行う、家が建ってもいないところに学校用地を買う、200億円の緊急貸付枠の予算化とこの貸付枠から87億円を博多港開発へ緊急貸付、396億円での博多港開発直轄化、そして子ども病と市民病院を統合して人工島への移転、これら全て市長の念書によるものです。
 総務省の「第三セクターに対する指針」では市長が第三セクターへ損失保証をしないこと、議会への十分な説明と住民への情報公開をするように指示しています。ところが、議会へ説明もなければ情報公開もしようとしない姿勢が今回の質問で改めて明らかになりました。総務省の第三セクターに対する指針の趣旨の違反するだけでなく、「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」に違反し、債務負担行為については議会の承認が必要とする地方自治法にも違反しています。福岡市は博多港開発の51%の出資をしており、福岡市の港湾局長が取締役であり、社長は市の前港湾局長が勤め、市の政策に基づいて事業を進めています。まさに市の支配下にあり、自治法でも議会の調査権が及ぶにもかかわらず、情報公開をしないことは、議会を軽視し、市民を愚弄するものです。私を含め質問に立った議員は議長に真相解明のために特別委員会開催を求めました。市長のウソで塗り固めた人工島事業の真相解明を是非とも進めなければなりません。子ども病院を人工島に移転させることを食い止めましょう。

3、人工島土壌問題について
第1問
 8月19日に調査結果が出された2回目の人工島土壌調査について質問しました。この調査では、住宅ゾーン5ヶ所の内4ヶ所、アジアビジネスゾーン3ヶ所全て、医療福祉ゾーン7ヶ所の内4ヶ所から土壌汚染対策法の基準を超えるヒ素が検出しています。このように広範囲に土壌汚染対策法の基準を上回るヒ素が検出されており、予防原則の考えから、土を入れ替える、覆土するなど何らかの措置を執るように求めました。しかし市は、この程度のヒ素を含む土壌はどこに出もあることや自然由来である、また地下水は使わないとして対処する必要がないと答えています。しかし、ほこりをすったり皮膚に付着し吸収されるおそれがあり、乳幼児に対する影響は大人より格段に大きいこと、長期に亘り微量でも摂取し続けることの影響等考えれば問題です。また住宅ゾーンには含有テストで29mg/kgの土壌もあり、このような土壌は基準以下とはいえ普通に存在する土壌ではありません。ずれにしてもリスクを負うのは購入者であり、利用者で会う。特に乳幼児への健康被害については予防原則に則り慎重に対処すべきで、住宅購入者や施設利用者にキチンと情報を伝えるように求めました。市は土地処分しか考えておらず、予防原則による慎重なる回避という安全性の認識が欠落しています。

4、オリンピック招致について
第1問
 先日の質疑において、ヒューマンサイズのオリンピック、既存施設を活用すると応えたものの、具体的な構想、招致にかかる費用、市が想定する事業費の見込みおよび市の負担額については答えていません。改めて具体的構想および招致の経費、事業費等市の負担について説明を求めるとともに、答えられなければなぜ答えられないのか説明を求めました。これについて市は、出来るだけ既存の施設や仮説施設を活用し出来るだけ経費がかからないようにするとし、具体的な経費については今後大会開催概要計画書を作成する中で精査すると答えました。また招致の費用は国内候補地となる経費は計画策定などの事務経費が大半で多くの経費はかからない、国内候補地になった後の国際オリンピック協会での投票に向けての経費は他都市の事例を参考に出来るだけ経費がからにようにすると答えています。
 福岡市の借金は2兆6800億円、市民一人当たり197万円です。どれだけの負担が必要なのか市財政に与える影響について市民に説明しなくて本当に市民的合意がとれると考えているのか、事業計画を明らかにしないまま夢だけを示して招致を進めることは無責任ではないか、という重ねての問いに早急に検討委員会を立ち上げ、幅広く市民の声を聞いて計画を策定するとしています。
 大阪市の場合は招致だけで約48億円かかっています。既存施設や仮説の施設を活用するとしても、7万人のメインスタジアムを作る費用だけでも500億円はかかると見られており多額の費用がかかることは明かです。オリンピック招致は人工島の土地処分のための思いつきで、市長の三選のためのパフォーマンスで招致にかかる費用だけが無駄遣いになるのではないかと考えます。

2005年9月28日(水)、29日(木)
28日(水):消防局、都市整備局
1、消防局
 消防局の議案は法の改正に伴い福岡市防火条例の一部改正であった。ボイラーの遮熱材として「石綿」が使用禁止になったことによる改正、および出力10kw未満の内燃機関を原動力とする発電機が増えたことから安全性が高い発電機の設置場所と建造物との位置緩和、燃料電池が非常用電源として認められたことなどの改正であった。

2、都市整備局
 今回の補正は東区香椎操車場跡地土地区画整理事業における公園整備負担金と、同じく東区御島崎緑地保全地区購入の追加の補正である。いずれも国の補助額が確定したための補正となっている。
 香椎副都心における1㌶の都市公園である。位置は西鉄千早駅前の北側部分である。事業者の都市整備公団が造成するが、市が公園整備をする。市は受益者負担として5800㎡分の地価相当6億9300万円を負担し、平成19年~20年掛けて公園整備を行う。整備費は2億円。今回の予算は負担金のうち、3600万円の補正であった。うち国の補助額は1200万円である。
 御島崎緑地保全事業は昨年市民の請願により市が用地取得することになったもので、今回は3億円の補正がなされた。そのうち国の補助額は1億円である。

 審査後、11月2日開催予定の都市計画審議会附議案についての説明がなされた。附議案は、春吉再開発地区の渡辺通隣接部分を用途変更と高度利用地区に変更し、指定区域の容積率を600から650にするというものである。これに伴い指定区域を準防火地区に改める。もう一つの議案は渡辺通2丁目にある九電ビルの建て替えに伴い地区計画を決定すると鋳物である。公開空地や歩道など公共空間を配置し、緑被率20%を初めて指定する。同時に容積率を600%から700%に上げることになっている。
 いずれの議案にあいても、福岡市の将来の都市像をどのようにイメージしているのか全く見えない。都市景観が都市の価値を高める。都市景観法は将来の都市景観形成に向けて、さまざま直り組が可能になっているが、継ぎ接ぎだらけの地区計画決定のあり方は、本質的な問題があることを指摘した。

29日(木):建築局
 今回の議案は、東区勝馬地区の急傾斜地崩壊対策事業に対する市の負担金の補正、民間共同住宅の耐震診断の補助事業と耐震診断を進めるための出前講座の補正予算、天神地区のビル建て替えに伴う地区計画を条例化、市営住宅建て替えに伴う名称変更、市営住宅の管理を福岡市住宅供給公社を指定管理者に指定する議案である。
 共同住宅の耐震診断は市2/3を補助するというもので、総予算600万円、申し込み戸数100戸(2~3棟)を予定している。国の制度は、地域住宅交付金制度と住宅建築物耐震改修制度があり、今回は年度途中と言うことで地域住宅整備交付金を利用することとなった。地域住宅整備交付金は本人1/3、市2/3、市の補助の45%を補助である。住宅建築物耐震改修制度は本人1/3、市1/3、国1/3負担となっている。次年度以降は住宅建築物耐震改修制度を利用し、予算も増やすとのことである。神戸市では耐震診断の市民負担は1割であり、集合住宅ではまとまるのに時間がかかることもあり、助成を増やすように求めたが、国の施策を活用するという回答にとどまっている。出前講座の経費は職員の残業代として30万円、25回分ということである。
 戸建て住宅については県が耐震診断の助成を行っており、県と市で事業の分担を協議していると言うことである。県の制度は市民が3膳の負担をし、県に登録しているアドバイザーを派遣する問いことである。診断内容は、簡易診断、一般診断、精密診断のうち、一般診断と言うことである。
 均的な耐震改修費用は170万円ていどということで、耐震診断だけでなく耐震改修の助成が求められた。
 市営住宅の管理について市の住宅供給公社を指定管理者に指定することに関して、他の議員から公募すべきという意見が出された。私は市の責任を明確にするために、市営住宅の管理は市直営にすべきと意見を述べた。指定管理者制度は民間に委託することで経費削減を図るというものであるが、公的住宅は行政が責任を持つべきであり、公営住宅法も変わり、県営住宅等もまとめて管理出来ることから、市が公営住宅を一括管理する方が合理的である。日常業務は指定管理者に委託しても外部発注になることを考えれば、直営とし支障ない部分は外注すればよい。これについて、直営にすると小規模な緊急を要する補修などは自治法に制約されて小回りが出来なくなると答えているが、一定規模の支出についての専決処分をするなどの解決出来る手だてを打たない限り、行政の非効率は改善出来ない。出来ない口実を考えるのではなく、どうすれば出来るのかを考えるべきである。
 

30日(金)
 各常任委員会が審査結果を宝庫の後、共産党市議団、ふくおかネットワーク、平成会、私が反対討論をおこない議案の採決をした。

反対討論
 私は議案第262号、議案第266号、議案第267号、議案第271号、議案第276号ないし278号に反対し討論を行います。
 まず議案第262号福岡市一般会計補正予算案のうち人工島関連の予算について反対討論を行います。この補正予算案は人工島の都市計画道路の用地購入と道路建設にかかるものです。そもそも人工島における道路の建設は開発者である博多港開発が整備し市に寄付することになっていました。ところが、博多港開発の事業見通しが立たなくなり、銀行団の中に融資を渋る銀行が出るに至り、融資継続のために銀行団に損失保証を行うとともに、損失保証を履行するために福岡市は事業に直しを行い新計画なるものを2001年12月28日に銀行と合意するに至りました。今回の補正予算による道路用地取得費と道路整備費はこの新計画に基づき損失保証履行の一環として博多港開発の救済のために道路整備を肩代わりするものです。
 山崎市長は1998年の市長選挙では「引き返す勇気を持って見直しを置こう」と公約し、市長に当選しました。1999年には10大プロジェクトの見直しを行い、人工島は従来通りの事業を続けても40億円の黒字になるとしました。しかし、ケヤキ庭石裁判では、博多港開発の職員が当初200億円の赤字になるとしたにもかかわらず、2回修正させ、40億円の黒字に書き換えさせたことが明らかになっています。市長は見直しした時点から事業計画を続けるつもりであったと言っており、見直し当初から市民を騙し続けていたのです。この市民を騙す行為はその後も繰り返されています。
 見直しが行われた翌年2000年3月には、日本興業銀行はこのまま事業を進めると100億円の赤字になるとして融資を拒んでいます。その後、新生銀鯉、あおぞら銀行、鹿児島銀行が融資をやめ、平成13年3月には山崎市長は日本興業銀行と融資団幹事社の福岡銀行に対して「万一、(博多港開発が)経営困難な事態を招いたときには、本市の責任において本事業を遂行し、貴行に損害を与えないことを確約します。」 と損失保証の念書を書きました。この念書を基に、8月20日に融資銀行団と博多港開発は協定書を交わし、市長が立会することで、協定書に記載されている「銀行に返済が滞らないように責任もって管理、監督する。博多港開発が経営困難になった際には市が事業の承継に努力する。」という市の損失保証を確認しました。この協定書に基づき人工島の「新事業計画」が策定され、2001年12月28日に銀行団と福岡市は合意に至っています。この「新事業計画」こそがまさに損失保証の中身であり、その後次々と実施されました。福岡市による30億円の増資、博多港開発への緊急貸付枠として200億円の予算化、売れない土地を福岡市が買い取り必要がない公園が造られ、道路は公共事業となり、家も建っていない、人も住んでいないところに学校用地が買われ、最終的には第2工区を直轄化するという無駄な税金がつぎ込まれたのです。今年2月に議決され396億円もの支出がなされた人工島直轄化は、2001年3月に市長が念書を書いた時から日程に上っていたのです。このことは議会にも市民にも何の説明もなく進められ、ケヤキ庭石事件で事実が明らかになりました。そして、この念書に記載されている損失保証はすでに終わったわけではなく、売れない土地を市が買い取るために子ども病院・市民病院を統合され人工島に移転させる計画がいま進められています。今回の道路用地買収と整備はこの債務保証の一環です。
 市長は「万一、(博多港開発が)経営困難な事態を招いたときには、本市の責任において本事業を遂行し、貴行に損害を与えないことを確約します。」という念書は債務保証ではないと言っていますが、新事業計画の実施状況を見れば明らかに債務保証です。第三者である福岡市が責任を伴う文章が入るはずがないという銀行と博多港開発の融資条件を決める協定書に、なぜ市の責任を伴う文言が入っているのでしょうか。港湾局は分からないと言っていますが、分からないと平然と言ってのける港湾局、そしてそれを容認する市長の責任は重大です。文章が存在する事実がある限り、真実はあるのです。協定書に市の責任を伴う文言が入っていることは、明らかに市長以下市幹部の合意のもと書かれたものであり、念書が損失保証であるを裏付けているのです。市が第三セクターに損失保証することは「法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律」に違反するとともに、地方自治法の債務負担行為については議会の承認を得なければならないことになっており、地方自治法にも違反することになります。総務省の第三セクター指針では、第三セクターの経営については議会に十分説明し、市民にも情報公開することを求めており、この趣旨にも反しています。市長はまさに市民および議会を騙し続けています。市長以下福岡市が情報公開を拒み、事実を明らかにしないいま、真相解明のための特別委員会設置がが必要です。議長に特別委員会設置を重ねて求めます。
 ウソに塗り固められ、無駄な税金を投じ続ける本議案に反対するとともに、市長が博多港開発に関する全ての情報を公開し、事実を議会と市民に説明すことを求めます。

 次に議案第271号福岡市老人医療助成条例を廃止する条例案は長寿により高齢者の位置づけが変わった、介護保険の充実などが進んでいることなどを理由に、今後健康づくりになどに力を入れていくとして、助成を打ち切るというものです。しかし、助成廃止の背景には医療の膨張と国・地方自治体の財政悪化があり、医療のあり方や税金の無駄遣いを見直さずに、高齢者に負担を求めるもので、許されるものではありません。健康づくりを進めることと助成を打ち切ることは無関係であり、人工島やオリンピック招致など税金の無駄遣いをやめれば助成を続けることは出来ます。年金が削減され、介護保険料も引き上げられ、医療負担も引き上げられる、、更に消費税の引き上げが政治日程に上る中、老人医療費助成廃止は、高齢者の生活をいっそう苦しくすることになります。国の「三位一体の改革」によって国の失政のツケが地方に回される中、本市は千穂自治を確立するために財源の確保を国に強く求めるとともに、国のいいなりになるのではなく市民に対して福祉の充実を図る責任を果たさすことが求められています。いまこそ税金の使い方が問われています。よって、福岡市老人医療助成条例を廃止する条例案について反対するものです。

 続いて議案278号葬祭場取得について反対討論をします。そもそも、葬祭場建設は歴史的価値ある建造物を壊し、過大な計画によって無駄な施設を作る、更に53億円という多額な契約にもかかわらず「くらしにの環境財団」という第三セクターを隠れ蓑にして特命随意契約をするという極めて問題がある事業です。葬祭場が完成し、事実上福岡市が買い取らざるを得ない状況にありますが、既成事実の上に問題ある事業を認めさせるというこの手法は納得出来るものではありません。なぜ歴史的価値ある建造物を残そうとしなかったのか、なぜ過大な計画を立てたのか、なぜ特命随意契約をしたのか、なぜ「くらしの環境財団 」を使って事業を進めるのか、多くの疑問は何一つ明らかにされていません。よってこの議案に反対するものです。

 最後に、一般会計補正予算案の内廃棄物処理施設に関する補正予算について、この議案については反対するものではありませんが以下意見を述べます。
 焼却場の解体には多額な費用とダイオキシンを焼却場周辺へ飛散させる恐れ、作業員の健康問題、廃棄物の処理と環境へ大きなリスクを伴います。このように焼却場建設は多大な建設費、運転コスト、さらには解体のコスト、焼却によるダイオキシンの生産と環境への飛散、解体時の環境への負荷を考えれば、焼却場建設は抑制されなければなりません。福岡市の焼却施設は既に過剰となっており、ごみ減量を進めるとしている今日、焼却場は削減すべきです。加えて、ごみ処理有料化はごみ減量につながりません。容器包装を分別収集し、事業者に回収責任を取らせるなど事業者責任を明確にして実効あるごみ減量に取り組み、焼却場削減することを求めます。併せて、地方自治法違反でありごみ減量につながらないごみ処理有料化中止を求めます。
 以上を持って反対討論を終わります。

 この後、請願の採決、意見書の採択が行われ、最後にオリンピック招致に関する意見書の採決になった。決議案は、自民、公明、みらい福岡、民主・市民、社民市政クラブの提案で出された。共産党市議団、ふくおかネットワーク、私が反対討論を行った。採決は賛成多数で採択されたが、市民間、議会でも議論がないまま招致に動くことは大きな問題を残すことになった。

第31回オリンピック競技大会の招致に関する決議案に反対する討論

 今議会で提案されている第31回オリンピック競技大会の招致に関する決議案に反対して討論を行います。
 9月議会において、オリンピックを福岡市に招致する意味がどれだけあるのかまた、福岡市の財政状況でオリンピック開催可能な状況なのかが問われました。しかし、オリンピック招致にかかる費用、オリンピックのためにインフラ整備など具体的な計画は提示されないままに「夢と希望」という漠然とした雰囲気で招致が進められようとしています。オリンピックが好き否かを問えば多くの市民は「オリンピックは好きだ、夢がある」と答えるかもしれません。しかし、いたい何のために、誰のためにオリンピックが開かれるのか、冷静に考える必要があります。
 国・地方の長期債務は平成17年度末で774兆円、その他の債務を加えれば1000兆円を超えると言われています。国は借金のツケを地方に回し、交付税等の削減を進め、地方財政は一段と厳しくなっています。福岡市も起算残高は2兆6800億円、今年度は償還の関係でわずかに前年度よりも減ったとはいえ今後も借金は増え続けていきます。交付税を減らす口実として国は地方に過払いを具体的に示すことで、地方自治体の地域に合わせた福祉や独自の施策についてまで口を挟み、住民へのサービス削減を進めています。福岡市も敬老祝い金の削減や敬老パスの削減、老人医療助成を廃止、介護保険の負担増、公立保育園の民営化、留守家庭子ども会の父母負担増など、市民への負担増とサービスを低下させています。その一方では、破綻した人工島事業では銀行に対して損失保証し、際限なく税金をつぎ込み続けていきます。銀行に損をさせないという約束を履行するために、計画にない公園を造り、家も建っていないところに学校用地を買い、第二工区を396億円でもって直轄化しました。さらに、積水ハウスの住宅販売促進のために緑化フェアを企画し市費30億円を投入する、そして市民や子どものためではなく銀行との約束を履行するために子ども病院と市民病院を統合し人工島に移転する、まさに誰のために事業なのか、ゼネコンと銀行のために事業でしかありません。この無駄な公共事業に多額な税金をつぎ込み続け財政悪化が進む中、更に追い打ちを掛けるようにオリンピックを招致すると言うことが許されるでしょうか。
 多くの市民はオリンピックに夢を感じるかもしれません。しかし、オリンピック招致だけでも大阪市の場合は約48億円と多額の費用がかかっています。市は出来るだけ既存の施設を活用するとしていますが、7万人収容のメインスタジアムと室内競技場建設、選手村の建設は必要としています。メインスタジアム建設には約500億円、室内競技場も一ヶ所60億円程度はかかる、選手村も大阪市の例では1100億円かかるといわれています。それだけでは済みません。メインスタジアムを博多の森に作られれば新たな交通手段が求められ、地下鉄延伸も指摘されています。開催に要するさまざまな費用等入れれば莫大な費用が必要であり、国の補助があったとしても国民負担には変わりがなく、福岡市財政への影響も決して小さなものではないことは誰の目でも明らかです。オリンピック終了後の施設の維持管理も問題です。警備の問題も市民生活に与える影響は決して小さくはありません。また新たな土木事業は自然破壊と交通渋滞を産みだし環境を悪化させます。
 このような多額の費用を掛け、市民にさまざまな負担を強いて一体誰のためにオリンピックをするのでしょうか。「夢と希望」のためにだけにそのしわ寄せが市民生活に深く及ぶことを市民は望んでいるのでしょうか。土建業者や銀行などのためにオリンピック招致をするべきではありません。このような費用があれば教育や福祉充実に当てるべきであり、都市のあり方について発想を大きく転換すべきです。巨大なイベントを招致し、無駄な公共事業を続けることが都市の発展といえるのでしょうか。既に土木建設業の経済波及効果は教育や福祉に比べて少ないことは明らかとなっています。サービス業についても17日間の経済効果と市民の負担とが釣り合うでしょうか。見せかけの経済効果と引き替えに教育や福祉の低下と環境破壊を繰り返すことはそろそろやめなければなりません。文化と伝統が息づく街、自然豊かな落ち着いた安心して暮らせるスローな都市に脱皮させるべきです。
 まだ市民の間、そして議会でも充分な議論がなされないままにオリンピック招致が進もうとしていることは異常な状況です。市長のパフォーマンスのために多額な税金が無駄遣いされることは許されません。よってこの決議案に反対します。