決算特別委員会報告

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 遅くなりましたが決算特別委員会総会の報告をします。

2005年10月18日(火)~11月1日(火)
総会質疑から主なものを報告する。
1、財政問題とオリンピック誘致に関して
 景気が回復し法人市民税等が若干増えたとはいえ、医療費や生活保護費など扶助費は伸び続けており、国の三位一体の改革で交付税・補助金の削減が今後も続くことから、財政状況は今後も厳しいことが重ねて明らかになっている。このような財政状況でオリンピック招致について財政上の危惧が与党会派からも指摘された。
 具体的にはユニバーシアードの例を挙げ、平成6年のユニバーシアード開催を機に多額の起債がなされている事実、またユニバーシアードのための施設整備とその後の利用状況について質疑がなされた。まず、ユニバーシアードのための施設建設は
 博多の森球技場     105億円
 博多の森テニス場改修   60億円
 博多の森陸上強議場改修  15億円
計  180億円
       (国の補助6億円、県補助3億円、市債132億円、一般会計29億円)

 マリンメッセ      297億円(市債206億円、一般会計91億円)
  
 西市民プール       96億円
 早良体育館        33億円
 西市民体育館 24億円
         計   153億円
       (国の補助7億円、市債87億円、一般会計59億円)

 これらの施設は博多の森球技場を除いてランニングコストは黒字となっているが、建設費等の消却はできてない。施設の性格上やむ得ないにしても、この負担が市民にとって納得できるかが問題である。オリンピック開催するにはに指定された規格の競技場が必要である。7万人のメインスタジアムは博多の森に建設予定とされているが建設費約500億円、更に会場へのアクセスを確保するためには現在の道路1本では難しいと考えられ、地下鉄延伸すれば建設約300億円、選手村を建設するとなれば約1100億円といわれている。ユニバーシアードでは愛宕浜の集合住宅を選手村にし、その後住宅として販売することで経費削減した。今回も同じ事を考えているようであるが、逆に言えば2016年ないし2020年まで人工島の土地利用がないということを想定していると言うことである。

 次にユニバーシアードを機に福岡市の起債が増え、それが今日の財政に大きく負担になっていることである。起債額の推移は
 平成4年    581億円
 平成5年    998億円
 平成6年   1349億円
 平成7年   1195億円
 平成8年   1195億円
と急激に市債発効がされ、借金が急激に増えている。当時の景気対策による追加の公共事業によるものもあり、後年度の財政負担が大きくなった。オリンピック招致についても、将来の世代に負担を残す可能性について指摘された。市長はヒューマンスケールのオリンピックを目指すとしているが、どれだけ財政負担を生じるのか市民に示し、市民的合意を得て招致すべきである。

2、サンピア博多の民事再生について
 福岡市が5%出資する第三セクター(株)サンピア博多が9月13日に民事調停(破産)を裁判所に申し立てをした。直接的にはベイサイドプレスで温浴施設を経営していた(株)ベイサイドシティが今年6月11日に破産手続きに入ったことによる。負債額は39億円よ、そのうち福岡市の負債は出資金2千万円と貸付金約3億4千万円計3億6千万円余である。福岡市の負債が放棄することになれば、これは市民負担となる。
 ベイサイドプレの利用状況は開業した
              平成3年         平成16年
 ベイサイドプレス    416万人         305万人
 第2ターミナル      35万人          47万人
 タワー          33万人          17万人
博多埠頭全体       484万人         369万人

旅客利用         134万人         135万人
        市内渡船  75万人 42万人
    壱岐・対馬・五島 59万人 81万人

 売り上げは平成7年7億1900万円をピークに毎年下がり続け、平成16年は5億円になっている。経費削減等で平成12年から15年までかろうじて数百万円の単年度黒字をあげるが累積赤字は膨らみ続け、(株)ベイサイドシティ破産によって債務超過が解消出来ないと判断され、民事再生に踏み切った。赤字が続いているにもかかわらず、社長の給与を平成15年、16年とあげたことについて委員会で批判が出ていた。

 決算特別委員会では出資比率が5%しかない福岡市貸しOBを社長としておくり続けたのか、市の責任が大きすぎるのではないか、また破産の原因は何かが問われた。社長に市OBをおくってきた理由として、出資比率10%の企業が4社、それ以外は5%以下で筆頭株主がいないこと、他株主からの要請があったことをあげている。また、ベイサイドプレスが旅客ターミナル機能を有し、親水性がありアミューズメントがある市民の利便性を有し、観光スポットとして福岡市にとって重要な施設としている。しかし、経営経験もない役人が殿様諸倍をしたといわれたも仕方がない。要は他の株主が福岡市にもたれかかり、福岡市は天下り先を作ったに過ぎない。破綻の原因についてもバブル経済の崩壊、周辺に大型商業施設ができたこと、長引く不況をあげているが、どこでも同じ状況である。委員からは、福岡市が収益事業をすべきでないという意見が合いついだ。今後新たなスポンサーが付くのを待つのみで、社長は整理がつくまで業務を続けるとしている。
 私は、サンピア博多の破綻は、経済状況もさることながら、構造的な問題が大きいと考えている。渡船場の利用状況を見ても、市内渡船利用者は半減している。市内渡船、特に志賀島渡船は2隻新造しているが利用は10%程度しかなく、博多湾の特性が生かされていない。志賀島・西戸崎へのアクセスを渡船を使う仕組みせず自動車優先にしたために、渡船利用者が劇減し、ベイサイドプレスの利用も減っている。また、ベイサイドプレスへのアクセスが悪い上に、ビートルの船着き場との連携が悪いことが拍車をかけている。加えて役人の殿様商売が致命傷となったと考える。

3、介護保険制度改定の影響
 介護保険の見直しが4月に行われ、介護認定と給付額の見直しなされ、利用者負担が増えた。続いて10月から特別養護老人ホームの居住費と食事代、ショートステイの滞在費と食事代、ディサービス、デイケアの食事代が利用者負担になる。特別養護老人ホームについては低所得者に対する減額措置があるが、課税所得が80万円を超えると負担が増える。特別養護老司ホームにおいて介護度5の場合、所得階層3段階(課税所得80万円から266万円以内)の人は多床室(相部屋)では4万円負担が5万5千円に、個室は7万~8万円負担が9万5銭円となる。所得階層第4段階(課税所得266万円以上)の人では、多床室(相部屋)で5万6千円の負担が8万1千円へ、個室の場合は9万7千円~10万7千円の負担が12万8千円に増額となる。既存の入居者には経過措置がとれれる事になっている。
 事業者への給付額も5%削減され、経営が厳しくなっており、補助制度によって事業者による軽減措置をすることができるようになっているが3/4程度しか実施されていない。市は全施設に指導すると言っているが、事業者負担もあるので、強力な指導が必要と思われる。
 介護保険の見直しにおいて、1点は事業者への支払額が削減されるため経営的に事業者の階層分離が進むのではないか、2点目は事業者が入居者を選別するのではないか、3点目には負担が重くなり利用出来ない又は利用を減らさざるを得なくなるのではないかと言うことである。事業者および、利用者に対する助成を求めたが、補助金から交付金に変わり、国の支出が半分ほどに削られており、厳しくなっていると所定の減額措置以上の助成策はしないとしている。
 また、特別養護老人ホームについて、毎年300人前後の収容施設を増やしているが、高齢化が進む現状で、年々待機者は増え続けている。平成17年現時点で4901名の待機者があるということであり、さらなる施設拡充が求められた。

4、遺伝子組み換え食品の安全性、特に菜種の種子に飛散防止について
 遺伝子組み換え食品の問題で、遺伝子組み換え植物が輸送中に飛散し、野生植物との交雑が始まっている問題が指摘された。遺伝子組み換えにより、新たな蛋白質が作られ、アレルギーの原因になったり、毒性を有するおそれが指摘されている。EUでは遺伝子組み換え食品は許可していない。安全性については不確かであり、日本では一部実験的にしか栽培されておらず、栽培を規制する自治体もある。
 博多港は輸入菜種の陸揚げ港で、全国10港の一つであり、九州では唯一の陸揚げ港となっている。菜種の種子が港湾区域や沿道沿い、一部河川などで飛散又は鳥によって運ばれ自生していることが確認されている。キャベツ、白菜、ブロッコリーなどカラシナ類は交雑しやすく、組み換えした遺伝子が拡散するおそれが指摘され、輸送中の飛散や鳥害対策が求められた。

5、青果市場の統合について
 青果市場の統合について、地元自民党議員から西部市場の統合反対の意見が出された。これまでの検討では西部市場は残すことで検討されていたにもかかわらず、3市場を統合するとなっていることについて質問がなされた。統合の理由は西部市場、東部市場は集荷量が減っており、国の取扱基準に満たなくなっていることから、独自の再整備の補助が受けられないこと、将来的にも展望がないことを理由にしている。しかし、西部市場はセリが多く、五十川の青果市場の卸価格より安いこと、九大移転等で人口が増えると見られること、移転すれば周辺の生産者の輸送コストがかかり場外流通が増え衛生面でも問題が出るのではないかと指摘した。しかし、市は将来性がないことをあげ統合する答えている。
 東部市場では既に統合に合意していると言うことであるが、西部市場ではまだ合意はとれていない。市は統合の方針を固めており、人工島に移転することを考えていることは間違いないようである。因みに、市場に出荷される農産物は残留農薬の検査が行われるが、市場外流通(物産館などの自家栽培の出荷物など)は検査はない。むしろこのことが問題と指摘していた。いずれのしても人工島ありきで、いろんなところに歪みが出てきている。

6、福北緊急導水連絡管について
 福北緊急導水連絡管については県議会でも問題になっていたが、福岡市が必要としているのか、北九州市の余った水を買うためのものではないかというということであった。福岡市の水の需給状況は、平均使用料は40万t/日、最大使用料45万t/日、造水能力は76.9万t/日である。渇水時の取水能力低下の危険率70%を掛けても造水能力は53.8万t/日であり、少々の渇水時でも心配はない。加えて必要がない渇水対策の五ヶ山ダム、大山ダムを建設しており、福北導水の必要はない。緊急導水は地震などの緊急時の使うとしているが、地震時には導水そのものが止まるおそれがある。地震は福岡市だけで起こるとは限らない。問題は通常でもサビ止めのために通水しなければならず、この水を誰が買うのか、建設費は200億円、これは県が負担するというが維持管理費は誰が負担するのか、議員の質問にはこれから協議と言うだけである。何のための緊急導水管を造るのか不明にしたまま建設だけを決めるとは、全く市長は何も考えていないどうしようもない無責任な市長としか言いようがない。

 私は、人工島直轄化など人工島事業の支出の正当性について先の10月4日のケヤキ裁判に関する質問をした。ケヤキ庭石裁判では、山崎市長が点検をし、黒字になると公表した平成11年12月の直後、平成12年3月に日本興業銀行が100億円の赤字となるので福岡市が損失保証をしなければ融資を品として融資を凍結した。同じ平成12年10月、福岡銀行は人工島の問題点として①人工島の土地処分は困難、②373億円の赤字になると福銀は判断をしていた。融資銀行14行のうち新生銀行など3行が融資をやめ、平成13年4月段階で残り11行のうち8行は予定されていた28億円の融資を凍結していた。当時の状況を博多港開発経理部長はこのままでは繋ぎ融資の延長もできず、新規融資もしたくてもできなくなる、危機的状況になる可能性があると報告している。更に、平成13年4月博多港開発経理部長が「博多港開発の資金は銀行に厳しくチェックされており、博多港開発は事実上銀行の管理下にある」と報告している。平成13年8月31日に融資団に博多港開発が9月に32億円の借り入れが必要と申し入れているが融資団には拒否され、地場3行が短期の繋ぎ融資でしのいでいる。
 港湾局長はこのような融資環境が厳しい状況であり、福銀等地場3行が短期の肩代わり融資をしていたことを認めつつも、最終的には融資が施行されたことを持って、事業そのものが問題ではなく、銀行の融資姿勢が企業の信用の基づくコーポレイトファイナンスから短期に利益を重視するプロジェクトファイナンスに変わったためとすり替えている。このこと事態が銀行は人工島事業が破綻し不良債権化するといると判断していることを示しており、特に鉄軌道が人工島に導入される見込みがないことから融資を拒否している。つまり、人工島事業は経済行為として採算性がないということである。
 平成13年11月、12月、政策投資銀行は福岡市の計画によほどのことがなければ融資難しいと行っており、また、同じく12月には福岡銀行も新事業計画は問題があると言っているとされていまる。日本政策銀行が融資団を離脱すれば融資団は崩壊し、事業がストップすると裁判で志岐被告は認めている。このような状況下で融資再開に当たり、密約があったのではないかと質問したが否定した。しかし、その後の状況見れば明かである。
 また、平成14年、新事業計画に基づく銀行団と博多港開発の協定書では、博多港開発の資産約600億円以内しか融資しないとしており、博多港開発の資産に根抵当権を設定、融資限度を超えるものについては福岡市が貸し付けするよう市の予算に200億円の貸付枠を設定させている。このことについてもあたかも博多港開発からきたとして、正確に説明しようとしない。
 以上のように、事実を明らかにしないため、市長に情報公開を重ねて求めるとともに、委員長に特別委員会設置を求めた。港湾局長は取締役会の資料を公開することは会社の機密も含まれており、銀行との信頼を損ね経営に支障をきたすので公開出来ないと答えているが、51%市が出資し市の政策で進めている事業であることから、そんな理由は通用しない。また、市長は裁判での検察の主張を議会持ち込むことは納得出来ないと答弁したが、それ裁判だけの問題ではなく福岡市の問題であり市長は答える責任がある。まさにウソで塗り固め、説明責任を放棄し続ける姿勢を示した。

委員会審査
10月24日(月)~28日(金)
24日(月)、25日(火):都市整備局所管
 サンセルコ事業おける不納欠損額、未収金額と今後の見通しについて質問した。保留床処分代金の滞納者で最終的に競売にかけたが落札価格が滞納額に満たず、競売後10年を経過したため不納欠損処理をしたものが1件、321万円。未収については8件、約2億1500万円。その内訳は抵当権を実行し床を処分したが配当額が滞納額に足りないもの1件約675万円、競売にかけたが市の配当がなく競売不納になったもの2件約5558万円、所在不明が2件6117万円、破産手続き中のもの1件約4474万円、現在営業中で協議中のもの2件約4778万円となっている。しかし、現状から見れがその多くが不納欠損になることは確実である。
 FBSもサンセルコから撤退しており、サンセルコの再建が進まなければ渡辺通、春吉地区の活性化に影響が出る。不納欠損が無駄ないならないように、抜本的な見直しを進めることを求めた。エルガーラの賃料未収についても回収に努力するよう求めた。
 市街化調整地区の見直しを行う予定になっており、市街化調整杭の見直しが必要なのか意見を述べた。市街化調整地域は良好な都市環境を維持するために開発規制をしている。しかし、市街化調整区域でも生活に必要な開発許されており、人口減少が始まり、住宅が余っている現状で市街化調整区域を見直す必要はない。
 野芥の地域交流センターの進捗状況について尋ねた。民間開発の中で整備するとしているが、民間施設のめどが立っておらず計画は進んでいない。野芥地区はバスと七隈線の交通結節点と位置づけているが、現状では西鉄は野芥を通過地点としてしかバスを運行していない。七隈線とバスは競合関係にあり、乗り換えがないのが実態である。地域交流センター建設を進め、地域の高齢者の足を確保して利便性を高めるためには、競合するのではなく西鉄と市とで総合的な交通体系を作る必要性があることを訴えた。
 また、緑化フェアに30億円を投じ、職員42名体制で運営、広告宣伝費に3億円を浪費しいることに批判した。
 
26日(水):消防局所管
 消防局の審査では、査察の状況、防火条例改正に伴う自宅用防災設備の設置に向けての取り組み状況、耐震対策に関しての3点を主に質問した。
 査察について、消防署員が基準定員を割っている状況で十分できているのか質問した。消防局としては、4ヶ所の消防局に処理担当主査を配置、業務を兼任することで自動火災報知設備設置の査察は前年比118%で目標を達成出来ている。対象1244棟あったものが半年ごとの指導で未設置物件は240件まで減じている。また防火対象物件の定期点検報告についても対象1403件に対し849件の報告がなされており、60.5%と向上しているということである。査察はこなしているが人員をかなり絞り込んでいることは問題であり、人員を要求するよう求めた。
 自宅用防災警報設備設置義務は新築で平成18年6月から、既存施設は平成21年6月からとなっているが、新築住宅については今からでも取り組むよう求めた。消防局は建築局と協議中であり、市政だよりやパンフレットで情宣していると答えた。設置義務は決定しているのであり、現時点から設置を進めた方が市民にとっては経費負担が軽く、設置も進むとして、キチンと取り組むように求めた。
 震災対策として災害時の迅速な対応ができるためには日常的な訓練が必要である。特に現場の経験が重要であり、経験を引き継ぐということから、他地区への災害球場を積極的に取り組むべきはないかと質問した。現時点では支援体制は制度的にはエリア毎に指定されており、遠方の中越地震等には派遣していないと答えている。近い将来大規模地震が想定され、震災対策としても他地区への災害支援を積極的に取り組むよう要請した。また、震災時の防火用水兼飲料水確保のために、東大阪市で設置されている、水道管本管にバイパスを造り地震時に自動弁で管を遮断し水を確保出来る施設設置の検討を求めた。

27日(木)、28日(金):建築局所管
 先日の消防局での質疑と同じく住宅用防災設備設置の取り組みを要請した。建築局として、確認申請時に住宅用防災警報き設置を指導出来るよう消防局と協議すると答えた。
 建築確認申請が民間機関にもできるようになり、その現状について尋ねた。市が確認申請を受け付けた割合は、平成11年度95%、平成12年度76%、平成13年度62%、平成14年度51%、平成14年度41%、平成16年度32%と答えた。この数字を見れば近い将来0になることが予想され、マンション問題等でこれまで以上に扮そうが多くなることが予想される。市に対して民間確認期間における指導がキチンとできるよう法的措置を検討する必要性を求めた。因みに現在耐震構造計算のねつ造が大きな問題となっており、規制緩和の問題が吹き出したと言える。人命にかかわることは規制を強化すべきであり、民間確認機関に確認申請を認めた国の責任が問われる。
 住宅拠旧校舎が今年も住宅販売により7億円の赤字を出し、基金を取り崩すことでしのいでいる。次年度以降も暫く赤字が見込まれており、基金は後20億円しかなく、このままでは債務超過になりかねない。私は市住宅供給公社が住宅販売をする役目は既に終わっており、住宅販売から撤退することを求めた。しかし、市は民間にはできないものがあるとして分譲事業計測を主張した。その背景には人工島における住宅事業をせざるを得ないことがある。わたしは市の施設を管理している施設整備公社と住宅供給公社を統合し、住宅分譲事業をやめ、市営住宅を含めて一元管理する、更に、職員は市派遣職員がほとんどを占めている状況から直営にすることを求めた。公営住宅法が変わり、市営住宅、県営住宅や公団を一括して管理することも可能になっており、三セクの整理を進めるべきである。
 市営住宅の入居希望は16年度も競争率は21倍となっており、市営住宅が不足していることは明らかである。しかし、国の方針では公営住宅はこれ以上増やさないとしており、福岡市も現状31,600戸以上の建設はしないとしている。民間住宅は7万戸も余っており、借り上げ住宅制度が都心部の高齢者向けにはあり、他都市の事例も鑑みて、一定基準を満たす住宅を借り上げて、市営住宅にすべきではと質問した。しかし、国の補助制度がないので宅つくと回答した。

後半の総会質疑
10月31日(月)
 総会後半の質疑は無所属のため質問ができない。他の議員の質疑で、特筆すべきものを記載した。
1、博多座の入場無料券乱発の問題
 博多座は福岡市が300億円で施設を建設、施設の維持管理および運営は株式会社博多座に委託している。博多座は公営では運営は難しいということで、松竹、コマ劇場などの興業会社を株主の構成員として株式会社博多座に施設の維持管理と興業を委託している。2004年度の委託費は5億4,200万円、博多座の売り上げは50億7,800万円、営業利益3億3千万円、純利益1億8,900万円となっている。博多座の収容能力は62万1,039人、2004年度は51万9,297人が入場しており、83.6%の稼働率となっている。
 問題は、83.6%の稼働率であればもっと黒字になる、言い換えれば福岡市の委託費がなくても十分やっていけると言うことである。しかし、これまで博多座は赤字続きで、2004年度ようやく黒字になったが、福岡市の委託費で黒字になっているのが実態である。なぜ赤字が続くのか、それは83.6%の稼働率であるが実態は無料招待券が40%以上も配られている実態にあることが明らかになった。
 委員の指摘では、3月興業のまつけんサンバショウでは41.8%が無料招待券、6月の歌舞伎も42.3%が無料招待券であったという。この無料招待券はスポンサーの旅行代理店やJA、また前専務(市OB)が大量に配布しているということである。公共の施設であるにもかかわらず、このような杜撰な運営は市民に不公平な状況を作っており、税金の無駄遣いである。市は26.7%出資しており、市民局長は博多座の取締役であるにもかかわらず、実態を把握していない。本来、よりよい芸術・文化をより安価な価格で多くの市民に提供すべきものが、一部の利権を握るもに無駄遣いさせていることは許されない。
 

2、市長のマリノア地区における福岡地所への便宜供与
 マリノア地区はマリーナ施設とホテルによるリゾート計画が進められていたが計画が破綻し、経営していた西福岡マリーナ(博多港開発の子会社)は会社精算をした。東側のホテルを福岡地所に売却、アウトレットショッピングセンターマリノアシティが建設された。西側の住宅予定地をショッピングセンターの駐車場として福岡地所に貸し付けた。
 平成2000年12月7月に当時の志岐博多港開発社長が駐車場として10年間の期限付きで契約書を交わした。この契約書に厳しく期限延長はしないことが記載されている。ところが、ケヤキ庭石事件が発覚し、2003年に志岐社長が解任され山崎市長が博多港開発社長に就任したその翌年2004年7月に山崎市長(社長)は契約書を破棄し、新たに20年の賃貸契約を結んだ。市は、施設の拡張に伴い、契約を更新したと言っているが、当初の契約には施設の拡張などがあっても契約は更新しないとしている。この契約の賃料についても市は公開を拒否しており、本来売却すべき土地を安く福岡地所に貸し付けていると考えられる。
 新たな契約書を交わす前に、覚え書きがなされており、契約解除をしている。新たな契約時に協定書が結ばれ、「施設の証券化など流動化させる場合には土地についても流動化も併せて報告する」と言うことが記載されている。これは、福岡地所があたかも自分の土地のように博多港開発の土地を同時に処分させようとしたものであり、福岡地所への便宜供与というか、福岡地所のいいなりの処分である。2002年の選挙では福岡地所の関連会社から資金を借り入れたと言われており、便宜供与ではないかと追求がなされた。  

11月1日(火)
決算特別委員会最終日
 各派意見開陳の後採決した。

 意見開陳
 本特別委員会に上程され他所議案の内、議案第236号ないし議案239号、議案244号、議案249号ないし議案252号、議案255号、議案256号、議案259号に反対して意見開陳をします。

 国・地方の長期債務残高は平成17年度見込みで774兆円、その他の借金を加えると既に1000兆円を超えています。国は「三位一体」の改革として借金のツケを地方に廻しています。道路公団をはじめ特殊法人の改革は竜頭蛇尾に終わり、税金の無駄遣いのツケが国民に廻されています。年金の給付額の切り下げ、医療費負担増・介護保険の負担増が進められてきましたが、いよいよ増税が検討されています。地方分権が進む中、市民が安心して暮らせる社会を作るために地方自治体の責任はますます大きくなっています。
 では福岡市の状況はどうでしょうか。2004年度決算における市債発行残高は2兆7092億円余、経常収支比率91.2%、財政力指数0.768、起債制限比率17.9%と借金は増え、財政状況は一段と硬直化しています。市税収は若干増えたとはいえ頭打ちの状況、国の「三位一体の改革」によって交付金は削減され歳入は増えず、基金の取り崩しによって歳入を維持しています。他方、未だ厳しい雇用情勢、少子高齢化が一段進む中で扶助費は増え続け歳出は増え続けるという状況であり、財政状況は今後も厳しくなることは明らかです。
 本年3月20日の福岡県西方沖地震は、幸い阪神淡路大震災に比べて被害は少なかったとはいえ、震災復旧に多大に費用がかかります。更に、今後予想される直下型大地震に備えての耐震対策等に多大な費用が必要となっています。アスベスト問題も対策が急がれており、市財政はいっそう厳しくなっていきます。いま、福岡市は財政健全化プランを造り財政再建に取り組んでいますが、税金の使い方として果たして市民のために適正に使われているでしょうか。
 2004年度における市営住宅の入居抽選倍率は21倍と、年々公営住宅入居者の希望が増えています。しかし、福岡市は国が公営住宅の管理戸数を増やさないとして市営住宅を現状以上に増やさないとしています。住宅戸数が世帯数を7万戸も多い中で、毎年新規の住宅が6000戸あまり造られ、空き家は年々増え続けています。その一方で公営住宅の希望者は増え続ける、しかし、公営住宅の管理戸数は増えない、この矛盾は何でしょうか。この住宅問題は、景気回復の兆しがあるといいながらも、国民所得は減っており階層分化が進んでいることを示しています。特に若年層の雇用状況は厳しく、結婚がしたくてもできない、子供を産みたくても産めない、こうした状況を反映しています。住宅は生活の基盤であり、良好で安価な住宅を保証することが市の責任です。人工島に住宅を造るを前に、福岡市の住宅政策の見直しが必要です。
 水道事業においても、福岡市の政策が問われています。福岡市は1983年の大渇水を機に筑後川からの導水をはじめ、多くのダムそして海水淡水化施設まで造りました。その結果、造水能力は1日76.9万トンとなっています。これは渇水時の危険率を70%と見ると1日53.8万トントンとなります。現在福岡市の1日平均使用料は40万トン、夏場の最大使用料は1日45万トンです。渇水の経験が生かされ、市民の水道水使用料は日本で最も少なく、福岡市の水は余っています。
 そもそも、福岡市は地形的に水に恵れない土地であるにもかかわらず都市膨張政策を続けた結果、渇水の被害が大きくなりました。その後の筑後川からの導水や市民の節水の取り組みによって水が余る状況までになっています。ところが、渇水対策として更に五ヶ山ダム、大山ダムの建設、加えて緊急時の水確保として福北緊急導水管なるもが造られよとしてます。これらの開発は無駄な開発であり、筑後川流域からの取水による有明海の漁業被害、ダム建設による自然破壊と大きな環境破壊の反省がないまま、更に自然破壊をしようといています。これらの無駄なダム建設などによる税金の無駄遣いは、いずれ、それでなくても高いと言われている水道料金に反映し、市民に大きな負担を求めることになります。福岡市の水政策、その背景にある都市膨張政策を見直すことが必要です。
 今年は発表された出生率は1.29、いよいよ人口減少が始まったのではないかと言われていますが、福岡市においても時間的な差があっても近年中に人口減少が始まることは確実です。ところが、福岡市は今後も人口増が続くことを前提に開発を進めようとしています。2004年の決算を見ると、天神地下街開発へ8億円の増資に見られるように開発事業への投資を進め、人工島では学校用地の買収、人工島直轄化に396億円支出、緑化フェアに30億円の支出等々、「銀行には損をさせないと」して相変わらず人工島優先に税金を投入しています。更に、山崎市長は、雁ノ巣に新福岡空港建設、今年度はオリンピック招致を表明し、開発姿勢を強めています。さまざまな使用料・手数料の値上げ、障害者や高齢者などへの支援の削減と市民にしわ寄せがなされています。今後も経済成長は見込めず、少子高齢化が一段と進む中で、市民が安心して暮らせる持続可能な市政にするために、人工島建設を中止し抜本的な見直しを行う、都市膨張政策からスローシティへの政策転換を求めて意見開陳を終わります。