オリンピック招致はできるのか!

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オリンピック招致はできるのか![1/3]
オリンピック招致はできるのか![1/3]
市債発行残高:市民の借金、市民1人当たり197万円、年々増え続けている。
オリンピック招致はできるのか![2/3]
オリンピック招致はできるのか![2/3]
財政調整に使える基金:市の貯金。平成4年には942億円あったが、平成17年度は30億円、ほぼ0に等しい状況。
オリンピック招致はできるのか![3/3]
オリンピック招致はできるのか![3/3]
起債制限比率:福岡市の収入に対する発行する債券の目安。20%を超えると単独事業では起債できなくなる。30%を超えると災害以外は発行できなくなり、国の管理課になる。福岡市は平成17年度は18.1%と危機的状況にある。
■福岡市の借金2兆7千億円・市民一人当たり197万円

福岡市の財政はまさに危機的状況です。市債発行残高(市民の借金)は平成16年度で2兆7000億円、市民一人当たり197万円です。この借金は年々増え続けています。特に、ユニバーシアードを開催した時に毎年1000億円を超える市債発行を行い、その借金が大きな負担となっています。福岡市の市税収は頭打ちで伸びておらず、また、福岡市の貯金である財政調整基金もピーク時942億円あったものが平成16年度末には62億円、平成17年には30億円程度でもはや取り崩す基金もない状況です。平成17年度の予算は、取り崩す基金がないため、本来取り崩してはいけない基金を取り崩す、また外郭団体の基金を取り崩して寄付させることでようやくや予算が組めるという状況でした。
国・地方の借金は平成17年度末見込みで774兆円、国は毎年30兆円を超える借金をしており、「三位一体の改革」と称して、地方への補助金、交付金を削減しています。福岡市の中期財政見通しでも平成17年度以降3年間で200億円の財源不足を見込んでおり、今後の財政状況は一段と厳しくなります。
オリンピック招致だけでも大阪市は約48億円、施設建設費は7万人収容のメインスタジアム500億円、屋内競技場1ヶ所で約60億円、選手村1100億円といわれています。交通アクセスの整備などその他の億の整備費が必要であり、冬季オリンピックを開催した松本市は約2000億円必要であったされ、夏季オリンピックはその数倍の規模になることは避けられません。これの施設整備は基本的に開催都市の負担です。このような状況で、オリンピックを福岡市に招致することが本当に可能なのでしょうか。

■なぜ、市長はオリンピックを招致するのか?
市長は9月議会で突然オリンピック招致を表明しました。なぜ、オリンピックを招致するのでしょうか。それは、人工島の土地処分をするためにオリンピックを招致するというものです。
社会構造・経済構造・産業構造が変わり、土地需要が後退する中、土地処分が見込めず、地下鉄を人工島に乗り入れさせる見通しがありません。それでなくても土地処分の先行きは見えず、子ども病院・市民病院を統合移転させる、青果市場を統合移転させるとしても第一工区でも土地処分の見通しは厳しい状況です。ましてこれから埋立を行う第2工区は更に厳しいことは想像に難くありません。この状況を打開するためにオリンピックを招致し、人工島に選手村を作る、競技施設を作る、また地下鉄を導入すると考えているのです。

■人工島破綻救済のためにオリンピック招致を許していいのでしょうか!
2008年の燐肥区を大阪市は招致しました。市議会は前科一位置で決議を挙げましたが、市民は冷静に見ていました。大阪市は舞洲、夢洲の埋立地をオリンピック会場にする計画を立て、埋立地の土地処分、地下鉄の導入を図ったのです。いま福岡市は大阪市と全く同じようなことを計画しています。大阪市は開発事業を進め財政は破綻寸前であったにもかかわらずオリンピック招致を行い、北京に負けました。そして誘致は無駄となったのです。福岡市も同じ道を歩もうとしています。これで良いのでしょうか。

■人工島は破綻している
そもそも、人工島事業は破綻しています。山崎市長が平成10年に「引き返す勇気を持って見直しをする。」と公約して市長に当選しました。翌平成11年に山崎市長は見直しを行い、「従来通りの事業で黒字になる。」として事業継続を決めました。ところが、見直しをした平成11年には博多港開発が200億円の赤字になるとしていたものを43億円の黒字になると改ざんさせ、市民を騙したのです。しかし、銀行は既にこの時点で人工島は不良債権と見ていました。

■銀行は既に人工島に見切りをつけていた
山崎市長が見直しをして「黒字になる」と結論を出したその直後、平成12年3月には、日本興業銀行は「このままでは100億円の赤字になる。福岡市が損失保証しなければ融資はできない。」として融資を凍結しました。福岡銀行も373億円の赤字になると試算しており、他の銀行も融資凍結、新生銀行、鹿児島銀行、あおぞら銀行は融資をやめました。平成12年3月に山崎市長が損失保証をする念書を書き、平成14年には福岡市が新事業計画をつくり損失保証を具体的に実施することで、銀行団はようやく融資をはじめました。しかし、第2工区(博多港開発の残り半分の埋立地)については見込みがないことから融資を拒否し、福岡市に埋立権を買い取らせ、債権を回収したのです。東京都の陸海副都心、横浜市のみなとみらい21、大阪市の夢洲・咲洲・舞洲、泉佐野市の臨空タウン、神戸市のポートアイランド第二期埋め立て、ことごとく破綻しています。つまり、人工島は福岡市が埋立をしても土地処分の見通しはなく、全ての借金は直接市民が負うことになったのです。

■これで市民は豊かになれるのでしょうか?
人工島の土地処分を進めるためには鉄軌道を繋ぐことが最低限の条件と当初から指摘されてきました。しかし、しかし、そのためにはオリンピック関連で少なくとも数千億円、地下鉄を繋ぐためには550億円と多額の費用が必要であり、それは全て市民の負担となるのです。このようなところに税金を使い、福祉や教育の費用を削ることで、本当に市民は豊かになれるのでしょうか。