2月議会報告

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 2月議会報告は2005年度の最終補正予算です。基本的には事業費の削減等でマイナスの補正予算となっています。条例案として主な議案は、サンピア博多の破綻による民事再生が裁判所に受理され、3億4千間円余の債権放棄の同意議案と、百道浜の中学校用地売却の議案です。この2件の議案が6人の議員が質問に立ち、3人が反対討論をしました。以下、議案の問題点について、私の反対討論にて紹介します。

反対討論
 
 本議会に上程されている諸議案の内、議案第1号、議案第6号、議案第10号、議案第14号および議案22号に反対して討論を行います。
 議案22号は百道浜中学校用地2.3ヘクタール余を学校法人高木学園に56億円で売却するというものです。この土地分については議会の諸議員の質疑で様々な問題が指摘されました。事業内容は教育・福祉およびその支援施設の病院となっていますが、病院の延べ床面積は全体の73%を占め、ベット数199床もあり、病院が事業のメインと考えられます。福岡市医師会はこの事業実態について百道浜地区には医療施設は充分にあり医療機関の必要性はなく、公募条件に違反しているのではないかと指摘しています。子ども病院と市民病院を統合移転させるとし、その場所を人工島にした理由は地域医療のバランスを理由に挙げています。ところが今回、医師会は地域バランスが崩れ問題と指摘しているにもかかわらず、このことには何も答えていません。まさにご都合主義というしかありません。
 そもそも百道浜の街づくりの視点から見ても、第一種中高層住居専用地区に11階もの巨大な建造物を建てることは、住民の方が指摘しているように眺望や景観など問題があります。もし本当に福祉、医療関係の教育施設が主たる事業となっているのであれば、人工島に医療福祉関連施を集積させるという健康未来都市構想からすれば、市は積極的に人工島に誘導すべと考えられます。このような一貫性がない土地処分を見れば、市は中長期的なまちづくりを考えているとはとても考えられません。
 また、百道中学校ではこれまでの推計以上に児童数が増え、分校が望まれています。児童の教育環境が悪化していることは事実であり、少人数学級が求められている中、分校が必要な状況が考えられ、このままでは新たな中学校用地が無くなるということも指摘されました。教育長は繰り返し敷地面積が平均の1.4倍あることを理由に分校しなくてもよいと答えていますが、児童の教育環境にどう責任持つのか答えていません。
 土地処分の公募のあり方についても、用途の規制をすることで事実上学校法人高木学園および医療法人社団高邦会しか応募できなかったのではないか、2.3ヘクタールの土地を一括処分する必要があったのか、また、土地の価格についても周辺の施設に比して安いのではないのか、市長は高木学園が経営する医療福祉学院学院長である山崎市長の後援会代表に便宜を図ったのではないかとの指摘がなされています。
 住民や医師会との話し合いができていないにもかかわらずどうして土地を売り急ぐのか、本会議の質疑を通して見えてきたことは、市長が港湾特別会計の補強にとって重要だと繰り返し答弁したように、破綻した人工島事業を進めるために土地処分ありきということです。しかも、2.3ヘクタール余の土地を一括して17年度内に処分ができるところに売る、56億円という多額なお金が出せるところが市長の後援会とのつながりで実現したということではないかと考えられます。市民や医師会のことは二の次、土地処分を優先させ、一貫性がない、ご都合主義の理屈をつけて高木学園に買ってもらったということしか考えられません。また、そこにつけ込んで、教育施設の支援組織と称して大規模病院を建設する、まさに映画の水戸黄門に出てくる悪代官と悪徳商人がかわすせりふを思い起こさずにはおれません。破綻した人工島事業を進めるために、地域住民や医師会など市民の声を無視して土地処分を行うことに強く反対します。

 次ぎに議案第20号権利の放棄については賛成するものですが、意見を述べます。
 議案第20号はサンピア博多が破綻し、民事再生法に基づく再生計画案に同意するに当たり、市の債権3億4千万円余を放棄するものです。破綻処理そのものはやむ得ないものと考えており、反対する訳ではありません。しかし、破綻に至った責任、平成10年の時点で破綻が明らかであったにもかかわらず3億4千万円余を貸付け負債を増やした責任について、市長の責任は明らかにされていません。また、破綻にいた至った理由がバブル経済の破綻、近隣商業施設の影響等を挙げていますが、本当にそれだけなのか、サンピア博多の破綻についての反省ができているとは考えられません。
 そもそも出資比率5%しかないにもかかわらず、経営経験がない市OBを社長に出し続け、市幹部職の天下り先にしてきたことが破綻のベースにあります。ベイサイドプレイスが整備され運営し始めた平成3年はバブル経済は破綻し社会経済状況は大きく変わり始めた時期でした。福岡市が貸付を行った平成12年はサンピア博多の経営状況を見れば抜本的な対策を打つべきであり、この時点での会社の整理が検討されるべきでした。ところが、新たな貸付を行うことで延命させ、市民の負債を増やしました。これはまさに第三セクターの官民もたれ合いの典型的な構造です。この構造にメスを入れることなく事態を悪化させた責任には大変重いものです。この構造は大阪市のワールドトレードセンターやアジアトレードセンターの破綻処理での検証でも同じことが指摘されており、全国各地で同じ過ちを犯しています。
 問題は三セクの破綻を単にバブルの崩壊による社会経済状況の変化や近隣商業施設の影響にしていることです。経済構造は大きく変わり、少子高齢化が進み、更に人口減少が始まる状況が見えていたにもかかわらず、人口の増加と経済成長の継続を前提に都市経営を考え、抜本的な都市経営の骨格を見直さなかったことにあります。この過ちは人工島事業に同じように現れています。土地需要はなくなっているにもかかわらず、強引に事業を進め、ゼネコンや銀行に損をさせないために税金をつぎ込み、博多港開発第2工区の直轄化までしました。市債発行残高2兆7千億円、市民一人当たりの借金は200万円、財政調整に使える基金残高は30億円程度、事実上取り崩す基金はないといえる状況です。今後も厳しいが財政状況が続くと考えられ、無駄遣いは許されません。
 今回のサンピア博多の破綻をどのように受けとめるべきか、第三セクターに対する債務保証約5千億円、損失報償は約700億円に達しており、早急にもたれ合いの構造をつくる第三セクターの抜本的な整理が必要であること、そして、人口減少の時代を迎えるにふさわしい市政に方向転換をすることです。もはやオリンピック招致を利用して大規模な開発をする時代ではないということです。
 以上をもって反対討論を終わります。