都市問題等調査特別委員会他都市調査

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2006年8月24日(木)、25日(金)
24日(木)名古屋市:東海豪雨後の浸水対策について、川を中心としたのまちづくり
25日(金)神戸市:神戸空港について

1、名古屋市 
1)東海豪雨後の浸水対策について
 平成12年9月に566.5㎜、最大時間当たり97㎜、最大10分間雨量25.5㎜の豪雨により、名古屋市東部に流れる天白川流域に浸水被害が出た。床上浸水9800戸余、床下浸水2万1千戸余、死者4名の甚大な被害となった。この浸水被害の主たる原因は、天白川が天井川であったため排水がうまくいかなかったことにあったということである。浸水対策として、①雨水排水の強化、②流出抑制、③河川改修、④被災軽減のために市民への情報提供がなされている。
①雨水排水強化
 名古屋市では基本的に時間当たり50㎜の降雨に対応できるように整備を勧めている。しかし、近年時間雨量50ミリを超える豪雨もあり、東海豪雨で甚大な被害が出た地域には平成13年度から概ね10年間の計画で緊急雨水整備計画を策定し、原則10年確率(時間雨量60㎜)に対応する整備をしている。前半の概ね5年間では、総事業費860億円、貯留管26ヶ所、ポンプ上10ヶ所増設により合計貯留量24万4,100トン、合計排水ポンプ増強量89トン/秒を整備。後半5年間は後期緊急雨水整備計画を策定し、平成18年度から総事業費約600億円、貯留間13ヶ所、ポンプ場5ヶ所を整備、合計貯留量9万2千トン、合計排水ポンプ増強量14トン/秒を整備。この整備により、東海豪雨(時間当たり97㎜)でも床上浸水被害を生じさせいないとしている。
 因みに貯留間とは道路や公園などの下にシールド工法などで管をつくり、降雨時に溢れた雨水を一時的に貯める施設である。工費はシールド工法で、径3m前後で20万円/m3、箱もので10~15万円/m3ということである。
②流出抑制
 昭和62年から「名古屋市雨水流出抑制実施要項」に基づき、公共施設で更新時に流出抑制施設の設置を行う共に、民間の開発行為などへの協力を要請している。平成18年1月に特定としか千に指定され、流域内の浸水阻害行為(開発行為)の規制が千㎡から500㎡に強化され、貯留浸透施設設置が義務づけられた。
 流出余生施設として、家庭での雨水貯留タンク、浸透地下埋管、浸透雨水ます、透水性舗装の駐車場や歩道を勧めている。また、市民に定期的に浸透ますの清掃を呼びかけている。どの程度市民が協力しているのか、2千人のアンケートを取ったが、千人が回答し、そのうち何らかの流出抑制をしている市民は2%程度ということであった。流出抑制について特の助成策はない。また、公共施設での流出抑制施設は、雨水利用とは別に考えられており、総合治水の考えはない。
③河川改修
 東海豪雨以降、天白川流域の日進市、東海市と共に「愛知県天白川整備促進既成同盟会」をつくり、国・県に改修事業を要望してきた。平成12年から16年に「天白河川激甚災害対策特別緊急事業」が採択・実施された。総事業費260億円、事業区間は7.6km、河道拡幅、河床掘削(3m掘削)、堤防強化、橋梁改修がなされ、整備流量920トン/秒~1,600トン/秒(東海豪雨並)になった。
④市民への情報提供
 災害時の被害を軽減するためにさまざまな情報を市民に提供している。浸水ハザードマップの作成および避難場所を記載、ポンプ場ごとの雨水排水情報をホームページでリアルタイムで提供、事業者や市民と協力して定点(700ヶ所)の道路等の冠水状況を受けてホームページで公開、など情報提供している。また地下室対策として、止水版を改良して止水ゲートのようなものを普及させている。
 
まとめ
 浸水対策として排水能力向上を勧めているが、貯留管については福岡市でも検討の余地がある。また、市民、事業者の協力による定点観測とその情報を速やかに市民の伝えるシステムは学ぶべきものがある。しかし、市民や民間における流出対策は福岡市同様に問題がいくつか見られた。一つは流出対策と雨水利用が一体のものとして考えられていないため、効果的な流出対策は提起できていないし進んでいない。また、雨水利用といったデカが得て稲谷場政策も考えることができていないと思われる。流出抑制と雨水利用、災害時の水源、緑化など総合的な視点からの施策になっていないことが問題である。

2)河を中心にしたまちづくり
 堀川は1610年に福島正典が名古屋城を築城し、名古屋城の濠に水を引くために東部の丘陵地帯と洪積地の境に添って海岸部の熱田から約6km開削された。堀川沿いには運が機能を利用する施設がつくられ、商人の蔵が並んでいた。堀川の歴史と壁空間を生かしてまちづくりが今進められている。
 現在の堀川は両岸ぎりぎりまでビルが建ち、河に近づくことができない。1989年に堀川総合整備構想を公表、1992年にマイタウンマイリバー整備河川第1号に認定され黒川地区に親水広場を整備。現在管理道路として両岸に3m程度の道路を設置し、この道路沿いにビルの出入り口をつくる、またオープンカフェとしての利用などができるように計画している。納屋橋周辺では、河川沿いの道路の整備がなさら、オープンカフェも開店しており、企業から寄付された商館を美術館などに整備するなど一部まちづくりが進んでいる。
 堀川は水源がないため、水の流れは潮の干満しかない。潮は名古屋城付近まであがっている。流れが弱いためヘドロが溜まっており、1994年マイタウンマイリバー整備と共に浚渫している。2001年から庄内川から堀川へ0.3トン/秒導水を始めた。現在70%は汚水処理水、30%は中川運河から導水している。水の流れがあまりなため、ドブ臭さがきつい。水質浄化のために機械で曝気しているということであった。
 
2、神戸市
 神戸空港はポートアイランドの沖合に埋立により整備した第3種空港で、初めての市営空港である。1999年9月着工、2006年2月開港、埋立地の面積は272㌶(空港153.6㌶)、滑走路2500㍍1本、エプロン10バース、総事業費3,140億円となっている。
①事業計画
 事業費3,140億円の内訳は、国庫補助302億円、市債2,108億円、その他53億円。空港整備関連費594億円および護岸(「環境創造型護岸(全7.7kmの内6.7km)」「人工ラグーン」)・物揚場など126億円は国の補助事業。空港島の埋立・連結道路の整備など2,420億円は市単独事業となっており、新都市事業として企業会計である。新都市事業は六甲山の開発し、その土砂で埋立を行ったポートアイランドなどの埋立事業など開発事業全体でプールする企業会計の事業である。2,420億円のうち、1743億円は起債、677億円は空港島の空港部分以外の土地の売却による収入が計画されている。新都市事業は空港島で建設残土や浚渫土砂の受け入れすることでも収入を得ていると思われる。
②運航状況
 神戸空港は伊丹空港、関西空港に近いために空域が重なる。そのため飛行経路は出発時も到着時も明石海峡からしか空港には入れない。空港中心から半径9kmは神戸空港で管制、その他は関西空港で管制している。空域が重なっていることや飛行経路が制限されていることから、安全上1日30往復に規制されている。現在27往復が運航されている。運航時間は7時から22時。小型機が主流で、大型機は全日空の767ダッシュが1便運航しているだけである。特にスカイマークは羽田便に特化し、小型機のボーイング737を使っているため、搭乗率は8割を超えている。
 利用状況は7月までの累計で80万5千人、搭乗率67.2%ととなっているが、やや減少傾向にある。また、新千歳・羽田便は70%を超えているが、沖縄便が60%、鹿児島便、仙台便は40%台、新潟便、熊本便は30%程度と、羽田と新千歳に偏っている。これはこらまで関西空港や伊丹を利用していた近くの利用者が利用していること、新潟や熊本は1日1往復、しかも昼物使いに区時間帯が原因といっている。現状から見ると当初の予測年間319万人を1割切ると見られる。
 貨物については専用機の運航はない。当初予測の4万トン/日に対して現状は2万トン/日である。地方空港から見れば利用は高い。沖縄便が最も多く3万1千トン/日、新千歳便は1万6千/日、羽田便1万/日となっており、沖縄からは花卉類、北海道からは野菜類が運ばれている。
③空港の経営
 空港は三セクの神戸空港ターミナル株式会社が経営。空港の駐車場は720台(臨時駐車場を含めると1800台)あり、空港ターミナルビルと神戸空港ターミナル株式会社で経営。開港以降見学者が多く、テナントの売り上げはよい。空港使用料については大型化することを前提に採算が計画されており、小型機が主流の状況では、将来の採算割れが心配される。
④空港へのアクセス
 空港へのアクセスは自家用車かバス、ポートライナー(新都市交通)による。バスはこれまで三宮まできていた遠距離バスが空港へ乗り入れており、採算的にはあっている。ポートライナーは三宮から空港まで18分(最短16分台)でつく。空港への客の約6割がポートライナーを利用しているということであった。
 ポートライナーは三セクが経営。軌道の整備は市が一般会計で整備、レールの敷設や車輌等設備は三セクが整備している。軌道の整備の理屈は道路と同じ公共性があるということである。これをいえば下水道や地下鉄にも通じる理屈になる。
 関西空港への乗り継ぎとして、海上輸送ベイ・シャトルが運航されているが、利用者は少ないということであった。

まとめ
 そもそも神戸空港が必要だったのか、疑問が残る空港である。伊丹空港、関西空港が近くにあり、1日30往復しか運航できず、しかも小型機が主流である。利用状況を見ても、近くの住民が利用する程度で、なければならない空港ではない。税金の無駄遣いである。国全体の交通政策の欠如が税金の無駄遣いを助長している。