2月議会報告

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2007年2月15日(木)~20日(火)
 2月議会は年度末の補正予算が主な議案でした。一般議案としては人工島C2バースの背後地の埋立議案が大きな案件でした。

 議案質疑は博多港がおかれている現状からはC2バース及びその背後地の埋立が必要ないこと、また、物流が大きく変わっていることから、港施設の需要や土地需要が見込め名ことから、港湾計画そのものを抜本的に見直すことを求めました。
 左表に見られるように博多港への5万トンを超える大型船舶の入港は減少しており、3万トン以下、特に1万トン以下の小型船舶が増えています。コンテナ取り扱い先も中国・韓国が植えており、その他は減っています。世界の物流は効率化を図るためにコンテナ船が大型化しハブ&スポークかが進み、小型船によるハブ港への荷を集約し、大型船の寄港港を減ろしています。左表を見れば明らかに博多港はフィダー港化している実態が現れています。また、トラックを直接船に乗り付けてコンテの荷積み・荷下ろしをするRORO船が増えていますが、これは情報化が進み、少量多品目生産、生産地仕分けが進んでいることを示しています。つまりコンテの荷裁きのためのガントリークレーンやヤード、荷の仕分けに必要な上屋がいらなくなります。このことからも、港湾施設の整備や土地処分計画を見直す必要があります。
 全国の埋立地の処分は進んでおらず、人工島事業の見直しは港湾部分も含めて全体的に見直しが必要です。しかし、吉田市長は港湾地区の整備は進める、大水深の埠頭をつくっても大型船舶がこなければポートセールスをすればいいと答えていますが、物流が変わっているのでポートセールスの問題ではありません。集荷の雨量区を持つハブ港湾か否かが問題なのです。フィダー港化した博多港はこれ以上大水深の埠頭を建設する費用政はありません。しかし、吉田市長は物流の変化の理解ができていないようです。
 人工島事業の見直す枠組みについても具体的な答弁はありませんでした。市職員で3月までに「検討の枠組み」をつくり、新年度から半角検討を始め、9月までには結論を出すと答えていますが、公募市民やNGOを入れたラウンド形式の見直しについても何も答えていません。

以下反対討論です。

反対討論
 本議会に上程された諸議案の内、議案第1号、第6号、第10号、第13号、第14号、第20号、第21号に反対して討論を行います。
 議案第6号、第20号、第21号は人工島市第3工区C2バース背後地の埋め立て工事契約に関する議案です。博多港が置かれている状況を見ると、C2バース及びその後背地の埋め立てが必要な理由はありません。
 議案質疑でも明らかになったように、博多港への大型コンテナ船の寄港は年々減っており、他方中国・韓国からの小型船舶が増えていることから博多港はフィダー港化しています。5万トン以上の大型コンテナ船の入港数が減っている理由について、港湾局長はその時々の状況によって航路の再編によると答弁していますが、まさに物流の効率化が進められコンテナ船が大型化することで航路の再編がなされ、バブアンドスポーク化が進み、大型コンテナ船は博多港に寄港しなくなっているのです。世界のコンテナ船が大型化しているから博多港に15mの大水深の埠頭が必要であると港湾局長が繰り返し主張してきましたが、これは市民を欺くものです。
 市長も大水深の埠頭を造り大型船舶が入港しないのならポートセールスすればよいと言ってますが、収益の極大化を求める企業が効率化に逆らってまで航路を変える理由がどこにあると考えているのでしょうか。北九州響灘港の事例を見れば、大水深の港湾を整備したからと言って貨物が集まらないところに大型船舶が入港しないこと明らかです。世界の上位5港のハブ港湾であるシンガポール港、香港港、上海港、深せん港、釜山港の取扱量から見ると、取り扱いコンテナが増えているという博多港はシンガポール港の30分の1、釜山港の15分の1ととてもハブ港湾には成りえません。ハブ港湾の要素がない博多港に大型コンテナ船の入港が今後増えるという根拠はどこにあるのでしょうか。大型コンテナ船の寄港を増やすポートセールの売りは一体なんでしょうか。
 また、情報化が進み多品目少量生産、生産地仕分けなど物流が大きく変わっており、RORO船が増えていることからも、ガントリークレーンや上屋、ヤードの需要は今後も減ると考えられます。このことは港湾施設の整備や、背後地の土地処分のあり方を見直さなければならないことを意味しています。従来のハブ港湾を夢見てきた港湾整備計画を抜本的に見直さなければなりません。市長は人工島見直しについて、港湾部分は従来通り整備を進めるとしていますが、ハブ港湾を夢見る過大な港湾整備計画を見直さなければ市民の期待を裏切ることになります。
 以上、C2バース建設及び背後地の埋めて事業である本議案に反対するものです。

 次に議案14号水道事業特別会計補正案について反対等討論をします。
 この議案には五ヶ山ダム建設等水源開発についての補正予算が組まれています。しかし、福岡市の水事情を見ると五ヶ山ダムなどこれ以上の新たな水源開発は必要ありません。福岡市の1日の造水能力は75万トン、渇水時の危険率70%とすれば渇水時の造水能力は51.5万トンです。現在福岡市の水使用料は1日平均40万トン、夏場のピーク時でも45万トンであり、よほどの渇水時でなければ断水という状況は考えられません。日頃から雨水利用や処理水の利用を広げ、節水に取り組めば新たな水源開発をする必要はありません。
 福岡市の都市膨張政策は集水域での供給量を超えた水利用による渇水を生みだし、1978年の渇水を機に筑後川から導水を始めましたが、筑後川流域のダム建設による自然破壊をすすめ、有明海の生態系や漁業に大きな悪影響を与えることになりました。更に海水淡水化事業をはじめることでエネルギーの浪費と税の浪費をすることになりました。ダム建設は多額の建設費を要し、生態系の破壊や自然破壊、ダム予定地に住む人の立ち退きをせまり生活を破壊します。このように水源開発のためのダム建設や海水淡水化は自然破壊をすすめ、多額な費用は水道料金に跳ね返ります。雨水利用や処理水の利用を進め、これ以上不必要な水源開発は止めるべきです。無駄な開発である五ヶ山ダムの建設中止を求めて反対します。

 先日ICPP(気象変動に関する政府間パネル)の第4次報告がなされています。この報告によれば、このままでは21世紀末には地球の平均気温は最大6.5度上昇するとしています。海面上昇による低地の浸水、局地的な大干ばつや大洪水、台風・ハリケーンなどの巨大化などと異常気象による被害は増大することが指摘されています。これまでのように経済成長を続けることはできないことは明らかです。吉田市長に、従来の経済成長を優先する都市膨張政策から、エネルギー浪費を止め、自然再生を進める環境政策中心の市政に転換することを求めて反対討論を終わります。