子ども病院はこどものために

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 こども病院移転候補地である鳥飼の当仁中学跡地において10月圧に突如ポンプ場建設が始まりました。なぜこの時期に工事を始めたのか、工事を中止して当事者も含めた検討を行うよう市長に申し入れをしました。その後、天神コア前でビラを配り街頭情宣をしました。

こども病院移転の検証・検討は患者や家族、医師や看護師など当事者が参加して行うべきです!

 昨年の市長選挙で吉田市長は「こども病院の移転を見直す」と公約しました。「こども病院の移転を見直す」という日本語の意味は「人工島への移転は止める」ということです。なぜ人工島に移転するのか、こどもためでも市民のためでもない、「銀行には決して損はさせない」という密約のために人工島の土地を福岡市が買い取らなければいけないためです。
 今回のこども病院移転の検証・検討には当事者である患者や家族の方、医師や看護師などが参加していません。市内小児科医69名の連盟で「こども病院を人工島に移転することに反対する」ことを申し入れています。吉田市長は「聞きたかけん」と市民の声を聞く市政を表明してきましたが、どのように市民の声を聞こうとしているのかとても信じられない状況です。当事者や専門家の声を聞かない検証・検討結果に市民が納得できるでしょうか。こども病院移転はこどものために検討されるべきです。

どうしてこども病院移転候補地の当仁中学校跡地にポンプ場建設をすすめるのでしょうか!

 こども病院の移転先として5箇所が候補地として検討がなされてきました。しかし、その結論はもっとも利便性が悪い人工島に結論づけられようとしています。しかも候補地の一つである当仁中学校跡地には下水道ポンプ場の建設が始まりました。なぜこども病院移転地が確定する前に工事を始めたのか、まさに既成事実を造り、人工島への移転を結論づけようとしているとしか思われません。
 このポンプ場建設そのものが過大施設であり、地元住民の建設反対運動が続いてきました。街づくりの視点からも、当仁中学跡地にポンプ場建設は問題があります。田島・別府地区の雨水を鳥飼地区に集めて排水するという計画ですが、流量計算も課題であり、かつ、鳥飼地区の洪水の危険を増やすことになります。鳥飼地区は低地であるため高潮時には河川の水位が上がり、降雨と高潮が重なれば排水できない事態が生じ、浸水するおそれがあります。家庭での雨水利用や浸透性の歩道など降雨時の流出調整をする街づくりをすすめれば新たなポンプ場建設は必要ありません。しかし、事業費50億円という巨大公共事業を進めたい力と、こども病院を人工島に移転させる意図が重なり合った状況といえます。市長は市民の声を聞いて街づくりをすべきです。

人工島検証・検討結果は従来通り。これで市民の財産となるのでしょうか!

 人工島事業の検証・検討結果は従来通り埋立を進め、こども病院は人工島に移転するというものです。人工島の土地処分は難しい、企業誘致も難しいと6月の中間報告でも指摘していますが、東京・横浜・大阪・神戸と全国の埋立地の土地処分が進んでいない現状を見れば、このまま埋立を進めても将来の世代に大きな借金を残すことは明らかです。福岡市が第三セクターの博多港開発から買い取った95㌶の土地は、そもそも銀行が事業の採算性がないとして福岡市に399億円で買い取らせた土地です。福岡市が買い取って埋立を続けて事業の採算が取れる根拠はどこにあるのでしょうか。人工島事業検証・検討結果にも具体的な道筋は示されていません。
 このまま埋立を続ければ、市民の財産どころか大きな借金を残すことになります。税金は市民のために有効に使われなければなりません。人工島の埋立はまだ6割しか終わっていません。これ以上無駄な税金を使うのは止めて、このまだ埋立が終わっていない市第5工区は埋立を止め、干潟に戻して博多湾の自然を生かした街づくりを検討すべきです。海外では埋立地を干潟に戻し、地域の活性化に役立てている事例はいくつもあります。これこそが市民の財産になります。

破綻が明らかな人工島事業に税金を使うことは止めて、市民の声に耳を傾ける市政を求めます。

 福岡市の平成18年度決算では市債発行残高は2兆6300億円、市民一人当たり190万円の借金です。隠れ借金を含めた実質公債費比率は23%と財政状況は黄色信号から赤信号になろうとしています。厳しい財政状況が今後も続きます。市長は財政健全化を進めるとしており、何を優先して歳出抑制するのか問われています。福岡市は国民健康保険料が高い、保育園も足りない、図書館も足りない、市民サービスは近隣の都市に比べても劣るといわれています。様々な控除の廃止や定率減税の廃止などの増税、介護保険や医療費の負担増、年金の切り下げ、障がい者自立支援法による負担増など国の悪政で国民が苦しんでいる状況で、福岡市が市民のくらしを守る責任が重くなっています。市長は市民の声に耳を傾け、人工島埋立事業は中止、こども病院を人工島に移転させることを止めて市民のために税金を使うべきです。長期的な視点から福岡市の自然と文化と歴史を活かした街づくりをすすめるよう求めます。