都市論としての人工島ー福岡市に摩天楼が似合うのか

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 明けましておめでとうございます。
 昨年吉田市長は「人工島見直し」の結論を出しましたが、公約違反であり、市民を騙すものでした。吉田市長は「ここまで来た事業を今更止めることはできない」と言っています。山崎前市長が見直しを公約し、「見直しをした結果従来通り事業を進める」としてことと同じ道を進んでいます。山崎前市長はケヤキ庭石事件の経過の中で「当初から人工島事業は従来通り進めるつもりだった」と言っていることに重なります。人工島問題は都市のあり方の問題です。財政問題、都市政策、市民自治が問われるものです。吉田市長の選択はいずれも山崎前市長が残したこれらの課題を解決できるものではないと思います。福岡市政を変えるために今年も活動していきます。

 「新福岡空港建設・高さ規制撤廃時に都心の地価総額が3兆円増」という記事が西日本新聞に掲載されました。国土交通省の試算と言うことですが、この記事の意図は明らかに新空港建設を促そうとするものです。しかし、都心部の建て替え促進のための容積率緩和政策を進めることと新福岡空港建設は別問題であり、無秩序な開発を進めては将来の禍根を残すことになります。超高層ビルを建てることが果たして福岡市の都市景観としてふさわしいのか、また経済的効果が上がるのか疑問です。環境問題やエネルギー問題から経済成長に限界があることは明らかであり、自然環境や地勢的に見ての都市の適正規模を考えるべきです。
 現福岡空港により、天神地区の高さ規制がありますが、むしろスカイラインを活かした都市景観が福岡市の魅力になります。少子高齢化が進み、人口減少が始まる中で過剰な再開発が都市の荒廃を招くおそれがあります。福岡市のあり方として、将来のデザインが必要です。東長寺に五重塔が建立されということですが、更に福岡市全体の中での面としての整備が進められなければその魅力は半減することになります。都市のデザインが求められているのであり、超高層ビルが福岡市の将来を作るとは思えません。人工島見直しもこの脈絡の中でなされるべきでしたが、このままでは貧素な喧噪な都市として、どこにでもある魅力のない都市になるでしょう。