こども病院を考えるシンポジウム

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日時 5月5日(月)
場所 ふくふくプラザ 601号室
主催 こども病院人工島移転を考える会

コーディネーター 高木誠一郎氏(たかき小児科医院 院長)
パネラー  藤井敏男氏(福岡市立こども病院感染症センター 副院長)
         平岡加代弥(こども病院人工島移転を考える会)
         久保田史郎氏(久保田産婦人科麻酔科医院 院長)
         西頭京子(こども病院患者家族)

  
藤井副院長から、こども病院設立の経緯と現状について話しがありました。

 こども病院設立については、30年前に九大の小児科教授であった円城寺先生がこども専門の病院の必要性を訴えていた。進藤市長がこの声を受けて市長選挙でこども病院建設を膏薬として掲げ、当選後1980年9月に感染症病院と統合して建設された。こども病院の役割として①入院施設として市内の小児科医院の後方病院、②小児科医療のレベルアップとしてある。30年前は市民みんなが応援し、マスコミもキャンペーンをはるなどみんなで応援していた。心臓外科はトップレベルにあり、難しい手術はニュースになりやすいが、その他の内科や外科部門もトップレベルにあるがニュースにはならい。30年前のようにマスコミもこども病院について扱わなくなり、いまは市民の目に見えなくなっている。

 昨年のこども病院の利用者は外来で延べ人数74,700人、その内市内在住者は56%、入院56,200人、そのうちしない在住者は48%となっている。兵庫県以西ではこども専門病院はここしかなく、高度な医療を受けるために全国から来ている。このことが医者のモチベーションを高めているいる。常に医療レベルが落ちないよう、維持し高めていく必要がある。いまは医師が希望がもてなくなっており、モチベーションが下がっている。

 久保田医師が財政問題があるなら補修でもいいのではないかと言うことについて、こども病院は老朽化しており、また、部屋の広さや患者家族の宿泊など30年前とは状況が変わっているので狭くなっており改築は必要である。こども病院の運営形態については自由度が高い独立行政法人がよい。日銭が入る事業に市直営はなじまない。国が今年度からこどもの治療に補助制度を始めたが、市の直営であるため、予算が確定したあとに増員できない。折角の制度ができても柔軟に対応できず、現場が大変になっている。また、市の職員も医療事務の専門家でもなく、3年程度で移動するため、現場を知るものがいない。医院長が全てを把握している。

 こども病院は高度医療をしており、赤字になる。欧米では病院は教会などが中心に慈善事業として発展してきており、企業などの寄附で運営されている。寄附の税控除をするなどできれば寄附などで運営できるようできたらよいと考えている。いまこども病院は危機的な状況にある。報酬が安いために、若い医師が来なくなっている。医師を公募しているが、時給1900円、日給月給で年収300万程度。いま家族がある35歳の医師が一人来ているが、高度な技術を学びたいと言うことであるが、麻酔科医を公募したが8人応募があっても年収が低いため全て断られた。こどもは大人とは違い、専門病院が必要。いま市民の応援が必要。

 会場からの感染症病棟について県に返上するということについて説明した。こども病院がある場所にもともと法定伝染病の病院があった。こども病院を建設する時に併設した。位階が大人の感染症病棟で、2階がしょうかの感染症病棟になっている。いま問題になっているのは大人の感染症病棟についてである。専門医は一人しかいなく、問題になっているのは鳥インフルエンザ対策である。大人の感染症病棟を県に移管しても小児科の感染症病棟は残る。大人の幹線傷病とがなくなるのであれば計画hみなおさなければいけない。現地建て替えの時間や経費は変わるはず。

平岡さんから患者アンケートの結果と4月27日の移転候補地バスツアーの報告がありました。
 患者アンケートでは利用者は藤井先生の話と同じく市内が57%、遠くは北海道からと全国各地から来ている。市内利用者は西部地区が多く、交通手段は自動車がもっとも多く6割、ついで地下鉄となっている。通院頻度は1ヶ月1回から2ヶ月に1回以上が半分弱、入院経験者は約70%、成人後も通院している患者も多い。現地建て替えが最も多く、ついで六本松が上がっていた。人工島を挙げている方は少ないがいたが、東区・福岡県東部の居住者。病院に求める施設として、家族の宿泊施設や兄弟を預かる託児施設、食事する場所など付き添い者に必要な施設が求められている。受診かは循環系がもっとも多く整形外科、眼科、小児科、耳鼻科等多岐にわたっている。

 バスツアーは現地立て書き順に交通アクセス(公共交通機関、自家用車、初診者の理解度)、敷地の広さ(広さ、形状、拡張性)、周辺環境(静寂度、安全性、生活利便性)を評価した。現地を5点として基準にして点数をつけてもらった。点数では六本松が最も高かったが、総合評価では現地建て替えと六本松がほぼ同じ評価となった。ついで田島寮跡地、当仁中学跡地は認知度が低く3番目となった。九大病院については一部話が出ているということで視察したが、評価は3番目であった。人工島はA~Eの総合評価で最低のEであった。

久保田医師から産科医・麻酔科医として問題を指摘
 南区で25年産婦人科を開業し、11000人の赤ちゃんを取り上げてきた。今回のこども病院の見直しで周産期医療を充実させるということについては必要であると思った。しかし、人工島に移転させると聞き、市に意見書を送った。周産期の救急処置は30分が限度である。30分を超えると命が救えても障碍が残る可能性がある。人工島に行くには1時間かかるようになり、間に合わなくなる。そうすると他の病院に行くようになる。遠いということは患者にとっても家族にとっても大きな負担となる。

 産婦人科といっても産科と婦人科は異なり、産科は救急性が高い。そのため婦人科医はいても産科医は減っている。東京では産科の開業医は減って大病院が多いが福岡は開業医が多い。福岡でも、いまは私たちの世代が頑張っているが10年すれば産科医は半減する。こども病院に周産期医療を充実させる必要がある。人工島に移ると妊産婦が人工島まで検診に行くのか、無駄遣いになる。東京では妊産婦検診は10回無料になっているが、福岡ではやっと5回無料になった。ムダなお金を使うより、こどものために使った方がよい。

 妊産婦のたらい回しが問題となっている。周産期医療をするためには産科だけでなく麻酔科、小児科のチームワークが必要である。先日、奈良県で胎盤早期剥離の患者を麻酔科がいないまま手術をし、母子ともに死亡した。周産期医療をするためには麻酔科医は最低7~8人は必要。
 こども病院を人工島に移転させることは問題。この問題はこどものことを考えれば簡単な問題だ。こどもは発言できない。だからこそ親や医師が発言しなければいけない。

西頭さんからは障害を持ったこどもが、長くはいきられないと言われていたが、こども病院で治療を受け、また、看護師の方に励まされて、いまでは特別支援学校を卒業し成人していることが話されました。

会場から熊本からいまも治療に通院している高校生からこども病院について患者の立場で見直すよう発言。
九大が周産期医療施設として県に認可されたので、こども病院を人工島に移転させる必要がない、
市民秋附するなどの市民坂で取り組んではどうかという提案。
九大病院でこどもの治療を受けてことの経験から、家族が利用しやすい場所にすべき

まとめとして、こども病院はこどものために造られるべき。