吉田市長、福岡市議会、病院事業運営市議会へ申し入れ

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 こども病院人工島移転中止と当事者を含めて検討し直しを求めて、吉田市長、福岡市議会、病院運営審議会に申し入れをしました。吉田市長は病院運営審議会に移転先については諮問していません。しかし、立地条件と病院運営は密接に関係しており、移転地について審議すべきです。今回のこども病院移転に治しが極めて異常な状況で進められています。原点に戻って、こども病院の改築・移転はこどものために検討すればよいのです。

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2008年5月8日

福岡市長 
吉田 宏 様

                      博多湾会議
                       代表  荒木龍昇   
                      こども病院の人工島移転中止を求める会     
                       代表  脇 義重

申し入れ

こども病院を人工島に移転させることをやめ、
改築・移転については当事者を含めて再検討することを求める

福岡市病院事業運営審議会は「こども病院のあり方」について今5月に答申を市長に行おうとしています。わたしたちは3月審議会を傍聴し中間報告と議論を聞き、改めて、こども病院の人工島移転に関しては多岐にわたって問題点があることが分かりました。そこで、今日、同審議会に問題点に関する意見書を提出すると同時に、市長、市議会に申し入れを行います。
吉田市長は昨年12月にこども病院を人工島に移転させる方向を示しました。しかし、利用者の多くは現地での建て替えを望んでいます。遠くて交通が不便な人工島に移転したら救急通院ができないと訴えています。こども病院で働いている医師や看護師も人工島への移転を反対しています。市民の多くも移転に反対し人工島への疑問を募らせています。現地建て替えは可能です。改めて、こども病院の改築・移転を再検討するよう申し入れます。
市内小児科医69名は連名で「こども病院を人工島に移転することに反対する」ことを市長に申し入れ、患者家族の会「こども病院の人工島移転を考える会」は5万6千筆を超える署名を集め、市長に人工島へこども病院を移転させることをやめるよう申し入れました。市民でつくる「こども病院の人工島移転中止を求める会」は3千筆の署名を添えて市議会に請願しています。街頭署名でも多くの市民がこども病院を人工島に移転させることに反対していることを感じています。これらの声を市長はどうして聞こうとしないのですか。
 検証・検討で市は利用者の多くは現地立て替えを望んでいると認めていながら現地立て替えはお金がかかる、時間がかかる、狭いとして現地建て替え案を却下しています。市は近隣の九大六本松教養部跡地、当仁中学校跡地、九大田島寮跡地を検討したとしています。しかし、土地代が高いとして候補地から除外したうえで、土地代が安く広い、ヘリポートがつくれるとの理由で利便性がもっとも低い人工島を移転先に選びました。
 市民にとってもっとも利用しやすい場所にこども病院を造ることが必要です。では、こども病院を人工島に移転させることがこどもや市民のためになるのでしょうか。しかし、公共交通機関は天神からのバス路線しかなく多くは自動車でしか行けない人工島は、多くの市民やこどもが利用できにくくなります。多くのこどもが治療を受ける機会が奪われることになり大きな問題です。利用者が減ることで病院経営そのものが成り立たなくなることも意味します。また、こども病院で働いている医師や看護師の方たちが働きにくくなり、小児科医や産婦人科医など医師を確保できなくなるなどの根本的な問題を生じさせることになります。
人工島は利便性が低いだけではありません。広い道路に直面しており交易貨物を運ぶ大型トラックが多数通行し、また航空路の直下にあたることから飛行機からの排気ガスや騒音も加わります。外国貨物からの病害虫の侵入する心配もあります。近年中の発生が心配される巨大地震発生時の液状化による建物倒壊や架橋落下による人工島の孤立化の懸念もあり、人工島は病院立地に適した場所ではありません。また、利点とされたヘリポートは、福岡空港の管制圏にあたり進入待機が起こり、急患搬入に支障を来たすことが実証されています。
 一昨年の市長選挙で吉田市長は「こども病院の移転を見直す」と公約しました。「こども病院の移転を見直す」という日本語の意味は「人工島への移転はやめる」ということです。なぜ人工島に移転するのでしょうか。これは公約違反です。吉田市長は「聞きたかけん」と市民の声を聞く市政を表明してきましたが、どのように市民の声を聞こうとしているのかとても信じられない状況です。当事者や専門家の声を聞かない検証・検討結果に市民が納得できるでしょうか。このままでは将来の世代に大きな負の遺産を残します。

申し入れ事項
1、市長は政治家として選挙公約を守り、こども病院の人工島移転をやめることを求めます。
2、こども病院の人工島移転中止し、改築・移転についてはこども病院の患者や家族、医師や看護師、市内の小児科医など当事者、公募市民が参加して再検討することを求めます。

 なお、5月31日までに回答を求めます。

2008年5月8日

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福岡市病院事業運営審議会
会長 水田 祥代様

                      博多湾会議
                       代 表 荒木龍昇  
                      こども病院の人工島移転中止を求める会 
                       代 表 脇 義重  
                       
  
              市立病院のあり方に関する審議会への意見書

1.はじめに
福岡市立病院事業のあり方に関する審議活動に敬意を表します。
「博多湾会議」はあるがままの博多湾の自然とともに暮らしたいと望み、自然を破壊し市財政を傾ける人工島事業に反対しその中止を求めています。
「こども病院の人工島移転中止を求める会」は市の人工島・市立病院の検証・検討チームが、こども病院を人工島に移転させる結果を報告したことに驚き、不適でおかしな移転計画の中止を求めています。
人工島の移転予定地は博多港開発株式会社(以下、会社)が造成したものの、売却が進まない土地です。現地建て替えも含め、他にも適地があるにもかかわらず最も交通の便が悪い人工島を移転最適地としたのは、市が会社の造成地を税金で購入し、会社が代金を融資返済に充てる方法を繰り返すためです。
この度のこども病院の審議は、審議会は公開されているものの、患者とその家族、医師など医療従事者、公募市民は参加していないことから当事者、市民自身の問題であるのに、意見を述べる機会がないまま、審議だけが進められています。
下記の審議会では「周産期医療との併合など市案は充実したものとなっている。脳外科の導入などにより医療の充実が図られている。一方で、市民の利便性も大事。医療の地域偏在は患者・医師とも困ることになる。」との委員意見は聞かれたものの、全体として問題の所在と確認と解決という審議会本来の姿から程遠い審議内容となりました。
2.第3回福岡市病院事業審議会での問題点。
3月28日に開催された第3回福岡市病院事業審議会(以下、審議会)では、医療機能部会と経営形態部会から中間報告が座長と事務局から行われました。 医療機能部会の瓦林達比古福岡大学副学長が「こども病院に関する市の検証・検討の結果は概ね妥当である。市民病院は検討中である」、経営形態部会の長柄福岡医師会副会長は「総務省の公立病院改革ガイドラインや福岡市が置かれている厳しい財政状況から、経営形態としては現在の地方公共企業法の一部・全部適用では限界があり、病院長の権限を強化する方向で、地方独立法人か指定管理者制度が望ましい。」とそれぞれの部会報告が 行われました。
問題点1  「(人工島移転が望ましいとした)市の検証・検討の結果は概ね妥当である。」との部会報告に論拠がありません。
医療機能部会は「市の検証・検討の結果は概ね妥当である。」と報告しました。しかし、「人工島に整備することが望ましい」とした結果報告がなぜ妥当なのかを部会報告は示していません。報告を受けた当日の審議会でも委員からその根拠を示す討論はされていません。
検証・検討結果が「妥当」というのなら審議会でどうして移転後のアンバランスを是正すべしという中間報告になったのでしょうか。委員は「基幹病院がなくなれば再構築が必要」と発言し、こども病院の移転が深刻な事態を引き起こすことになると認めています。市は「配置バランスの格差は大きい」と認めたうえで、有力病院で医療ネットワークをつくることで対処すると答弁していましたが、救命に一刻を争う小児医療の現場を知らなさ過ぎます。
結局、部会は市の検証・検討結果は「妥当である」と表明しつつ実際には「妥当ではない」と判断したのではないでしょうか。
問題点2.人工島への移転を前提として病院のあり方を議論すること自体がおかしい。
 市部長は「市はこども病院の移転候補地について人工島が適地であるとの前提で進めている」と答弁しました。そうしたなか、「審議会がこども病院の人工島移転を実質承認した」趣旨の報道を行ったことについて、委員から情報漏洩だとの苦情が出されました。しかし、問題はこども病院の人工島移転賛同を前提に審議したのではないことを明示・明言しなかったことにあります。たしかに、市長の諮問にはこども病院の建設場所は含まれていません。しかし、市の検証・検討結果はこども病院を人工島に移転することが望ましいとしているのですから、部会がその結果を妥当だとしたことは、人工島への移転を前提として討論が行われ、諮問されていない移転候補地まで審議し「容認」したことになります。おかしいと思います。
3.人工島はこども病院の移転先には最不適地です。
 以上の経過から、審議会には市の「検証・検討結果を妥当」とした部会報告を見直すことが求められています。患者や家族などこども病院の利用者にとって緊急の場合いつでも安心して医師などに診てもらえることが大切です。
 そこで、審議会が真にこども患者とその家族、医療従事者の立場にたった市民病院のあり方を審議する一助にして欲しいと願い、人工島がこども病院立地の条件を満たしていないことを改めて記します。
① 九大病院が小児医療センターを充実させているとき、人工島への移転は小児医療機関の福岡市の東部になおさら偏在することになる。
② 人工島は地盤が弱く安全ではなく地震に弱く架橋が落ちたら救急車も通れない。
③ 予定地に直面する道路からの車の排気ガスと騒音、航空機騒音に悩まされる。
④ 人工島への公共交通機関が充実していなく博多駅・福岡空港からのアクセスが不便。
⑤ 港湾施設からの貨物自動車が増えると交通渋滞となり、救急車の通行に支障をきす。
⑥ 港湾施設には貨物に交じって病原菌を運ぶ鼠が上陸し、毒グモも発見されている⑦ 人工島は福岡空港の完成空域に入りヘリコプターが進入できなく、緊急搬送でき  ない。
⑧ 博多港開発株式会社の融資返済のために、こども病院のあり方がゆがめられる。
4.結論
1.審議会は、こども病院を人工島に移転することを容認・賛同しないこと。
2.審議会審議に、こども病院の患者とその家族、医師など医療従事者、公募市民が参加し、こども病院のあり方の検討に参画できるようにすること。

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2008年5月8日

福岡市議会議長 川口 浩 様

                      博多湾会議 
                       代表  荒木龍昇
                      こども病院の人工島移転中止を求める会
                       代表   脇 義重
                      

申し入れ

こども病院を人工島に移転させることをやめ、
改築・移転については当事者を含めて再検討させることを求める

福岡市病院事業運営審議会は「こども病院のあり方」について今5月に答申を市長に行おうとしています。わたしたちは3月審議会を傍聴し中間報告と議論を聞き、改めて、こども病院の人工島移転に関しては多岐にわたって問題点があることが分かりました。そこで、今日、同審議会に問題点に関する意見書を提出すると同時に、市長、市議会に申し入れを行います。
吉田市長は昨年12月にこども病院を人工島に移転させる方向を示しました。しかし、利用者の多くは現地での建て替えを望んでいます。遠くて交通が不便な人工島に移転したら救急通院ができないと訴えています。こども病院で働いている医師や看護師も人工島への移転を反対しています。市民の多くも移転に反対し人工島への疑問を募らせています。現地建て替えは可能です。改めて、こども病院の改築・移転を再検討するよう申し入れます。
市内小児科医69名は連名で「こども病院を人工島に移転することに反対する」ことを市長に申し入れ、患者家族の会「こども病院の人工島移転を考える会」は5万6千筆を超える署名を集め、市長に人工島へこども病院を移転させることをやめるよう申し入れました。市民でつくる「こども病院の人工島移転中止を求める会」は3千筆の署名を添えて市議会に請願しています。街頭署名でも多くの市民がこども病院を人工島に移転させることに反対していることを感じています。これらの声を市長はどうして聞こうとしないのですか。
 検証・検討で市は利用者の多くは現地立て替えを望んでいると認めていながら現地立て替えはお金がかかる、時間がかかる、狭いとして現地建て替え案を却下しています。市は近隣の九大六本松教養部跡地、当仁中学校跡地、九大田島寮跡地を検討したとしています。しかし、土地代が高いとして候補地から除外したうえで、土地代が安く広い、ヘリポートがつくれるとの理由で利便性がもっとも低い人工島を移転先に選びました。
 市民にとってもっとも利用しやすい場所にこども病院を造ることが必要です。では、こども病院を人工島に移転させることがこどもや市民のためになるのでしょうか。しかし、公共交通機関は天神からのバス路線しかなく多くは自動車でしか行けない人工島は、多くの市民やこどもが利用できにくくなります。多くのこどもが治療を受ける機会が奪われることになり大きな問題です。利用者が減ることで病院経営そのものが成り立たなくなることも意味します。また、こども病院で働いている医師や看護師の方たちが働きにくくなり、小児科医や産婦人科医など医師を確保できなくなるなどの根本的な問題を生じさせることになります。
人工島は利便性が低いだけではありません。広い道路に直面しており交易貨物を運ぶ大型トラックが多数通行し、また航空路の直下にあたることから飛行機からの排気ガスや騒音も加わります。外国貨物からの病害虫の侵入する心配もあります。近年中の発生が心配される巨大地震発生時の液状化による建物倒壊や架橋落下による人工島の孤立化の懸念もあり、人工島は病院立地に適した場所ではありません。また、利点とされたヘリポートは、福岡空港の管制圏にあたり進入待機が起こり、急患搬入に支障を来たすことが実証されています。
 一昨年の市長選挙で吉田市長は「こども病院の移転を見直す」と公約しました。「こども病院の移転を見直す」という日本語の意味は「人工島への移転はやめる」ということです。なぜ人工島に移転するのでしょうか。これは公約違反です。吉田市長は「聞きたかけん」と市民の声を聞く市政を表明してきましたが、どのように市民の声を聞こうとしているのかとても信じられない状況です。当事者や専門家の声を聞かない検証・検討結果に市民が納得できるでしょうか。このままでは将来の世代に大きな負の遺産を残します。

申し入れ事項
1、福岡市議会は市民の声を真摯に受けとめ、こども病院の人工島移転をやめさせることを求めます。
2、こども病院の人工島移転中止し、改築・移転についてはこども病院の患者や家族、 医師や看護師、市内の小児科医など当事者と公募市民が参加して再検討することを求めます。