人工島物流センター白紙が意味するもの

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 今朝の新聞報道で「人工島の物流センターが白紙」とありました。福岡市は東京の物流不動産会社に人工島の土地6.5㌶を65億円で今年6月に売買する予定でした。ところが、不況の影響で当該物流不動産会社から物流不動産部門が別会社に移譲され、引き継いだ別会社の特別目的会社に譲渡先を変更、今年9月30日までに改めて土地売却する予定でした。ところが、9月30日に特別目的会社が「テナントが集まる見通しが立たない」ことを理由に契約延期を申し出たと言うことです。つまり契約破棄と言うことです。

 この一件は何を意味しているでしょうか。もともと世界経済の構造は大きく変わり、国内における土地需要は減少している中で、昨年のリーマンショックに始まる政界同時不況が追い打ちをかけたと言えます。世界から借金をして浪費することで世界の経済を引っ張ってきたアメリカ経済は破綻し、いまだに先行き不透明。希望の星と言われる中国やインドの経済成長は公金の投入と乱開発によるもので、先行き展望がもてるとは言えません。地球温暖化や化学物質による環境汚染など環境問題がいずれ経済成長にストップをかけ、世界経済は破綻する恐れさえあります。過剰流動資金が世界経済を動かし実体経済との乖離が今回の経済破綻の本質であり、経済の質の転換が求められています。

 今回の物流センターの白紙は人工島事業の終焉を象徴するものであり、時間が経てば解決するものではありません。実体経済が変貌している今日、投資ではなく投機の対象としてしか土地は必要とされていないのです。問題はまだ埋立が終わっていない約1/4の埋立です。埋立を続けても不良資産を抱え込み、やがてそのために不必要な公共施設が建てられ、その維持管理にムダな税金が使われ続けるという悪夢が見えてきます。大阪市のワールドトレードセンター(WTC)が二度目の破産となりました。WTCには既に3/4の施設は大阪市の施設で埋められていますが、いま、破綻したWTC事業救済のために大阪府庁舎が移転する話が出ています。まさに人工島の悪夢と重なります。こども病院の人工島移転、この物流センターの白紙と重ね合わせると、何故こどもの命が犠牲にされるのかが見えてきます。誤った政策が多くの市民の声を無視しれ顧みられない、歴代市長が市民をだまし続けてきたこの福岡市政がいつまで続くのでしょうか。福岡市でももういい加減に政権交代が必要です。