福岡市議会へ人工島関連予算否決を求めて請願を提出

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 2010年度予算議会が開催されています。博多湾会議では人工島事業の予算を否決する請願を3月5日に提出しました。
 破綻した人工島事業を続けることはまさにドブにお金を棄てるようなものです。吉田市長は4年前の市長選の公約で「人工島事業は市民の財産になる見直しをする」と公約しましたが、山崎前市長の政策を継承したにすぎませんでした。昨年12月に出した「人工島新事業計画」は単に埋立地の地価を下げて販売促進するというだけのものです。収支は黒字になっていますが、そのウラで使われる販売促進のための補助金や様々なの助成策の費用、福岡市が行う道路や下水道、公園整備の費用は隠されています。このまま埋立を継続しても土地処分の見通しはなく、クロツラヘラサギの保護を放棄することであり、新事業計画は人工島が市民の財産になるどころか負の遺産になることは見えています。

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2010年度予算案における人工島関連予算案を否決することを求める請願

請願趣旨)

1、人工島新事業計画は事業破綻の追従
 昨年12月に人工島新事業計画が策定されました。その内容は従来通り港湾整備を進め、埋立事業を進めるというものです。しかし、そもそも人工島事業は既に破綻しており、これ以上の事業費を投入することは税金の無駄遣いです。

1)過剰な港湾機能施設整備はやめるべき
人工島新事業計画は過剰投資であり、やめるべきです。その計画の裏づけ来年度予算案は否決されるべきです。
 ①今後大型コンテナ船の寄港数は減少し、大水深の埠頭は必要なくなります。
 新事業計画でも世界のコンテナ船が大型化していることの対応するために、大水深の埠頭の整備、大型トランスファークレーンの増設を打ち出しています。しかし、新事業計画にも記載されているように近年博多港の北米・欧州航路の便数は大きく減り、博多港へ大型コンテナ船の寄港は年々減少しています。そして中国・韓国・東南アジア便が多く増え、これらのアジア航路では3万トン以下の小型船舶やRORO船が増えています。これは博多港が釜山港とのフィダー港化していることと並んで、福岡市が消費地であり、世界の工場が中国や東南アジアに移っている経済事情を反映しています。これらの状況とコンテナ船が大型化すればするほどハブ港湾以外への寄港を減らす航路事情を合わせ見ると、今後博多港への大型コンテナ船の寄港は減少すると考えられます。

 ②過剰な港湾施設の整備は港湾整備特別会計を破綻させます。
 上記のように小型のコンテナ船が増え、RORO船が増えれば大型ガントリクレーンの需要は減ると考えられます。またRORO船はクレーンが必要ないだけでなく、積み荷の仕分けの必要がないため上屋やコンテナヤードの需要も減ります。このような状況を鑑みると、港湾施設全体の需要が減ると考えられます。新事業計画では施設の使用料で償還する「機能施設整備事業」は前述の状況が反映していると考えられますが、2063年、いまから53年後に黒字なる計画となっています。それ故に、この長期の見通しそのものが根拠あるものといえません。更に収支計画にはガントリクレーンなど港湾施設の更新の費用は組み込まれておらず、収支計画自体に信憑性がありません。

 ③総合的な物流政策見直しがなされようとしており、過剰な投資はやめるべきです。
 会計検査院の調べでも全国の港湾整備の無駄遣いが指摘されています。また、阪神淡路大震災以降神戸港などの貨物は釜山港に取られたといわれ、釜山港がハブ港湾となっています。新政権では日本各地に散在する重要港湾なるものの存在が国際競争力を低下させているとして、日本の港湾事業について選択的投資を行うなどの見直しの必要性が指摘されています。今後の全国的な物流政策の視点からも、博多港の位置はフィダー港として福岡都市圏の物流を担うものとなると考えられ、過剰な投資はすべきではありません。

2)これ以上の埋立は臨海土地整備事業を破綻させ、将来の世代に大きな借金を残すだけ
 既に世界の経済構造は大きく変わり世界の工場は中国・東南アジアに移っています。製造業としての土地需要はありません。同時に、物流形態も現地仕分け・積みの混載・RORO船など大きく変わり、上屋などの必要性が下がり、港湾地区での土地需要は減少しています。加えて一昨年のリーマンショック以来続く不況の出口は見えない状況で、このまま埋め手を続けても埋立地の土地処分の展望はありません。現に昨年は港湾地域に建設予定の大型物流センターが白紙となり、また老人福祉施設建設も白紙になりました。構造的に土地需要は減退しています。このような状況で港湾地区の埋め手を進めても破綻することは目に見えています。
 市5工区においても臨海土地整備事業は破綻します。福岡市の住宅数は世帯数を11万戸上回っており、賃貸住宅の空室率は20%程度で日本一と言われように住宅供給過剰となっています。少子高齢化が進み、更に人口減少が始まろうとしていることを考えると、土地処分価格を下げても土地処分は進むとは考えられません。土地処分を進めるために、様々な補助金や助成策を講じることは、まさに税金の無駄遣いとしかいいようがありません。

2、厳しい財政状況において人工島事業は抜本的に見直しが必要
 国の借金は長期債務及び短期債務を合わせると既に860兆円です。地方の借金は199兆円、国民の謝金は1000兆円を超えています。国は債務超過の状況にあると指摘されており、今後とも厳しい財政運営が迫られています。厳しい財政状況地方も同様で、福岡市の市債発行残高は2008年度決算で2兆5500億円、市民一人当たり181万円です。福岡市の2010年当初予算でも長引く不況の中で生活保護費の増加、少子高齢化による福祉・医療費等の増加、雇用対策と歳出増となっています。他方、市税収は大きく落ち込んでいます。厳しい財政状況が続く中で、破綻した人工島事業を続けることは許されません。

3、博多湾の自然を再生し、自然・文化・歴史を活した環境先進都市へ転換すべき
 人工島埋立事業は、多くの市民や国内外の環境保護団体の反対を無視して着工され、博多湾の自然が破壊されてきました。その結果博多湾へ飛来する渡り鳥は半減し、和白干潟はアオサで覆われ、湾内漁業も壊滅的打撃を受けています。しかし、埋立が進み人工島にできた擬似干潟には多数の渡り鳥が飛来し、世界に2000羽しか確認されていないクロツラヘラサギが70羽ほど飛来しています。埋立をやめ、クロツラヘラサギの保護など残された博多湾の自然を復元することが福岡市の財産となります。
 和白干潟周辺が国設鳥獣保護区に指定されるなど、博多湾はラムサール条約登録湿地として指定可能な場所です。今年は名古屋市で生物多様性条約締約国会議が開催されます。今年のテーマは「生物多様性の損失に係る危機的状況の十分な認識の下、人の活動域も含めた地球全体で自然の豊かさを育み、その恵みを最大化するため、一人一人ができる活動を見出し、直ちに行動に移していく。~人と自然の共生を目指して~」です。気候変動条約などとともに、今、自然と社会活動の関わりが見直されています。こうした環境保全の声が高まる中で、博多湾の自然を復元することが福岡市の責務といえます。博多湾の自然破壊の原因である人工島事業をやめ、福岡市の将来の都市像として、自然・文化・歴史を行活かした都市を目指すべきです。

請願項目)
1 2010年度予算案における人工島事業関連予算案を否決すること