玄海原発プルサーマル裁判

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 玄海原発プルサーマル商業運転1年を迎える前日の12月1日(水)に第1回公判がありました。今回は原告団として稼働の安全性に問題があることと廃棄物処理の見通しがない中で稼働させた問題について訴状にしたがって以下のように代理人が主張しました。

●プルサーマル炉心がウラン炉心より危険として
① 制御棒の効きが悪くなる。
② 中性子吸収剤であるほう素の効きが悪くなる。
③ MOX燃料の融点がウラン燃料より下がり溶けやすくなる。
④ MOXペレットから放出される気体は多く、燃料棒の内圧が高くなる
●廃棄物の処理のみとしないとして
 使用済MOX燃料の処理方策を検討開始するためのもう一つの前提とされている六ヶ所再処理工
場は、再処理と不可分な高レベル廃液のガラス固化工程でほぼ完全に行き詰まっているため、アクテ
ィブ試験を終了して商業運転に入ることはできない状態にある。核分裂生成物のルテニウムやパラジ
ウムなどの白金族がガラス材に溶け込まずに析出して下部に沈み、電流バイパスを形成してガラスの
溶融を妨げるという本質的な技術的欠陥があり、解決の見込みは立っていない。

 その後原告から原告団長の佐賀市在住石丸初美さんと唐津市在住徳永哲さんが意見陳述をしました。石丸さん「安全性の議論がなされている状況ではプルサーマルの運転はすべきではない」「核のゴミを将来の世代に残すことは出来ない」、徳永さんは「原発の傍の学校に孫を通わせて欲しくないという母の言葉で呼子に移住し玄海町に仕事に行っている」、「原発によって生かるが振り回されている」と発言し、将来の世代のために原発の運転の中止を求めました。

 裁判後の報告集会では、弁護団は「今回の答弁では一般論でしか答えていない。安全についての立証責任はある」とし、九電は次回反論すると言っていることについて批判をしました。また、石丸さんは、事故が起こった時の国の責任についての問うた時に、国は「指導しているだけで、自己の責任は九電ある」と言っていると報告し、プルサーマル運転についての安全性の基準がないことを批判しました。

 プルサーマル裁判で、核廃棄物処理の見通しも安全性の基準もないまま見切り発車していることの問題を福岡市民に知ってもらわなければなりません。一旦事故が起これば、50kmほどしかはなれいない福岡市には西風に乗った死の灰が降り注ぐことになります。玄海原発は福岡市民にとっては重大な問題です。