成長がない中での発展を目指して

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 アイルランドの金融危機に見られるように、2008年のリーマンショック以来、世界経済は未だ不安定な状況にあります。中国・インドなどの新興国の経済成長により世界経済は取りあえず一息ついている状況ですが、いずれ環境問題や資源・エネルギー問題で成長は鈍化せざるを得なくなります。世界経済の成長鈍化、グローバル化による国内製造業の空洞化と人口減少により、日本経済は厳しい状況が続くことを想定せざるを得ません。経済成長なき発展をどのようにつくるのかが問われています。

 経済成長なき発展する社会は安心して暮らせる社会、共に生きる社会です。医療、年金、教育、更に住宅福祉の充実が求められます。しかし、国の債務904兆円(2010年6月時点)、地方の借金は200兆円です。年金、医療制度や介護保険など国民の安心の基盤は制度的に破綻をきたしており、消費税の議論が始まろうとしています。税制の議論に当たってはまずはムダな事業を徹底して洗い直しが必要です。昨年の事業仕分けは特殊法人など切り込みが不十分であり、空港特別会計の見直しやダム建設の見直しも腰砕けとなっています。福岡空港増設も必要がない事業です。医療の在り方も過剰な終末医療は見直しし、予防医療を進めることで医療費の抑制をすべきです。さらに、消費税議論の前に、ガソリン税の一般財源化、所得税の累進性の見直しをすべきと考えます。税制の問題はまさに助け合う理念が必要です。アメリカでは「社会的弱者は敗者であり、自己責任で解決すべきで社会的給付はすべきではない」という国民意識が強いと言われています。私たちは自己責任を求める社会ではなく、共に生きる社会を目指すべきです。その為の税制の議論が必要です。経済成長なき社会で発展するためには理念を持った政治が必要です。

 福岡市政においても厳しい財政が続くと考えられます。人工島事業を見直し、ムダを無くして市民の暮らしを守り福岡市の将来のために税金を活かさなければなりません。同時に、福岡の活力を生み出すには市民力を活かすこと、そして福岡市が持つ財産、歴史、文化、自然、そして大学の集積を行かした地域経済を育てなければいけません。市民力が活かされる仕組みづくり、市民自治条例をつくり、政策決定過程の市民参画と区民会議設置などの地域分権を進めることが必要です。地域経済を育て雇用を生み出すためには、景観法の活用や1次産業の6時産業化の促進、文化・教育事業の育成、福祉事業の支援・育成が必要です。そのためにも、市長が交代し新しい福岡市政を期待すると共に、議会も変えなければならないと考えています。今後も、子どもの命を守り財政の視点からもこども病院人工島移転撤回の実現を目指します。