福島県安全協定に関する調査といわき市民放射能測定室訪問

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福島県安全協定について
2011年11月30日(水)
福島県災害対策本部にて調査
福島県庁はまだ災害の片付けができておらず、庁舎の隣の自治会館3階にある講堂を本部として使っていました。エレベータ前の廊下がプレスルームになっており、忙しい中調査に応じていただきました。
1、事故の対応状況
1)東電からの連絡
■地震発生(3月11日14時56分)、原子炉自動停止、外部電源喪失
 東電からの第一報は15時前頃電話であった。(ただし正確な記録はない)地震後直ちに災害対策本部を設置したが、対策本部設置場所が本庁8階に設定していたため、地震で室内が散乱して業務が出来ない状況になっていた。衛星電話は窓際しか使用できないため、連絡に問題が生じた。

2)避難指示について
①当初、国との連絡が取れないために、東電の情報を基に県で判断。3月11日19時3分、非常事態宣言を発令。20時50分福島第一原発2km県内の住民に避難指示、21時23分、3km県内の住民に避難指示と10Km県内の住民に屋内待避を指示。ここまでが防災計画で策定されていたので、各自治体は訓練通りに維持避難をした。

②事態は悪化し、国が12日5時44分に福島第一原発10Km県内住民の避難を指示。想定していなかった目に避難計画はなく、各自治体の判断で二次避難が始まった。県はバスの手配や自衛隊への要請で支援したが、状況がつかめないままであり自衛隊も手探りの支援状況であった。

③12日7時45分、国が福島第二原発3km圏内住民に避難指示、10Km圏内住民に屋内待避を指示。
■3月12日15時36分 福島第一原発1号機水素爆発

④17時39分、国が福島第二原発10Km圏内住民に避難指示、18時25分福島第一原発20Km圏内住民に避難指示を出した。
■3月14日11時1分 福島第一原発3号機水素爆発
■3月15日6時 福島第一原発4号機が水素爆発、2号機でも爆発音

⑤3月15日11時、国は福島第一原発20Km~30Kmけんないじゅうみんに屋内待避を指示。

⑥避難時の問題として、社会的弱者や病人の避難は難しく、途中で亡くなった方もいる。また、大規模な避難は現実的に可能なのか問題が残る。バスでの移動を準備したが、多くの方は自家用車で避難しており、渋滞が起こり避難中の被爆がある。コンクリートの建造物内であれば、かなりの(ビル内は10分の1ぐらいに、一般家庭でも中心部であれば4分の1ぐらいにはなる)外部被爆を軽減できる。福島市(人口30万人)でも1週間ぐらいはかなり高い時期(20マイクロシーベルトを超える)があり、ヨウ素131もかなり流れてきた。県として屋外に出ることは必要最小限度にするように住民に指示をした。

2、事故当時の状況
 地震により電源が切れ、また倒壊などで原発周辺に県が設置していたモニタリングポストはすべて使えない状況であった。スピーディーも使えず、汚染状況は全く分からず、他探りでの避難であった。そのため避難中に多くの住民が被爆した。15日までデーターはなかった。サーべーメーターを持って県内7カ所のポイントを二人一組で24時間測定、車の移動による圏内一円の測定と人海戦術で測定した。現在国に自動測定できるシステムを作る費用を要請しており、来年3月には出来る予定。
 緊急事態が諸自他場合はモニタ林ポストなど監視システムが破壊されることを前提に計画する必要がある。その一つとして、各自治体や小学校などに線量計を配布し説くことなどが考えられる。
 県として一番心配したのは4号機の水素爆発であった。4号機は運転停止で原子炉内には燃料棒はないが、使用済み燃料棒が通常炉の2倍1300体ほどプールにある。プールの水が無くなりメルトダウンすればカバーするものが無く直接大気に放射能が大量に排出され、チェルノブイリを超える放射能汚染のおそれがある。幸い4号機の使用済み燃料プールに水が維持されているんでとりあえずほっとしている。
 ヨウ素剤については県や自治体には常備していたが、災害対策本部の指示に基づき医師に指示で服用になっている。子供用には錠剤ではなくシロップを常備している。災害対策本部で指示していないので住民に服用させた自治体があるかは把握していない。

3、原子力センター
 原子力センターは放射性物質を分析するところで、食料や土壌の補社の測定はしていない。食品や土壌の放射能測定の希望が強いので、現在県内各小学校や自治体3000カ所に放射能測定器を配置するようにしている。

4、避難計画について
 献上は緊急事態の状況で、避難計画見直しの状況ではない。

5、安全協定
 同じ東電との協定であるが、福島県には停止を求めることが記載されていないなどの違いがある。

結論
 福島第一原発と同じような深刻な事故が起こった場合は、福岡市民147万人の避難は不可能である。このことを考えると、事故を起こさせない体制、さらに原発を廃炉にする以外に解決策はない。

いわき放射能市民測定室視察

2011年12月1日(木)

1、施設の概要
 ビルの3階に事務室兼食品測定室、ホールボディカウンター測定室の二室

2、食品検査について
1)食品測定器 2台
 ①ベラルーシ製AT1320A 検出限界5.7ベクレル 150万円 (写真右)
セシュウム137,134,ヨウ素131を同時に測定 測定時間30分
  検体の量は1リットルと500ccがある

 ②ドイツ製LB2050 検出限界10ベクレル 300万円(写真左)
  セシュウム137,134の測定がセシュウムとヨウ素131の測定の切り替え
  測定時間は20分 実際には30分測定している
  検体の量は420cc

2)食品は1日12検体受付 食品は30分測定 水及び液体は二時間測定

3)検査料 30分500円 固形物は500円 液体は2000円となる
  安くしているのは緊急事態なので出来るだけ誰でも利用できるようにするため。また、 検体の購入費の負担を考えての料金設定としている。
  食品測定については農協が測定器を持っているが農産物の測定に使われており市民対 象ではない。いわき市水道局がゲルマニュウム測定器を購入しているがこれも水道水測 定用であり市民対象ではない。民間業者が二社あるように聞いているが費用が高い。

4)データーについては公表
  検体を持ち込んだ方の住所は大字まで、食品名(商品名ではない)を公表
  個人名は公表しない
  検査結果についてはあくまでも市民が判断する参考としている
  食品メーカーのもので問題がある数値が出た場合はメーカー及び小売店に連絡し検査  を求める

5)持ち込んだ検体は依頼者に引き取ってもらう。測定室の廃棄物は産業廃棄物になる。

3、ホールボディカウンターについて
1)費用は500万円

2)オペレーターは現在神戸労災病院で放射線医療に携わった医師が測定
  オペレーターの育成をしてもらう

3)不要な放射線を拾わないために被測定者とオペレーターだけしか測定室には入れない。
 付き添いは隣の控え室で待機

4)測定時間は5分、身長・体重測定に5分程度
  結果はその場で説明、今後は郵送を考えている

5)測定人数 午後から1日20~30名
  測定前の調整後13時~16時
  再度調整後17時~19時
  湿度温度の管理が必要。特に冬場の結露を防ぐ必要がある。

6)測定料 こども(中学生以下)1000円 大人5000円

7)市民測定室でホールボディカウンターの測定をすることになった時にいわき市市立病 院でもホールボディカウンターの測定を始めた。機会は福島県からの貸与と言うことで ある。福島県としては取り組みが進んでいない状況で、市民運動により市としてせざる を得なくなった結果であり、市民運動の成果。

4、事務局体制
1)専従は現在3名、12月から4名
2)オペレーターはボランティア
  食品測定のオペレーターの育成、食品測定が出来るようになった方はホールボディカ ウンターのオペレーターの訓練を受け、どの測定もできる人数を確保する。

5、課題
  機材についてはDAYJAPAN、福島こども基金の寄付があった。周辺機器についてはNCC(日本キリスト教協会)や東京の自然食関係の支援があった。課題は現在会員、サポーター製を取っているが、運営資金(施設の維持管理、人件費、器具のメンテナンス費用等)の確保。
  
  現在いわき市に助成を申請しているが、データーを使っての学習会や市民に対するカ ウンセリングには醸成できるが、測定そのものには助成できないと言っている。交渉中。