6月議会報告

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 6月議会は入国管理法改正により、外国人登録がなくなり、在留資格者は住民票に記載されることに伴い、条例等の文言修正の議案、九大六本松跡地の地区計画策定に伴う条例改正、補正予算としては箱崎埠頭にRORO船埠頭の整備でした。六本松跡地に関しては住居地域を商業地域に用途を変えることの問題を指摘しました。

 一般質問では
①今国会で議員提案として「東京電力原子力事故により被災したこどもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援に関する施策の推進に関する法律案」が提出され、6月20日に可決されました。この法案は広範囲に放射能汚染が広がっている事実を認識した上で、こどもや妊婦の方には特に配慮した支援の必要性とこれまでの国の避難指示指定区域以外の被爆者も支援対象にしたものです。そこで、本市においてもこの法案の趣旨に基づき、1都16県からの自主避難者に対して住居、就業等生活支援すべきではないか、また、こどもの短期保養の受け入れを積極的に進めるべきではないか、質問しました。市長はは国の動向を見るという消極的回答でした。がれき受け入れよりも人の受け入れが求められており、市長は震災復興にできる限りの支援をすると言っていることと反する回答です。

②太宰府市において近藤九大准教授たちによる携帯電話中継棟の影響調査がなされ、こども達に健康被害が出ていると報告されています。昨年WHOは携帯電話の電磁波により脳がんの一種である神経膠腫になる可能性があると発表しています。微量でも長時間浴び続けることの影響を考える必要があります。携帯電話中継塔からの健康被害が想定され調査すべきであり、また成長著しいこどもたちは大人に比べ影響が受けやすく、早急に対策をとるべきではないかと質問しました。教育庁は携帯電話局からの電波はWHOの基準内であり、調査する必要は無いし、対策もとらないと答弁。問題が指摘されているにもかかわらず、調査もしないし対策もとらないという市政は予防原則の考えが全く出来ていません。今後電磁波問題について取り組みが必要です。

③いま自立分権型行財政改革に関する有識者会議が開催され,第1回会議では市長は量的改革から質的改革へと目的を述べています。副市長は第1回会議において質的改革としてガバナンスを課題とし、改革の視点として市民の納得と共感、組織風土改革、財政健全化を柱としています。そこで一つ、昨年の「こども病院移転問題調査委員会」のありかた、二つ、こども病院建設入札おける日本管財の不正を容認した入札及、三つ、未だにこども病院建て替え水増しのウソを認めず関係者の処分もしない、このようなことで市民の納得と共感を得る改革、また組織風土の改革が出来ると考えているのか質問しました。総務企画局長はこども病院については昨年の「こども病院移転問題検討委員会」で市民の理解は得てると居直り、市長は市民、有識者や議会の意見を聞いて改革を進めるという党利いっぺんの回答で終わりました。しかし、こども病院人工島移転の経緯をきちんと総括し、襟を正す措置をしないまま今日に至っていることが職員の不祥事を生じさせる土壌になっていると考えます。破綻した人工島事業に税金を使い続けることが市の将来に大きな負の遺産を残すことになります。こども病院問題と人工島事業の反省無くして市の改革はあり得ません。

議案に対する討論:九大六本松跡地の用途変更に伴う条例改正についての反対討論

議案第118号福岡市地区計画及び集落地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例案に反対して討論を行います。
今回の条例改正は九大六本松跡地の用途を第1種住居地域を商業地域に変更し、地区計画を担保するために条例に加えるもです。
 さて、2009年に新・緑の基本計画が策定され、福岡市における緑地は減少し、ヒートアイランド現象が深刻化する中で、緑地の再生が求められています。この視点から今回の都市計画決定を見たとき、この緑の基本計画をどのように実現するのか、全く見えてきません。今回の改正は福岡市の将来像をどのように描いているのかが不明で従来の都市膨張を漫然と進めるものでしかなく、想像力も構想力もない貧粗な福岡市の現状を象徴するものと言えます。
 景観計画が作られ、総合計画が見直され、新しい福岡市を生み出そうとするこの時期に、発想する側が旧態然としたひからびたものから脱出できなければ魅力ある都市は生まれてきません。旧来のような経済成長主義の発想でしかものが見れなければ、私たちの生活空間より貧粗になり、息苦しいものとなり、やがて街は高層ビルのスラムと化していくでしょう。いまや土地の高度利用という考えを改める必要があるのです。土地の低度利用を進めること、中低層の建築物、みどりに覆われたオープンスペースの確保こそが私たちの生活に潤いと安らぎを与え、都市の質と魅力を高めることになります。
 既に人口減少が始まっており、時間的なずれがあったとしても福岡市の人口も減少に転じます。世界経済も先行きは不透明な時代になっています。従来の都市膨張政策ではなく、将来を見据えて都市計画を見直すべき時です。西公園から大濠公園、六本松から鴻巣山とつなぐ緑の回廊を実体化するために,九大六本松跡地の用途変更をするのではなく、九大六本松跡地に隣接する地域を商業地域から住居地域へ変更すべきです。住環境を快適にするために、緑地の拡大と建造物の低層化を進めるべきです。以前絶対高さ30メーター規制が提案されましたが、今後再検討する必要があります。また、緑地の拡大を図るために福岡市においても都市緑地法に基づく緑化地域制度の導入し、大胆にみどりに囲われたオープンスペースの確保していくべきです。私が九大六本松跡地を「鎮守に森」にと提案したとき、失笑された方がいましたが、その方には想像力を働かせ、構想力を持たれることを切に願うものです。なぜなら、豊かさを生み出すのは豊かな想像力と大胆な構想力だからです。
 市長は都市の成長と市民の暮らしの質の向上を基本方針に掲げています。都市の成長については質的成長を図ることが持続可能な都市につながると考えます。そして市民の暮らしの質の向上を実現することになると考えます。人工島の土地処分がなぜ進まないのか、都心部になぜ駐車場が増えているのか、このことはもはや従来のような経済成長があり得ないことを意味しています。ゼロ成長でも元気な福岡市を実現するためには、都市の質の向上、そのために土地の低度利用とみどりのオープンスペースの確保を政策的に打ち立てることです。高島市長には市民の声に耳を立て、想像力を働かせ、持続可能な都市実現の構想力を持ってほしいものです。いまの化石のような都市計画では福岡市の明るい未来はありません。
 よって、議案第118号福岡市地区計画及び集落地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例案に反対するものです。

★がれき問題を考える会が5月18日提出の「震災がれきの広域処理をやめ、現地の声を生かした震災復興政策を立てることを求める意見書決議について」の請願について採決があり、賛成吐露運をしました。この請願に賛成した会派・議員は社会民主党市議団、みんなの党市議団と私、計6名でした。

平成24年請願第6号「震災がれきの広域処理をやめ、現地の声を生かした震災復興政策を立てることを求める意見書決議について」の請願に賛成して討論を行います。

 福岡市議会においてはこれまで震災がれきの受け入れについての議論がなされ、福岡市としては準好気性廃棄物処理法をとっているためがれき受け入れが出来ない旨を説明してきました。しかし隣接する北九州市では石巻市の震災がれきを試験焼却し、北橋市長は受け入れを表明しました。ところが、広域処理する必要性がなくなっていることが判明しています。
 5月21日に宮城県が震災がれきの量を再度見積もりを行い公表しましたが、大幅に減少していることが判明しました。広域処理希望量は当初の124.8万トンが見直し後は27.9万トンと1/4以下に激減しています。宮城県内の震災がれきは仙台市を除いて宮城県が受託して処理をしています。宮城県受託の見直し後のがれき処理量は、宮城県内処理計画量175.5万トン、広域処理希望量27.9万トン、計203.4万トン、これから仙台市引き受け分10.0万トンを差し引くと宮城県受託焼却処理量合計は193.4万トンとなります。宮城県は7月から26基の仮設の焼却炉をフル稼働させることになっています。26基の焼却炉の能力は合計で1日4015トンといわれており、単純計算すると宮城県が受託した震災がれきは482日で処理が終わることになります。国は2013年12月までにがれき処理を終わられるために広域処理が必要と言っていますが、宮城県の仮設焼却炉だけで予定よりも2ヶ月早く終了することになります。つまり広域処理の必要は無いと言うことです。
 また、震災被災地では陸前高田市や岩泉町のように、安全ながれきであれば雇用対策として現地で処理をしたいという自治体もあります。また、震災がれきの中には遺族の遺品や思い出のものが混じっており、ゴミとして焼いてほしくないという声も聞いています。国際的に著名な植物学者である宮脇昭横浜国立大学名誉教授は、がれきを埋めて広葉樹を植林し防潮林を作ると共に、未来の世代に津波の被害を伝える記念碑として、森の長城プロジェクトを提唱し実践を始めています。宮脇氏は森の長城プロジェクトを被災地沿岸部300kmに実施すればいまあるがれきでも足りないと言っています。岩手県大槌町は5月にがれきを埋めてそこに3千本の広葉樹の苗を植えました。宮城県亘理町でも森の防潮堤をつくる運動が始まっています。このように現地には多様な意見があり、国は現地の声を聞くべきです。さらに、宮城県議会では59名の県議会議員で「森の長城プロジェクトを推進する」議員連盟を作り、森の長城プロジェクト推進の決議を全会一致で挙げていると聞いています。議員連盟ではがれき運搬に多額の費用を使う広域処理は必要ないとの意見がまとまりつつあると聞いています。
 もは震災やがれきの広域処理する理由はありません。なぜ広域処理を強引に進めるのか、利権が絡んでいるとしか考えられません。北九州市の試験焼却のために運んだ80トンのがれき運搬費は1400万円、1トン当たり17万5千円です。北九州市が宮城県と結んだがれき処理費は1334万円、1トン当たり16万7千円です。福岡市の可燃物の収集・運搬、焼却、最終処理全ての経費で1トン当たり1万8千円、阪神淡路大震災のがれき処理費は2万2千円と言われています。がれき処理に係る異常に高い運搬費と処理料、こんなお金があるのなら現地で使うべきです。何よりも廃棄物処理の原則は有害物質を拡散させないために廃棄物を生じたところで処理する、そして放射能は拡散させず閉じ込める、これが原則です。広域処理は放射性物質の取扱に関する国際的合意である「希釈禁止の原則」にも反します。
 本来国が早期に集中的にがれき処理を進めれば広域処理の必要はありませんでした。現に仙台市では政令市の権能を発揮し独自に処理を進めてきたことでがれき処理が計画よりも早く進み、石巻市のがれきも引き受けることが出来ているのです。国の怠慢を問わず、安易に広域処理を進めることは有害物質及び放射能の拡散を招き、無駄な税金を使うことになります。加えて、原発事故責任者である東京電力の責任を問わないことも問題です。
 以上の理由から、福岡市議会は国に有害物質及び放射能を拡散させる広域処理をやめ、現地の声をきちんと聞いて震災復興を進めることを求めるために、本請願を採択するべきです。議員各位が賛同していただくことを願い討論を終わります。