9月議会

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 補正予算の主なものは保育所待機児童解消のために保育所整備費34億円(700人)、博多港航路整備3億5千万円、箱崎埠頭大型クルーズ船係留施設1億円、その他緊急雇用対策費、災害復旧費用、人・農地プランの予算など。
 一般議案の主なものは、請負工事契約締結3件、糸島市との境界における道路整備についての協議、相次ぐ不祥事の責任として市長の給与1ヶ月分減額、学校給食センター用地取得費用変更についてでした。

 議案質疑として、学校給食センター用地取得額変更および人・農地プランに関して質問しました。
1、学校給食センターセンター用地取得について3月議会で議決を得ていましたが、取得用地のフッ素汚染土壌除去費が確定したので取得額の変をした専決処分の承認を求めるものでした。この議案は①3月議会に費用がかくてせずに議案出したことの問題、➁取得用地はアルミ工場跡地フッ素汚染が汚染土壌対策補の基準を超えており、汚染土壌を除去したと言っても学校給食センターとして適地でない、③東平尾にある用地は南部エリアの配送としては外れに位置し適地でない、④土地開発公社救済としてこの様な土地を取得することは問題、⑤そもそも地価は下落しつづけており土地開発公社の役割は終わっており、土地か発公社は精算すべきと質問しました。
 教育長は取得額が確定しないまま3月議会に出したことはチェックミスと答えましたが、チェックミスが起こること自体が問題です。さらに、適地でないところを強引に給食センター統合を進めるために取得することも問題です。財政局は土地開発公社については今年度内に結論を出すと答えています。

2、人・農地プランは新規農業者増を図るための補助制度(10アール以上、40歳以下、年収250万円以下の新規就農者に5年間毎年年間150万円の補助)、営農地拡大を促進するために農業を辞める人に土地の貸し付けするときに補助金を出すというものです。5年間の措置ですが、福岡市の農業を発展させるために市の施策と連動して活用することを求めましたが、市は積極的な姿勢を示しませんでした。

 一般質問は、
1、原発問題について
 9月7日に福岡県は原子力防災計画を策定しました。しかし、そこでは福岡市についての記載がありません。玄海原発から天神まで約50キロメートルで(ブルーム通過時の被爆を避けるための防護措置を実施する地域)PPAに位置する福岡市として福岡県の原子力防災計画についてどのように受け止めているか質問しました。
 また、双葉町長と話す機会があり、昨年の福島原発事故ではそれまで深刻な事故を想定した避難計画でなかったため、2次避難については計画はなく、混乱する中で避難先やヨウ素剤の投与など自治体の長が判断しなければいけなかったと語っていました。この様な体験を聞くと福島原発事故時の対応を丁寧に検証し、想定外の事態に備えて県及びオフサイトセンターと連携をとる体制を明確にすると共に、混乱時において自治体の長としての判断が出来るように計画すべきと質問しました。
 新潟県の安全協定との決定的な違いは市民を含めた査察する権利や問題があれば停止を求める権利、再稼働するときには市の同意が必要なことです。なぜこの様な協定に出来ないのか質問しました。
 過酷事故になれば148万人の福岡市民が避難することは不可能です。過酷事故が起これば深刻な被爆と致命的な経済破綻が生じ、福岡市民は全てを失います。市民の安全確保のために九電に玄海原発廃炉を求めるべきと質しました。
 市は市独自に動ける対策の必要性は認めたものの、安全協定改正や玄海原発廃炉には明確に意思を示しませんでした。

2、基本構想・基本計画について
 基本構想・基本計画は相変わらずバラ色ですが、都市の成長は人口集中を招き行政需要を膨らませ、他方、少子化、高齢化、人口減少が始まるが一方、今後経済はゼロ成長ないしはマイナス成長です。行政需要は増え続ける中で税収は増えない状況を想定した基本構想・基本計画になっていると考えているのか質問。
 次に基本計画を実現するためには此までの行政の発想転換と財政基盤がなければ実現できません。今後ますます厳しい財政状況で行政能力が問われています。なぜ公債費が高止まりなのかその原因と反省すべきものは何か質問。
 人工島事業やこども病院移転事業、五ヶ山ダム建設など現進行中の事業、計画中の公共施設の整備計画、ゴミ処理計画の点検・中止を含めた見直しが必要と質問。
福岡市の財政見通しではこのままでは財政破綻するシナリオが示されています。国・地方の借金はGDPの200%に達したといわれ、このままでは国の破綻も見えています。北海道では既に「時のアセス」がつくられ、自治体では土地開発公社や住宅供給公社の精算が行われています。市民が安心して暮らせる持続可能な都市にするためには福岡市の抜本的な構造改革が必要ですが、基本構想・基本計画のパブリックコメントが始まっている中で、市長はどのように構造改革を進めるのか有識者会議の論点からの答弁を求めました。
 福岡市の事業全体について抜本的な見直しはする意思はない答弁でした。

3、セアカゴケグモの被害が出たことについて
 人工島にある高齢者施設で高齢者がセアカゴケグモに刺される被害がありました。被害者は一次重篤な状態でしたが回復しました。そもそも経済がグローバル化する今日、これまでも港湾地区は外来生物の進入が問題となってきました。いかにチェックを厳しくしても100%防ぐことは難しいのです。セアカゴケグモは人工島の埠頭を中心に人工島及びその周辺に広く生息しています。こども病院に来る子どもは重篤な子どもが多く、セアカゴケグモに咬まれれば死亡する可能性も否定できません。この様な場所にこども病院を作ることはやめるべきと質問。
 行財政改革では市民の納得と共感を得ることが重要としています。ところが、こども病院人工島移転では未だにウソをつき続け、今回改めて子ども達に危険が及ぶことが明らかになっているにもかかわらず見直しをしない、これで市民が納得し共感できると思えません。重ねてこども病院の人工島移転撤回すべきと質問しました。
 市の答弁は反省もなく移転を進めるというものです。

討論
 今議会に上程されている諸議案の内、議案第185号小学校給食センター用地の取得の一部変更に関する専決処分についてについて反対討論します。この議案は土地開発公社から教育委員会が学校給食センター用地として取得に関する議案です。3月議会で用地取得について議案として上程され可決していたものが、用地のフッ素汚染土壌を除去する費用が確定し取得額が変更になったため改めて議案として議会に承認を求めるものです。この議案についてはいくつかの問題があり、同意することは出来ません。
 まず、疑問に思うのは3月予算時にフッ素汚染土壌除去費が確定されないまま議案として提出できたのかと言うことです。なぜ見逃されたのかついては質疑の中では何も答えていません。教育長は単なるチェックミスのように答えていますが、チェックが出来なかったこと自体が問題です。その原因についてキチンと調査すべきです。。
 次に、なぜ今回不適な土地を取得したのか、土地開発公社の塩漬けなっている土地処分が急がれたのではないかと思われます。この用地のフッ素汚染状況は含有量は基準の4000mg/kg以下とは言え最大1300mg/kg、溶出量は全ての測定地点から基準の0.8mg/ℓを超えており、最大23mg/ℓとなっています。このフッ素の由来は自然由来ではないと報告されており、この用地はかってアルミ工場であったことがフッ素汚染の原因であることは明らかです。汚染土壌は全て除去するとしたとしていますが、アルミ工場跡地であったことを考えると、フッ素汚土壌除去後も染監視が必要であり給食センター用地として適地とは言えません。また、本来土地売却者が負担すべき土壌調査の費用や汚染土壌除去費2億9千万円余をなぜ教育委員会が負担しなければいけないのか全くおかしなことです。
 議案質疑において教育長は南部エリアを2時間以内で配送できる、13000食のセンターとしての敷地面積を満たしているとして適地と答えています。配送時間は実走し確認しているとしていますが、教育委員会が作った資料では遅延のリスクは高いとしており、決して適地でないことがうかがえます。また、1.3ヘクタールの規模の敷地は東平尾でなくても当仁中学校跡地などもっと適地はあります。そもそも給食センターとして適さない土地を土地開発公社救済のために取得することは認められません。
 土地開発公社が取得した価格は19億8千万円余、18年間の利息は3億9千万円余、管理費5千万円余、汚染土壌除去費2億9千万円余、公社の手数料6千万円余を加え、学校給食センター用地としての取得額は27億8千万円余となっています。地価は平成5年以降下がり続けており、市内の公示価格を見ると取得した平成6年における評価に比べて現在の評価はほぼ3分の1になっており、これで考えると今回取得した土地の価格は約7億円程度になります。取得価格の差だけでも13億円ほどの損失、金利及び汚染土壌除去費を加えると20億円に近い損害を市民に与えたことになります。職員研修所建設計画がなくなった平成14年時点で土地処分すれば3分の1程度の損害で済んだと考えられます。いったい誰が責任をとるのでしょうか。土地開発公社の役割は既に終わったと言えます。
 議案質疑では土地開発公社については24年度内に結論を出すと答弁しています。先日長野県伊那市でも三セク債を使って土地開発公社の精算を決めたと報じられています。土地開発公社の精算するとともに、既に役割は終わっている市住宅公社についても精算すべきです。
 厳しい財政状況が今後続くと考えられ、行財政改革が迫られている中で、本当に必要な事業の精査が必要です。人工島事業の破綻が明らかになっているにもかかわらず抜本的な見直しはしない、利水にも治水にも緊急性・必要性がない五ヶ山ダムを建設する、必要性も低く多大な赤字が予想され地下鉄七隈線の延伸事業、港湾施設に隣接し環境も悪くしかもセアカゴケグモが繁殖する危険な場所に建設を強行しようとしているこども病院人工島移転事業、こんなことをいつまでも続けていいはずはありません。市民の声を真摯に受け止め、時のアセスやサンセット制度のような仕組みを作り事業の中止を含めた抜本的見直しが必要です。
 以上様々に疑義が生じている給食センター用地取得に関する本議案に反対するものです。