国民を不幸にするTPP、3月23日(土) TPP学習会

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 安倍首相は「聖域なき関税撤廃ではない」「交渉の中で国民の利益を守る」と言って、3月15日にTPP交渉参加を表明をしました。昨年の衆議院選挙では自民党は公約として「TPP参加に反対」を掲げた議員が多くいましたが、舌の根も乾かないうちの公約を破ることになりました。ではTPPは安倍首相が言うように「国民の利益」は守れるのでしょうか、今年3月にシンガポールで開催されたTPP交渉会合のステークホルダー会議(利害関係者の説明会)に参加されたアジア太平洋資料センター事務局長内田聖子さんにお話を聞きました。

 TPPは当初シンガポールの呼びかけけでニュージーランド、チリ、ブルネイの4カ国で2005年から始まりました。2009年にアメリカが参加することでTPPの性格が大きく変わりました。リーマンショック後オバマ政権は国内の雇用創出のために貿易拡大を目指していました。農産品(特に米、牛肉)や工業製品(特に自動車)の輸出拡大と、金融の自由化、知的財産権の強化拡大を目指してきましたてきました。その最大の標的は日本です。TPP参加国の貿易額のうち米・日で7割を占めており、アメリカではあからさまに日本が参加しなければ意味がないと言われています。特に金融と知的財産権強化拡大が対象です。
 日本のマスコミでは「関税問題」、特に農業問題に矮小化されていますがアメリカの狙いは「非関税障壁」の撤廃です。つまり全てをアメリのルールにしていくことです。内田さんによると、シンガポールでのTPP交渉ステークホルダー会議には参加国の市民団体も参加していましたが、ほとんどが米商工会議所などの産業界、薬品工業界、金融機関の関係者ということでした。米薬品業界の団体には日本の製薬会社も参加しています。この会議は説明会と言うよりも参加国政府と企業との商談の場と言った情況で、TPP交渉終了後のレセプション主催が米商工会議所現地事務所であったことかも見えてきます。
TPP交渉は秘密交渉で、交渉担当者以外には情報は流れないになっており、アメリカ議会でも報告はないと言うことです。しかも交渉終了後4年間は公表されないとなっています。この会議でも情報はほとんど出されませんが、関係者から以下の情報が入り、安倍首相が国民に大嘘をついていることが改めて明らかになりました。
 
 アメリカTPP交渉担当者によると、「日本は、カナダとメキシコがTPPに参加するために強いられた、非礼であり、かつ不公正な条件と同じ内容を合意している。つまり、事前に交渉テキストを見ることも出来なければ、既に確定した項目について、いかなる修正や文書の変更も認められない。新たな提案も出来ない。」更に担当官は、日本の参加表明後、参加各国は日本との二国間協議を7月までに完了させることを指示したと言うことでした。これは、日本は参加各国との協議を終えて正式に参加できるのは9月のTPP交渉以降であり、そのときには日本は何も言えずカナダやメキシコ同様に全てを受け入れることしか出来ないと言うことです。しかも、9月の交渉地はアメリカで、日本が異論を唱えても議長国として押さえつけられると言われています。

 TPPに参加すれば、日本の農業は壊滅的打撃を受けます。これは単に農業という業種の問題だけではなく、国土の荒廃や地域社会の崩壊につながっていきます。知的財産権についてみると、医薬品関係の問題が大きいと言うことです。特許権が長くなると、安いジェネリック薬が使えなくなり、医療負担が大きくなります。自由診療が拡大されると、医療費が高額になり、金持ち以外は十分な医療を受けられなくなり、今の皆保険制度が崩れ、保険会社が医療を支配し大きな利益を得ることになります。

 TPP交渉でもう一つの大きな問題は1SD条項と言われるものです。投資家が投資先の国で不利益を被ったときに、投資家が投資先国を中立機関に訴えることが出来るというものです。地方自治体がおこなう住民福祉や地元の雇用維持・拡大や地場企業の支援策についても、投資の自由を妨害するとして訴えられかねないとのことです。1SD条項での訴えはWTOの仲裁機関で審査されますが、非公開で行われ、上告は出来ないと言うことです。アメリカとメキシコのFTAで、メキシコはアメリカの産廃処理業者がアメリカで生じた産業廃棄物の処理工場をメキシコに建設しようとし、メキシコの法律で禁じたところ訴えられ、メキシコは賠償金を払わされました。オーストラリアとアメリカのFTAではオーストラリアは1SD条項を拒否しています。
 日本では既にTPP参加に向けて郵貯の民営化や、混合診療の拡大、国際競争力強化と称してアメリカ並みに雇用者の首切りが自由に出来るようにしようとしています。私たちに出来るでしょうか。まず国民にTPPの真の姿を伝え、安倍首相のウソを暴露することです。多様な団体と連携して、地域でTPP参加阻止の運動を作る、参議院選挙の争点にする、また、国際的に市民団体との連携を図り、TPPそのものを葬り去る運動を国際的にも広げていく必要があります。