北九州市「予算編成過程の公開」

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予算編成過程の公開について
1)予算編成過程の公開は市長公約により2008年から始まった。市政の透明化と市民の予算編成への参画を図ってきた。

2)予算編成過程の公開の仕組み
予算編成方針に基づき各局において作成された予算要求の概要と予算要求方針を公開し、市民から郵送、電子メール、ファクス、持ち込みによって意見を聞き、予算編成に反映させるものである。記者発表、市ホームページ、市政だより、2010年からはさらに市政モニターへの情報提供、出前講座、区役所での文書配布、ラジオ・テレビ、メールマガジン、で広報している。 予算案公開意見募集期間は11月後半から約1ヶ月行われる。資料は財政局財政課、市庁舎1階広聴課、各区役所総務企画課、各出張所、市民センターで配布および閲覧、及び市役所ホームページに掲載される。市民から出された意見について各局がどのように予算に反映したか、また反映しなかった理由について考え方を示し、財政局財政課、市庁舎1階広聴課、各区役所総務企画課、市のホームページに公表する。それを受けて市長が最終的に査定を行い同様に公表する。

3)予算編成過程の公開における市民意見提出状況
提出者 意見件数  HP閲覧者
2008年度 144名 279件  1,740件
2009年度  10名  19件    400件
2010年度  30名 103件  1,819件
2011年度  34名  78件  1,388件
2012年度  49名 156件  2,235件
2013年度  41名 157件  2,944件
2014年度  71名 167件  3,319件

予算反映状況は2014年度では167件の意見が寄せられた
①意見が新規・拡充の予算案に盛り込まれたもの   27件   16.2%
②継続事業の予算に盛り込まれたもの        60件   35.9%
③予算案に盛り込まれないもの           39件   23.4%
④予算案と関係ないもの              41件   24.5%

初年度が多い理由は事業実施初めての年であり、市長がタウンミーティングのテーマとして扱ったためと思われる。翌年は認知度が低いことから意見提出者が少なく、その後広報手段を広げたことで市民の関心も増えている。2014年度はサッカー球場建設問題に16件の意見があった。また医療・福祉関係などの意見が多くでる傾向があり、市民の関心があるもには多く意見が出ている。

所見
厳しい財政状況で市民の納得と共感を得、効率的な財政運営をするためには、市民の声を予算編成過程に反映させることが重要な課題である。北九州市の取り組みを見ると広報手段を拡充したこともあり市民に認知されつつある。細かい分析は必要であるが、数字を見るとそれなりに市民意見を予算に取り入れる姿勢は見られる。議会での評価は悪くないということである。市民が予算全体を見ることは難しいと思われるが、関心が深い問題に限定されたものであっても反映できることは一歩前進と評価できる。意見が増えている要因として、2010年から市民モニターへの情報提供と2011年から始めた出前講座の取り組みがあると思われる。課題としては予算編成前での要望をくみ上げる仕組みと、意見への回答についての市民との議論の場が必要ではないかと考える。

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