9月議会報告

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9月議会の主な議案は2015年から施行される子ども子育て新制度における保育園や留守家庭子ども会などの設置基準に関する条例案、こども病院人工島移転完了を前にこども病院の住所移転の定款変更、国土交通省の設計労務単価(公共事業を発注するときの人件費の基準)引き上げに伴う人工島の新青果市場件列関連工事契約の見直し、議員提案による福岡市の食文化と生産を支援する「はかた家のうまかもん条例」案でした。
請願審査では高齢者乗車券の利用拡大についての請願、農業・農協界会に関する胃炎処決に関する請願が全会一致で採択されました。福岡市議会としての意見書の取扱で特筆すべきものとして、県へ住宅リフォーム助成制度創設を求める意見書、県へ公契約条例制定を求める意見書、消費税値上げに反対する意見書が与党会派の反対で否決されました。

私の議案質疑
1、補正予算で、長さ350メートルの大型クルーズ船入港が決まり、箱崎埠頭に4800万円で係留施設を整備します。福岡市に入港する大型クルーズ船のほとんどは中国からで、短時間の買い物ツアーが中心です。中国経済の先行きに陰りが出ていることや、安倍政権の排外主義的な緊張関係が利用が不安定であり、現状を鑑み過剰投資しないように求めました。

2、国の経済対策として、地域の人づくり基金による補正予算が交付されることになり、今回は農業と1T関連事業に使うことが提案されました。農業従事者に補助員を雇用する助成を行う事業、農業技術を習得させる事業については、「はかた家のうまかもん条例」と連動した農業支線策に繋がることを求めました。またIT関連事業については地場企業の技術力向上に繋げることを求めました。

3、新青果市場に関する請負工事契約の見直しについては、設計労務単価が末端の労働者に確実に反映させるために、福岡市として公契約条例を制定することを求めました。公契約条例は市の事業について、入札条件に全ての従事者に対して工事契約では設計労務単価を基準に、その他の契約では生活保護費を上回る最低賃金の保証および社会保険に加入することを義務づけるものです。公契約条例は公契約労働者の生活と地域経済を守ることを目的に、千葉県野田市から始まり,現在は政令市の川崎市や相模原市などで制定されており、今年4月から直方市で施行されています。

私の一般質問
1,集団的自衛権行使容認の閣議決定により、自衛官は海外で戦闘行為を行う可能性が出てきました。自治体では法定受託事務として自衛官の募集案内をしていますが、今後自衛官募集時には海外で戦闘行為をする可能性があることを知らせるよう求めました。

2、福岡市でも公共施設の維持管理を財政的に持続可能にするためにアセットマネジメントを行っています。名古屋市ではアセットマネジメントとして施設の長寿命化だけでなく、地域の将来の人口動態を推計し、地域住民のニーズの変化に合わせた施設整備と、公共施設の総量を削減する計画を検討しています。福岡市においても人口動態の変化に合わせた施設整備と総量規制を検討するよう求めました。

2014年9月議会反対討論

私は本議会に上程された諸議案の内、議案第187号地方独立行政法人福岡市立病院機構の定款の一部変更についてに反対し討論します。
この議案はこども病院人工島移転が完了することでの定款変更です。こども病院人工島移転については多くの患者・家族、多くの市内小児科医および産科医、多くの市民が反対して来ましたが、この市民の声を無視して強行されたものです。こども病院人工島移転の本質的な問題は、破綻した人工島事業の穴埋めと、移転に絡む利権によって子どものいのちが軽んじられたことにあります。
人工島事業は既に平成11年に山崎元市長が見直しをした時点で破綻していました。山崎元市長は平成13年3月に「銀行には決して損はさせません」と銀行団に念書を書き、同年8月には博多港開発と銀行団の資金融資協定書締結時に立会し、具体的な損失補償を約束しています。翌平成14年2月には人工島事業計画を変更、売れない土地は福岡市が買い取りを始めました。当初計画になかった中央公園を作り、住宅供給公社に人工島の土地を買わせました。この頃からこども病院の人工島移転計画が始まっていたのです。その後青果市場の人工島移転計画も始まります。更に平成17年には博多港開発第2工区を399億円で買い取りました。この時期には同時進行でケヤキ庭石事件が進行していました。
「人工島事業を見直す」と言って山崎元市長に勝った吉田前市長は、「見直したが人工島移転すべき」と結論づけ、「現地建て替えよりも人工島移転が安い」とし、その理由を「ゼネコン3社に意見を聞いた」とウソをついて移転を進めました。この吉田前市長と同じように「人工島事業を見直す」と言って吉田前市長に勝った高島市長はより巧妙に議論をすり替え、ウソを追認し人工島移転の結論を導きだしています。高島市長は当選後「こども病院移転計画検討員会」を設置しました。この委員会開催のさなかに東日本大震災が起こり、宮城県立こども病院院長であった林委員が石巻市立病院が海岸のそばにあり、津波により壊滅的打撃を受けた事実を示し、人工島は不適であることを訴えましたが、聞き入れることはありませんでした。
また、こども病院人工島移転に伴い西部地区の小児2次医療が空白化する問題の対策として、あたかもこども病院跡地に小児2次医療施設が出来るかのような医師会との会談で市民を騙し、十分な対策がないままに移転が強行されています。また、こども病院建設および運営委託も将に利権絡みで、不正を働いた日本管財に何らペナルティを課すことなく日本管財グループに落札させています。しかも、独立行政法人であること、PFI事業であることを理由に建設費や受託費を明らかにしないという、市民の知る権利を奪う行為は許されません。更に平成24年に見直した人工島の事業収支見込みでは、現状での見積もりで161億円の赤字になる、地価がもっと下がれば最大421億円の赤字を見込んでいます。売れない土地を売るために一般会計から多額の企業立地交付金が使われ、他方、喫緊の課題である特別支援学校の整備が見送られていおり、子どもが軽んじられています。
この様に3代に亘り市政の長たる市長の背信行為によってこども病院人工島移転が完了しようとしています。議案第187号はこの歪んだ福岡市政を象徴するものであり、議案第187号に反対することで歪んだ福岡市政と福岡市政を歪めている人工島事業を指弾するものです。
以上の理由から議案第187号に反対します。
次に、議案第177号ないし議案第181号の子ども子育て支援法に係る条例案については賛成するものですが、意見を申し述べます。これらの条例案は2015年度から始まる子ども子育て新制度実施に向けた条例案です。子ども子育て新制度は株式会社の参入など、公共が民間に委ねられることによる様々な問題が危惧されます。今後現場や市民の声が生かされ、子育ての質が向上するよう市が責任もって取り組むことを求めます。

最後に、議案第194号ないし198号の新青果市場整備に係る工事請負契約の一部変更に係る議案について賛成するものですが、意見を述べます。地域の経済を活性化させるためには、地域の雇用と適正な賃金が求められています。そのために設計労務単価が確実に末端の労働者の賃金に反映させる必要があり、福岡市の責任として公契約条例制定することを求めて討論を終わります