総選挙の争点はアベノミクスの第四の矢を折ること

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「衆議院選挙を如何に闘うべきか」と大上段に構えても我々ができることは限られています。しかし、安倍政権がアベノミクスの破綻と沖縄選挙での敗北での窮地から脱出を目的とする今回の総選挙については、争点を単なる経済政策問題に終わらせてはいけません。問題は大きく2点にあります。第1点は構造改革として労働のあり方を根底から覆そうとしていること、第2点は戦争ができる国にするために憲法改悪し軍産複合経済の創出です。そのために安倍政権はこれまで経済政策を慎重に進めてきました。私たちは経済政策だけに目を奪われず、秘密保護法廃止と憲法改革を阻止しなければいけません。

<アベノミクス第一の矢は的外れ>
安倍政権はデフレ脱却させるとしてアベノミクス第1の矢「異次元的金融量的緩和」として国債を大量に買い込み市場に円を溢れさせました。その結果円が大幅に値下がりしたが、経済は立ち直っていません。株高になりましが輸出は伸びず、国内設備投資も11月速報値ではマイナス0.2%と増えていません。むしろ円安により輸入資材の値上がりで物価上昇を招き、中小企業の経営を圧迫し国民生活を脅かしています。4月の消費税値上げはこれに追い打ちをかけました。そもそも日本の経済構造は円高基調で変わっており、グローバル化で企業は海外投資を進めてきました。それは必然的に国内投資は減り、輸出も伸びません。円安によって輸出が増大し、経済が活性化するというアベノミスのもくろみは筋違いです。

<アベノミクス第二の矢「切れ間のない景気対策」は息切れ>
アベノミクス第2の矢である「切れ間ない景気対策」は息切れ状態です。そもそも財政赤字が膨らんでいる地方自治体は国の交付金以上に単独での事業を行うことは難しくなっています。加えて、急激な公共事業の増大は、東北復興事業とこれまで公共事業を削減してきたことから建設労働者減少しており、労賃の上昇と人手不足、資材不足と資材の高騰で、公共事業の消化不良が生じています。また、そのあおりを受けて住宅など民間投資が減っています。消費税値上げと相まって11月速報値では7月~9月期の住宅投資はマイナス6.2%となっています。アベノミクスの第2の間違いです。

<アベノ未来第三の矢である成長戦略(構造改革)は労働者の使い捨て>
そして、アベノミクス第3の矢である成長戦略(構造改革)は、労働力の効率化と称し、解雇が自由にできる、「成果主義」として不払い労働を強いる、そして派遣労働者法改悪を目論み非正規雇用者の増加を目指しています。これを許せば、アメリカ同様に1%の富裕者のための国になってしまいます。「カロウシ」が国際語になっているように,日本の労働環境が劣悪の中、ようやく11月から「過労死等対防止策基本法」施行されますが、成長戦略(構造改革)はこの法律に逆行するものです。

<アベノミクスは貧困を増大させ、格差を拡大>
アベノミクスが何をもたらしたのか、今年7月にOECDの報告では加盟34カ国・地域で貧困率はアメリカに次いでワースト2となっていることが示すように、確実に貧困と格差が広がっています。厚生労働省の調査では貧困率は16%を超え、一人親家庭では50%を超えているます。アベノミクスが始まって以来、物価上昇に賃金が追いついておらず、実質賃金は下がり続けています。アベノミクが主張する、大企業がより利益を出し、富めるものより富めば、やがて中小企業や貧しきものにも恩恵が出るという「トリクルダウン」は破綻しています。

<安倍首相の最終目標アベノミクス第四の矢である憲法改悪を阻止しましょう!>
安倍首相が最終的に目指すアベノミクスの第4の矢は「憲法改悪」です。安倍首相は第1次安倍政権で挫折した「憲法改悪」を目指しています。昨年12月6日の特定秘密保護法の強行採決、教育委員会の改悪、そして今年7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定と、憲法違反をものともせず戦争ができる国づくりに邁進しています。自民党の憲法改悪案は、人権獲得の歴史と戦争を反省する人類の歴史を否定するものです。安倍政権は武器輸出三原則を変えており、武器輸出を目論み、軍産複合経済を作ろうとしています。国民を「自衛と平和」の名の下に戦争へ引きずり込み、軍事産業の利益をまもるアベノミクスの第4の矢は折らねばいけません。