福岡市政の課題:新たな4年に向けて

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はじめに
先日の市議会議員選挙にて皆さまのご支援をいただき、再び次期4年間議員として地方自治の本旨である「住民の福祉の増進を図る」に則り市政を担わせていただきます。皆さまのご支援に心より感謝致します。

1、福岡市の財政:市民参画で
福岡市の借金(市債発行残高)は2015年度末の見込みで2兆4000億円、市民一人当たり164万円(2013年度決算)、一人当たりの借金は大阪市に次いで2番目(図1)という状況です。市税収は今後とも伸びは期待できず、他方上下水道、道路・橋梁、公共施設などの維持管理、更新、高齢化や子育て支援などにより福祉や医療費等の増加、公債費(これまでの借金返済の費用)が毎年1000億円と高止まりが続き、政策的に使える財源が厳しく(図2)なっています。
この様な財政状況において、福岡市が今後とも元気な福岡市であり続けるためには、「政策の優先順位の適正化」と「市民の納得と共感できる」政策を行うことが重要です。そのためには、市議会としての政策検証能力の向上と、市民の政策決定過程への参画の仕組みが必要です。私は市民参画の仕組みとして、区民会議、市民参画予算、予算策定過程の公開、審議会等委員の公募市民枠の拡大を提案しています。また、2兆4000億円の借金は市民負担を一段と重くする原因となっており、議会としての責任と市財政健全化に向けて議員報酬の見直し・削減を求めていきます。国の長期債務は2014年度末で1035兆円、国はもうバラマキはできません。

福岡市の市民一人当たりの借金1504 001福岡市の財政見通し1504 001
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■川崎の区民会議
地方自治法が6月に改正されより自立した「総合区」を設置できるようになりました。背景に高齢化、少子化、人口減少、更に財政悪化が進む中で、従来のように国が一律のサービス提供ができなったことにあります。地域の状況に合わせて解決ができるよう市民と行政の協働を進めることが必要であり、「都市内分権」と市民自治を進めることが重要です。先進的な川崎市を調査しました。
川崎市の区民会議は市民との協働で地域の課題解決を目指すものとして、自治基本条例22条に「(区民の)参加および協働による区における課題の解決を目的とする調査審議機関とし、区長及び市長は区民会議の調査審議の結果を尊重する」と位置づけています。構成は公募市民、地域団体推薦、区長推薦の20名以内の委員で構成。公募委員は委員総数の2割以上とし、人数の割り振りは区毎に判断。区選出市議会議員や県議会議員は参与として参加し助言が出来ます。区民会議の課題については、各区の業務からものおよび委員から提起されるものから整理されます。必要に応じて部会が設置され、部会の調査結果については区民会議に報告され審議されます。1期2年間で調査審議を行い、区長へ答申します。区長は答申を受け、予算措置を含め必要な措置を講じます。このような川崎市の区民会議の事例は大いに参考になります。

■大阪狭山市円卓会議
大阪狭山市では、住民が身近な課題に取り組む仕組みとして円卓会議という地域組織をつくっています。円卓会では500万円以内の予算を地域でき協議し、市に予算として提案することができます。円卓会議は福岡市の自治協議会によく似ていますが、大きく異なっている点がいくつかあります。まず構成団体が自治会だけでなく、地域の市民団体、大学、NPO、事業者と幅広く、基本的に参加したい市民は参加出来る仕組みになっている点が大きく異なります。現実には地域内での確執がないわけではないようですが、地域の多様な主体がかかわっていることは評価できます。国が地域包括ケアシステムを提起していますが、介護という視点だけではない点は大きく異なりますが、地域の資源を活用し解決する視点はかなり近いといえます。
第2点は地域で協議し予算提案が出来るということです。上限が500万円で、ソフトな事業と限定されていますが、まちづくりの提案が具体的に出来る点は非常に大きいといえます。市民が自ら地域の課題に目を向け、解決の提案が出来る、場合によっては自ら事業を担うことが出来ることは住民自治へ一歩歩みを進めていると評価できます。
大阪狭山市市長の認識として、今後厳しい財政状況が続く中で、全てを行政がサービスを提供することは出来ないという認識を持っています。財政状況を市民が理解し、共助の上に公助を重ねることで住民の満足度を高める視点があります。そのために、円卓会議を法人化することで解決の方向を見ようとしています。この点は福岡市においても円卓会議のあり方は検討に値すると考えています。

■韓国市民参与予算
1)予算策定までの流れ
①市民からの事業要望募集(市民予算参与委員からも出されている)
条例では関連法案に定められている施設の経費、継続的な事業予算などの法  定経費は対象外
②担当部署に送致 担当部署で検討し意見を付ける
③市民参与予算委員会の課題毎に5分科会に送致。分科会での審議、必要があ  れば参考人招致、公聴会等が開催される。
④運営委員会で各分科会の審議結果を受けて予算案を策定
⑤市民参与予算委員会全体会で採択
⑦市長は予算案として議会へ提出
市長はこの予算案を市のホームページなどを通じて市民に公表しなければな らない

2)市民参与予算委員会
構成は80名。行政から7名、学識経験者(ほとんど大学教授)7名、各区長および郡守(釜山市は15の区と1つの郡)の推薦16名、市に登録されている非営利民間団体から分野別、組織規模から選定された団体から10名、市民からの公募40人。公募市民の選定順位は第1位は社会的配慮が必要な人(障がい者など)。第2位は女性、女性は全体の40%以上占めることとしている。第3位地域性、年齢構成となっている。
3)実績
2013年度予算 16件提案 16件採択  採択事業費198億ウォン
2014年度予算 73件提案 23件採択  採択事業費457億ウォン
2015年度予算 89件提案 現在審議中
※因みに釜山市の2014年度一般会計予算は6兆3352億ウォン。(約6000億円)

2、福岡市の政策、もっと暮らしやすい福岡市に
新年度予算は「都市の成長の果実」を「生活の質の向上」に資するとしています。新年度予算の基調は「都市の成長」であり、都市の成長エンジンとして国家戦略特区の推進を上げ、「天神ビッグバン構想」をはじめウォーターフロント開発やMICEの推進を優先事業と位置づけ、更に「解雇特区」を推進するとしています。今年も破綻した人工島事業に土地処分のために立地交付金17億円、マンション建設に10億円の補助金など100億円余を支出、人工島への市民体育館移転計画の推進する一方で、焼却場の見直し、葬祭場の増設計画や過大な費用負担を生じさせているクリーンエナジーの見直しなどには手を付けていません。
他方、「生活の質の向上」にどれだけ予算が使われているかをみると、国策である子ども子育て新制度や、ようやく実現した前年度からの継続事業である小中学校の空調機整備に予算が割かれていますが、子ども医療費助成については入院費は中学3年まで延長したものの通院費の助成は従前どおりの未就学児童までです。政令市の内7市は中学3年まで通院費・入院費との無料化されており、他都市に比べて遅れています。子どもが育つ環境整備や子どもの貧困対策として増員が望まれているスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの増員や、学校司書の増員には積極的な取り組みはありません。とりわけ、図書館の民間委託は市民サービス低下を招くもので問題です。
また、年金が削減され続けているなか、国民健康保険料や介護保険料などの負担軽減はされず、障がい者や高齢者の移動を保障する取り組みなども予算は十分とは言えません。公共施設の使用料値上げや施設に併設されている駐車場などの使用料の新設など、様々なところで市民負担を求めています。これが「成長の果実」を市民に循環させたものと言えるでしょうか。
政府の報告では22ヶ月連続して実質賃金が下がり続けています。年金も削減され、物価上昇、医療や介護の負担が重くなっており、福岡市は市民の負担軽減に取り組む必要があります。私はこれまでも福岡市の人工島事業をはじめとする公共事業や補助金のあり方を質してきました。市民の負担軽減をするためには公共事業や補助金のあり方を見直しすることで財源をつくることは出来ます。例えば過剰な施設である焼却場を4工場から3工場に集約することで年間約13億円の財源がうまれます。企業誘致の立地交付金の上限30億円を基の10億円に戻すだけでも財源は生まれます。
また地域の経済の活性化と雇用を生み出すために、市民に役立つ小さな公共事業や住宅リフォーム助成制度の導入、働く人の雇用と処遇改善のために公契約条例制定に取り組みます。大量生産、大量消費による経済成長には限界があり、知的産業の集積をすすめ、文化、芸術の従事者の育成とその消費者を増やすために、子どもが育つ環境整備と創造性を育てる教育を重視していきます。交通空白地域及び、高齢者や障害者の移動の自由を確保する(移動の権利の保障)施策を今後も取り組んでいきます。

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■直方市の公契約条例
直方市は今年4月から公契約条例を施行しました。公契約条例制定は野田市からはじまり、政令市では川崎市など全国の自治体で制定されています。直方市での公契約条例制定は西日本では初めてです。直方市の公契約条例の対象事業は工事契約では1億円以上、市委託事業では契約額が1千万円以上で人件費が事業の70%以上占めるものとなっています。工事契約では県の設計労務単価の80%を最低賃金とし、一人親方まで全ての従事者が対象です。委託事業の最低賃金は直方市の臨時任用職員の時給と同額しています。従事者全員の社会保険加入はもとより、賃金は従事者全員に周知され、元請けの労務台帳で確認されます。従事者から申し出があれば市は調査し、違反があれば元請けに指導・勧告を行い、従わないときは契約解除などの措置を執ります。直方市は地場中小事業者および労働者を守ることで地域経済を維持するとしています。官制ワーキングプアーをなくし地域経済を活性化させるために、福岡市でも公契約条例が必要です。

■空き家バンクの提案
福岡市は人口が増えていますが、早良区南部地区や西区の北西部地区などでは人口は減少しています。しかし、これらの地区は自然に恵まれ、また人口集積地に近く就労し易いことから、若者・子育て世代の定住施が出来るのではないかと考えています。過疎化が進む農山村地区での取り組みを参考にするため、京都府綾部市の「空き家バンク」を調査しました。綾部市は5年間で117世帯272人が定着し、日経新聞によると定着者の実績は長野県佐久市、金沢市に次いで3番となっています。
綾部市の「空き家バンク」は、市が設置する「あやべ定住サポート窓口」に所有者が登録します。市は空き家の売買および賃借について市商工会議所に依頼し、宅建業者が空き家の売買および賃貸を仲介します。また、「空き家バンク」登録を促す補助制度として次のようなものがあります。
①移住者が定住を目的として購入または賃貸した場合にオーナーに対して5万円を支給。
②集落の空き家を市が10年間無償で借り受け300万円を投じて改修し、市営住宅として移住希望者に貸し出す。
③空き家バンクに登録している空き家の購入または回収費用に充当する資金について、300万円を上限に、市が地元信用金庫から融資を斡旋。金利は信用金庫の長期プラムレートから0.5%減。
④空き家を購入または賃貸したものが行う改修工事に要する経費に対する補助金を交付。

■北九州市の「住宅リフォーム助成」
北九州市では2012年度から環境対策と高齢化対策および良好な住宅ストックを増やすことを目的に住宅リフォーム助成事業を行っています。助成対象者は市内に住宅を所有している方およびその親族となっています。持ち家でも賃貸でも可です。対象事業は省エネ改修とバリアフリー化改修で、風呂やトイレの改修、内装や屋根・画集の改装と対象は広く、利用しやすいものとなっています。助成要件は受託事業者が市内の事業者、支店もしくは営業所でもよいとなっています。1件の助成額の上限は30万円ですが、上限内であれば何度でも利用できるという使い勝手がいい制度となっています。助成事業費は1億9千万円ですが、受注事業は約33億円、経済波及効果は17倍です。福岡市が行っている企業立地交付金などに比べると格段の経済波及効果があります。

■北九州市の「おでかけ交通」:移動の自由を
北九州市では交通空白地や高齢化地区を対象に、移動の確保として「おでかけ交通」を助成しています。交通手段は9人乗りまたは13人乗りジャンボタクシーが主です。地域住民が運行主体となり、市の仲介でタクシー会社と契約して運行します。市は事業開始時の車両購入費などを上限460万円助成、赤字になった場合運行努力に応じて一部負担をしています。ジャンボタクシーであるため狭い場所でも運行でき、また利用者が多くなくてもそれなりに採算性が取れています。八幡東区枝光地区が発祥の地ですが、1日5ルート62便、利用料金は小学生以上150円均一、運行時間は1ルート20分以内、停留場は約300メート間隔となっています。枝光地区は回数券を売るなどの地域の努力もあり赤字は出ていません。タクシー会社も地域貢献として努力しており、社会的にも評価を受けています。枝光方式は福岡市でも大変参考になる事例です。

3、100年後に歴史的評価される街に
高島市政が進める「都市の成長」の中心は「天神ビックバン(天神地区の再開発)」とウォーターフロント開発、国内外からの企業誘致です。都市は時代と共に変わるものですが、都市の景観は市民の貴重な公共財であり、都市の成長については100年を見据えたまちづくりが必要と考えています。いわゆる「経済成長」をもって都市の成長とする都市成長論には賛同できません。また、人口減少社会を迎え経済成長はできません。(資料参照)多様な議論の積み重ねの上に都市のグランドデザインを描くべきと考えています。それを支える要素として、景観法や都市緑化制度などを活用し、景観形成と公共空間を生かした緑あふれる街づくりを提案します。景観形成と公共空間の整備による都市の魅力は多くの人を引きつけ、人と文化の交流を促進することになります。経済成長優先の政策ではなく、北九州市との都市機能の分担など近隣都市との均衡ある発展を目指すべきです。小規模な都市ですが、山形県金山町の取り組みは参考になると考えています。

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■100年運動「金山町街並み景観条例」
金山のまちづくりの最大の特徴は、住民生活と景観づくりが一体となっている点です。その前提には「景観とは、個人の所有に帰属するものでなく、公共的なものである」という『景観共有論』があります。そして個々のものをある基準に基づいて統一的に整備することで、全体として風景と調和のとれた美しい景観を指しています。しかも、景観といえども見た目の美しさだけではなく、その内容が、生活する上で快適でなければなりません。さらに、景観づくりは、住民の高い意識と自主的な精神に基づいて行われる住民運動としての側面を有しており、 その神髄は、まさに町づくりに直結するものであると考えられます。
景観づくりの主要な部分となる家並みは、「金山型住宅」と言われる在来工法を基本とした住宅産業との関連が深く、その延長線上には、木材消費の拡大、林業の総合的振興といった分野が見えるほか、観光開発、地域商業の活性化等が結びつきます。以上のことから当町の景観づくりの概念を規定すれば、「景観の共有性を前提とし、美しく快適な生活環境を形成するため、地域の資源を最大限に活用し、地域住民と行政が一体となって進める積極的な町づくり活動である」といえます。
金山町の美しい景観づくりは、昭和30年代から町民と行政が一体となって築き上げてきた歴史があり、その節目として昭和61年3月に条例第2号「金山町街並み景観条例」が誕生しました。条例では、「個性豊かな街並みづくり」、「自然の美観の維持及び増進」、「新しい街並みづくり」、「快適な町づくり」、「誇りのもてる町づくり」という5つの柱を掲げています。また、町内で建築行為を行おうとする者は、町に届け出をしなければならないとしておりますが、罰則規定はなく、内容としては助成、援助、指導、助言といった支援的な性格を有しています。町では、条例に基づく助成金制度を設けており、形成基準に合致した建築をすれば、最大50万円の助成金を交付しています。

4、地方自治の本旨に立ち戻って貧困と格差の拡大にブレーキを!
昨年7月のOECD報告では、日本の相対貧困率は加盟34カ国地域でワースト2と格差と貧困が広がり、日本は貧困大国になりつつあります。とりわけ、小泉内閣以降、自公政権は大企業優遇策をとり、労働法制を改悪し非正規労働者を増やしてきました。その結果、今や非正規労働者は労働力の4割を占め、貧困が広がっています。更に、物価上昇に賃金が追いつかず実質賃金は22ヶ月減少し続けるなど、アベノミクスによって貧困と格差が更に広がっています。この様な状況だからこそ、地方自治体は住民の福祉実現に取り組まなければなりません。格差の拡大と貧困の広がりに対する自治体の取り組みが急がれています。ところが髙島市政は「都市の成長」に政策と予算の基調を置き、「市民の生活の質の向上」に取り組んでいるとは言い難いものです。それどころか、「解雇特区」推進は「解雇自由」の仕組みを作り出す実験場であり、貧困と格差を拡大させるもので、直ちに返上すべきです。
福岡市は地方自治体の本旨に立ち戻り、住民福祉の実現を図る時です。国内外からの企業誘致に重点を置くのではなく、地域経済の活性化に向けて地場農林水産業や地場企業の育成ならびに雇用を創出する支援策を進めるべきです。そのためには地場企業が施工できる市民に役立つ小さな公共事業や住宅リフォーム助成制度実施、農林水産業の支援と6次産業化への助成強化、介護労働者や保育従事者が増えるよう処遇改善にもっと助成する、ソーシャルワーカーやソーシャルカウンセラー、学校司書などの増員を図る、自営業者育成支援を強化するなどに重点を置くべきです。また、福岡市では指定管理者制度や窓口業務の委託化、学校給食調理の民間委託を進めるなどしていますが、これは官制ワーキングプアーを生み出しており、貧困の増大と格差拡大を助長するものです。働く人の処遇改善と地域経済活性化のために、公契約条例を制定し、官制ワーキングプアーをなくす必要があります。新年度予算案においてはこの様な視点が十分ではなく、「都市の成長」が「市民の生活の質の向上」をもたらすというトリクルダウンの幻想で進める政策には賛成できません。
アベノミクスの行き着く先は、格差と貧困が広がり、富の40%を僅か1%の人が握り政治を支配するアメリカと同様な、1%の人のための社会です。私たちはこの様な不公正な社会を望んでいません。

5、いまこそ地方から声を挙げます!
今年は戦後70年を迎える節目の年です。いまこの国のあり方、私たちの働き方、私たちの暮らし方が大きく変えられようとしています。それは①国際紛争に武力介入でき戦争する国の準備が進んでいます、②経済成長を目指すなかで働き方が変えられようとしており、格差と貧困が広がっています、③福島原発事故を受けて人権侵害のエネルギーである原発に頼らない社会の実現ができるか、です。この様な時代だからこそ、私たちの生活に密着している地方自治体の役割(住民の福祉の実現)が益々重要となっています。集団的自衛権行使向けた法整備、使い捨ての労働の仕組みと非正規労働者の拡大、原発再稼働の問題は国政に関することですが、住民の福祉を実現する責務がある地方自治体として国に異議を唱える責任があります。福岡市が都市の成長のエンジンと位置づけている「解雇特区」は雇用者の都合で解雇できる仕組みを作ることであり、非正規雇用者を生み出し格差と貧困を拡大するものです。「解雇特区」の返上を求めていきます。また、地方議員としてもこれらの国の動きについて声を挙げていきます。

高浜原発差し止め仮処分判決:原発は人権侵害の施設
原発に頼らない社会の実現に向けて玄海原発再稼働阻止を

玄海原発からの距離140725 001

先日4月14日に福井地方裁判所において福井県高浜原発3号機、4号機運転差し止め仮処分を求める裁判の判決がありました。判決は高浜原発3号機、4号機の運転差し止めを命ずるものでした。その理由は、
①そもそも日本は4つの大陸プレートの上にあり、各地の原発の敷地外で幾度か到来した激しい地震や各地の原発敷地内に5回にわたり地震基準振動を超える地震が来ており、関西電力の主張は高浜原発では基準時振動を超える地震が起こる可能性は少ないという楽観的見通しに過ぎない、
②使用済み燃料の保管について新基準では耐震性の基準がBクラスであるが、安全性確保のためには最高の機能であるSクラスにすべきである、
③新基準では中央制御室は耐震性及び放射性物質に対する防御機能が高い免震重要等の設置を義務づけているが猶予期限が設けられており、地震は人間の計画、意図とは無関係に起こるので猶予を持たせている新基準には合理性がない、
④平成4年の最高裁判決は、原発の施設の基準に適合すれば深刻な災害を引き起こす恐れが万が一にもないといえるような厳格な内容を備えていることであると解され、新基準はそれに適合しても原発の安全性は確保されていない

とし、原発事故により、原告らは取り返しのつかない損害を被る恐れがあるとして、高浜3号機、4号機の運転をしてはならないとしています。2011年3月に福島原発事故が起こったとき、ドイツでは国が倫理委員会を開催し、「原発は倫理に反する施設である」として、2022年までに全ての原発を廃炉にすることを決めました。今回の判決は、ドイツの判断と同様に原発は人権侵害を起こす施設であると認定しており、政府はこの判決を重く受けとめ原発再稼働をやめるべきです。福岡市においても、地方自治の本旨である「住民の福祉の実現」から九電に原発を再稼働させないよう申し入れるべきです。

【川内原発再稼働差し止め判決について】
4月22日の川内原発再稼働差し止め判決は九電の主張を丸呑みするもので、全く政府の言いなりの判決でした。司法の独立があるのか改めて疑問を持つものです。判決理由は以下となっています。
①原子力規制委員会の新基準は深刻な事故は100万年に1回の確率でしか起こ らないとしており妥当である。
②地震の揺れは地域特性があり、九電は新基準に則って調査しており適正である。 仮に事故があっても九電の解析によれば外部に漏れる放射能の量は新基準以下 となっているので問題はない。
③巨大カルデラの噴火については火山学会の少数意見であり考慮する必要はない
④避難計画は実行可能で妥当である。(鹿児島県知事は要援護者の避難は10キ ロ圏内で十分、30キロ圏内は不可能と言っている)

■地方自治体と集団的自衛権

防衛省・自衛隊地方協力本部は毎年、自衛官募集のダイレクトメール(DM)を郵送するため、住民基本台帳に記載されている適齢者(高校三年生、中学三年生)の名前、生年月日、性別、住所の四情報の提供を自治体に求めてきました。福岡市においては住民票の閲覧できるようにしています。現在安保法制が国会で議論されることになっており、既に日米防衛指針の取り決めがなされました。その内容は自衛隊がこれまでの専守防衛から、アメリカの世界戦略の一翼を担い、地球規模でアメリカ軍の指揮の下に行動することになります。具体的に海外へ自衛隊を常時派遣することになれば、これまでの自衛隊は戦闘行為に参加することになります。この様な事態は、自治体が自衛隊を募集に協力することは市民を戦場に送ることと同じ意味を持つこととなります。これは地方自治の本旨である「住民の福祉の増進を図る」に反することになります。私は、地方自治体は70年前のように自治地帯が国策に無批判に住民を戦場に送ることを反省し、安保砲声や集団的自衛権行使にハッキリと反対すべきと考えています。
昨年の差部内閣が集団的自衛権行使に向けて憲法解釈をねじ曲げた閣議決定に、三重県松坂市山中市長は集団的自衛権行使のための閣議決定に「子ども達を戦場に送ることはできない」と反対する声明を出しています。さらに、違憲訴訟を準備しています。
三重県松阪市の山中光茂市長(39)は2015年2月4日、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定は違憲だとして、自らが代表を務める市民団体「ピースウイング」が中心となり、4月末までに安倍内閣を相手に訴訟を起こす考えを示した。
山中市長は同市内で記者会見し、「平和的生存権が明確に侵害されている。市民生活に与えた不利益について法廷の場で闘っていく」と述べた。市長としてではなく、個人として原告に加わるという。

資料

債務残高国際比較1504 001国の債務その1 1504 001

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

福岡市の人口動態(高齢者化が進む)

福岡市の人口構成の推移140327 001

 

 

 

 

 

日本全体の人口動態(人口減と高齢化により必然的に日本経済は縮小する)

人口構成予測140327 001