6月議会報告

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<議案質問>

◆選挙運動の公費負担について(議案124号) 反対

候補者が出来るだけ同じ条件で選挙が出来るようにすることでお金がからない選挙にすることを目的に、選挙ポスターや選挙カーなどの費用を税金で負担する制度です。平成4年(1992年)に地方自治体が条例を定めることで地方議会・首長の選挙で公費負担が出来るようになりました。福岡市では平成6年(1994年)に条例を制定し、平成7年(1995年)の選挙から実施してきました。これまで国では公職選挙法施行令を参議員選挙の度に見直を行い、地方自治体もそれに併せて条例改正してきました。今回の条例改正は公職選挙法施行令が消費税5%を8%に値上げされたことに伴う公費負担の上限を改正したことに併せて、福岡市の公費負担額の上限を消費税増税分だけ引き上げるという条例改正案です。必ずしも全国一律に引き上げる必要はなく、現在の額でも十分に足りているため、反対しました。(反対は「緑とネット」のみ)

◆介護予防・日常生活支援に関する条例案について(議案127号ほか) 反対

6月議会では2017年度から介護保険制度が全国的に変わるため、「介護予防・日常生活支援総合事業」を始めるために条例改正が行われました。この制度はこれまでの介護保険のうち要支援部分が市町村の事業に移管され、高齢者全体を対象に介護予防に取り組むものとしています。要支援認定は市の事業となり、新たに日常生活支援事業を設けるものです。これまでの要支援認定者の内、機能訓練や身体介護など専門的支援が必要な方は従来通りの介護予防事業に、それ以外の軽度の方は日常生活支援事業の対象者となります。日常生活支援事業は、専門性が求められないとする通所事業(デイサービス)と、訪問介護のうち買い物、調理、掃除、洗濯などは専門性は必要ないとして日常生活支援になります。新たな日常生活支援事業の従事者は資格は必要がなく、資格を要しないため利用料金は従来の7割程度となり、利用者の負担軽減になるとしています。福岡市は7割程度に利用料金が下がるとしています。

しかし、問題は多々あります。要支援の対象者および対象事業は絞られ、機能訓練師がつくデイケアの機能訓練や身体介護を必要とする部分だけになります。それ以外は日常生活支援事業となり、生活支援事業通所介護(デイサービス)の従事者は全く資格を有する従事者は必要なく、施設の基準もありません。高齢者の認知症予防や重度化を予防するには脳力トレーニングや身体の機能訓練などは必要で、ただ預かればよいというものではありません。介護予防を目的として通所介護施設(デイサービス)きても、専門的なケアがなされなければ重度化する恐れがあります。このことは制度が検討され始めた時点から、多くの専門家や現場から指摘されていました。

訪問介護についても同様な問題があります。新たな訪問介護を行う日常生活支援の従事者は専門的な資格は必要なく、市が実施する18時間の講習を受ければ誰でも出来ます。日常生活支援事業の訪問介護も、単に買い物、洗濯、調理、掃除を代行すればよいというものではなく、調理や洗濯、掃除などを補助し、自立を促すことを通じて機能維持を図ることで予防効果を高めます。和光市では、栄養指導や料理指導、更に買い物指導をすることで予防効果を上げています。単なる補助だけで良いはずはありません。さらに、訪問介護の現場では様々な問題を抱えた利用者との対応が求められ、専門家でも苦労しているとこですが、この様な知識や経験がない人はトラブルがいっそ多くなることが危惧されます。

訪問介護に従事しているヘルパーさんの多くは登録制で不安定な収入状況にあり、日常生活支援事業では資格がない人が従事することで利用料金が下がれば、資格があるヘルパーさんも同じ料金にならざるを得ず、これでは低賃金構造が広がります。通所介護においても現在でも低賃金な上、更に資格がなくても出来ることで利用料金が引き下げられると、これまで頑張ってきた通所介護施設の運営は出来なくなる上、従事している人の賃金お引き下がらざるを得なくなります。ワーキングプアーが増えることで社会は一層不安定になります。

国は介護保険の財政軽減を図るために一部の高額年金受給者(単身で280万円以上)の利用負担を1割から2割に引き上げ、特別養護老人ホームの入居者を原則要介護3以上しか認めないなどしました。同時に、要支援については市町村の事業とし、要支援認定者を減らすとともに介護従事者の規制緩和することで介護保険費用を軽減することを目論んだ制度です。しかし、結果的には重度化が進み、要介護認定者が増えることで、介護保険の財政も圧迫することになりかねません。要支援段階での手厚い介護予防が重度化を防ぎ、健康年齢を引き上げることに繋がります。その意味でも、今回の介護保険制度の改正(改悪)は持続可能な制度とは考えられず、この条例案に反対しました。

◆人工島の土地処分について(議案133号) 反対

人工島港エリアの土地売買契約の議案です。今回の土地売価は27億円ですが、「立地交付金」として17億7000万円が交付されます。高島市長は2012年2月に人工島事業の土地処分が進まないことを認め、新たに事業計画を見直しました。人工島の土地処分を進めるために、人工島の土地処分にかかる立地交付金の額の上限を1件30億円に引き上げ、4年間で260億円の予算を付けました。今回の土地処分は4年の計画年度が終了する直前の3月に手続きを行い、計画年度終了後の6月に議案として出されたものです。売れない人工島の土地を処分するために、多額な税金を使って企業を誘致するという施策は適切でないと反対しました。因みに4年間の計画年度で人工島の土地処分に使われ立地交付金は230億円を超えたと言うことです。この様な税金は子育ていや介護など福祉や教育に使われるべきです。

<一般質問> 

◆西新・藤崎地区の活性化策を提案

プラリバとイオンの閉鎖で生活が不便に

西新エルモール・プラリバが昨年7月に閉鎖し、開業は平成32年の予定となっています。イオン西新店(旧ダイエー)も今年5月に閉鎖。プラリバよりも早い時点で開業するとの話を聞いていますが、地域の中核店舗であった両店舗が閉鎖したことで、オレンジ通り商店街から藤崎商店街まで大きな影響が出ると考えられます。地域の住民の方からは「郵便局がなくなって不便になった」「男性用の下着や靴下を買えるところがなくなった」などの声を聞いていますし、商店街の方からは、すでに活性化に向けての取り組みがなされているものの、「建て替えの情報があまり伝わってこない」という声を聞きました。

西新を楽しい街・暮らしやすい街にするチャンス

両店舗の閉鎖は商店街にとってピンチではありますが、新しいまちづくりができる“チャンス”だとも言えます。プラリバとイオンの担当者と話をしてみたところ、利用者や地域住民の声をできるだけ受け入れる姿勢があるようでした。そこで地域住民の方々と共に、どんなプラリバ(イオン)になれば西新が楽しい街になるか、暮らしやすい街になるかについてアンケートを採りました。「小さな催しができる空間(ステージなど)がほしい」「くつろげる空間がほしい」「早良区南部の農産物を買えるようにしてほしい」などさまざまな声があり、それを事業者に届けました。

市民参画で50年後を見据えたまちづくりを!

私はこれまで滋賀県長浜市のまちづくりや、香川県高松市の高松丸亀商店街の再開発事業など、調査を重ねてきました。まちづくりは民間主体で、地域のさまざまな資源をつなぎ合わせ、柔軟な発想で、地域ぐるみの取り組みをしているところが成功しています。単に“一民間事業者の建て替え”と考えるのではなく、市もまちづくりの視点で関わって、多様な市民を巻き込んでいくべきだと考え、6月議会の一般質問で西新・藤崎地区の活性化策について提案しました。

たとえば郵便局や行政の出先など公的施設を併設させることによる支援も可能です。大学生や高校生などと連携してアートによるまちづくりを行う、リヤカー部隊の補充としてヨーロッパのような蚤の市(フリーマーケット)が開けるようにする、若者が空き店舗で起業できるよう支援するなど、西新・藤崎地区の活性化のために市が取り組めることがあるはずです。私は部署を横断してプロジェクトチームを作って臨むべきと考えていますが、残念なことに行政の“縦割り”が大きな壁になっています。

市は商店街、市民、まちづくりNPOなどと力をあわせて、西新・藤崎地区の50年後を見据えたまちづくりをしていくことが必要です。