2018年12月議会報告

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12月議会の主な議案は、人事委員会勧告に基づく職員及び教職員の給与改定、博多区の青果市場跡地の売却契約、中央埠頭の第2期展示場建設及び維持管理のPFI契約、第2給食センター建設及び調理業務・維持管理のPFI契約、公共施設の指定管理者の選定でした。青果市場跡地は全て売却され、商業施設を中核に地域の要望を入れて多目的広場やグランドなども整備されますが、保育所は企業型保育所となっており、地元の声が十分反映されたかは疑念が残ります。中央埠頭に整備される第2期展示場及び第3給食センターはPFI事業で、議案質疑で問題点を指摘しました。

 

<議案質疑>

1、議案第236号福岡市第2期展示場等整備事業に係る契約の締結について

第1点は2017年9月に応募グループが辞退し入札が中止になりました。2018年に物価上昇等を反映させ、予定価格を約90億円から95億円に引き上げ再入札しました。しかし、1度目の入札も2度目の入札も応募者が同じグループ構成の1者しかなく、初回から競争が成り立っていません。その結果落札率も99.5%とほぼ予定価格に張り付いています。こども病院のPFI事業においても一者しか応募がなく、評価に大きなバラツキがあった上、不正を働いた日本管財が参加していたにもかかわらず高落札率で落札するということがあっています。今回の入札審査における性能審査は71%、低いもので53%から60%台のものがそれなりにあり評価に大きなバラツキがあることが見受けられます。また価格審査では1者しか応募がないので満点となっています。これを見ても競争性が働いてないことは明らかです。2者以上の応募を入札の条件とすべきであり、今回の入札は見直しすべきと求めました。

第2点は、入札予定価格は,税抜で約95億6千万円。うち,建設費は約80億5千万円,維持管理費は約15億1千万円、落札価格については,税抜で約95億1千万円。うち,建設費は約85億2千万円,維持管理費は約9億9千万円。建設費は市の見積もりが安く、維持管理費はPFIが安くなっています。建設と維持管理を一体的に受注することで経費が約8億円削減され,約9%安くなるといいます。しかし、建設費は市が建設でやった方が安く、維持管理についても市が直営でやる場合は外注することになり、ここで競争入札されることでPFIと同様な効果が期待できます。結果的には直営が安くなると考えられます。

第3点は第2期展示場が本当に必要かということです。JNTO(日本観光局)基準による国際会議開催件数市全体で2013年253件,14年336件,15年363件,16年383件,17年296件、中央埠頭地区は,2013年14件,14年25件,15年32件,16年29件,17年36件、ICCA(国際会議協会)基準による国際会議開催件数市全体で2013年12件,14年15件,15年30件,16年23件,17年17件です。全体として2017年は大きく減少し、ICCA基準の国際会議も2015年をピークに減少しています。中央埠頭地区での開催状況を見ると頭打ちの傾向が見られ、国際会議開催件数が右肩上がりに増えていくとは考えられません。第2期展示場建設は過剰施設になりかねないこと、また、人口減少社会、超高齢社会を迎え、アセットマネジメントの視点からも公共施設の総量管理が必要であり、第2期展示場建設の必要性は低いと言えます。

第4点は運営について功利的運をするために民間手法を取り入れ、コンベンションセンターによる一体運営を検討しているとしています。その手法としてコンセッションを検討するようですが、コンセッションでは施設は福岡市が保有し、運営権を譲渡された事業所が収益活動をするというものです。事業者は特別目的会社を設立し、民営化による税負担もした上で投資者に対して利益を確定し、収益事業を行います。その為、それなりの収益が見込まれない限り事業は行いません。他都市の事例を見ても、収益が上がる部分しか事業対象にしないし、競争的リスクについて損失補償のような契約となっているところもあります。この様な事例を見ると、展示場のような収益性が低く、世界経済や国内経済に左右されやすいリスクを負う事業については市が何らかの損失補償する構造になりかねません。コンセッション導入はリスク分担が不明朗かつ不公正になると考えられ、公共施設の運営手法としては問題があることを指摘しました。

 

2、議案第237号第3給食センター整備運営事業に係る契約の締結について

この議案は中学校給食を作る給食センターを4ヶ所から3ヶ所に統合し再配置する計画の最後の給食センター建設及び給食調理・維持管理業務のPFI事業の契約です。入札予定価格は税抜きで136億884万円余。ち給食センター建設及び配送校の配膳室改修に係る建設関係費用は47億1千620万円余,開業準備等含む維持管理・運営に係る費用は88億9千264万円余、落札価格は税抜きで127億8千125万円余。うち給食センター建設及び配送校の配膳室改修に係る建設関係費用は49億7千110万円余,開業準備等含む維持管理・運営に係る費用は78億1千15万円余。事業期間中の従来方式とPFI方式の財政負担額を算出し,現在価値に換算して比較すると,性能発注・一括発注等による効果により,約28億円の経費削減となり削減率は約19%と見込まれるといっています。

第1点は第3給食センターの建設費は市の予定価格の方が安く、調理・維持管理業務はPFIが安くなっています。調理・維持管理費はPFIが安くなる理由は人件費が安くなることです。市の事業をPFIにすることで低賃金構造が広がり問題です。

第2点はPFIが19%も安くなるという根拠も定かでなく、また具体的に比較できる資料が公表されないため、議会でもチェックできません。PFIの発祥地であるイギリスにおいて長年国会でもPFIが効率的でないのではないかと議論され、PFIの改善するものとしてPF2が実施されました。しかし、イギリスの官民パートナーシップ(PPP)請負企業カリリオンが2018年1月に倒産した直後、国家機関で財政の監査役である英国会計検査院がPPPの仕組みを克明に報告するレポート「PFI&PF2」を発表しました。英国会計検査院は、「英国が25年もPFIを経験しているにもかかわらず「PFIが公的財政に恩恵をもたらすというデータが不足」と報告しています。また、不明確な政策と戦略、不十分な分析、PPPの債務が公的なバランスシートに現われないこと、政府と民間企業のリスク分担が不公平であることが特に問題である」と結論づけています。ヨーロッパ会計監査院はEU委員会とEU加盟国は指摘された問題点が改善するまでPPPを広い分野で集中的に使うべきではないと勧告しています。しかし、遅れてPFIを始めた日本は何も学んでいません。PFI事業を抜本的に見直すことを求めました。

 

<一般質問>

 若者支援について質問しました。

福岡市の単身世帯率は,2015年 49.7%、2040年 57.2%、高齢者単身世帯率は、2015年 10.5%、040年 19.0%となっており、国立社会保障・人口問題研究所の2015年34.5%が2040年には39.3%に推移すると推計しているものに比べ極めて高いと言えます。また、厚生労働省の調査では65才以上の高齢者がいる世帯のうち未婚のこどもと同居している世帯は2010年18.5%から2015年は19.8%、2016年には20.7%と増えています。福岡市の若者(20才~39才)の未婚率は全国に比べ若干低いものの、2000年から2015年にかけて全国の状況を見ると25才から39才までの未婚率の伸び率が低下傾向にあるのに比べ50才以上のいわゆる生涯未婚率の増加率は高くなっていること、また社会保障・人口問題研究所の推計でも若者未婚率の伸び率は低くなるが生涯未婚率は増え続けると予測しています。社会保障・人口問題研究所でも若者の未婚率は単身高齢者世帯の増加に影響があり、若者及び高齢者支援は喫緊の課題です。国でも、子ども・若者育成支援推進法を制定し大綱策定など子ども・若者育成支援施策の総合的推進のための枠組み整備や、地方共団体における協議会の設置など、社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者を支援するためのネットワーク整備を進めています。

福岡市でも社会的養護が必要になった若者については,原則18歳まで,措置延長した場合は20歳まで児童養護施設や里親,ファミリーホーム等で養育しており、その中でも特に高校を中退するなど自立に向けた支援が必要な若者については,自立援助ホームにおいて生活指導や就労等の支援を行っています。しかし、自立支援ホームは2ヶ所しかなく、対象は20才までです。札幌市では独立行政法人の助成を受けてNPO法人が実施する18才~39才までを対象としたユースサポートハウス事業がなされています。厚生労働省では15歳~39歳を対象として就労に向けた支援を行う地域若者サポートステーションの設置を進めており、平成30年度で全国に175ヶ所設置されています。自立支援ホームの増設とともに、福岡市においてもワンストップの若者支援が必要です。

生育環境に課題がある若者の支援として、虐待、いじめ、貧困など生育環境に課題があるこども・若者の支援は早期発見・早期支援・恵贈的支援・専門家との連携が重要といわれています。早期発見及び予防の観点からCAP(こどもへの暴力防止プログラム)が有用といわれています。市でも取り組みがなされているようですが、妊産婦の研修や教育現場での授業として取り入れることを求めました。

若者支援でも、福岡市では住居の支援はなされていません。非正規雇用などで収入が少ない若者は安価で良質な住宅の提供を受けられないために自立できないという報告があり、またDVなど問題がある家庭の若者が住宅に入居しにくいため自立できないことも指摘されています。若者支援には住宅政策は重要な課題です。福岡市は若者の住宅問題にきちんと取り組むべきです。

また、奨学金については低所得世帯に対する給付型奨学金制度が始まるということですが、国際人権規約では教育は人権であり、教育は無償が原則となっています。ところが日本では多くの学生が高校から大学を卒業するまで300万円から500万円ほどの奨学金を借りているといわれています。奨学金の返済が滞っている者は32万人、奨学金返済が出来ず自己破産した者が1万人いるとの報道があり、また、連帯保証人が親族であるため自己破産も出来ずに苦しんでいるという話も聞きます。貸与型奨学金は借金であり、福岡市の奨学金は給付型とし、既に返済が迫られている奨学金については減免措置を取るとともに、市長は国の奨学金について減免措置とることを求めるべきです

若者を大事にしない社会には未来がありません。非正規雇用の若者非婚率は正規雇用の若者比べて高いという厚生労働省のデータがあり、また、産みたいこどもの数でも非正規雇用の世帯は正規雇用の世帯に比べ少ないというデータもあります。若者の非婚問題は単身高齢者の増加に影響があるとともに将来の社会保障の問題に大きな影響を与えます。若者支援は早期発見、早期支援、継続的支援、そして専門家との連携が重要とされています。更に、生育環境に課題がある若者支援はアウトリーチが重要といわれています。福岡市でも各機関との連携がなされていますが、この取り組みがより実効性が上がるように、が重要とされています。若者支援のワンストップ窓口を創るとともに、専門的知識と経験を積んだ人材育成と関係者の処遇をきちんと保障すること要望しました。