6月議会 宿泊税条例案を質す

Pocket

 6月議会の主な議案は宿泊税条例です。その他、農業委員会の副会長の報酬を新たに設置すること、法人市民税が減税され国税として法人地方税として地方交付税の税源になること及び軽自動車税の性能割り税制が期限付きの特別措置から恒久税になるなどの市税条例改正案、学校施設の採取等、物価スライド適用による市営住宅等建設費の変更などでした。宿泊税については昨年住宅宿泊事業法がつくられ、民泊が合法化されたことを機に議員提案で昨年観光振興条例が提出され可決されました。観光振興条例では観光振興の財源として宿泊税を徴収するとしており、この6月議会で宿泊税条例案が提出されました。なお、福岡県も6月議会で宿泊税条例案が提出されました。宿泊税額は、福岡市では2万円未満は市税150円、県税50円、2万円以上は市税450円、県税は50円となっています。市が市税や県税を徴収するため、システム開発費として2億円余の一般会計補正予算案が出されました。

宿泊税条例の議案質疑
 6月議会で宿泊税条例案が上程されました。宿泊税の目的は中央埠頭舞踏の再開発の事業費を作ることにあり、市民生活については念頭にありません。ビジネスマンや観光客は福岡市にとっては「お札」なのです。福岡県及び他都市との協調よりも傲慢で強欲に観光税を独り占めするために急いで条例を作ったのです。
 民泊の9割は福岡市にあり、本来民泊申請業務は福岡市がすべきにもかかわらず、県に丸投げ。更に、静穏な市民生活を守るために条例による立地規制や営業期間規制はしていません。宿泊税だけは独り占めしようとする姿勢にもかかわらずリーダー都市と自称することは噴飯ものです。厳しく質しました。 
 地方税法では目的税を設けるときは、合理的な行政需要が無ければいけないとされています。しかし、福岡市の宿泊税を必要とする需要については明確とは言えません。日本の人口は既に減少し始めており、超高齢社会に突入しています。福岡市も15年後には人口減少に転じると見込まれています。クルーズ船の寄港数も減少し始めており、国際会議開催数および参加者数も減少傾向が出ている中、福岡だけが今後も集客数が増えていくという根拠はどこにあるのでしょうか。中央埠頭地区の過大な再開発計画をもとに将来はディズニーランドの2倍もの集客をするという非現実的な需要予測が作られており、まさにマッチポンプ式の観光政策と言えます。これは市民生活への影響よりも経済優先の姿勢で、市民生活の犠牲の上に観光政策を進めていること明らかです。
 特に民泊事業は県内の9割程度が福岡市に集中しており、民泊申請業務は市の業務として主体的に行うべきにもかかわらず県に丸投げにしていることは、ご都合主義です。住宅宿泊事業法では静穏な市民生活を確保するために条例で立地規制や営業期間の規制できることになっています。保健所設置自治体である神戸市など他都市では、静穏な市民生活を確保するために申請受付業務を担うとともに条例を作り、住居専用地区や保育園、幼稚園、小中学校など教育関連施設周辺は立地規制や営業期間の規制をしています。この様な事例を見ても、福岡市の対応は市民生活をないがしろにしていると言えます。静穏な市民生活を確保し市民生活の質の向上を図る上でも、市が民泊事業の申請受付業務を県から引き取り、住居地区や教育関連施設周辺での立地規制や営業期間の規制をするとともに、宿泊税による財源は静穏な市民生活確保と生活の質の向上のために優先的に使うよう求めました。
 また、福岡市が九州のリーダー都市を標榜するなら、財源を独り占めするのでは無く、県内の他都市との均衡ある発展を図るために県との連携を図り、財源についても公正な配分をすべきです。市の答弁を聞くと、仮に福岡県の条例に併せた宿泊税にしたとしても徴収額は10数億円が見込まれ、市独自に徴収する必要はありません。福岡市はゲートウェイ都市としての特殊性があるとして主張していますが、この傲慢で強欲な福岡市の政策は、リーダー都市と標榜するには情けないものです。この様な政策を見直し、県と税の配分すべきと主張しました。