貧困の学習会

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■貧困について

・非正規雇用が増えていること、平均賃金が下がっていることが貧困の大きな要因となっている。

・貧困問題は生活保護世帯の子どもが成人後生活保護受給者になるケースが多い。その原因には教育を受ける環境に課題があると考えられている。またひとり親世帯の貧困率が高く、特に母子家庭の貧困率が高い。

・母子家庭の場合は離婚後の養育費が受けられてないケース、非正規雇用が多いことにある。

・相対的貧困率:OECD(経済協力開発機構、先進国34ヶ国地域が参加)の基準による

相対的貧困率:可処分所得(所得控除等したもの)の中央値の1/2以下の可処分所得の人の割合

子どもの相対的貧困率:17歳以下の子どものうち、貧困家庭の子どもの割合

※絶対的貧困は後進国のような物質的に充足されていないような貧困、相対的貧困とは異なる

 

1999年 2004年 2009年 2014年 2015年
中央値 312万円 290万円 270万円 263万円 245万円
貧困ライン 156万円 145万円 135万円 132万円 122万円

 

1999年 2004年 2009年 2014年 2015年
非正規雇用者 1,225万人 1,564万人 1,727万人 1,967万人 1,986万人
非正規雇用率 24.9% 31.4% 33.9% 37.4% 37.5%

 

2000年 2003年 2009年 2012年 2015年
相対的貧困率 15.3% 14.9% 16.0% 16.1% 15.6%
子どもの貧困率 14.4% 13.7% 15.7% 16.3% 13.9%
母子家庭貧困率 58.2% 58.7% 50.8% 54.6% 50.8%

 

母子家庭の就労状況 正規43.0% 非正規57.0%

母子家庭の就労収入 平均181万円、正規270万円 非正規125万円

※2010年民間給与実態調査

 

■国の施策

それぞれの施策を連携することで貧困の連鎖を絶ち切る

・2013年(平成25年)子どもの貧困対策の推進に関する法律

・2014年子どもの貧困対策大綱策定

子どもの支援のためスクールソーシャルワーカー、児童福祉司等の増員

・2015年住宅セーフティネット法改正(住宅確保困難者の住宅支援を強化)

・2015年生活困窮者自立支援法(失業等貧困者の支援)

*就労支援

*生活支援

*学習支援(負の連鎖を絶ち切る)

生活保護家庭の高校進学率 92.8%、(全国平均98.8%)

大学進学率 37.7%、(全国平均73.2%)

・2017年生活保護法改正

生活保護世帯に大学進学準備金を給付(自宅10万円、自宅外30万円)

 

・子育て世代包括支援センターの設置(ワンストップ対応)

妊娠、出産、子育て、就学、進学、就職、結婚とライフステージに応じた子育て支援と早期の支援および継続的な支援による貧困の連鎖解消や虐待の防止を図る。

 

・幼児教育・保育無料化:生活保護世帯および年間所得360万円未満世帯の保育料・幼稚園無料化

・奨学金の低所得世帯に対する給付制度を始める

 

■福岡市の現状と施策

・国の施策を進める。

・子ども子育て審議会、子ども子育て包括支援センター設置、子どもの問題を包括的にすすめている

・NPOなどの支援

子ども食堂         27箇所

フードバンク福岡      1 箇所

・生活保護 約3万3千世帯、約4万4千人(捕捉率は約2割、EUなどでは捕捉率は8~9割)

高齢者が増えており、約半数を占める

生活保護費は年齢、家族構成、住居地域によって決まる

生活扶助、住宅扶助、教育扶助、介護扶助、医療扶助、生業扶助などがある

生活扶助は収入と生活扶助基準額との差額が給付される。

生活保護は憲法25条の生活権に保障された国民の権利であり、屈辱感を待たせてはいけない。

・就学援助 生活保護基準の1.5倍程度内の低所得者世帯の学童に対する扶助

給食費、学習に必要な学用品費、修学旅行費などが支給される。

福岡市の受給児童は約4人に1人

・ひとり親世帯の支援 資格獲得支援、ひとり親貸付金制度など

 

■差別と貧困

・部落差別などの差別により、就職の機会が奪われ貧困状況に陥ると子どもの教育の機会も奪われる悪循環が起こる。

・教育の機会均等の保障と就職差別をなくす取り組みがなされている。

・差別は様々なものがある

部落差別、障がい者差別、生活保護家庭などの貧困家庭への差別、外国人に対する差別など

・差別をなくす取り組み

部落差別解消法、障がい者差別解消法、人種差別撤廃条約批准、国際人権規約批准、子どもの権利条約批准、福岡市障がい者差別解消条例など