2019年12月議会報告

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■12月議会の主な議案

12月議会の主な議案は、➀人事院勧告による職員給与の増額補正および特別職の期末手当の増額補正およびスタートアップ支援施設運営事業等債務負担行為補正案、➁市民センター等市の施設の指定管理者の指定、➂福岡市道路照明灯一括 LED化ESCO事業に係る契約の締結について、➃博多区役所建て替え工事契約等、でした。議案質疑では福岡市道路照明灯一括 LED化ESCO事業に係る契約の締結についておよびスタートアップ支援施設運営事業等債務負担行為について議案質疑を行いました。

 

1、福岡市道路照明灯一括 LED化ESCO事業に係る契約の締結について

道路照明灯3万7千基の内2万6千基がLED化されていません。LEDされていない照明灯の内で特殊なデザインがなされている照明灯約6千基を除く2万基の道路照明灯を一括してLED化するESCO事業として契約議案がだされました。

ESCO事業はPFI事業の一種であり、短期間にLED化をすることで省エネを実現し、電気料金の削減を図るとともに契約事業期間に削減が見込まれる電気料金の範囲内でLED化工事費等を事業者に委託料として支払い、それと共に発注自治体も一定の利益を得るものです。落札者は市の見込みの2倍の10億円余を保障しています。また事業費も市の見積額18億円より低く10年間の利用料支払額は16億1千万円余、消費電力削減量は年間978万kWhで市のベースラインの960kWhを超えており、ESCO事業の目的は果たせていると言えます。

 

しかし、総評を見るとどの事業者も実績や技術力は認められており、技術的には大きな差はないと思われます。そこで、入札結果を見ると、最も利益保障をしている事業者は落札した事業者より10年間の事業期間で1億円余の利益保障をしている。両事業者を比べると、落札事業者は市が支払う年間サービス料は320万円少ないが、最も利益保障をしている事業者の提案では落札事業者に比べて市は電気料金の支払いが年間約1千万円少なくなっています。最も利益保障を提案する事業を選択すれば市は年間700万円多く利益を得ることになります。経済性の評価点が技術提案能力の評価点に比べて低い理由はなぜか説明を求めました。市は、事業遂行の能力を高く評価したといっています。

ESCO事業の活用は短期間にLED化を進めることで環境負荷を削減する事業としては評価できるものと言えます。他方、事業実施に当たり消費電力の削減量および電気料金削減額が適正に見積もられていなければいけません。また、事業実施後の検証が適正になされているかが重要となります。事業者選定においては事業執行能力と共に最大限の効果が出ることを求めました。

2、スタートアップ支援施設運営事業債務負担行為について

今回の議案であるスタートアップ支援施設運営事業は、旧大名小学校跡を利用するために校舎の内装および外壁改修工事を実施するものです。校舎外装改修事業の予算額は約66,900千円ですが、工事は南面以外の3面の工事で約67,700千円を使っています。残りの南面外壁の工事費は7200万円で3面の工事費を上まわっており、外壁改修工事としては予算の2倍を超えています。その理由として築90年を経過しており想定よりも著しく劣化していたとしています。外壁南面は日射による老朽化が他の外壁3面よりも劣化しやすいということは理解できますが、他の外壁3面合計の改修費を上回る費用がかかることは理解しがたいものです。8月までの予定期間内に終了できなかったことから、施設利用開始時期を遅らせないために施設利用と並行して改修するとしたことで工事の日時を要し、工事内容も変わることとなり費用がかさんでいます。築90年の建造物であることは事前に分かっており、それなりに時間がかかることは予測できたのではないのか、ずさんな事業といわれても仕方がありません。事業推進に前のめりになりすぎることが改装計画そのものを歪め、結果として経費増となったとして市の姿勢を質しました。

 

■一般質問

1、福岡空港奈多地区ヘリポートについて

福岡空港がLCC(格安航空)の参入が相次ぎ離発着便数が増えたとして、福岡空港内にあるヘリポートを雁ノ巣レクレーションセンター西に移設します。ヘリポート移設については地元には反対の声が強くありましたが、環境アセスや説明会がなされ、移設が進められ、来年3月末には運用されることになっています。問題は、地元住民に十分な情報提供や説明がなされないままに事業が進められたことにあります。地元住民の中からは、➀環境アセスにおいて騒音測定はヘリポートの垂直方向でしかなされておらず、騒音被害が懸念され、運用前・運用後を通じて騒音測定モニタリングポストを設置し説明責任を果たすこと、➁奈多地区は海岸のすぐ側にあり、ヘリの侵入コースが住宅地上空や近隣空域を通過することはないのか、騒音や落下物の被害の懸念、また海岸が近いために潮風による腐食や砂が舞うことから墜落のリスクがあること、➂ヘリポートのすぐ側は雁ノ巣レクレーションセンターや少女苑があり問題ではないか、などの指摘があり、請願も出されています。また、新たな事態として福岡県警に離島警備のための大型ヘリが配備されことが報道され、近隣住民は環境影響評価のやり直しを求めています。オスプレイの飛来も懸念され、市として市民の静穏な生活を守る為の対策を国に求めると共に、市独自の取り組みを要請しました。

2、セントラルパークについて

福岡城址および大濠公園一帯をセントラルパークと称した整備が進められています。この構想では都心部における観光地として整備をする色合いが強く打ち出されています。計画では城址の跡が見えやすいように木の伐採や夜間照明などの使ったイベントが企画され、野鳥の生息環境や様々な植物・昆虫類などの生息環境を破壊していることが環境保護に取り組む市民から指摘されています。また、「福岡市は平成29年における緑被率の内訳については,森林が約59%,農地が約14%,公園・緑地等が約10%, 河川・水面等が約5%。その他(公共施設や民有地等の緑)が12%である。平成19年と比較して,農地が約2%減少しており,一方で,公園・緑地等が約1%,及び公共施設や民有地等の緑が約1%の増加となっている。」と、緑被率は減ってなく緑地の質の低下もないと答弁していますが、緑の質とは何かが今問われています。福岡城址は人為的に作られたものですが、400年の経過の中でその地に生息していた種が時間の経過の中で里山の生態系をつくっています。市の答弁ではセントラルパーク計画は人間中心・観光利用前のめりの姿勢が強く、ニューヨークのセントラルパークとは大違いです。これまでも野鳥の会などの意見が出されていますが、生態系に係わる関係者の声がどのように生かされているのか、また100年後の福岡城址をどのように構想しているのか市に質しました。裁判所跡地では駐車場の邪魔になるという理由で貴重なムクノキの大木が腐食もないの伐採されました。人間中心、観光を優先する整備は大濠公園並びに福岡城址の持つ魅力をはぎ取ることになりかねず、神宮の森のように100年先を想像した整備を求めました。

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「桜を見る会」を巡る疑惑の徹底解明を求める意見書(案)に賛成する討論

 

私は緑と市民ネットワークの会を代表して、「桜を見る会」を巡る疑惑の徹底解明を求める意見書(案)に賛成し、討論を行います。

今回安倍首相が主催した「桜を見る会」がなぜ問題なのか、それは国家の最高責任者が民主主義を根幹から否定する行為を繰り返しているからです。「桜を見る会」は内閣総理大臣が主催する「各界において功績、功労のあった方々を招き日頃の労苦を慰労する」公的行事であり、「桜を見る会」の招待者名簿は公文書です。公文書は国民の財産であり、国民が信託した政治を検証するために保存されるものです。公文書等の管理に関する法律では「この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。」と記されています。今回「桜を見る会」では安倍首相が地元支持者を招待するなど私物化している疑惑があり、また招待者には反社会的人物や悪徳マルチ商法で甚大な被害を与えた元会長などがいたことが指摘され、安倍首相は説明責任を果たすことが求められています。アメリカでは大統領の会話やメモも記録として保存され、後世の世代が検証出来るよう公文書管理が厳格になされています。

ところが、安倍首相は13日の東京都の講演で、「国会では政策論争以外の話しに多くの審議時間が割かれてしまっていることを、国民の皆様に大変申し訳なく思っている」とあたかも責任は野党にあるかのような発言を行い、また、名簿の破棄を「担当である障がい者雇用の短時間勤務職員等の調整を行った結果」と障がい者に責任を押しつけ、国会の場での説明を求めて国会延長が求められても拒否しています。この様な安倍首相の言動をみると全く説明責任を果たす意思もなく、責任も感じているとは思われません。また、破棄され名簿のバックアップデータがあったにもかかわらず国会議員の提出申し出を拒否しデータを消去するという違法行為を行っています。データは再生が出来るとみられているにもかかわらずこれも拒否。全く説明責任を果たそうとしていません。この様な安倍首相を擁護する自公政権の行為はまさに民主主義を否定するもの以外の何ものでもありません。

安倍首相は森友学園・加計学園問題、自衛隊日報隠蔽問題などこれまでも国政の私物化、公文書の改ざん・隠蔽、説明責任を果たさないことを繰り替えしてきました。安倍首相は問題が起こる度に「真摯に受けとめ、丁寧に説明する」と繰り返し言ってきましたが、まさにご都合主義の対応でもみ消しを図ってきました。これまで安倍政権は、日本は法治国家と言ってきましたが、憲法に則り国会招集を求めても憲法を無視して招請しない、公文書の改ざん・隠蔽、さらに公文書等管理法も無視するなど、無法者の国家となっています。「桜を見る会」の真相解明することは、公文書管理の在り方を明確にし、説明責任を果たす政治と民主主義を復権させるために是非とも必要です。私たちは大人は子どもに「ウソをつくことは悪いこと」と胸を張って言える社会にする責任があります。

以上、「桜を見る会」を巡る疑惑の徹底解明を求めるものです。以上で賛成討論を終わります。