自衛官募集のための名簿提供をやめるよう申し入れ

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髙島市長は1月6日の記者会見で住民基本台帳から適齢期の市民を抽出して、紙およびデーターとして防衛省に提供する意向を表明しました。これは重大な人権侵害であり、戦争する国に使用としている安倍政権の下に若者を戦場に怒ることになり、断じて許せません。1月9日に、市長および個人情報保護審議会に申し入れをしました。

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2020年1月9日

福岡市長 髙島宗一郎様

緑と市民ネットワークの会

荒木龍昇

森 あやこ

 

自衛官募集のための名簿提供をやめることを求める申し入れ

 

年末12月29日付で「福岡市は自衛官募集のために高校卒業年齢18才・19才および大学卒業年齢の22才・23才の福岡市民の名簿を防衛省に提供することを固めた」旨の報道がありました。先日1月6日の市長記者会見では髙島市長は自衛官募集のために名簿を提供することを表明しました。理由はシステム改修により住民台帳から適齢年齢者を抽出できるようになったことをあげています。これは極めて危険な発想であり、危険な行為です。

個人情報保護条例において、国等他の実施機関に個人情報を提供する場合でも本人の権利利益を不当に侵害する恐れがあるときには提供できないとしています。安倍政権が戦争法強行採決後、南スーダン、ゴラン高原、ソマリア沖合・ジブチに自衛隊派遣が実施され、今回イラン危機に中東へ派遣が決定されるなど、自衛官が戦争に巻き込まれることは現実のものとなっています。このような状況で、名簿提供は市民を戦場に送ることと同じと言えます。これは著しい市民の権利利益の侵害であり、福岡市個人情報保護条例に違反する行為です。そもそも自衛官募集は自治体が名簿提供しなければいけない業務といえません。

市長は12月議会冒頭においてアフガニスタンおよびパキスタンを拠点に住民の生活復興を進め、平和な社会を強く希求していた中村哲医師の死を悼まれました。もし市長が心から中村哲医師の死を悼むのであれば自衛官募集に名簿を提供することはやめるべきです。3月議会で中村哲医師に「名誉市民」を授与し、功績を顕彰すると聞いています。この様な行為を行なった市長の手で顕彰されて、中村哲医師は喜ぶでしょうか。2015年9月の戦争法成立の際、中村哲医師は「70年かけて築いてきた国際的な信頼が徐々に崩れていくだろう。終わりの始まりだ」、「支援名目で自衛隊を海外派遣しても、戦闘につながる恐れは十分にある。そうして日本の信頼が失われれば、われわれは撤退せざるを得なくなる可能性もある」と強い懸念を示されていました(西日本新聞2015年9月19日)。

情報化が進めば進むほど個人情報の厳正な管理が求められています。住民台帳より適齢期の市民を抽出して提供することは徴兵制の前段とも言え、また情報化社会でこの様なことを自治体が行うことは情報管理の在り方としても大変問題なことです。国はマイナンバー制を実施、全ての国民がナンバーによって管理される仕組みが作られています。現状では税や福祉関係の一部の事業以外では名寄せ・突合は禁止されていますが、今回のように適齢期の市民を抽出するなど、権力を持つ者が自由に個人情報を操作することはまさにファシズムそのものであり、ジョージ・オーウェルが描いた「1984年」の世界を現実化するものと言えます。

かつて地方自治体が戦争推進の機関として機能したことを顧みるならば、「住民の福祉増進を図る」本来の自治体の役目として「自衛官募集のために名簿を提供する」など、徴兵制の地ならし・戦争協力のようなことはすべきではありません。地方自治体は住民の暮らしを守る責務があり、国が間違った道を歩もうとすれば誤りを正す責務があります。地方自治体と国は対等な関係です。地方自治の本旨である「住民の福祉の増進を図る」こと、すなわち「過ちは繰り返さない」、「市民を戦場に送らない」、個人情報の管理を厳正に行いプライバシー・人権を守る責務を果たすことを求めます。

緑と市民ネットワークの会は自衛官募集のために名簿提供することをやめるよう強く求めます。

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2020年1月9日

福岡市個人情報保護審議会 御中

緑と市民ネットワークの会

荒木龍昇

森 あやこ

 

「市長に自衛官募集のための名簿提供をやめることを求めること」を求める申し入れ

 

年末12月29日付で「福岡市は自衛官募集のために高校卒業年齢18才・19才および大学卒業年齢の22才・23才の福岡市民の名簿を防衛省に提供することを固めた」旨の報道がありました。先日1月6日の市長記者会見では髙島市長は自衛官募集のために名簿を提供することを表明しました。理由はシステム改修により住民台帳から適齢年齢者を抽出できるようになったことをあげています。これは極めて危険な発想であり、危険な行為です。

個人情報保護条例において、国等他の実施機関に個人情報を提供する場合でも本人の権利利益を不当に侵害する恐れがあるときには提供できないとしています。安倍政権が戦争法強行採決後、南スーダン、ゴラン高原、ソマリア沖合・ジブチに自衛隊派遣が実施され、今回イラン危機に中東へ派遣が決定されるなど、自衛官が戦争に巻き込まれることは現実のものとなっています。このような状況で、名簿提供は市民を戦場に送ることと同じと言えます。これは著しい市民の権利利益の侵害であり、福岡市個人情報保護条例に違反する行為です。そもそも自衛官募集は自治体が名簿提供しなければいけない業務といえません。

情報化が進めば進むほど個人情報の厳正な管理が求められています。住民台帳より適齢期の市民を週出して提供することは徴兵制の前段とも言え、また情報化社会でこの様なことを自治体が行うことは情報管理の在り方としても大変問題なことです。国はマイナンバー制を実施、全ての国民がナンバーによって管理される仕組みが作られています。現状では税や福祉関係の一部の事業以外では名寄せ・突合は禁止されていますが、今回のように適齢期の市民を住民台帳から抽出するなど、権力を持つ者が自由に個人情報を操作することはまさにファシズムそのものであり、ジョージ・オーウェルが描いた「1984年」の世界を現実化するものと言えます。

かつて地方自治体が戦争推進の機関として機能したことを顧みるならば、「住民の福祉増進を図る」本来の自治体の役目として「自衛官募集のために名簿を提供する」など、徴兵制の地ならし・戦争協力のようなことはすべきではありません。地方自治体は住民の暮らしを守る責務があり、国が間違った道を歩もうとすれば誤りを正す責務があります。地方自治体と国は対等な関係です。地方自治体は「住民の福祉の増進を図る」こと、すなわち「過ちは繰り返さない」、「市民を戦場に送らない」、個人情報の管理を厳正に行いプライバシー・人権を守る責務があります。

福岡市は自衛官募集のために名簿提供するとしていますが、福岡市個人情報保護審議会は条例第13条4項に基づき、自衛官募集に適齢年齢の市民を住民台帳から抽出し提供することはやめるよう求めて下さい。緑と市民ネットワークの会は福岡市個人情報保護審議会に強く求めます。