自衛隊名簿提供問題シンポジウム

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12月13日(日)14:00~19:00

会場:ふくふくプラザ

福岡市は6月5日に18歳、22歳の市民の名簿を自衛隊に提供しました。福岡市では市民の働きかけで提供は紙媒体、氏名と住所の2情報のみ、希望しない市民は除外するとなり、233名が除外希望しました。私たちは地方自治体が本人の同意もなく自衛隊に名簿を渡すことに反対しています。自衛隊への名簿提供は何が問題なのか、論点は3点です。

〇同意がない個人情報を渡してよいのかープライバシー保護と監視社会をつくらせない

〇地方自治体は国の機関ではなく、自立した主体性があるー地方自治が問われている

〇事実上の集団的自衛権行使に向かう自衛隊への協力―市民を戦場に送る過ちを繰り返すな!

 

1)情報化社会が進むからプライバシー保護が重要

情報化が進み、マイナンバーがつけられ、個人情報保護が社会的な課題となっている今日、住民基本台帳という個人情報の要を預かる自治体の責任は益々重くなっています。情報化社会が進む今日、カードを使えば購買履歴や移動履歴が残り、パソコンで検索すると検索履歴が残り、企業はビッグデータとして本人が知らないうちに商業利用し利益を得ています。政府はマイナンバーカードがいまだ20%程度しか普及していないため、マイナーポイント(各会社にマイナンバーを登録するとマイナンバーカードで買い物ができる、登録時に国が5000ポイントを付与)を使ってマイナンバーカードを作らせ、カードとマイナンバーをリンクさせています。また、マイナンバーカードを保険証代わりに使わせる、預金通帳とリンクさせる、免許証をマイナンバーカードにするなど、当初は税と社会保障に関するものだけとしていたものを、マイナンバーと全ての個人情報をリンクさせようとしています。

デジタル化を進めることで利便性が高まりますが、マイナンバーとあらゆる個人情報が紐づけられ、監視社会へより近づきリスクが大きなっています。中国ではスマホですべての決済ができ極めて便利な社会になっていますが、監視カメラやネット空間で個人は常に監視されており、国家を批判するものを弾圧する監視社会となっています。デジタル化が進むからこそ個人情報保護が重要となっているのです。プライバシー保護は基本的人権なのです。地方自治体は本人の同意を得ない個人情報を目的外使用しないよう厳格に運用しなければなりません。

 

2)個人情報保護は地方自治体の責務、国の下請けではない。

個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、福岡市個人情報保護条例では原則的外利用は禁止、法令で定められている場合、本人の同意がある時、学術的な利用、既に報道出版で公開されている時、生命等危険が及ぶなどの緊急時の時、(福岡市個人情報保護審議会の意見を聞き、公益上必要があると認められたとき)の例外規定がありますますが、「情報提供することで本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するときは例外規定は認められない」となっています。福岡市は個人情報保護審議会に諮問し「公益上必要と認められる」という答申を以て名簿提供の根拠にしています。これは法的に根拠が薄いと認知しているからです。9月の一般質問では、自衛隊へ名簿提供することは法定受託事務ではないと答弁しています。福岡市の裁量権で渡しているのです。

福岡県小郡市では個人情報保護審議会に諮問し、名簿は自衛隊法政令120条の「資料を求めることが出来る」の「資料」に個人情報は該当しない」との答申を受け、小郡市はこれまでの名簿提供をやめて閲覧にしています。この様に個人情報保護の観点から自衛隊員募集のために個人情報を渡すことは違法行為です。私たちは福岡市に名簿提供をやめるよう求めています。

国と地方自治体は対等の関係であり、地方自治法でも国は生活保護など全国一律にやったほうがいいことや外交・防衛などを行い、地方自治体は住民の福祉の増進を図るために、地域の状況に合わせて自律的・主体的に業務を行うとしています。国は生活保護など地方自治体に業務を委託するときには法律で定めなければならず、国の通知は技術的助言であり法律ではありません。自衛隊員募集にポスターを貼ったり案内をすることなどの協力は法定受託事務ですが、名簿を渡すことは法定受託事務ではないのです。だからこそ、地方自治体は隊員の募集のために同意を得ていない個人情報を毎年大量に渡すことは個人情報保護法、や個人情報保護条例違反であり、住民の福祉の増進を図るという地方自治の本旨に反するのです。

私たちが全国の状況を私が把握した限りでは、名簿提供をするときに個人情報保護審議会に諮問していない自治体が多いのではないという疑問です。二つ目は、名簿提供していない自治体では住民基本台帳法を根拠に閲覧させていますが、個人情報保護法の観点から、閲覧方法に制限を加える必要があるのではないかと考えています。第3点は名簿提供問題が各地で問題となっていることから、自治体が「地方分権改革の要望」として「名簿提供を法制化」を求める動きが出ています。これは地方自治の本旨である「住民の福祉の増進を図る」に反し、また地方分権にも逆行するものです。しかし首長部局で進めていることから、添附の自治体の議員の方は知らないのではと考えられます。地方自治体の住民や議会は行政をチェックすることが必要です。