9月議会 来年夜間中学が開校します。

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9月議会の主たる議案は➀補正予算案として、コロナ対策費の追加、補助事業の内示額が増額されたことによる予算の補正及び夜間中学校の設置の予算、②主な一般議案はデジタル化による子ども関連施設において、利用者が同意すれば手続きをスマホなどの電磁媒体を使う事ができることは、施設での記録も電磁媒体でできるという条例改正、及び南市民センター改築による部屋の規模の変更に伴う料金変更等、③議員提出議案2号、福岡市個人情報保護条例の一部改正する条例案でした。福岡市個人情報保護条例の一部改正する条例案昨年から18歳、22歳の市民の個人情報を本人の同意がないまま自衛隊員募集のために自衛隊に手渡していることに対して、同意をとることを定めた条例改正案です。この条例案は自衛隊だけが対象ではなく、今回の自衛隊員募集のような公益性が極めて低いと認められる場合に適用されます。

国は全ての人に学びを保障するために、不登校など様々な理由で形式卒業した方の学び直しの場を作る、また海外からの在住者で母国で義務教育を受けれなかった方の学びを保障するという目的で、全国の都道府県には必ず1校を設置、また全国の政令市にも1校設置を求めています。福岡市は今年ニーズ調査を実施、196人の方から修学の希望を得たとし、開校を決めています。公立夜間中学の設置は九州では初めてと言うことです。

夜間中学は来年4月1日開校、場所は早良区百道の教育センター内に設置されます。校長及び教員は通常の中学校と同じは位置ですが、開講後には様々な課題が出てくると考えられ、就学者に寄り添った中学校にすることが重要であり、当事者の声やこれまで夜間中核設置を求めてきた方、子供の支援をしている民間団体などの声を聞きながら運営すること求められています。

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討論

私は緑の党と市民ネットワークの会を代表して、本議会に上程された議案第192号ないし議案第204号に賛成して討論をします。議案には賛成しますが、いくつかの点に関して意見を述べます。

まず、次に議案第192号令和3年一般会計補正予算案の内、街路整備事業の天神再開発に伴う道路拡幅事業について一言意見を述べます。今回の議案では土地買収額が当初見込みの約1.5倍に上昇しており、購入価格が適正に評価されているのか疑義が指摘されています。コロナ禍で市民生活が困窮している中での予算の適正な執行が求められます。

高島市長が特区指定を受けて進める天神再開発が始まったことや、金融緩和による市場にあぶれた資金の投機先として福岡市に資金が流れていることで、関東地区、関西地区、東海地区ではコロナ禍で地価下落に転じたことに比べ地価は上昇しており異常な状況にあります。マネーゲームの対象となっており、バブル状況にあると考えられます。かつての住専問題のように、将来のリスクを膨らませているのではないか、福岡市の「成長への投資」が無駄になるリスクが膨らんでいるのではと危惧されます。

また、天神再開発を誘導することでコンクリート建造物がさらに巨大化し、都心部への物流・人流が集中することで、渋滞や大気汚染、緑地の減少など環境の悪化、エネルギー消費の増大とヒートアイランド現象の激化など地球温暖化への影響、感染症のリスクが増大するなど、問題が深刻化することは否定できません。以上の理由から、天神再開発計画は見直すことを求めます。

次に議案第192号令和3年一般会計補正予算案の内、公園整備における舞鶴公園の用地取得について意見を述べます。舞鶴公園は国の史跡であり国有地です。国有地を市有地として購入する必要があるのか、さらに舞鶴公園における用地買収後の土地利用は駐車場や広場とされており、観光政策優先の整備計画を見直しするよう求めるものです。

福岡市は2020年に新緑の基本計画の目標年度が終了となり、新たな緑の基本計画を策定するべきところ、全くその動きはありません。新緑の基本計画の目標年度である2020年における現況調査もなされないままです。福岡市の市街化区域における永続性がある樹林地は2007年138ヘクタールであったものが2017年は124ヘクタールと減少傾向にあり、また、舞鶴公園ではこの5年間で大木が98本伐採されています。須崎公園でも拠点文化施設が建設されることで大木が約300本なくなります。無計画のままに都市開発が進められていると言われてもしかたがない状況です。地球温暖化防止が喫緊の課題となっており、都心部における永続的な樹林地の拡大は二酸化炭素の吸収と都市の冷却効果をあげエネルギー消費の抑制のためにますます必要となっています。

今回の議案から見えてくるものは、セントラルパーク構想が観光開発に前のめりとなっており、都心部の樹林地の拡大には目もくれないということです。国有地は購入する必要はなく、樹林地に再生すべきです。中国の経済成長は下降に向かい、中国・韓国や東南アジアでは人口減少・少子高齢化が既に始まっていることなどから、コロナ禍が終息したとしてもクルーズ船の寄港は見込めず、大量の観光バスの駐車場は必要ありません。今後の福岡市に求められているのは「緑の中にある都市」であり、ガラスの塔のエネルギー浪費都市ではありません。以上、新たな緑の基本計画を早急に作成するとともに、セントラルパーク構想についての見直しを求めます。

次に、議案第192号令和3年一般会計補正予算案の内、夜間中学開設に関する議案について意見を述べます。夜間中学が来年4月1日に開設する補正予算案が提出され、私たち会派としても大いに歓迎するところです。今後の夜間中学の運営については、多様な入学希望者の受け入れ、不登校中学生の受け入れ、クラス編成や授業の在り方、給食の提供など、生徒にどう寄り添っていくのか、開設後には様々な課題が出てくると考えます。当事者の声や夜間中学開設に取り組んでこられた方達など、開設後も幅広く市民の声を受け止める場を作り、全ての住民に学ぶ機会が保障され、よりよい夜間中学になるよう要望します。また、議案質疑において、千代中学校で取り組まれてきた「よみかき教室」については、今後とも支援をするとの答弁がありました。今後も多様な学びの場を保障することを要望します。

最後に、議員提出議案第2号、福岡市個人情報保護条例の一部を改正する条例案に賛成して討論をします。この議案は昨年から福岡市が18歳、22歳の市民の個人情報を自衛隊に提供を始めるに当たり、福岡市個人情報保護審議会に諮り、答申を得、答申に基づき措置が執られました。答申は異例の条件を付け、「望まない市民は提供する名簿から外す」事を求めています。しかし、福岡市が執った直接本人に意思の確認をしない措置では、個人の権利利益を保障することができないことから、明確に個人の権利利益を侵害しないことを担保するために条例改正案が提出されています。

そもそも自衛隊員募集のために、しかもポスティングのために個人情報を提供するだけの公益性があるとはいえません。また、自衛隊は2015年に強行採決された戦争法により積極的に戦争する実力組織に変容しており、本人の同意がないまま名簿を提供することは、個人の権利利益の侵害になります。毎年3万人もの適齢期の市民の名簿を本人の同意がないまま提供すること自体が、住民基本台帳法第3条第4項に「書類の交付により知り得た事項を使用するに当たって、個人の基本的人権を尊重するよう努めなければならない。」に反するものです。また、地方自治法第1条の2第1項「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」にも反します。

いま、社会の情報化が進むなかで個人情報保護の在り方が問われています。個人情報がデータ化され、本人が知らない間に収集され利用され、AIによってプロファイリングされ、個人の行動が変容されることが既に起こっており、世界では大きな問題となっています。中国ではAIの技術が住民・在住者の監視やウィグル族など少数民族の弾圧に使われています。また、アメリカの大統領選挙やイギリスのEU離脱の国民投票では、AIを使った技術による投票行動への干渉がなされ、大きな問題となっています。このような状況から、EUではEU一般データ保護規則を制定し、個人のプライバシー権と個人情報の自己コントロール権を保障しています。大量の個人データがAIによりプロファイリングされ、住民の監視や投票行動への介入などの民主主義を破壊する状況が既に生まれています。デジタル関連法が制定され、個人情報・行政情報の利活用が全面的に打ち出されていますが、情報化を進めるためには個人のプライバシー権と自己コントロール権が保障されなければいけません。

地方自治体として住民の個人情報を保護する責務があり、プライバシー権と自己コントロール権を守るために条例改正案に賛成するものです。