18歳以下の児童に対する10万円相当の臨時特別給付金年内給付開始

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11月26日に世帯所得960万円未満の18歳以下の児童に対して10万円相当の臨時特別給付金給付を閣議決定しました。5万円の現金給付を年内開始、来春に5万円相当の子育てに使い道を指定したクーポンを給付するとしています。福岡市はこれを受けて12月1日、2日に臨時議会を開催し、児童手当給付対象児童がいる世帯には12月24日に給付、児童手当給付児童がいない世帯の18歳以下の児童は12月8日に通知を郵送し、申請があったものから順次給付するとしています。12月8日にはコールセンターを設置する予定であり、相談の受付が始まります。各世帯に通知のほか、ホームページに掲載、区役所等にもポスターを掲示するなど周知を図ることになっています。対象児童は、18歳以下で扶養者の所得が960万円以下であれば、高校に在籍していなくてもよく、就労していてもよいとなっています。また外国籍の児童でも要件に該当すれば給付を受けることができます。

今回の事業はコロナ禍で生活困窮している子育て世帯に対する支援についての給付は必要な措置と受け止めていますが、給付の諸経費は5万円の現金給付に約300億円、5万円相当のクーポンの給付に約900億円かかると言われています。このような給付の仕方は給付対象者にとても不便であり、1度の現金給付にすれば少なくとも約900億円は困窮する大学生等への給付など別途有効に使うことができます。国民の視点や自治体の視点はなく、自公政権の都合で実施されています。今回の給付はコロナ禍での必要な対策であり、国が国民や在住者に恩恵を与えるものではありません。今回の給付の在り方について自治体として国に意見を述べるよう求めました。

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臨時議会賛成討論

私は緑の党と市民ネットワークの会を代表して、議案第215号 令和3年度福岡市一般会計補正予算案(第5号)に賛成して討論を行います。

本議案は、先般の衆議院議員選挙における公明党の「コロナ禍の長期化に伴い、特に子育て世帯が大きな影響を受けていることから、0歳から高校3年生まで全ての子どもたちに「未来応援給付」(一人あたり一律10万円相当の支援)を届けます。」という公約から、与党内の調整で年収960万円未満の子育て世帯の18歳以下の子どもに一人当たり10万円相当の臨時特別給付金を給付することになりました。臨時特別給付事業の総額は約7000億円と言われ、給付の在り方については与党内の調整で、5万円を現金で、5万円相当を子育て関連に使い道を限定したクーポンで給付となりました。現金給付については年度内に給付を開始すると言うことで各自治体に要請されています。福岡市においては児童手当給付世帯には12月24日に給付ができるよう努めるとのことで、市の早期給付の努力に賛同するところです。給付対象者に確実に給されるために、十分な周知を求めます。

しかし、緊急性が高いとはいえ、政府は自治体へ早い時期に通知せず年末押し迫った時期に年度内に現金給付開始を求めるたことで、自治体に大きな負担を強いることになったこと、また現金給付と使い道を限定したクーポンに分けて給付することは受給世帯にとっても使い勝手が悪く、また困窮世帯にとっては現金給付が支援になると考えられ、問題がある事業といえます。

給付を5万円の現金給付と5万円相当の使い道を指定したクーポン給付に分けた理由は、自民党茂木幹事長が「家計に滞留しては消費効果もない。クーポンで配れば、経費は当然掛かってくる」と言っているように、全額現金給付にすると預金に回る額が多くなると考えられるので、確実に消費に繋がるようにクーポンで給付すると言っています。給付にかかる経費は5万円の現金給付に約300億円、5万円相当のクーポンの給付に約900億円かかることについて、松野博一官房長官は会見で「民間事業者の振興や新たな子育てサービス創出など地域活性化への波及効果につながることも期待される」と言っていますが、自治体は更に負担が強いられうえ、余計な経費を使うことになります。本議案による給付対象者は18歳以下の児童の約9割になるとしており、困窮世帯には確実に届くという点では意味がありますが、支援が必要な困窮する大学生等や若者、困窮世帯や困窮事業者への支援についても急がれることを考えると、この不用な経費と更なる自治体への負担が生じる分割給付に意味があるとは考えられません。

今回の事業には賛成するものの、政権与党の思惑で無駄な費用が生じていることと自治体に余計な負担を強いていることからも問題がありすぎる事業です。政府は児童手当の口座や住所を使うことで速やかに給付できるとの考えのようですが、自治体の実態が理解されていないのではないかといわざるを得ません。また、困窮世帯にとっては現金給付が支援になり、今回の分割給付は実態に合っていません。このような事業で利益を得るのは、事務事業を請け負う委託業者であり、税金の浪費と言えます。住民と向き合う自治体として、政府にこのような事業の在り方を是正することを求める意見をあげるよう強く求めて討論を終わります。