2022年9月議会報告

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9月の主な議案

主な補正予算案は➀コロナ対策、②マイナンバーカード推進費用の補正予算案、➂パピオアリーナ(スケートリンク)補修の助成の補正予算案、④道路や公園整備の追加、など。

一般議案では➀中止企業の私的整理に関して市の債権を市長の専決処分として放棄できる条例案、②マイナンバーカード普及のために、カード使用による証明書発行手数料を期間限定で300円から100円に引き下げする市税条例改正案、➂育児休暇が取れる非常勤公務員の対象を拡大する条例改正案、④油山市民の森及び油山牧場のリニューアルに関する条例改正等、⑤消防団を増やすために機能別団員を新設、福岡市の場合は消防団OB、消防士OBを再任用し、消防団を支援、⑥人工島市第5工区の商業用地及び住宅用地売却、⑦新設発達障害者支援センター等施設の指定管理者の指定

議案質疑

1、油山市民の森等リニューアル事業について

今回のリニューアルを機に利用料金制を導入します。指定管理料はあらかじめ駐車場等あらかじめ決められた駐車料等の収入を差し引いた額になります。料金指定管理者は企業努力により利用者を増やすことで収益を上げ、また新規事業の収益を得ることができます。15年の長期契約期間において様々な原因で利用者が減ることも考えられますが、契約額は変更しないと言うことです。公設民営であり、もたれ合いになる構造は避けることを求めました。

また、民設民営で本格的なアスレチック施設をつくる提案がなされていますが、本格的な施設は利用料も応分に高くなります。企業の努力と市としての取り組みで誰もが楽しめる施設になるよう求めました。

従来の野鳥観察会などの事業は継続されるとのことですが、環境教育や自然保護活動の場として市民の参加やボランティア活動の場が広がるよう、企業の発信力を生かしていくことが重要です。公募市民を含めた市民が参加する評価の仕組みをつくることや福岡市、事業者、環境保護団体との連携を求めました。

2、人工島の住宅用地土地処分に伴う、教育環境確保に関する住宅建築のコントロールについて

 福岡市内では住宅開発によって通学区域の児童数が急増し、教室不足や運動場不足など教育環境が悪化する事案が頻発しています。人工島においても新たに小学校が2024年4月に開校予定ですが、住宅建設による児童数の見込みが反映されているのか問題です。教育委員会は新設小学校については、開校時の令和6年度に19学級、450人、令和8年度に200戸の住宅供給があると仮定したら、令和9年度に28学級、746人となるとしていますが、土地処分による住宅の総数は1962戸となっており、早急に年度ごとの受入可能な児童数を推計し、併せて開発可能な住宅数を公開し、早急に住宅開発事業者と住宅戸数について協議することを求めました。

先日、埼玉県戸田市に「戸田市健全な教育環境確保のための住宅開発抑制に関する指導要綱について」調査しました。戸田市では住宅建設による教育環境の悪化を防ぐために、要綱を定め、40戸以上の住宅開発する事業者は教育委員会と事前協議を行い、その後開発申請をする手続きをとるようにしています。小学校通学区を➀受入困難地区、②監視地区、③準監視地区、に分け、それぞれのランクで開発できる住宅戸数の上限を決めており、それを公示し、開発事業者は教育委員会との事前協議を行い、場合によっては開発の用途を変えるなどをしています。現在のところ問題は起こっていないとのことです。

市は「本市における民間企業の住宅開発を学校教育の観点から抑制することについては、様々な課題があり困難である」と答えていますが、学校の状況に応じて通学区内の住宅開発可能な基準をつくり、開発申請前に教育委員会との事前協議をする制度を作ることで、開発業者に協力得ることは可能です。戸田市のような制度を強く求めました。

3、マイナンバーカード発行推進に使う税金の無駄について

 福岡市だけでもマイナンバーカード申請を進めるためのサポート業務委託費は今回補正予算を含めて12億8千万円余です。更にマイナンバーカード申請を促進する「ニンジン」としてのマイナポイント申請サポート委託業務費は今回補正予算を含めて4億6千万円余です。これだけ税金を投じて、マイナンバーカード発行が始まって約6年経過しましたが、ようやくカードの交付数は2022年7月末で45.9%、福岡市でも5割弱、申請数でも6割弱です。マイナンバーカードが普及すればコンビニなどで証明書の発行など利便性が高まるとしていますが、実際に使用する機会は少なくマイナンバーカードの必要性を感じない、むしろマイナンバーに保険証や銀行口座、国家資格や免許証など様々な個人情報が紐づけられ、カードを使用することによる履歴が残り、監視社会に繋がるとして拒否している国民が多いのではないかと考えます。このような監視社会に繋がるマイナンバーカードの発行はやめることを求めした。

 また国のマイナポイントの予算は、2022年1月からの第2弾の予算は1兆4千億円とされていますが、8月末の見込みで約6千億残るとみられており、2020年9月に始まった第1弾の予算である3,000億円を含めると1兆8千億円程度になります。真に必要と考えればマイナンバーカードは自発的につくると考えられますが、必要ないと考える国民が多いから申請が進んでいないのではないでしょうか。マイナンバー申請サポート委託料やマイナポイント交付費及び申請サポート委託料など、マイナンバーカード普及に、税金の無駄遣いをやめることを求めました。

 また、国はマイナンバーカード交付率を地方交付税の交付算定基準にすることを検討したり、自治体のマイナンバーカード交付数をホームページに掲載するなどして、自治体間の競争をあおっています。そもそも地方交付税は地方の機関財源であり、補助金のような政策的運用は地方財政法違反です。また競争をあおる総務省のやり方は地方自治を否定する行為といえます。福岡市は国に地方自治を侵害する行為はやめるよう求めました。

一班質問

1、こどもに関する各種データ連携による支援実証実験について

この事業は、デジタル庁が地方自治体において教育・保育・福祉・医療等のデータ分野を超えて連携させ、真に支援が必要とするこどもや家庭に対するニーズに応じたプッシュ型の活用をする際の課題等の実証事業に福岡市が応募し採用されたものです。地方自治体に保有するデータを連携させることでアウトリーチの支援ができることは意味があると考えますが、課題もあります。特に重要なことは、1点目は判定基準やアルゴリズムをどのような考えでつくるのか、誰がつくるのかにあります。オランダでは児童扶養手当の給付受付をAIを使って実施していましたが、有色人種出身の国民・移住者が不当に排除されていたことが問題となりました。原因は担当者の偏見がアルゴリズムに反映されていたことが判明し、大臣が辞職するという事態になっています。第2点は、アウトプットされたデータ使うのは担当者であり、データをどう理解するか担当者のキャリアが重要となります。こういった課題について十分配慮されることを求めました。

2、建築紛争防止条例について

 福岡市建築紛争予防条例において、第15条で「当事者間において事前説明が十分になされていないと認めるときは、当事者に対し、事前説明の促進について指導することができる」。 また、第36条では、「第3章に規定する建築計画等の周知の手続の全部又は一部を実施しないときは当該建築主に対し、期間を定めて、建築紛争の予防と調整のために必要な措置を講じるよう指導し、又は勧告することができる。」となっています。いずれも事前説明に対する指導及び勧告ができるとしています。しかし、第5条の「周辺の居住環境に十分に配慮するとともに、市民の良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない。」とあるものの、「指導し、勧告することができる」対象となっていません。

さいたま市の条例では「第11条 近隣住民又は周辺住民は、第7条第1項の規定により標識を設置した日から閲覧期間が終了する日までに、閲覧図書又は当該閲覧図書に係る対象事業の計画の内容に対する意見書を事業者に提出することができる。2 事業者は、前項の規定による意見書の提出があったときは、当該意見書を提出した者に対し、口答又は書面により回答しなければならない。」となっており、第12条では「市長は、説明報告書及び意見対応報告書を受理したときは、意見対応報告書を受理した日から起算して30日を経過する日までに審査し、審査が終了したときは、その旨を事業者に通知しなければならない。この場合において、市長は、必要があると認めるときは、その通知に意見を付すことができる。」となっています。周辺住民の住環境を守るために福岡市において事前説明の実施に関する指導だけではなく、建築主等事業者が周辺住民の住環境に十分配慮するように、さいたま市のような住民が事業者に意見書を提出することができ、事業者に回答を義務づけ、その内容を市が審査し、意見書を付ける条例に改正するよう求めました。

また、神戸市では事業者向けのパンフレットに「議事録・説明会、個別説明等で多くの質疑応答があった場合は、そのやり取りの内容を「議事録」にまとめてください。説明会の出席者名簿(写し)があれば、添付してください。)」となっており、報告書には説明事項の欄、説明に対する住民の要望欄とそれに対する事業者の回答欄があり、最後に市長宛の事業者の誓約書欄となっています。ところが福岡市は事業者からの一方的な報告書しかありません。このような条例の不備が今回の小笹における事業者が住民を訴えるいわゆるスラップ訴訟といわれるような事態を引き起しています。条例を整備し、住民と事業者の話し合いの経緯が明らかになるようにするよう求めました。

3、市及び財産区が管理する施設における農薬・除草剤の使用について

市の管理地において除草する場合には農薬・除草剤は使っていないとのことですが、田島新池においては一般家庭でも使用されている除草剤を使っているとのことです。一般家庭でも使用されている除草剤なら問題がないという認識は間違っています。アメリカでは一般家庭でも使用されている除草剤ラウンドアップ、その主成分のグリホサートに発がん性があるとして訴訟となり、メーカーは敗訴し多額の賠償金を支払っています。ルクセンブルク、ドイツ、オーストリア、チェコ、フランス、マルタ、メキシコ、フィジー、トーゴなどが使用禁止しており、世界的に禁止の動きが広がっています。国でも「みどりの食糧システム戦略」では有機農業を進め、農薬の使用料を削減するとしています。環境及び生活の場には様々な化学物質があり、できるだけ化学物質の摂取は避ける必要があります。田島新池は財産区の土地で市が管理しており、市が管理する全ての場所でグリホサートなどの除草剤や農薬を使うことはやめることを求めました。

4、安倍元首相の記帳所設置について

安倍元首相が7月8日に銃撃を受け亡くなりました。市長は7月11日午前に記者会見をし、11日午後2時には記帳所が設置しました。特定の政治家のためにこのような記帳所を設置することは問題があります。記帳所には「民主主義を擁護し、犠牲となった安倍晋三元首相を悼む弔問記帳所」と記載されていたが、国会で118回も虚偽答弁をする、憲法に基づく国会召集を無視する、森友学園、加計学園、桜を見る会など国政を私物化し真相解明の調査もしない、強行採決を繰り返す、このような安倍元首相が「民主主義を擁護した」と言えるのか、また「統一教会を差配し選挙をするなど反社会的な団体との深い関係がある安倍元首相の記帳所を置くことは公益性があるとはとても考えられません。仮に、選挙中の銃撃事件に対する抗議であるなら、市長の声明で十分です。記帳所設置は公益性があるとはいえず政治的中立を犯していると考えます。

また、平和のための戦争展を福岡市が名義後援をしなかった理由に「憲法改悪に反対」という主張が特定の政治思想であるので「行政の中立性」を犯す」と言っていますが、憲法には国家議員をはじめ全ての公務員は憲法を遵守する義務が課せられており、福岡市が平和のための名義後援を拒否する理由はありません。福岡市の名義後援拒否こそが政治的中立性を犯しています。記帳所の設置は市長の決裁で行われたもので、行政の政治的中立とは何かについて及び、安倍元首相に対する記帳所設置の妥当性について市長に答弁を求めました。市長は「選挙の応援演説中の銃撃という民主主義を揺るがす暴力への強い憤りと民主主義を擁護するという決意を市民の皆様と共有するという趣旨に公共性がある」と居直りの発言に終始しました。

  国葬については国から招待されれば出席すると言っていますが、議会中であることから行くべきでない、公費を使うべきでないと市長に求めました。

5、教育委員会の弔旗掲揚の要請通知について

 教育委員会が記帳所の設置に併せて、学校に弔旗掲揚の要請通知について質問しました。今回の弔旗掲揚は目的及び効果として政治的意義を持つものではないと答弁しました。しかし、弔旗を揚げるという行為は弔意を示すと言うことであり、対象となる個人に対する支援・指示を表明する行為です。特定の政治家について弔旗をこどもにあげさせる、ないし職員にあげさせることは対象となる政治家の思想信条を支持することを表明する行為であり、その効果が政治に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉になり、明確に法律に抵触します。

 特定の政治家の弔旗掲揚を要請した教育委員会は教育の中立を犯した上、森友学園、加計学園問題、桜を見る会など政治を私物化し、憲法を守らない、国会で虚偽答弁を118回も行い、反社会的組織である統一教会と深い関係を築き、自民党憲法草案等に見られるように統一教会が政治に影響を与えてきたと思われる様なことを行ってきた人物を、こどもに尊敬させるような行為は教育委員会として恥ずかしくないのかと思わずにいられません。まともな教育委員会になる事を切に求めました。